毒舌会長はオナラも猛毒です?
Added 2023-06-24 15:00:00 +0000 UTC恋人の欠点を美徳と思えないような者は、恋しているとはいえない。 そう言ったのは確かゲーテだったと思う。 俺、龍城(たつき)ヒロアキはこの言葉に全面的に同意する。 例えば、俺の恋人である虎生(とらお)サトミ。 俺と同じ宝陽学園の3年生で、ウェーブの掛かった長い金髪をツーサイドアップにしている。 身長は153cmと小柄だが、胸は平均以上のEカップ、尻もそれに負けないぐらい立派な安産型の美少女だ。 生徒会長をしているほど優秀な彼女だが、それでも2つの欠点がある。 1つは非常に口が悪い事。 しかし、これは「相手に対して自分の意見を率直に言える」という点では長所である。 そして、もう1つの欠点。 これは他の人にとっては単なる欠点だろうが、俺にとっては最高の美点だ。 そう、俺にとっては―― * 恋人の欠点を美徳と思えないような者は、恋しているとはいえない。 そう言ったのは確かゲーテだっただろうか。 私、虎生サトミはこの言葉に反論したい。 例えば、私の恋人である龍城ヒロアキ。 小柄な私とは対照的に178cmという長身で、生徒会副会長として会長の私を支えてくれる優秀な男だ。 しかし、こいつにも欠点がある。 1つは忘れっぽい事。 しかし、常にメモを取る習慣が付いているので、さほど問題にはならない。 問題は、もう1つの欠点だ。 どうやったら、あれを「美点」と解釈できるのか。 それが私の頭痛の種なのだ。 * ある平日の放課後。 私とヒロアキは生徒会室で書類整理をしていた。 急ぎの用件ではないが、早く終わらせておくに越した事はない。 そんな訳で、私たちは2人で生徒会室に残って作業をしている訳である。 「会長。こっちの分の書類整理、終わりました」 作業を始めて1時間ほど経った頃、ヒロアキが書類の束を私の机に置いた。 いつもながら驚くほどのスピードだ。 しかし、 「やり直し」 私は即座にやり直しを要求する。 書類自体は確認するまでもない。 「えっ?何かマズかったですか?」 ヒロアキが怪訝そうに問い掛けてくる。 「アンタ、何度言えば覚えるの?今、此処にはアンタと私しかいないのよ?」 「あっ」 私の指摘を受け、ヒロアキが短く声を上げる。 「そっか。2人っきりの時は名前で呼ぶんだったな。ゴメン、サトミ」 「アンタは本っ当に記憶力がないわね。いい加減に覚えないと、踏み殺すわよ」 そう言って、私はヒロアキの脛を蹴り付ける。 「いてっ!」 「少しは反省しなさい」 「わかったよ。でも、サトミのパンツを見ながら死ねるなら、それもいいかもな」 「なっ!?」 今度は私が声を上げる番だった。 「ふ、ふざけるんじゃないわよ!」 目の前のバカを黙らせるべく、2発目の蹴りを放つ。 「おっと」 「避けるなー!」 「無茶言うなよ。それよりお前も昨日の約束、覚えてるか?」 「くっ・・・!」 ヒロアキの言葉が3発目の蹴りを放とうとしていた私の脚にブレーキを掛けた。 「記憶力のいい会長さんなら、ちゃんと覚えてるよな~?」 「も、勿論よ。この間の数学の小テスト、点数の悪かった方が何でも1つだけ相手の命令を聞くっていう約束でしょ?」 件の小テストは今日の3限目に返却されたのだが、結果は2点差で私の負けだった。 自信があっただけに負けた事も悔しいが、何より今はとにかく勝負に応じた昨日の自分と目の前のバカをぶん殴ってやりたい。 「それで、私は何をすればいいの?」 「さっすが会長、潔い態度ですね♪」 「殴るわよ?」 「うわぁっ!?殴りながら言うなよ!」 問い掛けと同時に放った拳は、紙一重の所で躱されてしまった。 「とにかく生徒会の仕事も終わってるし、さっさと済ませて帰るわよ」 「あー、さっさと済ませるのは無理かな」 「どういう事?」 ヒロアキの言葉に首を傾げる。 こいつは私に何をさせる気なのだろうか? 「じゃあ、発表します。俺の命令は――」 「なっ!?」 ヒロアキの出した命令を聞いた瞬間、私は驚きの言葉と一緒に掌底を繰り出していた。 * 掌底を放った3分後。 私は長テーブルの上で四つん這いになり、ヒロアキに向かってお尻を突き出していた。 スカートをたくし上げているため、お気に入りの白いショーツがヒロアキから丸見えになっている。 「いや~、いつ見てもサトミの巨尻は最高だな~」 「巨尻言うな!」 怒りに任せて背後を蹴るが、 「おっと」 容易くヒロアキに避けられてしまった。 「いやいや、俺は褒めてるんだぜ?愛しの彼氏が褒めてるんだから、少しは喜べよ」 そう言いながら、ヒロアキの手が私のお尻を撫でてくる。 「お尻が大きいなんて言われても喜べないわよ・・・んんっ」 抗議はしたものの、不覚にも甘い声が漏れてしまった。 それに気を良くしたのか、ヒロアキはより執拗に私のお尻を撫で回してくる。 そう、これがこのバカ男のもう1つの欠点。 『下校時間まで私のお尻を自由にさせる』 私にしてきた命令でもわかるように、こいつは重度の尻フェチなのだ。 それだけならまだ許せるのだが、こいつのフェチはそれだけではない。 前述の命令には続きがあるのだ。 「なあ、そろそろ出るんじゃないか?」 暫く私のお尻を堪能した後、ヒロアキが期待に満ちた口調で問い掛けてくる。 「・・・」 答える代わりに、私は無言でお尻を少しだけ後ろへ突き出した。 その意図を察したらしく、すぐにヒロアキが私のお尻に顔を押し付けてくる。 「んあっ!」 ヒロアキの鼻が中央の窄まりに触れた直後、 ブブブウゥウゥウゥゥゥ~~~ッッッ!!! 私の尻から爆音と共に生温かい熱風が噴き出した。 「~~~~~」 強烈な腐卵臭が鼻に届き、顔から火が出そうになる。 言うまでもないが、熱風の正体は私のオナラだ。 私はオナラが溜まりやすく、その悪臭(におい)も凶悪だ。 私にとっては死にたくなるほど恥ずかしい悩みなのだが、 「くんくん・・・!」 ヒロアキは鼻を鳴らし、嬉々として私のオナラを吸い込んでいる。 それどころか、右手でサムズアップまでしている。 そう、こいつは重度の尻フェチであると同時に、それに輪をかけたオナラフェチなのだ。 先程の命令も、正確には「下校時間まで私のお尻を自由にさせる。また、オナラはすべて自分に嗅がせる事」だったほどである。 「ふはふへもへふは(2発目も出るか)?」 「っ!顔を押し付けたまま喋るな!出なくなったら教えるから黙って嗅いでなさい・・・んっ!」 ブッフォオォォオォォォオォ~~~ッッッ!!! やけ気味に息んで2発目のオナラを放つ。 先程より濃厚になった腐卵臭と腐肉のような悪臭(におい)に、鼻が曲がりそうになる。 それでも、 「んん~っ♪」 ヒロアキは嬉々として私のお尻から溢れ出す臭気を吸い込んでいる。 (このバカ、一体どんな鼻してんよ!) 「んんっ!」 ブボボボボボボオゥゥゥゥゥゥーーーッッッ!!! 半ば呆れつつ、私は3発目のオナラを放つ。 (うっ、臭っ・・・!) さらに凶悪になった悪臭(におい)が私の鼻まで漂ってくる。 自分でも軽い眩暈を覚えるほどの悪臭(におい)。 これだけ臭いオナラなら、さすがのヒロアキも・・・。 「ん~っ♪やっぱり、サトミのオナラは最高だな♪」 「なっ・・・!」 (これだけ臭いオナラを嗅がされて、何でそんなに嬉しそうな声が出せるのよ!?) 「もう終わりか?」 「ま、まだ出るわよ!」 「そうか♪」 私の返事を聞き、再びヒロアキがお尻に顔を押して付けてきた。 (こうなったら、何が何でもこいつに『臭い』って言わせてやる!) そうすれば、もうこんなバカな事をしなくて済む。 「ふんっ!」 ブビビビビビビビビビビビィィィ~~~ッッッ!!! 固く決意して、4発目のオナラを放つ。 今までで1番臭く、他人には聞かせられないような汚らしい音。 大量の卵と牛1頭をまとめて腐らせたような激臭(におい)。 「んんっ!」 ブバスッ!!ブブブゥーッ!!ブボボボォッ!! さらに駄目押しとばかりに、3発のオナラを放つ。 (さすがに、これだけ浴びせ・・・っ!) 次の瞬間、私は自分の失敗を悟った。 確かにこれだけ臭いオナラを浴びせれば、もうヒロアキがオナラを嗅がせてくれと頼んでくる事はなくなるだろう。 しかし、同時にこんなに臭いオナラをする私に、ヒロアキが愛想を尽かしてしまうのは必至だ。 (終わった・・・) 猛烈な勢いで後悔が押し寄せてくる。 「サトミ・・・」 (来た!) 別れの言葉を覚悟し、目を閉じる。 しかし、 「やっぱりお前は最高だよ~っ!」 ヒロアキの口から出てきたのは、私の予想と正反対の言葉だった。 それどころか、私のお尻に抱き付いて頬擦りしている。 「~~~~~~!」 安堵と羞恥。 2つの感情がごちゃ混ぜになって―― 「し、死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」 私は絶叫と共にヒロアキの胸を思いっ切り蹴り付けた。 * 程なくして下校時刻となったので、私はヒロアキと共に学園を後にした。 現在、私は自室のベッドに腰を下ろしており、傍らにはヒロアキの姿もある。 「その、えっと・・・本当に大丈夫なの?」 私は自分が蹴ってしまった場所を見ながら問い掛ける。 「大丈夫だって言ってるだろ。その質問、もう3度目だぞ」 そう言いながら、ヒロアキは見せ付けるように大きく胸を張ってみせる。 「それより、本当にいいのか?」 「その質問、4度目。アンタも私の事は言えないわよ」 そう言って、私はベッドにうつ伏せになる。 そのままスカートを捲り上げると、 「じゃあ、遠慮なく♪」 ヒロアキが私のお尻に顔を埋めてきた。 しかも、ご丁寧に捲ったスカートを戻して自分の後頭部を覆っている。 先程、生徒会室で思いっ切り蹴ってしまったお詫びに、命令とは関係なしに「今日1日は好きなだけオナラを嗅がせてやる」と言ってしまったのだ。 我ながらバカな事を言ったと少し後悔したが、 「どうした?こっちは準備OKだぞ♪」 ここまで嬉しそうにされると、何だか考えるのがバカらしくなる。 『恋人の欠点を美徳と思えないような者は、恋しているとはいえない』 ヒロアキの「重度のお尻フェチで、なおかつオナラフェチ」という欠点も、「オナラが殺人的に臭い」という欠点を持つ私にとっては美点なのかもしれない。 どうやらゲーテの言葉は本当だったようだ。 「ふんっ!」 色々と吹っ切れたところで、お腹に力を込める。 直後、 ブブブッブブブッブブブッブブッブブブッ!!! 濃厚な腐卵臭と発酵臭の混ざったオナラがお尻から噴き出した。 鼻が曲がるほど強烈な悪臭(におい)だが、もう私に迷いはない。 「んん~っ♪」 ヒロアキが嬉々としてオナラの臭気を吸い込んでいるからだ。 「んんっ!」 ブボボボォッ!!ブブブゥーッ!!ブビビビィッ!! さらに3連発のオナラをヒロアキの顔に浴びせる。 「くんくん・・・!」 ヒロアキが鼻を鳴らして私のオナラを嗅いでいる。 「うぐっ・・・!」 その姿が嬉しい反面、少し腹が立ってきた。 (私がこんなに臭い思いしてるのに、このバカは・・・!) 「サトミ?」 私が次のオナラをしない事を怪訝に思ったのか、ヒロアキが顔を上げて声を掛けてきた。 ガシッ! その頭を両脚でがっちりとホールドし、そのまま自分のお尻に押し付ける。 「ふんぬっ!」 片手で鼻を摘みながら、お腹に渾身の力を込める。 ブブブブブブブブウゥゥゥゥゥゥゥゥーーーッッッ!!! 「っっっっっ!?」 鼻を摘んでなお、「臭い」と感じる強烈な1発。 これなら―― 「まだこんなに凄いオナラが出せるんだな!さすが俺の自慢の彼女だぜ!」 「・・・アンタ、どういう鼻してんのよ?私のオナラ、臭くないの?」 割と本気で耳鼻咽喉科に行った方がいいのではないだろうか? 「臭いに決まってるだろ。というか、オナラは臭ければ臭いほどいいんだよ♪」 「・・・ああそう」 どうやら問題があるのは鼻ではなく、頭の方らしい。 この場合、行くべきは脳外科医だろうか? そんな事を考えていると、 「えいっ!」 ふいにヒロアキが両手で私の背中をぐいっと押してきた。 「っ!?」 ブブブブブブブブブブブブブブブブゥゥゥーッッッ!!!! ベッドに押し付けられた腹部が圧迫され、お尻から特大のオナラが溢れ出してくる。 「っっっっっ!?」 自分のオナラとは思いたくないほど強烈な悪臭(におい)に、視界が大きく揺れる。 「この大バカ!いきなり何するのよ!」 私の眩暈に耐えながらの抗議に、 「んん~っ♪グッドスメル♪」 ヒロアキは喜悦の声を上げている。 このバカ、もしかして体内に硫化水素を分解するバクテリアでも住み着いているのだろうか? ゴンッ! 取り敢えず、右足の踵で後頭部に一撃喰らわせておく。 「い、今のは反則だろ・・・」 いい感じに決まったらしく、ヒロアキが後頭部を撫でながら文句を言ってくる。 「3分間、息を止めなさい」 それを無視して、私は短く告げる。 「えっ?」 「3分間、息を止めなさい」 ヒロアキが戸惑いの声を上げても、私は同じ言葉を繰り返す。 「わ、わかった。3分だな?この状態だと時計が見えないから、ちゃんと確認してくれよ」 そう言うと、ヒロアキは私の言葉に従って息止めを始める。 よく息を止める前に思いっ切り息を吸い込む人がいるが、これは完全に逆効果である。 息を吸い込んでしまうと、身体は吸い込んだ空気を吐き出そうとするので息を止めるのが難しくなる。 そのため、実際には軽く息を吸っただけの方が息を長く止めていられるのだ。 「ぷはぁっ!」 そんな説明をしている間に、ヒロアキの息止めが限界を迎えた。 (今だっ!) 「ふんぬっ!」 ブブブッスウウウウウウウウゥゥゥゥーーーッッッ!!!! 両手で腹部を上下から圧迫し、渾身の力でオナラを放つ。 部屋全体を揺らすような爆音とそれに見合った風圧を伴った凶悪な臭気がヒロアキの鼻へと一気に流れ込む。 そう、これが息止めをさせた理由。 ヒロアキに大きく息を吸い込ませたかったのだ。 「むぐうううううううっ!?」 内部の空気をすべて吐き出したヒロアキの肺を、私のオナラが満たしていく。 (こ、これだけやれば、満足でしょ・・・) 奇妙な達成感を覚えながら、オナラの悪臭(におい)に耐えられなくなった私はそのまま意識を失った。 * 目を覚ますと、見慣れた天井が視界に飛び込んできた。 「おっ、気付いたか?」 間を置かず、ヒロアキのバカ面が視界を覆う。 「今、何時?」 問い掛けながら上体を起こすと、ヒロアキが枕元にあった目覚まし時計を見せてくれた。 どうやら1時間ほど意識を失っていたらしい。 室内の臭気はだいぶ薄れているので、ヒロアキが換気して・・・っ!? 「きゃあっ!?」 思わず悲鳴を上げ、すぐさま布団の中へ潜り込む。 「な、何で服着てないのよ!?アンタが脱がせたの!?」 意識を失う前、私は間違いなく制服を着ていたはずだ。 なのに、今は白いブラとショーツ、そして黒いニーソックスしか穿いていないのだ。 「ああ、皺になるとマズイと思って・・・。何かマズかったか?」 「マズイわよ!意識のない女の子の服を脱がすなんて、何考えてるの!」 「別にいいだろ。俺たちは恋人同士なんだから」 「そういう問題かぁぁぁぁぁぁっ!」 先程のオナラ以上に大音量の私の絶叫が部屋中にこだました。 * その日の夜。 「どう考えてもおかしいでしょ、これ」 照明を落とした部屋の中で、改めてツッコミを入れる。 『何がだ?』 すぐに布団の中からヒロアキのぐぐもった声が聞こえてきた。 現在、私はパジャマを着てベッドで横になっているのだが、問題はヒロアキだ。 私の背中に上下逆さの状態で抱き付き、お尻に顔を埋めている。 ヒロアキ曰く「今日という日はまだ終わっていない!」ということで、午前0時までこの態勢で私のオナラをしっかり堪能するつもりらしい。 「布団の中に潜り込んで暑くないの?」 『ちょっと暑いけど、それがいいんだよ。オナラの悪臭(におい)が強く感じられるからな』 「ああそう」 何を言っても、このバカには馬の耳に念仏のようだ。 『ほら、早く出してくれよ。サトミのくっさいオナラをさ♪』 「・・・」 ゴスッ。 『いてっ!?』 ムカついたので踵でヒロアキの後頭部に一撃喰らわせ、 「んっ!」 それからお腹に力を込める。 ブブブブウウウウウウウウゥゥ~~~ッッッ!!! ぐぐもった放屁音と共に、布団の中が温かくなる。 『むううううううっ!?』 続けてヒロアキの声が聞こえてきたので、 「うるさい」 もう1度、後頭部に踵の一撃を喰らわせる。 「私は眠いの。あんまり騒がないで」 『そんなにガンガン蹴るなよ。バカになったら、どうするんだ!』 「もう救いようのないバカだから大丈夫よ・・・んっ!」 ブオオオオオォォォォオオォォ~~~ッッッ!!! 溜め息混じりに言いながら2発目のオナラを放つ。 こんなバカに惚れた私も、救いようのないバカなのだろう。 魚心あれば水心・・・いや、この場合は割れ鍋に綴じ蓋か。 『な、なあ、サトミ』 「何?3発目なら、すぐに出してあげるわよ」 『そうじゃなくて、パジャマのズボン脱がしていいか?』 「・・・」 ゴスッ! 返事の代わりに、先程より強めに蹴ってやる。 『だから痛いって!』 「あんたが変な事を言うからでしょ。自業自得よ・・・ひゃあっ!?」 意図せずして、声を上げてしまう。 ヒロアキが鼻先で私のアナルをパジャマ越しにグリグリと刺激してきたからだ。 「ちょっ、やめなさい!そんなことしなくても、オナラは・・・あぁっ!?」 ボフゥッ!!! アナルを刺激されたせいで、特大のオナラが出てしまった。 正直、風圧で布団が浮き上がるのではないかと思うレベルだ。 『んんんーーーーっ♪』 布団の中から嬉しそうな声が聞こえる。 「くっ!」 ゴスッ!ゴスッ! イラッとしたので、今度は両脚の踵を後頭部に喰らわせる。 『だから、痛いって!』 「だから、完全にあんたの自業自得よ!」 『惚れた女のオナラを堪能したいっていうのは男として当然だろ!?』 ゴスッ! 「そんな物好きはあんたぐらいよ!ほら、そろそろ時間だし、もう満足したでしょ?」 『もう0時か?』 「えっと・・・後10分ぐらいで0時よ」 枕元の時計を確認しながら教えてやる。 『じゃあ、その10分で出せるだけ出してくれ』 「・・・」 もう踵で蹴る気にもならないので、 「んっ!」 私は両手でお腹を押し込みながら息む。 ブウブブブブウウウウゥゥゥゥーーーッッッ!!! お尻の辺りが温かくなり、 『むううううううううっ!』 続けてヒロアキの声が聞こえてくる。 「んっ!」 ブブウーッ!ブウウーッ!ブバスッ! 今度は3連発でオナラを浴びせてやる。 『んむううううううっ!』 (そろそろ0時ね) 「次が最後の1発よ。ちょっと顔を離して」 ヒロアキが私のお尻から顔を離したのを確認し、私はショーツごとパジャマのズボンを下ろす。 『おぉっ!』 ヒロアキが嬉しそうな声を上げ、すぐに私のお尻に顔を埋めてくる。 (このバカは・・・!) 「行くわよ・・・ふんっ!」 ブブブッスウウウウウウウウゥゥゥゥーーーッッッ!!!! 腸内すべてのガスを出し切るように、渾身の力を込める。 『っっっっっっっっ!?』 ヒロアキが声にならない声を上げたところで、時計が午前0時を指す。 「ほら、もう0時よ。早く出てきなさい」 踵で後頭部をグリグリしながら、ヒロアキに出てくるように促す。 『そんなに急かすなよ。今、残り香を堪能してるんだから』 「っ!?早く出てこい!」 ゴスッ!! 『っ~~~~~!』 私の渾身の一撃を受けて後頭部を押さえながら、ヒロアキがモゾモゾと脚の方から這い出してくる。 「約束は0時まででしょ。もうタイムアップよ」 私は枕元の時計を掴んで見せてやる。 「わかったよ。じゃあ、普通に寝るか」 そう言いながら、ヒロアキが布団を捲る。 「うぐっ!?」 布団の中に渦巻いていた臭気が一気に解放され、強烈な悪臭(におい)が鼻に襲い掛かってくる。 「ごほっ、ごほっ、えほっ・・・!」 「だ、大丈夫か?」 「大丈夫じゃないわよ。こんな毒ガスみたいなものを嗅ぎたい奴の気が知れないわ」 「そんな毒ガスを俺のために出してくれるサトミ、大好きだぜ」 「っ!?」 思わぬ不意打ちに、顔が熱を帯びていくのを感じる。 そんな私を可笑しそうに見ながら、ヒロアキは―― 「ストップ」 「ん?どうしたんだ?」 「何やってるの?」 「何って、普通に寝ようとしてるんだけど?」 「何でさも当然のようにベッドに入ってこようとしてるのよ!あんたは床で寝なさい!」 そう言って、私は続けて部屋の隅を指差す。 「そんな事を言わずに入れてくれよ。寒いだろ」 「予備の毛布がクローゼットに入ってるわよ」 「・・・わかったよ」 私の言葉に頷いて、ヒロアキがクローゼットを開ける。 「ん?」 「どうしたの?」 「お前って、こんなの着るのか?」 「こんなの?」 おうむ返しに問い掛ける私に、ヒロアキはクローゼットから1着の服を―― 「っ!?」 次の瞬間、私は言葉を失った。 ヒロアキが持っていたのが、挑発的なデザインの赤いテディだったからだ。 「確かにサトミに似合いそうなデザインだよな。あっ、もしかして勝負下着ってやつか?」 「・・・」 湧き上がる怒りが羞恥を塗り潰していく。 確かにヒロアキが持っているのは、勝負下着だ。 しかし、それをわざわざ引っ張り出すような鈍感男(バカ)には、少し懲らしめるべきだろう。 「・・・」 1分後、私の拳がヒロアキのアゴに炸裂した。 終