兵器擬人化をはじめて割と年月が経ち、擬人化デザインでお金を頂くようになったりもしてそろそろ自分なりの描き方みたいなものが溜まってきた感じがあります。「絵として出したものが全て」という考えもあるかとは思うのですが、どうせなので何考えてこうなったの?とかこれはここが大変だった。みたいな制作に係る話を文章として残しておいた方が良いのではないかと思い立ちまして、蛇足ながらこちらで書くことにしました。
まず第一回目はF35ファミリーから。最初に空軍型F35Aからデザインして、2017年冬コミ初出のイベント会場限定よろずまとめ本「Plinking2」の表紙になっています。そもそも実はこの「Plinking」シリーズの表紙を何にしよう?と考えていた時に思いついたのが、現用機擬人化シリーズだったのでした。
F35A LigtningⅡ擬人化:背景色と文字入れを米国旗と同じ配色でまとめた。
機体名はロービジ風で記載している。
モデルになる統合打撃戦闘機:JSF(Joint Strike Fighter)F35ファミリーは試作機であるX35から、空軍向けのA型を基本型として海兵隊向けB型、海軍向けC型へと派生しているので、A型からデザインする事は決まっていました。実際のところ計画段階から同一基本構造での3派生型を実現する要求が国防省からは出ていますので、お互いにフレーム設計レベルで影響しつつ基本型が定まる。という感じだとは思っているのですが。そこは絵として共通して見える部分を織り込むという事でご愛嬌。
さて空軍型F35Aからデザインするにあたって、まず実機の資料を文字から読み始めまして、結局のところこの戦闘機が何を目指していて、何を実現して、どんな運用をする機体かをふんわりとでも良いので頭に詰め込んでいきます。開発元のロッキード・マーティンのHPなど外に向けてどう見せたいか?という目指すパブリックイメージもわかりやすかったりするので一通り読みます。次に画像資料を見て色や形をぼんやり把握したり、デモフライト動画を繰り返し視聴して独特な動き方や雰囲気を味わう事でテンションをあげつつ自分の中での「この飛行機はこうだから」的空気感、イメージを作り上げていきました。そうした中で、従来世代の機体とは全く違う性格、情報処理、ネットワーク、各種センサが複合化された身体能力が見えてきます。そこからラフの時点であまり生活感がない、ランウェイやショーに出るモデルのような未来感、コンセプト感、他国戦闘機を圧倒する余裕、エアショーで見せている従来のエンジン出力と揚力でぶっ飛ばすというより浮遊やコントロールされた落下を行ってる様に見える、他人には不安を感じさせる表情やふらつく感じのポーズを入れることになりました。
どれくらいそれが表現できているかは、中々難しかったのですがちょっとハイブランド感というか、ぱっと見てどうなってるのコレ?という印象のデザインになったのでは無いかと思います。
F35Aで擬人化デザインの基本形ができる少し前に、F35Bが米海兵隊岩国航空基地に配備となり、そこで次はF35Bをデザインする事にしました。短滑走離陸、垂直着陸可能なSTOVL(short takeoff vertical landing)運用能力を持ち、強襲揚陸艦で運用される、敵地の抵抗を排除し上陸を支援する為の機体ということで、F35Aから共通のデザインを使いつつ、攻撃的な性格に見える表情、肌色、髪型にアレンジし、服装に変更を加えました。ポージングについても、一番特徴的な垂直着陸時の姿勢を参考にノズルを下垂、リフトファンカバー俗称「便器の蓋」が見える様にしています。また、A型ではグローブ一体でデザインしていたガンポッドを外付け化しました。最後に背景色は米海兵隊旗をモデルにし、A型と対になるよう調整しています。
現在も擬人化デザインはお仕事を頂いたり、趣味でもちまちまとやっていますが、普通のキャラクターデザインとはかなり違った考え方、組み立て方だと感じます。資料収集のなかで、実際に運用している方のご感想がひょんなことから手に入り、そこで印象が一気にがらっと変わってベースから変更になる事もあります。そこが難しくもあり、なんだかよくわからないがかっこいい!だけだったものが、これは何なのか、どういうものなのか自分が理解できてくる過程がとても楽しかったりもして、これからも描いて行こうと思っています。