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[Project HDR] inside #1 HDR概論

ご支援ありがとうございます!


個展 FORBIDDEN GARDEN 無事終了しました。

ご来場ありがとうございました!

これまでの個展より、積極的に在廊の機会を設けてたくさんの方と交流できたのは、とても楽しかったです。


HDRモニタでの展示も良いリアクションを頂けて何よりでした。

同時に、まだまだ課題も多いな、という学びも多かったです。


今回、「Project HDR」と題してHDR作品製作について学んだことを、数回に分けて解説していきたいと思います。

HDRとは?


そもそもHDRって何ぞや、という話です。以前の投稿でも軽く触れましたが、さらにもう少し踏み込んで、数回に分けた連載形式で投稿します。

Project HDR -イントロダクション-

ご支援ありがとうございます! また更新間隔が大きく空いてしまいました。すみません… 今回は、現在取り組んでいるProject HDRという企画について広く知って頂くため、全体公開として投稿させていただきます。 ここ最近は、先日発表となったアニメ「AYAKA」や、年末のギャラリー、それに伴う新企画「Project HDR powerd ...

HDRは High Dynamic Range の略で、高い(広い)輝度幅を持つ画像、映像を指す用語です。高解像度を示すHD(High Definition) とは全く異なる意味を持ちます。

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現在、JPEG、H.264などの一般的なデジタル画像、映像フォーマットとして普及しているSDR (Standard Dynamic Range)は、出力時にRGB(255,255,255)の各色8bitしか値を持ちません。掛け算すれば組み合わせは1677万色となるのですが、グレースケールで考えると、各色256階調しかありません。PCやスマホなどでコンテンツを楽しむ際は日常的に慣れ親しんでいるためそれほど不便は感じませんが、現実世界とくらべてみると、かなり厳しい制限の中での表現だということがわかります。非常に明るい箇所と非常に暗い箇所を同じ画像内で表示することが難しく、露出オーバーや露出アンダー、トーンジャンプといった問題に常に悩まされます。オーバーやアンダーを逆に表現手法として使うのもテクニックなのですが…


一方、HDR対応の静止画、動画フォーマットは各色10bit~32bitという膨大なデータ量を持つことができます。静止画フォーマットの一つ、OpenEXRにおいては各色(RGBA)16bitの半精度浮動小数点数をサポートし、各色65,504階調。ピンと来ないですが、実質的に人間が知覚できるあらゆるレンジに対応した階調をデータ上保持することができます。動画編集ソフトのDavinci Resolve 18においては、内部処理時は各色32bitと、非常に細かいデータレベルを持っています。HDRフォーマットのさらに専門的な話は、次回以降にまわします。


次に示すのは、現実世界の光度(ルクス)をスマホアプリで測定したものです。

室内の光度が100ルクス程度であるのに対し、晴天の屋外は50,000~100,000ルクスにも及びます。現実世界ではシーンによって1,000倍も異なるレンジを、人間の目と脳、カメラのオート機能はそれを瞬時に補正して見える形にしているんですね。驚きです。

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例えば、絵や写真で紙や白背景などの「白」をRGB最大値の[255,255,255]としてしまうと、それ以上の明るさの色は画面上で表現できなくなります。肌や目のハイライトも白で表現することが多いのですが、背景に明るい照り返し、ライティング、エフェクト、太陽といった強い光源があったとしても、同じ白[255,255,255]以上の明るさを持たせることができません。グローやフレアなどの擬似的なエフェクトがどうしても必要になります。私たちは「それが当たり前」として作品を製作していますが、


もっと明るい色、鮮やかな色、広いダイナミックレンジを表現したい!


という願いは常にあります。


それを叶えるための技術仕様、規格がHDRです。


もちろん、現実世界の明るさをそのまま表現できる表示機器はありません。モニター、テレビの面積あたりの最大輝度(nitまたはカンデラ毎平方メートル)はHDR非対応の普及品で100~300nitに対し、HDR対応機器は500~2000nitと、4~5倍程度です。しかし、5倍も違えば製作者としてはかなり大きな違いを生むことができます。これまでの白はそのままに、数倍の明るさを持つ白を画面内に作ることができるのです!白以外の色についても然りで、強烈なブルーライト、レッドライトといった色彩を持った明るい光源を表現することもできます。


アンミカ曰く「白は200色あんねん」だそうです。もちろん人間による知覚的な分類での話だと思いますが、ホワイトバランスやダイナミックレンジを含めて考えると、デジタルの世界ではデータ上は無数に作れることになります。

写真現像における「HDR合成」

写真現像のテクニックの一つである「HDR合成」の認知度が高いのですが、こちらは様々なダイナミックレンジのデータを組み合わせてレンジを一意的に圧縮し、SDR画像に仕立てるもので、最終的に作られるコンテンツはHDRフォーマットではありません。"HDR" が示す意味は同じなのですが、誤解しやすい名称なので注意が必要です。Compressed Hight Dynamic Range Image Composit と言った方が正確ですね。

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普及度の問題

HDRの実用的な国際規格の策定は進んでいるのですが、なかなか個人で楽しめるレベルでのソフト、ハードの開発、普及が進んでおらず、認知もいまひとつな印象です。


先日、twitter上でアンケートをとってみました。

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1000nitでおおまかに区切った理由は、各社モニタ、テレビなどの性能を鑑みて1000nit程度が現在のHDR映像制作の基準になっていると考えているからです。細かな仕様については次回以降の解説となりますが、(PQ,HDR10の場合)仕様上は最大10,000nit以上の輝度を扱うことができます。ただし機器によって輝度の制約があるので、(個展での展示のような)特定の出力機器や、Youtubeなどの不特定多数に向けた配信サービスの視聴環境を考慮し、データ制作時に最大輝度を決定する必要があります。


スマートホンでの対応も進んでいるのですが、各社それほどセールスポイントにはしていないな・・・という印象があります。先日、近所のビックカメラのスマホ売り場でいくつかのキャリアの販売員とも話をしたのですが、販売員すら各端末のHDR対応やスペック(輝度や対応する規格)についてはよく知らない感じで、場合によってはHDとHDRの違いすらわかっていない販売員がいるほどでした。HDR対応スマホは10万円を超える高級機種がほとんどで、iPhoneを除けば10万円以下のスマホがまだ売れ線なので、あんまりハイエンドなスペックについて訴求しない方針なんですかね・・・


一方、テレビは多くのメーカーがHDRを積極的に売り込んでいます。ネット配信や映像ソフト、ゲームでのHDRコンテンツのラインナップが充実してきたので、強力なセールスポイントとなっているようです。


身近に最高のHDRを体験する手段として、IMAXレーザー技術を導入したシアターでの映画鑑賞があります。私は「トップガン・マーヴェリック」や「すずめの戸締まり」などをIMAXレーザーで鑑賞し、HDRによる光の表現と鮮やかな色彩表現に息を飲みました。


次回は、HDRに関連したカラースペースや技術仕様など、専門的な部分の解説を予定しています。

Comments

クライアント側からHDRで作ってくれ、という要望はありませんね。特別な需要が発生しない限りは、現時点でそのような依頼が来る可能性はありません。もしHDR対応のAAAタイトルのゲームであっても、汎用性を考えるとキャラクターデザインなどはSDR納品になると思います。ゲームエンジンへの実装時に都度変換することになるでしょうね。3DのレンダリングやHDRマップ作成では使われますが、イラストレーターの領域ではありません。現時点ではあくまで、アーティスト個人の表現形態としての追求と、将来を見据えての技術開発、学習が目的です。

しる

個展いきました。印刷技術もさることながらHDRモニタでの原画の鮮やかさが強く記憶に残っています。作る側としては強い色出したい!とかは思っても、HDRという着眼点にそもそも意識が向いていないのかなと気付かされました。私は同人誌刷るだけのアマですが商業でゲームのアートやデザインを担当されるプロのイラストレーターさんは表現の主体が画面になるので非常に重要な観点だなと。最近はクライアントからの指示でHDRで作ってくださいと言われたりするのでしょうか…。

MASAHOM


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