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黄金の黒山羊(黒胡椒サラミ)
黄金の黒山羊(黒胡椒サラミ)

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僕の嫌いなあいつにフラれたクラスメイト女子をセフレにする話

※Xのほうを見ておられる方々は御存じかもですが風邪で一週間ほどダウンしてました。そろそろ熱も下がったので活動再開できると思うのですが更新お待たせして申し訳ありませんです。この短編は以前書いたものでFANTIAにも投稿してあったはず…記憶が定かではありませんが。新作は少々お待ちください。



 クリスマスイブ、僕は街でクラスの五十木(いそぎ)聖来を見つけた。

 五十木と一緒にいたのは同じくクラスの犬神芳樹だ。

 二人は何か深刻な様子で話していたが内容は聞き取れなかった。しかしやがて、その表情の変化から、犬神が五十木の告白を断っているのだと察した。


 僕は正直、犬神のことを一方的に嫌っていた。

 それは単純に、犬神が女子にモテるからだ。清潔感はあっても平凡顔で、僕よりめちゃくちゃイケメンという訳じゃないのに、あいつはとにかく女の子に気に入られるやつだった。――それも、五十木聖来をはじめとした可愛い女子にばかり。

 優しい。いざというとき頼りになる。そんな犬神の評価を聞いたことがあるが、こと女の子たちへの態度については、犬神は優柔不断にしか見えなかった。たくさんの子から好意を寄せられているのは丸わかりなのに、誰と付き合うでもなくフラフラしている。付き合う気が無いならはっきり断ればいいのにそれもしない。そんなやつのどこが優しいというのだろう。

 それとも僕にはわからない、女子たちにしか見えない犬神の魅力があるのだろうか。


 五十木聖来は僕と同じクラスの女子である。

 校則に厳しい優等生。それなりの進学校であるうちの学校でも飛びぬけた成績を誇る才女。家が物凄くお金持ち。五十木に関する表現は色々あるが、何よりも、あいつは艶やかな長い黒髪とパッチリ大きな目を持つ美人である。

 その辺の女子と並べるとわかるが、五十木だけ他のやつとはオーラが違う。スタイルも露骨にいい。パリッと制服を着こなし、スカートも折り曲げたりしていないのに、腰の位置が高くて膝頭が見えてしまうのを本人は気にしている。清楚、という言葉がまさに相応しい立ち居振る舞い。

 そしてそんな五十木聖来も、あろうことか犬神のやつに惚れていた。

 清楚な優等生だけあって、五十木は犬神に気のある女子の中では最も一途にあいつを慕っているように見えた。いつも犬神のことを目で追っているし、犬神に話しかけるときだけ声のトーンが違う。校則で禁止されているからメイクはしてないはずなのに、頬がほんのり赤らんでいるような気がする。

 僕は別に五十木に惚れていた訳ではない。惚れようにも、僕など初めから相手にされないとわかっていた。けど五十木が犬神を好きだということに気付いてから、「なんであいつだけ?」という思いを大きくしていた。


 今年のクリスマスイブの夜、僕は、そんな五十木が犬神にフラれるシーンを目撃した。

 正確には五十木がフラれたかどうかは分からない。だが少なくとも、犬神は五十木の前で申し訳なさそうに謝っていた。五十木は気にしないでと笑っているように見えたが、その笑顔の裏であいつが泣くのを堪えているのだということが、僕には何故か確信できた。

 僕が初めて見た私服の五十木は、制服のときよりさらに可愛く見えた。こんな日の夜に待ち合わせするくらいだから、きっと五十木は犬神とデートするつもりだったのだろう。しかしあの二人の何かがすれ違い、いまのような形になったと思われる。

 ちなみに僕が寒い外を歩いていた理由は、待ち合わせでもなんでもない。そこのコンビニに弁当を買いに来ただけである。

 立ち止まったまま道の向こうにいる二人を見ていると、ぺこぺこと謝った犬神は五十木を残してその場を立ち去った。五十木は犬神が見えなくなるまで笑顔で小さく手を振っていたが、犬神の姿が人込みに紛れて消えた瞬間、くしゃっと顔を歪めて泣きそうになった。


「――五十木さん、こんなとこでどうしたの?」


 僕が五十木に話しかけたのは、まさにその瞬間だった。

 うつむいていた顔を上げた五十木は、潤んだ瞳できょとんと瞬きした。


「え……っと、皆森くん?」


 そのとき五十木の口から僕の名前が中々出てこなかったのは、つまり僕が五十木にとってその程度の存在感だったということだ。

 あくまでも、そのときまでは。



  §



「――あっ♡ あっ、あっあっ♡ ああっ♡」


 まだ信じられない。あんなに清楚で、やらしい行為とか性欲とかとは無縁だと思っていた五十木が、僕の腰の動きに合わせてとてもエロい喘ぎ声を漏らしている。

 クリスマスイブの街で五十木に話しかけてから数時間後、もうすぐ日付が変わろうかという時間帯。門限などもあるに違いないのに、五十木は僕の部屋で僕とセックスしていた。


「あっ♡ うっ、ああああっ♡」


 僕の身体の下にいる五十木は、喘ぎ声に続いて僕の名を呼ぶ。きっとこいつも、どうして自分が僕とセックスしているのか分かっていないに違いない。

 ほんの数時間前、僕は五十木をこの部屋に連れ込んだ。犬神にフラれたばかりで傷ついたこいつなら、ひょっとして誘えばついて来るんじゃないかくらいの軽い気持ちで、「僕の部屋ってここから近いんだよ。このままだと風邪ひくから温まりに来ないか?」とか言っていた。

 それだって九割九分は冗談のつもりだった。

 犬神がモテる理由が優しさだというなら、その程度は僕にだってできる。それくらいの気持ちだった。

 ところが五十木は本当についてきた。

 本当を言うと、僕はあまりこの部屋に知り合いを招きたくなかった。この歳で親元から離れて、こんなボロアパートで独り暮らしをしてるなんて知られて、余計な詮索をされたくなかった。相手が良い家の御嬢様である五十木ならなおさらだ。

 けど言い出したのは僕である。今さらやめにしようとも言いにくかった。

 そして色々あり、僕はいつも自分が使っている安物のベッドの上で、五十木とセックスすることになった。


「ンっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡ わ、私本当にクラスの男の子とエッチしてる――っ」


 やっぱりこの状況が信じられないのは、五十木も僕と同じなようだ。

 僕は服を着ていない。五十木が身に着けているのは下着だけである。黒いタイツを含めて、他は全部僕がこの手で脱がせた。それらはいま、狭いアパートの部屋の床に乱雑に散らばっている。

 かなり気合が入ったデザインの白いブラとショーツは、普段からの五十木の好みなのか、それともやはり犬神との「もしかして」に備えて選んだものなのか。


「あっ、ああああっ!?♡」


 めくりあげたブラの下からぷるんと露出した二つのおっぱいが、僕のピストンに併せて揺れる。そして股間部分をずらしたショーツの隙間から、五十木の割れ目の中にコンドームを被せた僕のモノがずっぷりと侵入していた。

 依然として半信半疑だが、僕が「あの」五十木聖来とセックスしているのは事実だ。五十木のマンコを差し貫き、喘ぎ声を上げさせているのは僕の肉棒だ。五十木の声は純粋な快楽によるものでなく苦痛に耐える意味合いも含まれていたが、それがより一層僕を興奮させる。

 そう、僕の肉棒に被せたコンドームには、五十木が処女を失った証の赤い色が付着していた。


「ぐっ!? 出るっ! もう出そうだ五十木!」

「あっ♡ はぁっ♡ はっ♡ はぁっ♡」

「聞こえてないのか? このまま五十木の中で射精するぞ!?」

「うっ、ぐうううっ!♡」


 五十木にはマジで僕の声が届いていないようだ。後頭部と肩甲骨とつま先と、僕の肉棒がハマった結合部を支点に、腰とお尻を浮かせてブリッジするみたいな姿勢で、ぎゅっとまぶたをつぶったとても辛そうな表情をしている。

 まるで犬神にフラれたときの泣きそうな顔の延長線にあるようなその表情。

 それを見て僕は――。


「あああっ! 五十木っ!!」


 なぜだかとても興奮し、五十木のことを強い力で上から抱きしめた。

 僕はさらに激しく腰を振り、射精目指して駆けあがっていった。


「っあ♡ ああっ♡ ンっ♡ んぅううっ♡」


 反射的にしがみついてきた五十木の爪が、僕の背中に食い込み血がにじむ。しかし痛覚など、爆発しそうな興奮の前にとっくに麻痺していた。僕の左手は五十木の背中に、右手は彼女の後頭部に添えられた。――女子にとっては命とも言える髪。滑らかでストレートな黒髪をぐしゃぐしゃにされても、五十木は文句を言わなかった。

 鼻がくっつくほどの距離にある五十木の横顔から、とてもいい匂いがした。


「五十木、本当に限界だ! 出っ……! うううっ!!!?」

「はあうっっ!?♡♡♡」

「ヤバッ、なんだこれ……っ!? いつもの射精と違――っ、あっ」


 僕は肉棒の先端からザーメンを吐き出しながら、まるで精通したときのように戸惑った。オナニーで適当に抜いたときと違い、身体が「本気で」女の子の中に種付けしてやろうともくろんでいるような、衝撃的な快感を伴う射精だった。


「あっ、ああ……っ♡ 皆森くん……っ」


 五十木の声が僕の名前をつぶやくのを聞いて、こいつを抱き締める手にさらに力が籠る。肉棒全体がドクドクと脈動し、給水ポンプのように精液を送り出すのが中々止まらなかった。



  §



「……五十木、チンポ一回抜くからな」

「……うん、わかった」


 お互いに初体験となるセックスを終えたあと、部屋には気まずい空気が漂っていた。

 僕の心臓はまだ高鳴っている。肉棒も五十木の中で痛いくらい勃起したままだ。

 僕がぐっと腰を引こうとすると、五十木は苦痛に顔を歪めた。


「あう……っ」

「ご、ごめん。痛かった?」


 なし崩し的に処女を奪っておいて、今さらこのタイミングで謝るのはどうなのか。でも反射的にその言葉が出てしまった。それに対し、五十木は明らかな無理をしながら「大丈夫」と言った。

 僕は、今度はゆっくり気を付けながら、五十木の中から肉棒を抜いた。女子のマンコに自分のチンポが挿入されていたという事実を、僕はそこでも再確認した。


(うわ、そんな多くないけど血が出てる。けどこの透明なのって愛液だよな。それであってる……よな。僕……五十木と本当にヤったのか)


 している最中はしげしげ眺める余裕などなかった。けど改めてこう見ると、五十木はとても綺麗な体つきをしていた。

 五十木がめちゃくちゃ美人だというのは、普段の教室でもちろん知ってたけど、服を脱いだ先にある肌がこれほどすべすべで変なシミ一つないとは。どこにも余計な脂肪なんてついてないのに、おっぱいはしっかり揉みごたえのある大きさで、太ももやお尻も女の子らしい肉付きをしている。

 そんな五十木の処女を、この僕が奪ったんだ。

 肉棒に装着したコンドームの先端には、自分でもドン引きする量のザーメンが溜まっている。それはまるで白い水風船のようだった。本番セックス、女の子の膣でチンポをしごいて精液を吐き出すという行為が、オナニーとはこれほどかけ離れたものだったなんて。僕は自分が一気に大人の階段を上ってしまったような気がしていた。

 僕に犯された直後の五十木を眺めていると、鎮まりかけた心臓が再び高鳴ってくる。だがそんな僕とは対照的に、五十木は冷めた声を出した。


「……私、帰るね」

「えっ?」

「家族に怒られちゃうし、もう帰る」

「は? 帰るって言っても、もう真っ暗――」

「帰るの。離して」


 五十木は駄々をこねだした。僕は焦り、ベッドから立ち上がろうとする五十木の腕を掴んだ。しばらくベッドの上でもみ合いが続き、気付くと再び僕が五十木を押し倒したような格好になっていた。


「いや、皆森くん離して――っ!」

「もう電車止まってるしどうやって帰るんだよ。どうせなら泊まってけよ」

「そんなの他人のあなたに命令されたくない!」

「はあ? 他人って、セックスした仲じゃないか」

「っ――!」


 少しカチンときた僕が、似合わないオラついた不良のような口調で言うと、五十木は唇を噛んだ。かと思うと、五十木の目尻にみるみる涙が盛り上がる。五十木は僕の身体の下で泣き声を出さずに泣き始めてしまった。

 五十木の言う通り、僕とこいつはこれまで、同じクラスで授業を受けているだけの他人だった。プリントを配ったりとかでわずかに言葉を交わすことがあっても、友人としてプライベートな会話をしたことすら無いし、セックスなんかは思いもよらない。犬神を除いても、僕より五十木と仲が良かったやつなんて大勢いる。


「どうせ明日も学校休みなんだし、いいから泊まってけって」

「…………」


 その時の僕の中には複雑な感情が入り混じっていた。

 少なくとも、股から血を流す五十木を夜の街に放り出す真似はできなかった。今のこいつは犬神にフラれた直後より自暴自棄になっていて、何をしでかすかわからない。

 ――しかし、そんなのは全部五十木を引き止めるための口実で、僕は単にまだこいつの身体を弄り回したいだけなのかもしれなかった。

 僕は五十木の胸を掴むと、それを揉みながら五十木の唇に自分の唇を近づけた。

 もう僕に汚されることを諦めたのか、五十木は全く抵抗しなかった。


「ん……っ」


 目をつぶった五十木の口から声が漏れた。

 僕にとってはファーストキスだ。そして多分五十木にとっても。

 セックスしてから初めてキスするなんて、まるで順序が逆だった。



  §



 そんなことがあってから、僕と五十木聖来が再び会ったのは、二週間ほど経って冬休みが明けてからだった。

 五十木が入ってきた途端、朝のホームルーム前の教室はざわついた。


「おはよう、みんな」


 五十木の物腰は冬休み前と変わらなかった。しかし彼女の背中まであった長い髪は、肩くらいのところでバッサリ切られていた。

 二学期までの五十木の髪は、大げさなことを言うと紫式部とか清少納言とかに登場してくる昔の女の人のようで、とても長く綺麗だった。既に登校していたクラスメイトは、何があったのか分からない様子で固まった。五十木はそんなのを気にしない様子で、普通に自分の席に着いた。

 教室に時間が戻ると、数人の女子が五十木を取り巻いていた。その女子たちは、五十木に何があったのか質問したい気持ちをチラチラ見せつつ、「新しい髪型にしたの? すっごい似合ってる」とか、「五十木さんて美人だからどんな髪型でも映えるよね」とか言っていた。

 五十木は僕には話しかけてこなかったし、僕のほうに視線を向けることもしなかった。


 教室が再びざわついたのは、それから数分後、犬神芳樹のやつが入ってきたときだ。

 五十木が髪を短くする理由なんてあいつくらいしか無いってことを、クラス全員が承知している証拠だった。

 犬神は五十木の姿を認めた瞬間、気まずそうに目を逸らした。それに対し、五十木は普通に微笑んであいつに挨拶していた。

 始業式を終えた頃には、あいつらは普段の調子でやり取りを行っていた。フったフラれたの間柄だけど、それはそれとして、いいお友達のままでいましょうということなのだろう。表向きは冬休み前と変わらない関係を続けるつもりなのだとことが、「部外者」である僕にも見て取れた。

 その日の学校が終わるころには、短くなった五十木の髪はすっかり教室に馴染んでいた。

 そしてやっぱり、五十木が僕に目を向けることは一回も無かった。


 さらにそれから約二か月。僕と五十木のあいだには何も起こらなかった。

 小心者の僕は、五十木にああいうことをしたせいで、生活指導室やはたまた警察に呼ばれるのではないかと、しばらくのあいだビクビクしていた。だが、そういったことは何も起こらなかった。バレンタインの時もホワイトデーの時もそれ以外の時も、犬神とそれを取り巻く女の子たちのあいだでは色々なイベントがあったようだが、僕の周りは無風だった。

 そのあいだ、五十木が僕と目を合わせた回数はゼロだった。冬休み前は稀に発生していたクラスメイトとしてのやり取りすら、何も行われなかった。

 けどそれは逆に言えば、五十木が僕を意識している証拠だった。

 春休み直前になって、僕は自分から五十木に話しかけた。


「あったかくなってきたけど、五十木さんは花粉症とか大丈夫なの?」

「……!! ……別に」

「へえ、そうなんだ。明日から3連休だよね。どこかに行く用事とかは?」

「どうしてあなたにそんなこと教えなくちゃいけないの?」


 このやり取りは教室の隅でさりげなく行われて、僕ら以外の誰の耳にも入らなかった。

 僕の知る限り、五十木がこういう口調で誰かを拒絶するケースなど無い。では、それで僕が傷ついたり気を悪くしたりしたかと言えば、全然違った。

 それよりむしろ――。


「単にちょっと気になってさ。誰か一緒に遊びに行くやつでもいるのかなって」


 むしろ、この拒絶の態度が、あの時のことが僕の夢や妄想じゃなかったと教えてくれた。そう、僕があのクリスマスイブの夜に五十木を抱いたことは、依然として紛れもない事実だった。

 僕はわざととぼけた調子で言った。


「ところで犬神のやつがこっち見てるけど、僕と五十木が話してるのが気になるのかな」

「えっ」

「嘘だって。あいつは君のことなんかどうでもいいってさ」


 僕の言葉で犬神の方を見た時の五十木の表情。それはまだあいつに何か期待している表情だった。でもそんな五十木の淡い希望は、逆に落胆へと変わった。

 実を言うと、犬神がまだ五十木を気にしているという僕の言葉はあながち嘘じゃない。犬神は、自分のせいで五十木がこんな髪型になってもまだ、女の子たちのあいだをふらふらして五十木にも脈のあるそぶりを見せている。

 優柔不断な犬神も、そんな犬神に振り回される五十木も馬鹿みたいだ。

 でもそのおかげで僕が美味しい思いをできるなら、それは感謝するべきだろう。


「なあ五十木。良かったら、また僕の部屋に遊びに来てくれよ」

「…………」


 あのことを犬神に知られたくなかったら、とかなんとか、脅しめいた言葉を付け加えるか一瞬悩んだ。でも、自分に目を向けず他のクラスメイトと駄弁っている犬神の背中を見る五十木の表情を見て、それは必要ないと思った。



  §



 そして三連休の初日、五十木は僕の部屋を訪れた。

 怪しい勧誘とかが来ない限り鳴ることのなかったインターホンが鳴り、ドアを開けた先には、制服姿の五十木が立っていた。どうして休みなのに制服で来たのかと問うと、塾に行くと家族に言い訳したからだと五十木は答えた。


「塾?」

「用が無いと、外に出たら駄目だって言われてるから……」

「もしかして、あのとき門限破って怒られたりした?」

「…………」

「それにしても塾なんだ。五十木のうちって金持ちなんだろ? なんかイメージ的に、専属の家庭教師とかいるのかと思ってた」


 僕がそう言うと、五十木は小声で理由を答えた。中学までは家庭教師だったけど、中学卒業からは塾に行きたいと親に頼み込んだのだそうだ。そうやって少しでも外に出る機会が欲しかったらしい。

 五十木の親がそこまで厳格だとすると、この前のクリスマスイブに犬神と街にいたのは、こいつにとっては余程覚悟がいることだったに違いない。

 僕は五十木を部屋に招き入れた。五十木は律儀に「お邪魔します」と口にし、脱いだ革靴をきちんとそろえた。

 改めて僕が一人暮らしをしている部屋に足を踏み入れた五十木は、まるでここを始めて訪れたかのようにしげしげと室内を眺めていた。あの日はかなりパニクっていたから、記憶がほとんど無いのかもしれない。

 そして僕は、そんな五十木の背後に近寄ると、彼女を後ろから抱きしめた。


「あっ……」

「また遊びに来てくれて嬉しいよ、五十木」

「ん……っ、や、やめて皆森くん」

「なんでだよ。来てくれたってことは、五十木も僕と同じ気持ちだったんだろ?」


 僕はあの日から、五十木ともう一度セックスしたくてどうしようもなかった。

 学校で五十木に冷たく無視されるたび、僕はこの部屋に帰って五十木のことを思いオナニーしまくった。性欲がぶっ壊れたみたいに、一晩に三発四発射精しても、肉棒がギチギチに勃起したままで痛くて眠れなかった。どんなに自分の手でしごいて精液を出しても、不満足が募るばかりで頭がおかしくなりそうだった。

 そこまで直接的に伝えた訳じゃなくても、僕は、五十木とセックスしてから五十木のことばかり考えていたという自分の気持ちを正直に口にした。


「な、もう一回でいいからセックスさせてくれよ、五十木。お前とセックスしたくて、頭が変になりそうなんだ」


 僕は五十木に縋り付きながらそんなことを言った。クラスメイトの女子に対する、最低きわまるお願いだ。でも今さらこいつの前で誠実を気取ったところで、どうしようもない。僕が性欲目当てのクズなのは紛れもない事実だ。

 僕は背後から五十木のおっぱいを揉んだ。


「なあ、いいだろ五十木」

「あ……っ♡」

「抵抗しないってことはいいんだよな?」


 五十木が来る前に一応掃除して片付けはしたが、そのせいでより殺風景になってしまったボロアパートの部屋。その中央で、僕は制服の上から五十木の胸を揉みしだいた。


「あああ……これだ。五十木の胸、やっぱめちゃくちゃ柔らかい……!」

「ンっ♡ ふあ……っ♡ やあ……っ!」

「セックスするぞ、セックスするからな、五十木」


 五十木をこの部屋に迎え入れる前は、もうちょっと真面目に口説くつもりはあった。でも今の僕は、完全に性欲に支配されたサルになっていた。

 僕は五十木の胸を揉みながら、二人でよたよたとベッドに近付いた。五十木をベッドに押し倒すと、僕は彼女の胸の谷間に自分の顔を押し付けた。


「五十木の身体……! 五十木の匂い……っ! あああ……」

「あっ♡ ンっ♡ やめて皆森くんっ!」


 もはや五十木の声ですら、僕の耳には届いていなかった。

 僕は五十木の匂いや胸の柔らかさをあらゆる方法で確かめながら、制服を乱暴に脱がせた。いつも当たり前に教室で目にするブレザーやブラウスの下から、五十木が普段誰にも見せない下着や滑らかな肌がさらけ出される。

 五十木の痴態はあまりにも綺麗で、あまりにも感動的だ。たとえこのあと性犯罪者として訴えられたとしても、僕には何の悔いもない。――とりあえず今だけはそう思えた。


「な、いいだろ五十木。僕だって五十木のことが好きなんだ」

「……っ!!」


 それは決して純粋な好意から出た真っ当な告白ではなく、とにかく彼女にセックスさせて欲しいという理由から来る適当な発言だった。

 しかし僕がその言葉を口にした瞬間、五十木の抵抗は見るからに弱まった。

 しばらくのあいだ、部屋の中には、僕が五十木の身体をまさぐる音と二人の乱れた息遣いだけが響いていた。

 五十木を全裸に脱がせると、僕はその肢体を目に焼き付けるべくまじまじと観察した。思わずむしゃぶりつきたくなる胸の形も乳首の色も、控えめなヘソも、そしてその下にある割れ目の様子も、僕らが関係を持ったあの日と何一つ変わらない。あまりに綺麗で脳がバグりそうだった。

 僕は自分もいそいそと服を脱いだ。五十木は身体の大事な部分を僕から隠し顔をそらしていたが、それでもちらちら僕の身体に目を向けてきた。五十木聖来は手の届かない高嶺の花。ずっとそう思っていたが、こいつも普通に異性の身体に興味を惹かれる生身の女の子なんだと思った。

 僕は自分の勃起した肉棒にコンドームを被せた。正直ナマでハメてみたかったけど、流石に妊娠は怖かった。


「五十木、挿れるよ」

「…………っ」


 五十木は返事代わりに唇を噛んだ。

 僕が腰を前に出すと、肉棒は前回よりスムーズに五十木の中に飲み込まれていった。


(ぐう……っ! 五十木のマンコ、やっぱり熱い……! ぬるってして、ぎゅうって締め付けてきて、自分の手で握るのと全然違う! セックス……僕はもう一度五十木とセックスしてるんだ!)


 挿入した瞬間から僕は腰を振った。前戯はほとんどしなかったにも拘わらず、五十木の膣内はほんのり濡れていて、少なくともチンポを往復させるのに支障は無かった。……二回目でこの蕩け具合は、ひょっとしてこいつも僕とのセックスを期待してたんじゃないだろうかという発想が、僕の頭に浮かんだ。


「あっ、あっ、ンっ、くうっ」


 僕のモノをみっちり咥え込んだ五十木は、苦しそうな表情を顔に浮かべていた。しかしこれも単なる苦痛や不快感だけではない。五十木の口から漏れる吐息は湿り気を帯びていて、ぷるぷると揺れる胸はしっとり汗ばんでいた。

 そうこうしているうちに、僕はだんだんセックスにおける腰の振り方を学んでいった。五十木の腰を少し持ち上げてやった方が、よりスムーズに抜き差しできる。五十木の喘ぎもちょっとだけ大きくなった気がした。

 ベッドがギシギシと悲鳴を上げる。

 五十木の手は、どこに置かれていいのかわからない様子でシーツをパタンパタンと叩いてみたり、僕の腕に触れようとしてから引っ込められたりしていた。

 僕はいま、クラスメイトの五十木とセックスしている。

 学園でも屈指の美少女で、モブに等しい僕が決して手の届かないと思っていた五十木と。

 あの長い髪を五十木が切ってしまったのは残念だけど、今の髪型も十分似合って可愛かった。それを言うべきか言うまいか迷った挙句、僕は正直に伝えることにした。


「五十木、その新しい髪型も可愛いよ」

「はっ、あううんっ♡♡」

「髪型だけじゃなくて、五十木の身体は全部可愛い」

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あああっ♡」


 僕に褒められたところで、五十木はキモイと思うだけかもしれない。しかしどうせ犬神のやつは、五十木に「可愛い」の一言だって言ってやったことはないんだろう。僕は堰を切ったように、とにかく思いつく限りの誉め言葉を並べ立てた。

 五十木の顔や体だけじゃなく、細かい仕草や性格まで。自分でもよくこんなに見ていたなと思うようなところについても言葉が溢れた。


「ああっ♡ あっ♡ あっ♡ 皆森くぅんっ♡」


 そのあいだずっと、五十木のナカを僕の形にするべく腰を前後に振り続けた。ぜえはあと呼吸が乱れ肺が荒れ狂っても、五十木の良いところを言うのだけは止めなかった。


「出る! 出るぞ五十木!! お前の中でザーメン出すからな!!」

「あっ――!?♡」

「ぐううっ!! 五十木っっ!!」


 僕が射精した瞬間、五十木の腰がビクビクっと跳ねたのが、その腰を掴む自分の手から伝わって来た。

 あの日以来、何度オナニーしても満たされなかった欲求が、五十木の中で精液を撒き散らしていると嘘のように溶けて行くのがわかった。

 圧倒的な快楽に脳を満たされ、とめどなく射精しながらそのとき僕が考えたのは、どうやってこいつを僕のところに繋ぎ止め、こうしてセックスする関係を維持するかということだ。もうこいつの身体なしの状態には、僕は戻れそうになかった。

 僕は、一回だけでヘトヘトになってしまった五十木の身体を裏返すと、コンドームを取り換えて、高々と上がったお尻を掴んでチンポをマンコに挿入した。


「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっあああっ♡ あっあっあっあっ♡」


 突くたびに中がこなれ、五十木の声が甘くなっていくのを実感する。そのまま何度も何度も射精して、亀頭の先端から出る精液がすっかり薄くなってからも、五十木の中でイキ続けた。

 そしてそのあいだも、僕の口から出る五十木への誉め言葉は止まらなかった。


「好きだ、好きだ五十木っ。あいつなんかより僕の方がお前のことが好きなんだ!」

「んおっ♡ おっ♡ おっ♡ おおおっ♡」

「もっと感じてくれよ五十木! 五十木が気持ちよくなるまでピストンするのやめないからな!」

「あっ♡ くるっ♡ 私何かくるっ♡ 皆森くんっ」

「イけっ! そのままイけ! 五十木!」

「イクっ、イクっ、いっっくぅ……っ! あああ……っ!」

「ぐあ……っ、めっちゃ締まる! 出る……!! うっ!!!!」


 そのとき五十木は、確かに僕とのセックスで絶頂した。

 僕はもう完全に精液を出し尽くした肉棒を彼女のマンコに入れたまま、その背中に覆いかぶさって胸を揉みあちこちにキスを繰り返したのだった。

 その日、僕が嫌いな犬神芳樹に惚れているクラスメイトの五十木聖来は、晴れて僕のセックスフレンドになった。

Comments

続編希望大です。

slza

私はこの話がとても気に入った。 続編があってもいいと思う。 相手にされない相手から恋心を奪うのはエロティックだ。 そして、彼がそれを取り戻したいと思ったとき、それはもう不可能だろう。

jorsh


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