不良娘のくっさい悩み
Added 2022-10-22 15:00:00 +0000 UTCいきなりだが、僕――白木(しらき)ワタルは絶体絶命のピンチに陥っていた。 学校でも有名な不良に捕まり、人気(ひとけ)のない体育倉庫へ拉致されてしまったのだ。 不良の名前は、寒河江(さがえ)アサヒ。 僕と同じ宝陽(ほうよう)学園の2年生で、170cm近い長身の女子生徒だ。 赤みの強い癖っ毛をいつもポニーテールにしており、ヘアピンなどのアクセサリーで飾っている。 目付きの鋭い整った顔立ちが怖そうな印象を与える一方で、首から下は非常に女の子らしく、胸も立派で、尻もそれに負けないぐらい豊満で―― 「おい、聞いてんのか!」 「ご、ごめんなさい!」 アサヒに胸倉を掴まれ、僕は慌てて謝罪する。 そうだ、今は呑気に彼女の説明をしている場合ではない。 何とかしてこの場を切り抜けなくては・・・。 「いいか、今から私のする質問に正直に答えろ。嘘吐(つ)いたら、ただじゃ置かなねぇからな!」 「は、はい!」 胸倉を掴まれながら言われては素直に頷くしかない。 情けない話だが、喧嘩では彼女に到底敵わないのだ。 「よし」 僕の返事に満足したのか、アサヒはようやく僕の胸倉から手を離した。 「じゃあ、訊くぞ」 「は、はい」 「・・・」 僕は再び頷いたが、何故かアサヒは一向に口を開こうとしない。 どうも僕に質問する事を躊躇っているようだ。 「あ、あの、寒河江さん・・・?」 おそるおそる僕の方から話の続きを促してみる。 「い、言っとくけど、これから訊く事は・・・」 「わ、わかってます。誰にも言いませんから」 「そ、そうか。わかってんならいいんだ。じゃあ、改めて訊くぞ」 「は、はい」 アサヒが真剣な面持ちになったので、僕も思わず身構えてしまう。 いったい彼女は何を訊きたいんだ? 「その、オレのオナラって、臭いのかな?」 「は?」 あまりにも予想外の質問に、間抜けな声が出てしまった。 「だから、オナラだよ、オナラ。オレのオナラが臭いかどうか訊いてんだ」 「いや、嗅いだ事がないから何とも言えないんですが・・・そもそも何でそんな事を訊くんですか?」 僕が問い掛けると、アサヒはまた誰にも言うなと念を押してから、これまでの経緯を語り始めた。 事の起こりは、昨日の放課後。 友人たちとカラオケボックスで遊んでいた時、アサヒがうっかりオナラをしてしまったらしい。 友人たちは笑って許してくれたそうだが、同時に「あんたのオナラは臭過ぎ。まるで毒ガスだね」と散々からかわれてしまった。 自分のオナラが臭いという自覚のなかった彼女はショックを受け、自分のオナラが本当に臭いのか確かめる事にした。 そこで、「自分の言う事を聞き、かつ口の固そうな奴」として、僕に白羽の矢が立てたらしい。 「事情はわかりましたけど・・・」 「けど、何だよ?」 「さっきも言ったように、僕は寒河江さんのオナラなんて嗅いだ事ないですから、臭いかどうかはわかりませんよ」 「まあ、それもそうか。仕方ねぇ。ちょっとそこに寝転がれ」 「えっ?」 「いいから寝転がれ!」 「は、はい!」 アサヒに怒鳴られ、僕は慌ててその場に寝転がる。 「よし、そのまま動くなよ」 そう言うと、アサヒは和式便器で用を足すように、僕の顔に跨ってきた。 「ちょっ、寒河江さん!?見えてますよ!?」 「見えてる?ああ、パンツの事か。気にすんな」 戸惑いを隠せない僕とは対照的に、アサヒの声は平然としている。 「気にしますって!いったい何する気なんですか!?」 「何って、オナラに決まってんだろ。今からオレがオナラするから、お前はそれを嗅いで悪臭(におい)を確認すんだよ」 「えぇっ!?」 「じゃあ、出すぞ。あっ、先に謝っとくけど、臭かったらゴメンな・・・んんっ!」 僕の驚きの声を無視して、アサヒが息み始める。 直後、 ブブブブブブーーッッ!! 彼女の尻から爆音が聞こえてきた。 「っっ!?」 間を置かず、濃厚な発酵臭が僕の鼻へと流れ込む。 「どうだ?私のオナラ、臭いか?」 アサヒが脚の間から顔を出しながら問い掛けてくる。 「えっと、その・・・」 「はっきりしろよ!臭いのか、臭くないのか!」 「す、すみません!その・・・く、臭いです」 「マジか?」 「は、はい・・・」 僕はおそるおそる頷くと、 「そっか~。やっぱ臭いか~」 アサヒは僕の顔に跨ったまま、がっくりと肩を落とした。 「念のために、もう1回確認しろ・・・んんっ!」 ブウウウウウーーッッ!! 僕の返事も待たずに、アサヒが2発目のオナラを放つ。 「ッッ!!!?」 1発目にも劣らない強烈な発酵臭が鼻の中で暴れ回り、視界が黒ずんだ黄色に染まる。 「どうだ・・・って、その反応を見る限り、訊くまでもねぇな」 アサヒが僕の顔から降り、寝転がる僕の傍らにどっかりと腰を下ろす。 「自分ではそんなに臭くないと思ってたんだけどなぁ。そもそもオナラなんて誰のでも臭いだろ?」 「まあ、そうですね。あっ、でも、食べた物によっても悪臭(におい)が変わったりしますよ。牛肉なんかを食べると、悪臭(におい)がきつくなりますし」 「牛肉?そういえば、昨日は奮発してファミレスでステーキ食ったな。そうすると、オレのオナラが臭かったのは、それが原因って事か?」 「断言はできませんけど、多分そうだと思います」 もっといえば、そもそもオナラの悪臭(におい)は腸内の悪玉菌によって決まるのだが、そこまで説明する必要はないだろう。 「わかった。じゃあ、今日はもう帰っていいぞ。臭い思いさせて悪かったな」 「い、いえ、大丈夫です」 軽く鼻を擦りながら、僕は起き上がって出口の方へと歩き出す。 「それと、明日も頼むぞ」 「えっ?」 耳に届いた予想外の言葉に、僕は首から上を発言者であるアサヒの方へ向ける。 「明日って、どういう事ですか?」 「決まってんだろ。牛肉のせいで悪臭(におい)がきつくなってんなら、明日改めて悪臭(におい)を確認すんだよ」 「えっと、誰がですか?」 「お前に決まってんだろ。勿論、タダでとは言わねぇよ」 勢いよく立ち上がったアサヒが徐(おもむろ)にスカートの中へと手を挿し入れた。 「ちょっ、さ、寒河江さん!?な、何を!?」 「何って、報酬だよ。ほら、ちょっと臭いかもしれねぇけど、脱ぎ立てほやほやだぞ」 そう言って、アサヒが僕に1枚の布を投げ渡した。 綺麗なチェリーピンクに黒いレースの飾りがある三角形の布地。 そう、たった今彼女が脱いだショーツだ。 「オレの脱ぎ立てじゃ不満かもしれないけど、2日分の報酬としては十分だろ」 事もなげに言って、アサヒは事前に用意してあったらしい予備のショーツ(同じデザインだが、色はピンクゴールド)に脚を通していく。 「それと、オレの事はアサヒって呼んでいいぞ。じゃあ、明日の放課後、此処で待ってるからな」 「は、はい!」 上擦った声で答えながら、僕は彼女のショーツをポケットに突っ込んで逃げるように体育倉庫を後にした。 * 翌日の放課後。 僕はアサヒに言われた通り、体育倉庫へとやってきた。 報酬(ショーツ)を貰った恩というのもあるが、此処へ来たのはもう1つの理由が大きい。 寒河江アサヒを怒らせたくなかったのだ。 彼女は他校の生徒10人をKOした上、自分は殆ど無傷というとんでもない人物である。 そんな彼女を怒らせたらどうなるか、想像したくもない。 「おっ、来たな。待ってたぜ」 「すみません。遅くなって」 アサヒの姿を認めたところで、僕は開口一番に謝罪する。 「気にすんな。呼んだのはオレの方だからな。じゃあ、早速頼むぜ」 「は、はい。昨日と同じ体勢でいいんですよね?」 アサヒが頷いたのを確認し、僕は鞄を置いて昨日と同じように寝転がる。 すると、 「よいしょっと」 すぐにアサヒが昨日と同じように僕の顔へと跨ってきた。 「・・・」 今回もゼブラ柄のショーツがすぐ目の前まで迫ってくるが、昨日よりはそれを冷静に見ている事ができた。 「今日は牛肉を食ってないから、昨日ほど臭くねぇと思うぜ・・・んんっ!」 アサヒが昨日と同じように息んだ次の瞬間、 ブボボボボオォォォォーーッッ!! 彼女のアナルから爆音と共にオナラが噴き出してくる。 彼女曰く、昨日よりは臭くないはずの1発。 しかし、 「ぐっ!?」 それは昨日以上に濃密な臭気を以って、僕の鼻腔を蹂躙する。 「どうだ?昨日より臭くねぇだろ?」 アサヒが少し尻を持ち上げながら問い掛けてくる。 「その、言いにくいんですけど、昨日より臭いです」 「なっ!?そんなはずねぇだろ!?もう1回嗅いでみろよ・・・んんっ!」 ブブブッスウウウウゥゥゥーーッッ!! 僕の返答が気に入らなかったのか、アサヒが2発目のオナラを浴びせてきた。 「ふぐうううううっ!?」 1発目よりも濃密な臭気が鼻腔の中で暴れ周り、視界がぐるぐると回転する。 「本当に昨日より臭いのか?でも、昨日は牛肉なんて食ってねぇぞ?」 「ごほっ、ごほっ・・・!じゃあ、昨日は何を食べたんですか?」 「何って、トンカツだよ。豚肉なら問題ねぇだろ?」 「残念ながら、牛肉を食べた時より、豚肉を食べた時の方がオナラの悪臭(におい)がきつくなるんですよ」 「そうなのか!?」 ずしっ! 「むぐっ!?」 よっぽど驚いたのか、アサヒがバランスを崩して僕の顔に尻餅を着く。 ブバスッ!! 「ふんむうううううっ!?」 その拍子に、彼女のアナルから3発目のオナラが放たれ、鼻の奥を抉ってくる。 「ああ、悪い。大丈夫か?」 アサヒが僕の顔から降りて謝ってくる。 「は、はい、何とか・・・」 軽い眩暈のする頭を押さえながら、僕もゆっくりと上体を起こす。 「それにしても、牛肉より豚肉を食った方が臭くなるとはなぁ。お前も知ってたんなら、先に教えろよ」 「すみません。まさか牛肉がダメだからって、豚肉を食べるとは思わなくて・・・」 「まあ、考えてみたら、牛でも豚でも肉なのは変わりねぇし、オナラが臭くなっても不思議はねぇか」 アサヒがボリボリと頭を掻きながら言う。 「しっかし、オレのオナラって、そんなに臭いか?」 「その、言いにくいですけど・・・僕が知る限り、1番臭いと思います」 「何だと!?もういっぺん言ってみろ!」 「ひぃぃぃっ!ご、ごめんなさい!」 アサヒが胸倉を掴んできたので、僕は慌てて謝罪する。 「ぷっ、冗談だよ」 小さく吹き出して、アサヒが僕の胸倉から手を離す。 「誤解してるようだから言っとくけどな、オレは売られた喧嘩は買うけど、自分から喧嘩を売った事はねぇんだぞ?」 「そうなんですか?」 「その訊き方、やっぱ誤解してたな!」 少し怒ったように言いながら、アサヒが勢いよく立ち上がって僕の方へ尻を突き出してくる。 ブブブブブブブブブブブウーーッッ!! 間を置かず、4発目のオナラが僕の顔へと浴びせられる。 「ごほっ、ごほっ、えほっ・・・!い、いきなり何するんですか!」 「はっはっはっはっ!オレの心を傷付けた慰謝料だよ。オナラ1発で済んだんだから安いもんだろ」 「は、はあ・・・」 いくらか釈然としないものはあるが、アサヒを怒らせたくないので頷いておく。 「話を戻すけど、豚肉を食ってもオナラが臭くなるって事は、今日は悪臭(におい)を確認しても無駄って事だな」 「そういう事になりますね」 「肉の類はやめといた方がよさそうだな。他に何かオナラを臭くする食い物ってあるか?」 「えっと、ニンニクとかネギとかを食べても臭くなると思います」 「ニンニクとかネギか。要するに、匂いが強い食い物はダメだな?」 「そういう事です」 「わかった。それじゃあ、また明日も頼むぞ」 アサヒが僕の肩をポンと叩いてくる。 「まだやるんですか?」 「文句言うなよ。報酬は前払いで渡しただろ?」 そう言いながら、アサヒがスカートを捲ってゼブラ柄のショーツを見せてくる。 「それは確かに貰いましたけど・・・」 場の勢いに流されたとはいえ、報酬(ショーツ)を受け取ってしまったのは事実だ。 そこを突かれると、何も言う事ができない。 「おっと、報酬(パンツ)は昨日と今日の分だったな。明日の分を・・・って、しまった。今日は替えのパンツを持ってきてなかった。どうすっかな~」 アサヒがスカートの中に手を入れた態勢で思案を始める。 「あの、その事なんですけど・・・」 「ん?どうした?もしかして、パンツじゃなくてブラが欲しいのか?」 「そうじゃなくて、これを・・・」 僕は鞄から丁寧にラッピングされた紙包みを取り出し、おそるおそるアサヒに差し出した。 「何だ、これ?」 「その、昨日のお礼というか・・・とにかく受け取ってください」 「わかった。ありがとう」 アサヒは僕から紙包みを受け取ると、 「ん?」 すぐに封を開けて怪訝そうな声を漏らした。 「これって、オレのじゃないよな?もしかして、買ってきたのか?」 「は、はい」 彼女が摘み上げているもの。 それは紛れもなく女物のショーツだった。 昨日、学校から帰った後、電車で4つ先の駅まで行って買ってきたのだ。 「ピンクのTバックか。意外といい趣味してるな、お前」 「い、いえ、そうじゃないんです!選んだのは店員さんで、その人が勘違いして・・・!」 「もうわかったから、少し落ち着けよ。それにしても、こんなパンツ、オレみたいな男女に似合うか?」 アサヒが僕の渡したショーツを両手で広げながら首を傾げている。 「その・・・僕は、似合うと思います。寒河江さん、じゃなかった、アサヒさんは可愛いですから」 「なっ!?可愛い!?」 ふいにアサヒが驚いたように声を上げる。 「ど、どうしたんですか、急に大声を出して?」 「お前、今何て言った!?可愛いって、誰の事だ!?」 「誰って、アサヒさんに決まってるじゃないですか」 「なっ!?」 アサヒが再び声を上げる。 そこまで驚かなくてもいいと思うんだけど・・・。 「ほ、本当にオレみたいな女が可愛いっていうのか?」 「は、はい」 「こんな言葉遣いで、オナラだって・・・んっ!」 ブブゥッ!! アサヒが再び僕の方へ尻を向け、オナラを浴びせてくる。 「ぐっ!?」 「ほら、こんなに臭いんだぞ!?それでも可愛いっていうのか!?」 「あの、もっと自信を持っていいと思いますよ。アサヒさんが可愛いのは僕が保証しますから」 「お、お前なんかに保証されても、自信なんか持てねぇよ!と、とにかく明日の放課後も此処に来いよ!来なかったら、承知しねぇからな!」 一方的に言い放つと、アサヒは逃げるように体育倉庫を飛び出していった。 * ――アサヒ視点 男女、男前、素行不良、問題児・・・どれもダチや先公がオレに下した評価だ。 これまで褒められた事は殆どないし、たまに褒められても同性から「格好いい」と言われるのが関の山だった。 自覚はあるから否定する気はない。 自分の事も「オレ」って言ってるしな。 そんなオレを、あいつは「可愛い」と言いやがった。 「ああもうっ!やめだ、やめ!」 考え込むのは私の柄じゃない。 さっきの事はすっぱり忘れて・・・。 「ん?」 勢いよく立ち上がったところで、机の上にあるものが目に留まった。 体育倉庫であいつが渡してきたパンツだ。 「こういうのを穿いたら、オレも少しは女らしくなんのかねぇ」 そんな事を考えていると、 ぎゅるるるる~~っ! オレの腹が低くなった。 夕飯前だからというものあるが、少しばかり腹にガスが溜まっているようだ。 (此処なら誰もいねぇし、大丈夫だよな) 「んっ!」 ブボボボボオォォォォーーーッッ!! 軽く腹を押して溜まったオナラ(ガス)をケツ穴から吐き出す。 「くんくん・・・改めて嗅ぐと、我ながら酷い悪臭(におい)だな」 例えるなら、腐った肉のような悪臭(におい)。 カラオケで毒ガスと言われたのも、これなら無理がないかもしれない。 (あいつ、こんなに臭いオナラを嗅がされてたのか) 報酬が2日でパンツ1枚では安かったか? 「んっ!」 ブッフォオオオオォォォォーーーッッ!! そんな事を考えながら、腹を押して2発目のオナラを放つ。 「うっ、これはさっきより臭いな」 思わず鼻を摘んでしまう。 だが、腹の中にはまだオナラが残っている。 「これで出し切るか・・・んんっ!」 ブブッブブブッブブブウゥーーーッッ!! 強めに腹を押して3発目のオナラを放ったところで、 「お姉ちゃ~ん、御飯できたよ~!」 廊下の方から2つ下の妹の声が聞こえてきた。 「わ、わかった!すぐ行く!」 妹にこんな臭いオナラを嗅がれる訳には行かない。 オレは慌てて窓を開け、臭気を追い出しながら妹の元へと向かった。 * ――ワタル視点 最初の日から数えて3日目の放課後。 僕はまたアサヒの待つ体育倉庫へとやってきた。 「おっ、来たか。早速だけど、ちょっと手を出してくれるか?」 「えっ?こう、ですか?」 アサヒに言われるまま、僕は彼女に右手を差し出した。 すると、彼女はその手を無造作に掴み、 むにゅっ。 そのまま小振りな西瓜ほどもある自分の胸へと押し付けた。 「す、すみません!」 右手にマシュマロのような柔らかさを感じながら、僕は慌てて頭を下げる。 「何を謝ってんだよ。ほら、もっと触っていいぞ」 そう言いながら、アサヒは僕の右手ごと自分の胸を掴んできた。 「オレもおっぱい(ここ)だけは女らしい自信があるんだ。触り心地はどうだ?」 「そ、その、とっても柔らかくて、最高です・・・」 「そうか。喜んでくれてよかったよ」 僕の返答に満足したのか、アサヒが僕の右手を解放する。 「・・・」 名残惜しかったが、僕はゆっくりと彼女の胸から右手を離す。 「さあ、3度目の正直だ。今日のオナラは臭くねぇはずだぜ」 「・・・」 僕が一抹の不安を覚えながら寝転がると、アサヒが流れるような動きで僕の顔へと跨ってきた。 さすがに3度目ともなると、どちらも慣れたものである。 「僕のあげた下着、穿いてくれたんですね」 視界を覆うアサヒの形のよい尻には、僕が昨日渡したピンクのTバックが食い込んでいた。 「まあな。こういうの好きなんだろ、お前?」 アサヒが挑発するように、尻を左右に振ってみせる。 「いや、あの、別に好きという訳じゃ・・・」 「嫌いなのか?」 「・・・好き、です」 「よく言えました♪人間、素直が1番だぞ」 可笑しそうに笑いながら、アサヒが僕の頭を撫でてくる。 「さてと、そろそろ本題に入るか。えっと、その・・・」 「どうしたんですか?」 「その・・・もし臭かったら、ちゃんと言えよ。すぐに退いてやるからな」 「えっ?は、はい」 何やら昨日までと少し様子の違うアサヒを怪訝に思いながらも、僕は素直に頷いておく。 「じゃあ、行くぞ・・・んんっ!」 アサヒが今までと同じように息んだ直後、 ブッブブブフッブブブブゥーーーッッ!! 「ごはっ!?」 鼻の奥まで抉り込んでくるような強烈な発酵臭が襲い掛かってきた。 「お、おい、大丈夫か!?」 僕の苦悶の声が聞こえたのか、アサヒが顔から降りて問い掛けてくる。 「そんなに臭いはずは・・・」 アサヒがおそるおそる僕の顔へと鼻を近付けてくる。 彼女の顔が息の掛かる距離まで迫ってくると、 「くせっ!?」 弾かれたように後ろへ大きく飛び退いた。 「な、何でだ?昨日は豚肉どころか、肉なんて少しも食ってねぇぞ!?」 「念のために訊きますけど、魚は食べてないですよね?」 「ああ、魚もダメだったのか。魚なんて・・・あっ、エビは2匹食べたな。けど、後は野菜しか食ってねぇぞ?」 「エビと野菜・・・もしかして、昨日は天ぷらを食べたんですか?」 「そうだけど・・・ま、まさか天ぷらもダメだったのか!?」 「は、はい。天ぷらは油をたくさん使うので、脂肪分が多いですから・・・」 既視感と申し訳なさを覚えつつ、アサヒの言葉に頷く。 「要するに、タンパク質とか脂肪の多い食品を食べると、オナラが臭くなってしまうんですよ」 「タンパク質や脂肪って、肉とか魚を食べるなって事か?」 「まあ、そういう事になりますね」 「不可能だろ、それ。精進料理でも食えってのか?」 「いえ、精進料理は意外と油をたくさん使うのでダメですね」 「ああもうっ!あれもダメ、これもダメって、結局オレは何を食ったらいいんだよ!」 アサヒが苛立たしげに頭を掻き毟りながら言う。 そんな彼女を見て、 「あの、そんなに考え込まなくてもいいと思いますよ」 僕は自分の正直な考えを打ち明ける事にした。 「何だよ、考え込むぐらいなら絶食でもしろって言うのか?」 アサヒが僕を睨み付けてくるが、ここで気圧される訳には行かない。 「そういう事じゃなくて、その・・・上手く言えないですけど、少しぐらいオナラが臭くてもいいんじゃないですか?お友達は笑って許してくれたんでしょう?」 「まあ、それはそうだけど・・・」 「正直、オナラの悪臭(におい)だけを気にして食事をするなんてバカらしいと思うんです。アサヒさんだって、肉や油物は食べたいでしょう?」 「まあ、それはそうだけど・・・」 「食べ過ぎるのはよくないと思いますけど、過度に気を遣って全く食べないのも身体によくないと思いますよ」 「・・・わかった」 暫く黙考した後、アサヒが深々と頷く。 「3日も付き合わせて悪かったな」 「いえ、気にしないでください。その、報酬は十分に貰いましたから」 「ははははは!オレのパンツがそんなに気に入ったのか?」 アサヒが可笑しそうに笑いながら言う。 「それで、悪いけどさ、明日もう1日だけ付き合ってくれねぇか?ちょっと思い付いた事があるんだ」 「思い付いた事?」 「それは明日のお楽しみだ。さて、今日はもう帰るか・・・と、その前に」 ふいにアサヒがスカートの後ろを捲り、ピンクのTバックが食い込む尻を僕の方へ突き出してくる。 「悪臭(におい)の再確認だ・・・んっ!」 ブブウウウウウウゥゥゥゥゥーーーッッ!! 「んむううううっ!?」 アサヒの尻から先程以上に強烈な悪臭(におい)のオナラが放たれ、濃密な臭気が僕の顔を包み込む。 「ごほっ、ごほっ・・・!ふ、不意打ちはやめてくださいよ」 「いいか、明日はこの悪臭(におい)が嘘のようになくなってるからな。ちゃんと今日の悪臭(におい)を覚えといて、嗅ぎ比べてくれよ。じゃあな」 そう言うと、アサヒは咳き込む僕を残して体育倉庫から去っていった。 * そして、4日目の放課後。 「おっ、来たな」 僕が体育倉庫に来ると、今回もアサヒが先に来ていた。 「報酬の前払いだ。好きなだけ触っていいぞ」 そう言って、アサヒがただでさえ大きい胸をさらに突き出してくる。 「い、いえ、そんなに気を遣ってもらわなくても大丈夫ですから・・・」 僕は顔を真っ赤にしながら、両手をパタパタと振って遠慮する。 「そうか。じゃあ、これも要らねぇか?」 彼女が問い掛けながら取り出したのは、2つのカップ状のものが繋がった豹柄の布。 要するに、ブラジャーだ。 「お前のために、わざわざ外しといてやったんだぞ」 「外しといたって・・・」 殆ど反射的に、視線が彼女の胸に向いてしまう。 「それにしても、ブラがないと先っぽが擦れて何か変な感じだな」 そう言いながら、アサヒが両手で自分の胸を持ち上げてみせる。 「まあ、下着だってタダじゃねぇから、要らないっていうんなら助かるけどな」 そう言うと、アサヒはブラを邪魔にならない位置に片付け、いつものように床に寝転がった僕の顔に跨ってきた。 「3度目の正直ならぬ4度目の正直だ。準備はいいか?」 「は、はい」 どう準備すればいいのかわからないが、とにかく頷いておく。 「行くぞ・・・ふんぬっ!」 アサヒがこれまで以上に力強く息んだ直後、 ブブブッフォォォォォォォォォーーーッッッ!!! 例の如く彼女の尻からオナラが放たれる。 だが、それはアサヒの言葉とは裏腹に、これまでで最大級の爆音を伴った1発だった。 「っっっっっ!?」 確かに悪臭(におい)そのものはこれまでより控えめだが、それを補って余りある量の臭気に、僕は声にならない悲鳴を上げる。 「どうだ?声を上げないって事は臭くねぇんだな?じゃあ、悪いけど、続けて出させてもらうぞ。今日は腹にしこたまガスが溜まってるからな」 「ちょっ・・・」 「ふんっ!」 ブビビビビビビビィィィィィ~~~~ッッッ!!! 僕がストップを掛けるより早く、アサヒが2発目のオナラを放った。 豚の鳴き声のような音と共に、鼻から流れ込んだ濃密な臭気が全身を蝕んでいく。 「ア、アサヒさ・・・」 「んんっ!」 ブボボボボボオオオオォォォォーーーッッッ!!! 「っ~~~~~!?」 制止する暇もなく、轟音を立てて吹き荒れる臭気の嵐。 僕はそれに抵抗する事すらできずに翻弄される。 ブウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥーーーッッッ!!! 「っっっっっ!?」 本来は赤いはずの血液すら黒ずんだ黄色へと染まっていくような感覚。 「これで最後・・・ふんっ!!」 ボッフオオオオオオオォォォォォォーーーッッッ!!! 「うっ・・・」 最後を飾るに相応しい特大のオナラを受けて、僕は意識を失った。 * どのぐらい時間が経っただろうか。 誰かに頭を撫でられる感覚で、僕の意識は覚醒した。 「ようやく起きたか」 「アサヒ、さん・・・?」 アサヒの顔を見上げ、 「す、すみません!」 1拍遅れて現状を把握し、慌てて上体を起こす。 気を失っている間に、アサヒに膝枕されていたのだ。 「謝るのはこっちの方・・・いや、やっぱお前の方か。前に言っただろ。臭かったら、ちゃんと言えって。何で言わなかったんだよ?」 「それは、その・・・」 さすがに「言葉を発する事もできないほど臭かった」とは言えず、僕は言葉を濁す。 「まあいいや。いずれにしろ、オレの考えは見事に失敗した訳だな」 「いったい何をしたんですか?」 「ほら、オナラはすかした方が臭いって言うだろ?だから、逆に思いっ切り音出したら臭くねぇと思って、昨日は繊維質の多い豆とか芋をたらふく食ったんだ」 「えっと、大変言いにくいんですが・・・」 「もうわかってるよ。音が大きかろうと小さかろうと、悪臭(におい)には関係ねぇんだろ?」 「は、はい」 「この際、もうオナラの悪臭(におい)については諦めるよ。どうせオレみたいな男女に興味を持つ男なんていねぇしな」 そう言って、アサヒが自嘲気味に笑う。 「そ、そんな事ないですよ!」 「ははは、お世辞は要らねぇよ。自分の事は自分が1番よくわかってるからな。オレなんて逆立ちしたって、シュミットや久瀬みたいにはなれねぇからな」 「シュミットさんや久瀬さんは確かに魅力的ですけど、アサヒさんだって十分に魅力的ですよ!」 「お前は本っ当に物好きだな。一昨日もオレの事を可愛いって言ってたし」 アサヒが少し呆れたような口調で言う。 「僕は本心を言っただけです」 「本心、か。よし、わかった。そこまで言うなら、証拠見せてみろ」 そう言うと、アサヒはそのまま後ろへ大の字になって倒れ込んだ。 「ア、アサヒさん?」 「ほら、オレの事を本当に可愛いって思うなら、胸でも尻でも好きなだけ触れよ。オレは抵抗しないからさ」 「そ、そんなこと言われても・・・」 どうすればいいのだろう? この状況でアサヒの胸や尻を触ったところで、僕の言葉が本心であるという証明になるとは思えない。 だとすると―― (よしっ!) 覚悟を決め、僕はアサヒに覆い被さる。 「おっ、まずは胸からか?ちょうどノーブラだし、好きなだけ揉んで・・・っ!?」 ふいにアサヒが言葉を詰まらせる。 僕の唇が彼女の唇を塞いだからだ。 おそらく実際の時間にして30秒、いや、10秒にも満たないかもしれない。 その短い時間が僕には何十分にも感じられた。 「・・・」 ゆっくりと僕はアサヒから顔を離す。 「・・・」 アサヒはまるで石化したように固まっていた。 しかし、それも長くは続かず―― 「っ!」 数秒後には腹部に鋭い痛みが走った。 アサヒのハンチが僕の腹部に突き刺さったのだ。 「かっ、はっ・・・!」 腹部を押さえながら、僕は息苦しさに悶絶して床を転げまわる。 「わ、悪い!つい本気で殴っちまった!」 我に返ったらしいアサヒが慌てたように声を上げている。 「で、でも、い、今のは全面的にお前が悪いんだぞ!い、いきなり、キ、キスなんてするから・・・」 アサヒの怒鳴り声が徐々に勢いを失い、それと並行して顔がみるみるうちに紅潮していく。 「ごほっ、ごほっ、えほっ・・・!こ、これで僕が本気だって、わかってもらえましたか?」 「ああ、わかったよ。お前は生粋の大バカ野郎だ」 アサヒが拗ねたように外方を向きながら言う。 その顔は耳まで赤くなっていた。 「も、もう1度訊くけど、本当にオレの事を可愛いって思ってるんだな?」 「はい」 「よ、よし、だったら明日も付き合え!ふんっ!」 ブブブブブブブブブブブブブゥゥゥッッッ!!! 「むううううううっ!?」 いきなり予想だにしない強烈な悪臭のオナラを浴びせられ、僕は再び苦悶の声を上げる。 「この際だから、オレのオナラが完全に臭くなるまで、とことん付き合わせてやるよ!覚悟しやがれ!」 顔を真っ赤にしたアサヒが肩越しに僕を見ながら言う。 そんな彼女がたまらなく可愛くて、 「はい!僕でよければ、とことんお付き合いします!」 僕は彼女の言葉に力強く頷いた。 終