修行を終え、僕は久しぶりに町へ戻ってきた。 ここを出発する前までは気にならなかった人混みに圧倒される。 ちょっと小ぶりな僕には、この雑踏は視界が塞がれて歩きづらい。ことに獣人の男どもの肉壁は、素敵ではあるが、進みたいところに行こうとすると、本当に壁だ。 ドン! 「わっ!すみません!!」 誰かにぶつかったはずみで僕は数歩後ろへよろめいた。 「あぁすまん、こっちこそ悪かった」 親切にも謝ってきた赤髪の獣人を僕は見上げて今度は喜びの声を上げた。 「ノア兄ぃ!久しぶり!」 ノア兄は僕がこの町へ引っ越してきて下宿をしていた時の大家さんだ。モンスター討伐任務やら雑多な依頼でよく家を留守にしていたので、防犯の役目も兼ねて下宿生を募集していた。 僕も魔法の修行に出るために数年この町に帰れなくなったため、下宿は解約していた。もしまだ彼が下宿生を募集していれば、またお願いしたいところだ。 「そういやお前、魔法の修行に出てたんだよな?何か使えるようになったのか?」 そうだ、そうだった。僕が修行に出る前は、何一つ魔法が使えていなくて、ノア兄に相談のような愚痴を言っていたんだっけ… 急に恥ずかしくなりながら、まぁ一応…と小声で云った。 「一応ってなんだよ。ちょっと見せてみろよ。」 「え……ここじゃ恥ずかしいから、ノア兄の家で…」 ぼそぼそと話す僕を見て、魔法に自信がないと思われたのか、ノア兄から励まされた。優しい…優しすぎる。 「恥ずかしがるなよ!頑張ってきたんだろ?家でゆっくり見てみたいけど、俺、この後用事があってな…また数日外へ出るんだ。」 なんて忙しい人なんだ。まあそれだけ優秀なんだよなぁノア兄… そんな彼に憧れて、憧れが過ぎて、僕のことを好きになってくれないかなぁ…なんて下心も芽生えてしまったんだけど。 「せっかくだからノア兄にも見て欲しいから…うん、わかった。頑張ってみるね。」 僕はそういうと一気に集中して魔法を発動した。 時間停止能力。 どうやら僕に備わっていたのは、この魔法だけのようだった。 どの魔法も使い手によっては悪にもなるし、正義にもなる。 時間停止能力は、窃盗や殺人行為にも使われるため、発動前に人に明かすのは危険行為である。 ノア兄が、静止した。もちろん、周りも静止している。 魔法から気を抜かず、僕はここで考えた。 時間停止の魔法が使えるようになって、成功したとして、これをどう証明したらいいものだろうか… あらかじめ宣言した事態にするか、突拍子もない事態を起こさなければ、信じてもらえない。 ノア兄をじろじろ見ながら、考えた。そうだ、防具を外そう。突然防具が外れていたら、信じてもらえるかもしれない。まぁ一回じゃ信じてもらえないだろうけど。 僕は不慣れな手つきで防具を外しにかかった。皮ベルトを外し、防具を外す。 それにしてもノア兄、いい体してるなぁ…ちょっとめくるぐらい、いいよね… 僕はドキドキしながらノア兄の上着をゆっくりとめくりあげていった。 じんわりと汗で湿った上着をめくると、張りのある筋肉が現れた。 触りたい。いや、さすがにそれは…見るだけ…見るだけなら許されよう。 見るだけなら、この…スカートの中も… 僕は興奮といつ自分の魔力が溶けるかわからない緊張感で心臓の鼓動が早まっていった。ガンガンと頭に血が上るのがわかる。 落ち着つけ。さすがに下半身は、見たら、即、しまうんだ。見るだけだから。 震える手でノア兄の下着を緩める。ボロン…と彼のイチモツが垂れ下がった。 自然光の下で堂々とした雄のケモノが、公然の面前で卑猥なものを垂れ下げている。 僕はえも言われぬ興奮を覚えて、その姿を凝視していた。 「…え?」 ノア兄の声と共に突然雑踏の音が復活した。 魔法が解け、僕は目の前が真っ暗になった。