SamSuka
JUDO(あるいはスサノオ)
JUDO(あるいはスサノオ)

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眠れる臭い美少女?

 家が隣同士で、互いの部屋が向かい合っている男女の幼馴染み。 そんな漫画みたいなシチュエーションなど、現実には存在しないと言い切っていいだろう。 だが、4つ全部はなくても、このうちのいくつかは満たしているケースは存在する。 実際、俺――細川(ほそかわ)ヒビキには上記の条件のうち、3つを満たしている相手がいる。 相手の名前は、松田(まつだ)リツ。 俺と同じ私立紅(こう)斉(さい)学園の2年生で、先端の跳ねたショートカットに、クールな印象を受ける切れ長の瞳が特徴の美少女だ。 顔立ちは中性的で、168cmという女子としては高い身長も相まって、男子よりも女子(特に後輩女子)から絶大な人気がある。 リツと俺の家は隣同士、2階にある自室も向かい合っている。 だが、俺たちは幼馴染みではない。 知り合ったのは今年同じクラスになってからで、登校する時に顔を合わせたら「おはよう」と挨拶する程度の付き合いだ。 そんな付き合いの浅さとは裏腹に、俺は彼女について学園の連中が殆ど知らないであろう事を知っている。 それは、夏場の暑い夜には部屋の窓を開けて就寝するという事だ。 現在の時刻は午前0時5分。 日付が土曜日から日曜日に変わり、気温は27度。 今夜もリツの部屋の窓は開いている。 綿密な下調べの結果、彼女が22時には就寝する事は把握済みである。 俺は予め用意しておいた縄梯子を使って、彼女の部屋へと侵入する。 月明かりと持参したランプのおかげで、電気を点けなくても十分に行動できた。 「すぅ・・・すぅ・・・」 予想通り、お目当ての少女はベッドで気持ちよさそうに寝息を立てていた。 (まあ、うつ伏せで寝てるのは予想外だったが・・・) 彼女の両親は泊まりがけで出掛けているので、今この家にいるのは彼女と不法侵入してきた俺だけである。 無駄なのはわかっているが、それでも弁明させてもらおう。 別に俺は彼女をレイプしようなどとは思っていない。 せいぜい無防備な彼女のパジャマを脱がせて、下着姿を撮影するぐらいである。 「・・・」 喉がカラカラに渇いていくのを感じながら、俺は震える手で掛け布団を剥がす。 露わになったのは、彼女らしい水色のシンプルなデザインのパジャマだった。 続けてパジャマのズボンを脱がせていくと、今度は彼女の尻を包むピンク色のショーツが露わになる。 「んっ・・・」 ズボンを膝まで下ろしたところで、リツが小さく声を漏らした。 「っ!?」 慌ててズボンを元通りにしようとするが、 「すぅ・・・すぅ・・・」 すぐにまた規則正しい寝息を立て始める。 (ふぅ・・・どうやら大丈夫みたいだな) 大きく息を吐き、手の甲で額に浮かんだ汗を拭う。 驚きのあまり、寿命が何年か縮まったような気がする。 (取り敢えず、1枚撮っておくか) 俺はポケットからスマホを取り出し、 カシャッ。 リツの尻を包むピンク色のショーツを撮影する。 撮影音でリツが起きないか少し心配だったのだが、これも無事にクリアする事ができた。 (それにしても・・・) スマホをポケットに仕舞い、改めてリツの尻を見る。 何度見ても、小振りながら最高級の桃のように引き締まった美尻だ。 「・・・」 まるで蜜に引き寄せられる蜂のように、俺はゆっくりと彼女の尻に顔を近付けていく。 女の子特有の甘い匂いが俺の鼻を―― 「ぐっ!?」 俺の期待とは裏腹に、嗅覚が捉えたのは腐ったタマネギのような強烈な悪臭(におい)だった。 (こ、これがリツの・・・っ!?) 慌ててリツの尻から顔を離そうとする俺だが、 ガシッ! それより早くリツが動いた。 両脚がまるで2匹の蛇のように俺の後頭部へと回され、 むにゅっ。 驚愕で反応できない俺の顔を自らの尻へと押し付ける。 「むぐっ!?」 顔全体が柔らかい感触で包まれた直後、 ぷうううううううううう~~っっ!! 彼女の尻から人肌の熱風が放たれた。 「むううううううううううっ!?」 壊れたラッパを思いっ切り吹いたような何処か間の抜けた音。 しかし、それが伴っていた悪臭(におい)は「強烈」の一言だ。 タマネギやキャベツ、ニンニクといった様々な野菜をまとめて腐らせたような悪臭(におい)が俺の嗅覚を容赦なく蹂躙する。 だが、凄いのはオナラそのものだけではない。 「すぅ・・・すぅ・・・」 今なおリツは目を覚ましてはいないのだ。 つまり、彼女は眠ったまま両脚で俺をがっちりと捕え、 ぶぶっぷうううううううう~~~っっ!! 今のように強烈なオナラ責めにしているのである。 「うっ、くっ・・・!」 薄れゆく意識の中で、どうにかリツの拘束から逃れるべく、彼女の脚を掴む。 そんな俺を嘲笑うように、 ぷおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ~~~っっっ!!! リツの尻から今まで以上に強烈なオナラが溢れ出してくる。 「んぐうううううううううっ!?」 「んんっ・・・」 俺の苦悶の声が部屋中に響き渡るが、リツは一向に目を覚ます気配がない。 「おい、松田!起きろ!起きてくれ!」 もう見付かるリスクなど考えている場合ではない。 俺は必死に声を張り上げ、何とかしてリツを起こそうとする。 「んん・・・っ!」 ぷうううおおおおぉぉぉぉぉぉ~~~っっっ!!! 俺の絶叫に対するリツからの反応は、不機嫌そうな声と4発目のオナラだった。 「むぐううう・・・っ」 その強烈な悪臭(におい)に意識を刈り取られ、俺は目の前が真っ暗になった。 *  何時間が過ぎたのだろうか。 「んんっ・・・っ?」 目を開けたにもかかわらず、目の前には暗闇が広がっていた。 最初は訳がわからなかったが、すぐに目隠しされているのだと気付く。 どうやら俺は座椅子のようなものに座った状態で拘束されているらしい。 上半身は背もたれに括り付けられているようで、逃げる事はおろか満足に動く事もできない。 「起きた?」 「っ!?」 問い掛けてきた声には、聞き覚えがあった。 「ま、松田!?」 俺が忍び込んだ部屋の主、リツだ。 「朝起きたら、お尻を枕にされたから驚いた」 そんな言葉と共に、リツが俺の顔に触れる。 「わ、悪かった!謝るよ!謝るから、許してくれ!」 「許して欲しい?」 「許してくれるのか・・・?」 「ダメ」 俺の問い掛けは即座に一蹴され、 ぶぶぶっふうおおおおぉぉぉぉ~~~っっっ!!! 続けて人肌の熱風が顔めがけて襲ってきた。 「むうううううううっ!?」 キャベツやらタマネギをまとめて腐らせたような強烈な悪臭(におい)に、思わず苦悶の声を上げてしまう。 「部屋への不法侵入と私のお尻を枕にした罰。今日1日、私が出すオナラを全部浴びて」 「なっ・・・!?」 リツの口から出た言葉に、絶句する。 こんな臭いオナラを今日1日ずっと嗅がされるのか? 「んっ、もう1発、出る・・・っ!」 ぷっふぃいいいいいいいいいい~~~っっっ!!! 「んむううううううっ!?」 ヤカンが沸いたような音と共に、再び強烈な悪臭(におい)が鼻に流れ込んでくる。 「今はこれだけ。またしたくなったら、嗅がせるから」 リツがそう言った直後、 ぎゅむっ。 顔に柔らかいものが押し付けられた。 それが彼女の尻だと気付いたところで、 ブバスッ!! 破裂音と強烈な悪臭(におい)が襲ってきた。 「むぐうううううううっ!?」 「ちょっと不意打ち」 少し楽しげなリツの声と共に、彼女の尻が離れていく。 こうして、俺の長い日曜日が始まった。 *  予想はしていた事だが、リツは非常にオナラが出やすい体質らしい。 体感時間で1時間ほど経った頃、 ぶぼぼぼぼぼぼぼぼぼおおおお~~~っっっ!!! 何の前触れもなく、背後から強烈な臭気が襲ってきた。 「むうううううううううっ!?」 言うまでもなく、臭気の正体はリツのオナラ。 生温かい臭気は後頭部から俺の頭を包み込むようにして、鼻へと流れ込んでくる。 ぶううううううううううううう~~~っっっ!!! 「んうううううううううっ!?」 今度は右側からオナラが浴びせられ、俺の嗅覚が容赦なく蹂躙される。 意識が朦朧としてきたところで、上半身の拘束が解かれた。 脱力していた俺はそのままバタリと横向きに倒れ込む。 「大丈夫?」 「く、臭い・・・死ぬ・・・」 リツの問いかけに、最後の力を振り絞って必死に訴える。 「臭いのはわかってる。でも、臭いだけで死ぬ事はないから大丈夫」 そんな返事と共に、 ぎゅむっ! 顔の上に何やら柔らかく重たいものが圧し掛かってきた。 どうやらリツが俺の顔に座り込んできたらしい。 「んっ」 リツが小さく声を漏らした直後、 ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぅ~~~っっっ!!! それを軽く掻き消すような大音量のオナラが俺の顔を呑み込む。 「んむうううううううううううっ!?」 「今出るのはこれだけ」 「ぷはぁっ!」 リツが立ち上がったので、新鮮な酸素を吸おうと大きく息を吸い込む。 しかし、 「むぐっ!?」 うっかりオナラの残り香を吸い込んでしまい、さらに鼻へのダメージを受けてしまう。 「じゃあ、また出したくなったら嗅がせるから」 そんな言葉と共に、俺は両腕を後ろに回され、手首を固定される。 カチャリという音がしたので、玩具の手錠か何かを使ったのだろう。 「後、縛りっぱなしは可哀想だから、これあげる」 「な、何を・・・んむっ!?」 俺の問い掛けは顔に被せられた布地で遮られた。 「ふごっ!?」 間を置かず、強烈な悪臭(におい)が鼻の奥まで流れ込んでくる。 「そのショーツ。脱ぎ立てだから、少し臭うかもしれないけど」 「なっ!?」 今の言葉が本当なら、俺の顔に被せられているのは彼女が脱いだショーツという事になる。 (な、何がしたいんだ、こいつは!?) 混乱する俺を放置して、リツの気配はゆっくりと遠ざかっていった。 *  さらに1時間ほど経った頃、リツが再び部屋に戻ってきた。 「・・・」 またオナラを浴びせられるのかと身構えていると、 「?」 リツは顔に被せられていたショーツを外し、さらにその下の目隠しまで外してくれた。 それでわかったが、リツは白のTシャツに黒のハーフパンツという非常にラフな格好している。 後、俺が被せられていたのはライトグリーンのショーツだった。 「もう許して・・・むっ!?」 安堵したのも束の間、また顔にショーツを被せられてしまった。 続けて、カシャッというシャッター音が聞こえてくる。 リツがスマホで俺の顔を撮影したのだ。 彼女のショーツを被った、変態丸出しの顔を。 「今からトイレ休憩。10分以内に戻ってこなかったら、この画像をネットに流す。わかった?」 問い掛けながら、リツが再び顔のショーツを外す。 「わ、わかった」 「じゃあ、スタート」 リツがスマホのタイマーを起動させたので、俺は慌てて部屋を出る。 素早くトイレで用を足し、すぐさまリツの部屋に戻る。 「3分32秒。早いね」 「はぁ、はぁ・・・遅れたら社会的な死だからな」 全力疾走で乱れた呼吸を整えながら、俺は先程まで縛られていた座椅子に腰を下ろす。 「また縛るんだろ。ほら、早く縛れよ」 「縛られるのが好きなの?」 「そんな訳ないだろ!」 怪訝そうに首を傾げるリツに、即座にツッコミを入れる。 「どうせ写真を盾にして、また縛るつもりなんだろ?だったら、抵抗しても無駄だからな」 「わかった。それじゃあ、遠慮なく」 そう言うと、 ガチャッ、ガチャッ。 リツが後ろに回した俺の腕に何かを装着した。 背中側なので見えないが、感触からすると玩具(プラスチック)の手錠を2重に嵌められたようだ。 「待ってて」 俺を拘束し終えると、リツがそう言い残して部屋を出ていく。 「・・・」 下手な事はできないので、大人しく彼女が戻ってくるのを待つ。 リツが戻ってきたのは、それから15分ほど経った頃だった。 彼女は2枚の皿が載ったトレーを手にしており、皿にはそれぞれ20個ほどのたこ焼きと炒飯が盛られ、美味しそうに湯気を立てていた。 「大きなタコのたこ焼きと焼き豚たっぷり炒飯、どっちにする?」 「な、何がだ?」 「お昼。もう正午過ぎだから。どっちも冷凍だけど」 「・・・」 指摘されて気付いたが、確かに部屋の時計の示す時刻は正午を少し過ぎていた。 「この状態で、どうやって食べるんだ?」 玩具とはいえ、手錠で拘束されてるんだぞ。 俺の皮肉交じりの問い掛けに、 「こうやって」 リツはたこ焼きの1つを爪楊枝で刺して、俺の口許へ持ってくる事で応えた。 「えっと・・・」 「炒飯の方がよかった?」 俺の戸惑いを、リツが明後日の方に誤解する。 そんな彼女に、 「・・・マヨネーズ、ないか?」 俺が言えたのは、それだけだった。 *  結局、全部リツに食べさせてもらう格好で、俺はたこ焼き20個を平らげた。 「お粗末さま」 そう言うと、リツは空になった2枚の皿をトレーに載せて部屋を出ていく。 「・・・」 2度目の退室なので、今回は少し冷静に部屋の中を見回してみる。 部屋は全体的にパステルカラーで統一されており、ベッドにはネズミらしき動物の縫いぐるみが3つ仲良く並べられている。 「ハムスターか、これ?」 「違う。それはナキウサギ」 俺の呟きはいつの間にか戻ってきたリツによって否定された。 「ナキウサギ?」 「ネズミに似てるけど、齧歯目(げっしもく)じゃなくてウサギ目(もく)の仲間」 「詳しいな」 「動物、好きだから」 そんな事を言いながら、リツがハーフパンツに包まれた尻を俺の方に突き出してくる。 怪訝に思ったのは、一瞬。 「んっ!」 ぶうううううううううううう~~~っっっ!!! すぐさま強烈な臭気が俺の顔を呑み込む。 先程食べた焼豚たっぷりの炒飯のせいか、腐肉のエキスを濃縮したような悪臭(におい)だ。 「ごはっ!?」 「食べたら出す。自然の摂理だよ」 「ごほっ、ごほっ・・・ああ、そうだな」 非難の意味を込めてリツを睨むが、 ぶぶぶっぶううううううう~~~~っっっ!!! 予想通り、返事は2発目のオナラだった。 「ぐふっ!?」 「オナラするたびに、面白い声が出るね」 リツが俺の 「お、お前も自分のオナラを嗅げば出せるよ・・・」 「?」 リツは俺の言葉に首を傾げながら、片方の手を自分の尻へと持っていく。 「んっ」 ぶううっ!! そのまま短いオナラを放つと、それを握り込むようにして自分の鼻へと持っていく。 「くんくん・・・臭い」 そう呟いたかと思うと、また俺の方に視線を向けてくる。 「出ないよ、面白い声」 「河豚は自分の毒で死なない、か」 実際は過度のストレスがあったら死ぬらしいけど。 「んっ!」 ぶおおおおおおおおおお~~~っっっ!!! 俺の取り止めもない考えを遮るように、リツがこれまで以上に強烈な3発目のオナラを浴びせてくる。 「ぬぼぁっ!?」 「やっぱりキミの声の方が面白い。もっと聞かせて・・・んっ」 リツが息んだので思わず身構えるが、 ぷすぅ・・・っ。 その尻から放たれたのは、拍子抜けするような小さいオナラだった。 「んんっ、ガス欠みたい」 そう言いながら、リツがベッドに倒れ込む。 「お、おい」 「30分経ったら起こして」 そう言ったかと思うと、リツが俺も返事を待たずに寝息を立て始める。 「何なんだ、こいつは?」 3つあるナキウサギの縫いぐるみの1つを抱き締め、気持ちよさそうに寝息を立てるリツを見ながら、俺は首を傾げた。 *  リツが寝ている間に、どうにか先程の画像を消そうと頑張ってみたが、残念ながらスマホのロックを解除することすらできなかった。 「んっ、んんっ・・・」 そうこうするうちに、リツが目を覚ましてしまった。 「そろそろ、30分経った・・・?」 「あ、ああ、だいたい30分だ」 「ん~っ」 リツが眠そうに目を擦りながら、枕元の目覚まし時計に手を伸ばす。 「まだ3分もある」 「お前が勝手に起きたんだろうが。俺はまだ起こしてないぞ」 リツの不満げな視線に、俺もさすがに反論する。 そんな俺の反論を意に介した風もなく、リツが大きく伸びをしながらベッドを降りる。 そのまま流れるようにハーフパンツを脱ぎ、白とピンクの縞パンに包まれた尻を俺の方へ突き出してくる。 「何をす――」 俺が問い掛けるより早く、 ぶぼぼぼおおおおおおぉぉぉ~~~っっっ!!! 猛烈な臭気が俺の顔を呑み込んだ。 「っ!?」 脳を大型トラックに轢かれたような衝撃に、声にならない悲鳴を上げる。 「あれ?」 寝惚け眼のリツが怪訝そうな声を漏らす。 どうやら俺のリアクションが薄い(ように見える)のが不満らしい。 「んっ!」 ぶぶっぶぶっぶううううううう~~~っっっ!!! その証拠に、リツはさらに強烈なオナラを浴びせてきた。 「っ~~~~~~!?」 だが、俺の口から苦悶の(おもしろい)声が出る事はない。 既にリツのオナラの悪臭(におい)はその段階を超えてしまっているのだ。 「まだ足りない?ふんっ!」 ぶぶぶっすううううううううう~~~っっっ!!! 「っっっっっっっ!?」 3連続で浴びた猛烈な悪臭(におい)のオナラに、全身がビクビクと痙攣する。 そんな俺を見て、 「大丈夫?」 ハーフパンツを穿き直したリツがベッドに寝かせてくれる。 「く、臭い・・・死ぬ・・・」 力なく呟く俺の頭を、リツが優しく撫でてくれる。 その手の柔らかさを感じながら、俺の意識は闇に飲まれていった。 *  誰かが身体を揺さぶっている。 だが、その程度で起きる気にはならない。 度重なるオナラ責めで疲弊した身体が起きる事を拒んでいるのだ。 身体の揺さぶりが強くなるが、まだ起きる気にはならない。 そんな俺を叩き起こしたのは、 ブブゥッ!!ブボォッ!!ブブーッ!!ブビィッ!! 強烈なオナラの4連発だった。 「ごはっ!?」 脳にプロボクサーのラッシュを喰らったような衝撃に、意識が強制的に覚醒させられる。 目を開けて最初に飛び込んできたのは、ハーフパンツを穿いた尻だった。 「やっと起きた」 続けてリツの声が降ってくる。 「なかなか起きなかったから、ちょっと強硬手段」 「強硬すぎるだろ」 お前は玄関のドアが開かないからって、ダイナマイトで吹き飛ばすのか。 「体調はどう?」 「ああ、まだ少し怠いけど、だいぶ回復した。どのぐらい寝てたんだ、俺?」 「丸2日」 「なっ!?」 「冗談。本当は1時間ちょっと」 「淡々とした口調で冗談言うなよ。一瞬、本気で信じただろ」 というか、俺はいつまで尻に向かって話さないといけないんだ? 「体調は回復したんだよね?」 「あ、ああ。まだ完全じゃないけどな」 念を押すようなリツの言葉に、俺は改めて頷く。 「じゃあ、大丈夫だね」 そんな呟きが聞こえた直後、 ずしっ! リツの尻が顔めがけて降ってきた。 間を置かず、 ブビビビビビビビィィィィィ~~~~ッッッ!!! 豚の鳴き声のような汚らしい音のオナラが俺の顔を包み込む。 「むうううううううっ!?」 先程以上に濃さを増した腐敗臭に、脳内がどす黒い黄色に染め上げられていく。 「まだ今日は終わってないから。回復したなら、またオナラを浴びて・・・んっ!」 そう言いながら、 ブウブブブブブブブブブブゥゥ~~~ッッッ!!! リツがさらにオナラを浴びせてくる。 その声色に楽しげな雰囲気を感じるのは、俺の気のせい―― ブブブッスウウウウウウウウウ~~~ッッッ!!! 「ふごおおおおおおおおおおっ!?」 残念ながら、俺に考える時間はなかった。 リツのオナラは俺の思考能力を軽々と消し飛ばしてしまうからだ。 ブブブッブブッブブブブウウウ~~~ッッッ!!! 「んぐうううううううううっ!?」 今の状況を例えるなら、臭気の底なし沼。 リツの尻からオナラが噴き出すたびに、どす黒い黄色の深みへと沈んでいく。 何とか脱出しようともがいても、 ブッブブウウウウウウゥゥゥゥ~~~ッッッ!!! 立て続けに浴びせられるオナラがそれを許さない。 「んむううううううっ!?」 力任せに脱出しようにも、まだ腕の手錠は着けられたままだ。 玩具なので平常時なら力任せで壊せたかもしれないが、オナラの悪臭(におい)でボロボロの現状ではそれも叶わない。 そのうちに、 ブバスゥッ!!! まるで緑色の巨人に思いっ切りスマッシュされたような衝撃。 それがトドメとなり、俺の意識は臭気の底なし沼の深淵へと呑み込まれた。 *  再び目を覚ますと、空はすっかり茜色に染まっていた。 「・・・。 まだ朦朧とする意識でゆっくりと上体を起こす。 いつの 「大丈夫?」 すぐにそんな声が聞こえてきた。 「ここで『はい』って答えたら、またオナラする気か?」 「今回はしない。さすがにやり過ぎたみたいだから」 俺の問い掛けに首を振って、リツは俺の鼻を労わるように優しく撫でてくれた。 「本当に大丈夫?」 「だから、大丈夫だって。というか、何度も確認されると、逆に不安になるんだが・・・」 「この指、何本に見える?」 リツが何故か手袋を嵌めた左手をパーの形にして見せてくる。 「そんなの5本に決まって・・・えっ?」 念のため、目を擦って改めて彼女の指の数を確認する。 1、2、3、4、5・・・6本ある? 「冗談」 俺が戸惑っていると、リツが手袋を外してみせた。 そこから現れたのは白く綺麗な5本の指。 おそらく手袋の中に何か仕込んでいたのだろう。 「真顔でやるなよ。リアクションに困るだろ」 「ゴメン」 リツがペコリと頭を下げてくる。 よく見ると、その口角がほんの少し吊り上がっているのがわかる。 もの凄くわかりにくいが、俺の反応がウケたらしい。 ぐるるるる~っ。 ふいにリツの腹が鳴った。 「!」 咄嗟に身構えるが、 「お腹空いた・・・」 どうやら単なる空腹らしい。 「冷凍でよければ、晩御飯も食べてく?」 「いいのか?」 「うん」 俺の問い掛けに頷き、リツが立ち上がってドアの方へと歩いていく。 そんな彼女の手がドアノブを握ったところで、 「んっ!」 その尻が勢いよく俺の方へ突き出された。 「っ!?」 俺がビクッと身体を震わせると、 「ナイスリアクション」 リツは小さくサムズアップしてくる。 「心臓に悪い冗談はやめてくれ」 「ふふふ・・・」 深々と溜め息を吐く俺を見て小さく笑いながら、リツは部屋から去っていった。 終


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