田植え体験というイベントがある。 生まれた時から、田んぼのど真ん中に家があって、農家を継ぐのが当然のような環境で育った俺には、到底理解できないイベントである。 だがしかし、そんなことを言ってもいられない社会的流れがあるのだろう。農業に興味を持ってもらおうという復興事業として、俺も田植え体験を毎年行っている。まぁ、助成金がでなきゃ、こんなことはやってられない。 なんせ田植えは天気のタイミングをみて、機械で一気に行った方が断然効率的だ。 しかし、イベント主催がほとんど切り盛りしてくれるのだから、俺は提供する田んぼと苗と家の数部屋を提供すればいい。それに俺は去年からいいことを思いついたのだ。 「田んぼへは素足で入れる方は、素足でどうぞ~~シャワーやタオルも用意してますから、転んでも大丈夫ですよ~♪」 わーわーきゃーきゃーと田んぼの泥を前に、大騒ぎである。虫ぐらい、いるよ、そりゃ…ほらそこ、カエル、踏むなよ… 希望者には、早乙女衣装も貸し出している。主に女の子たち用だが、幅広い年齢層対応と、男性に着せることによって、場が一気に和むので、着てくれそうな男性にも勧めている。 田植えは楽しくやらないといけない。昔からそういうもんだ。きつい労働だからこそ、そこに笑いがないといけない。 あちこちの田んぼで田植えイベントが始まった。町の放送塔からいろんな指示や軽快な音楽が流れている。 本日は晴天。 まぁ悪くないな… 早朝から始まった田植えも昼頃には終了し、残りの植え残しは、俺たちが機械で終わらせる。 参加者に足を洗う場を提供し、必要な人には風呂場や着替え室を案内する。身支度が整った者から去年収穫したお米で作ったにぎりめしと簡単なおかずを提供する。 稲刈りの頃にまた来るかどうかの連絡をして、このイベントは終わりになる。 俺は朝からずっと目を付けていた数人の虎のお兄さんを探していた。早乙女の衣装を着ていたから、着替え室にいるはずだ。 急いで彼を探し、声をかける。 「お兄さんは男性だから、こっちの部屋で着替えるといいよ」 にっこりと犬顔特有の人懐こい笑顔で彼の気をひく。 「あ…先ほどの…ありがとうございます。女の子達が着替え終わるまで待ってたので…」 女子の着替えは、時間がかかる。なかなか着替えられずに部屋から少し離れた場所で待っていた虎のお兄さんにとっては、俺は救世主だ。 俺は家の奥のほうの部屋を案内した。 彼にはイベント開催中に何度も声をかけておいた。手抜かりは、ない。 「ここなら誰も出入りしないからね、ゆっくり着替えていいよ」 俺はそういって、一緒に部屋へとどまった。 虎のお兄さんは、そのことにちょっと戸惑ったようだが、部屋の隅っこで着替えを始めだした。 「そんなに隅で着替えにくそうにしなくてもいいですよ、それとも、何か見られたら恥ずかしいものでも?」 そう言って俺は強引に彼の肩を掴んでこちらを向かせた。 案の定、少し勃起していた。 「あ~疲れたらなるよね、若いと特に!俺もそうだったから♪」 「ひっ!」 慌てて股間を隠した彼の手の上にそっと手を重ね、俺は優しく背後から抱くように体を密着させた。 「褌、とってあげるよ。無理やりひっぱるもんじゃないよ。ほら手をのけて。」 この手の子は、押せば黙る。そして、こっちの世界にも興味がある子だ。退屈な田舎の生活には大して娯楽がないから、俺は定期的に街に行っては、その夜相手してくれそうな子をハントしている。ハントの確率には自信が、ある。 物理的勃起させてしまえば、大概流れる。 快楽とは、かくも恐ろしいものだな… 予測通りに、虎のお兄さんは今、頬を赤らめて俺に向けて股を開いている。 「田植え、どうでした?暑いし、大変だったでしょ?」 悪魔で紳士的に、イベント主催側の立場で話をする。虎のお兄さんはイベント主催の俺に少し気を使って従順としている。 「苗はね、こう、まっすぐ同じ深さに挿していくんですよ、ほら、こんな風に。」