SamSuka
黄金の黒山羊(黒胡椒サラミ)
黄金の黒山羊(黒胡椒サラミ)

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器用貧乏冒険者が駆け出しパーティの女子たちとダンジョンに閉じ込められる話

「トラップだ。出口が塞がれた。どうにかして脱出する方法を見つけないと」


 できるだけ絶望感を与えないよう声色には気を使ったつもりだったが、俺がそう言った途端、彼女たちの顔面は蒼白になった。

 しかし無理もない。ダンジョンの一室に閉じ込められたと知って、動揺しないほうがどうかしている。しかも彼女たちは、冒険者としては駆け出しだ。歳も俺よりずっと若い。俺はどうにか彼女たちに希望を与えようと言葉を探った。


「心配しなくても大丈夫さ。これくらいのトラップ、すぐに解除してやるよ」

「ほ、本当にですか? 私たちを安心させるために、嘘ついてるんじゃないですよね?」

「ああもちろん。……もしかしたら、ちょっと時間がかかるかもしれないけど、だとしても食料には余裕がある。水もそっちの部屋の泉から汲めば問題ない」

「それって、あたしたちとだけでこの中で寝泊まりしなきゃいけないってこと? 嫌よそんなの!」


 その台詞を聞いて俺は思った。

 彼女たちにとっては、この状況で頼れる相手が俺しかいないという状況が何より恐ろしいのかもしれないと。順調に冒険者パーティとして経験を積み実力を高めていた自分たちが、単なる数合わせとして雇ったうだつのあがらないオッサン冒険者に頼らなければならない状況に陥ってしまったということが、何より怖いのかもしれなかった。

 俺はエリック。これでも冒険者としての歴はかなり長い。しかし悲しいかな、歴が長いだけが取り柄で、器用貧乏の烙印を押された三流冒険者だ。

 戦闘能力はほどほどだ。雑魚モンスターは倒せても強敵には敵わない。修得している魔法は初級の魔術をいくつかだけ。せいぜい明かりを灯したり擦り傷を癒す程度で、派手なことはできない。罠解除や鍵開けといったスキルも一応は身に着けているが、あまり複雑な罠には手も足も出なかった。

 それでも、本当に本当の駆け出し冒険者には「デズモンドさんは頼りになる」と言われることもある。しかし何度かダンジョン探索を経験してレベルが上がった彼ら彼女たちは、俺が実はたいしたことのない存在だとすぐに気付くのだ。

 だから俺は一つのパーティに長居しない。初めは俺のことを頼りにしていた連中の中に、明らかに俺を足手まといだと思っている微妙な空気が生まれるころ、「抜けてくれ」と向こうから言われる前に、自分から身を引くことにしていた。そう言う意味では、ここにいる彼女たちを含むいまのパーティからもそろそろ去る頃合いだと思っていた矢先の今日の出来事だ。

 だが――。


「落ち着くんだ二人とも。冷静になれ」


 少なくともパーティでいる間はパーティメンバーのことを全力で守る。それが、冒険者としての立身出世をとうの昔に諦めてしまった俺が、最後に縋り付いている信条だ。


「もし俺たちが自力で脱出することができなくても、外にいるロディとトーマスがどうにかしてくれるはずだ」

「で、でも……」

「あいつらが君たちを見捨てるはずはない。そうだろ?」

「た、確かにそうよね。うん、二人ならあたしたちのこと助けてくれるわよ」

「それでいい。前向きなほうがいつもの君らしいよ、セレナ。アイリス、君のほうは? 体調に問題ないか?」

「は、はい、エリックさん」

「よし」


 セレナとアイリス。同い年で、どちらも金髪で青い目をした少女たち。この二人は双子だ。ほとんど見た目が同じなので、俺も最初はとまどった。ここにいないパーティメンバーのロディとトーマスとは同じ町で生まれ育ったらしい。活発なセレナは槍を使った近接戦闘が得意で、内気なアイリスは治療と浄化に特化した神官魔法の訓練を積んでいる。剣士のロディと、剣と攻撃魔法を併用するトーマスとあわせて、戦闘面ではなかなかバランスの良いパーティに思われた。

 しかし彼らのパーティには、鍵開け等の裏方のスキルを持つ人材が不足していた。

 特に駆け出しの若いパーティに有りがちなことだが、ダンジョンに潜る際に重要なのは、モンスターを倒す戦闘力だと思い込む。だが実は、隠れている敵や罠を発見したりするスキルや、限られた水と食料を上手くやりくりしたりするスキル、ダンジョンで発見したアイテム類を商人に高値で売るための交渉スキルなどのほうが、よっぽど不可欠だったりするのだ。

 そういうとき、俺は雇われる。俺には特化したスキルなどないが、逆に言えばとりあえず何でもできる。あとダンジョンに潜った経験も多い。初心者パーティが自分たちに足りない部分の「穴埋め」として雇うには最適というわけだ。

 俺に声をかけたのは、彼らのパーティのリーダーであるロディだった。ロディは剣に自信があると言うだけあって、ギルドで会ったときから、剣の技量は正直俺より上だった。しかもこれからさらに伸びていくに違いないということも読み取れた。トーマスもロディ以上の天才肌だった。片手剣と攻撃魔法を組み合わせた戦闘センスが抜群だった。

 ついでに言えば、姉のセレナはトーマスと、妹のアイリスはロディと、それぞれまんざらでもなさそうな間柄に見えた。俺が知らないところで、彼らが男女として付き合っていたとしても、何ら驚くにはあたらない。――というか俺の中では、彼らは付き合っているということになっていた。


「…………」

「アイリス、どうした?」

「エリックさんは、本当にロディくんたちが私たちを助けに来てくれると思いますか?」


 その質問に「当然さ」と即答するべきだったのに、できなかった。アイリスのいつになく強い視線に押されてしまったのだ。

 俺たちが閉じ込められているのは、初心者向けダンジョンの中層の奥まったところにある一室だ。ここはほとんど先駆者たちにより探索が終わっており、罠が多いだけで足を踏み入れる価値は無いとされていた。――それなのに俺たちがここにいるのは、中層で遭遇したあるモンスターから逃げるためだった。

 そのモンスターとは長老(エルダー)級のミノタウロスだ。よほど高難度のダンジョンの深層にでも行かねば遭わないとされているその生き物に、俺たち五人は運悪く遭遇してしまった。


「そもそもこうなったのって、エリックさんも、私とお姉ちゃんもやめておこうって言ったのに、ロディくんとトーマスくんが私たちなら勝てるって言ったのが原因ですよね? しかもロディくんとトーマスくんは、あのとき――」

「それ以上言うな、アイリス」

「っ……」


 敵わない相手に手を出した報いとして、俺たちは這う這うの体で遁走することになった。ロディは剣を折られ、トーマスもモンスターの地中全体を震わすような咆哮の前にすっかり戦意を喪失してしまった。

 アイリスはいったんは黙ったが、突然大きな声を出した。


「なんでかばうんですか!? 戦おうって言ったのはあの二人なのに、最初に逃げたのはロディくんとトーマスくんだったじゃないですか! しかも、あのタイミングで逃げたら、エリックさんも、私たちも置き去りにされるってわかってたのに!!」


 声の大きさもそうだが、アイリスがこれほど目を見開いて感情を露わにするシーンを、俺は初めて目撃した。

 冒険者は死と隣り合わせの職業だ。ギルドに登録するとき散々に念を押されるし、彼らも頭では理解しているつもりだっただろう。しかし、本当に自分が死ぬかもしれないという恐怖を味わうまでは、それぞれの人間がそのときどういう行動に出るかは分からない。仲間を盾にして逃げ出す者もいれば、泣きわめいたり、呆然と立ち尽くす者もいる。――単にそれだけのことだった。

 いまのアイリスのように怒りを露わにするのも、セレナのように妹の感情の発露に怯えて竦んでしまうのも、死のストレスから逃避するための人間の反応の一種に過ぎない。


「いいかアイリス」

「あ、あ、あああ……っ」

「ロディたちを責めるんじゃない。あの二人だって、お前たちを見捨てたかったわけじゃないんだ」

「エリックさん、エリックさん……!」


 俺はパニックに陥っているアイリスの肩を抱いた。するとアイリスは、縋り付くように俺の革鎧に顔を埋め、やがて泣き始めた。俺の右手は長剣を握っていたが、左手で、わんわんと泣く少女の背中をあやすように叩いた。そしてそうしながら、セレナにも声をかけた。


「セレナも二人はきっと引き返してくるって思うよな?」

「……えっ? ……う、うん」

「さ、アイリス。そろそろ離れてくれ。部屋のトラップを解除する方法を調べないと」

「……はい、エリックさん。……ごめんなさい」


 俺たちが入ってきたこの部屋の入口は、分厚い石の壁で塞がれてしまっていた。奥にも小さな部屋がいくつかあるが、そこは出口に繋がっていない。不幸中の幸いと言えるのは、そうした小さな部屋の一つに泉があることだ。薄絹をまとう羽の生えた天使の像が持つ甕から透明な清水が溢れ、石の浴槽のような遺構を満たしていた。


(……ていうか、これは本当に風呂だったのかもな)


 と俺は思った。このダンジョンは古代の王国の遺跡である。邪悪な魔力の影響でモンスターが棲みつくようになったが、かつてはこの空間が住居として使用されていたこともあったのかもしれない。


(部屋は広いし風呂もある。そこの段差に毛布でも敷けばベッド代わりにできそうだ。ダンジョンじゃなきゃ、なかなか豪華な宿だって言いたいとこだけど――)


 そういう軽口は許されなさそうだと、俺の一挙手一投足から目を離せないセレナとアイリスの姉妹を見て思った。


(ロディとトーマスのやつ、あんな可愛い恋人がいるってのに……)


 馬鹿なことしやがってと心の中で吐き捨てた。

 さっきは二人を励ますためにああ言ったが、俺も、ロディとトーマスが自分たちを助けに戻ってくる可能性は低いと思っていた。信じてやりたいが、少なくとも、二人が来る可能性に縋って行動しないのは愚かだ。

 ずっと握り締めていた剣を鞘に納め、怪しいと思う壁や床のタイルを叩いて返ってくる音を確認する作業を始めた。新しい罠が無いか警戒しながら、出っ張りがあれば押してみて、くぼんだ場所があれば嵌め込めそうな何かが無いか探した。ろうそくの減り具合で時間経過はおよそ確認できたが、閉じ込められてから最初の夜は、部屋の探索をしているうちにあっという間に訪れた。


「――ふう。今日はもうこれくらいにするか。二人とも、飯にしよう」

「…………」

「…………」

「二人とも?」

「えっ、あっ、そ、そうだよね。こんな状況でも何か食べないと……。アイリス、ご飯にしましょ?」

「う、うん」


 俺の声掛けをきっかけに、ずっと突っ立っていた二人が動き始めた。泉から汲んだ水を沸かし、携帯食に熱を通し粥のようにしたものを食べ始めたころには、初期の絶望からはだいぶ立ち直ったような顔をしていた。やはり、温かい食事には人を元気にする力がある。


「ごめんねエリックさん。明日からはあたしたちも手伝うから」

「ああ、そうしてもらえると助かるよ」

「あたしもアイリスも、罠の解除とか全然知らないけど……」

「どこか怪しいところがあれば教えてくれるだけでも、相当ありがたいさ」

「うん」

「アイリス、鍋の中身がまだ余ってるぞ。お代わりをよそってやるから椀を貸せよ」

「お、お願いします。――あっ」

「どうした?」

「な、なんでもないです」


 お代わりを渡そうとしたとき、俺とアイリスの指先がわずかに触れた。アイリスは、危うく椀を落としかけた。


「おいおい、気をつけろよ」

「は、はい」

「……顔が赤いんじゃないか? 風邪でも引いたか?」

「違います。大丈夫です」

「本当にか? 体調が悪くなったら、誤魔化さずに逐一報告するんだぞ」

「はい、エリックさん」


 その夜は、俺と二人は別々の小部屋に分かれて眠ることにした。二人の恋人たちがいない状況で俺が彼女たちと同じ空間で眠るのは気が引けるから、複数の小部屋があって良かった。女子である二人は、寝る前に装備を外して泉で身体を洗っていた。やっぱりあれは風呂だったのかもしれないと思うと共に、ほんのり漏れ聞こえてくる二人が身体を洗う水音に、可能な限り気を止めないようにしていた。


(……それにしても、扉の罠を解除する手がかりは全然見つけられなかったな。この調子だと持久戦になりそうだ。余分に食料を持ってきておいて良かった)


 そんなことを考えながら眠りにつき、翌日は早朝から丸一日を部屋の探索に使った。セレナとアイリスは「妙なものがあっても俺に報告するまで絶対に触るな」という指示に素直に従ってくれた。特にセレナのほうは、俺のことをロディやトーマスよりも頼りにならない、うだつの上がらないおっさんだと見ている節があったから、それは少し意外だった。

 二日目の晩、俺が正直にそれを言うと、セレナは露骨に狼狽えた。


「え? あ、あたしのエリックさんへの態度ってそんなに酷かった?」

「うん、私も思ってたよお姉ちゃん。お姉ちゃん、いっつもエリックさんのことおじさん扱いして、馬鹿にした感じの言い方してたよね?」

「だ、だってあれは……――そうかもしれないけど、あれはちょっとしたコミュニケーションみたいなもんじゃん!」

「そういうの、言われてるほうは傷付くんだよ?」

「うう……。エリックさん、怒ってる?」

「いや、怒ってはないけどさ。アイリスの言う通り、おっさんって言われて傷付いたのは確かだな……」

「も~! ごめんなさい! あたしが悪かったから勘弁して、ね?」

「はははは」


 一歩間違えれば二人のメンタルは崩壊していたかもしれないが、それを免れることができて本当に良かった。安堵のあまり、こんな状況なのに笑いが零れてしまう。そして改めて、ロディとトーマスのことが羨ましくなった。このアイリスとセレナを恋人にしていることもそうだが、あいつらには俺と違って将来がある。今回のことは苦い失敗として記憶に刻まれるだろうが、それでも才能があるあの二人は、やがて立派な冒険者になるだろう。とっくにレベルが打ち止めになり、いつまでもうだつの上がらない俺とは違う。


「――ねえ、エリックさん」

「……ん? どうしたセレナ」

「エリックさんはなんで冒険者になったの?」

「……忘れたよ、そんなこと」

「隠すの? 教えてくれたっていいじゃん」

「お姉ちゃん、ダメだよ」

「アイリスだって聞きたいって思ってるくせに」

「そ、それはそうだけど――」

「はははっ」


 かつては俺にも夢があった。しかし、その夢を追う資格があるのは、一握りの才能に愛された者だけだ。冒険者の才能がないと気付いたとき、俺はさっさと別の職を見つけるべきだった。そうやって去っていった連中も山ほどいる。きっと連中は賢かった。――そんなことに想いを馳せながら、俺が初級の火の魔法陣で沸かしている鍋を掻き混ぜた。


「……私は槍だけだし、アイリスは神官呪文だけだけど、エリックさんみたいに色々できないと、冒険者って続けられないのかな」

「セレナ、俺みたいなのは器用貧乏って言うんだぞ。最初はロディみたいに剣士を目指そうとしたけど、全然腕が上がる気配がなかったから魔法を勉強した。それも初級の呪文しか使えなかったから鍵開けとかを習得してみた。そんな感じで手当たり次第にやってたら、君の言う通り、気付いたらおっさんになってた」

「エリックさん、普通にまだ若いでしょ」

「おいおい、どっちだよ」


 セレナのいままでと違った物言いに俺は苦笑いした。そんな俺とセレナを、アイリスが無言で交互に眺めていた。

 その夜を終えて、さらに次の日、俺は脱出のためにある手段を取ることを決意した。それは壁に穴をあけ、そこに火薬を詰めて発破し、向こう側に抜けるだけの大きさに穴を拡げるという方法だった。

 俺がその案を話すと、セレナとアイリスは目を丸くした。


「火薬って……錬金術師が作る道具ですよね? そんな貴重なもの、どこにあるんですか?」

「ほんの少しだけど荷物の中にある。地下のダンジョンに潜るんだから、もしかしたらこういうこともあるかと思って調達しておいたんだ。俺の呪文じゃ壁に穴を開けるには威力が弱すぎるし、ピッケルで一から掘るには時間が掛かり過ぎるだろうけど、この方法ならどうにかなるかもしれない」

「でも危なくない? 間違って爆発させてエリックさんが怪我とかしたら……」

「危険は承知の上だ」


 柄にもなく少しカッコつけすぎただろうか。言ってから思ったが、二人は笑わなかった。ひとまず俺の案を採用するが、同時並行で他の脱出法も探りながらということになった。

 セレナが言った通り俺が火薬の調節を間違えて負傷する事態も考えられるし、爆破音に誘われて例の長老級ミノタウロスが寄ってくるかもしれない。壁の向こうに出たらあいつが待っていたということになれば、今度こそおしまいだ。だがとにかく食料があるうちに行動しなければならなかった。

 それから俺は二人を助手にして黙々と作業した。簡易ピッケルを使い、硬い石壁に火薬を仕掛けられるだけの穴を開けていった。三人とも防具は脱ぎ、埃塗れの汗だくになって作業した。その作業に丸三日を費やした。

 夜になれば三人で食事を摂った。そこで俺たちは色々なことを話した。こんなことを思うのは可笑しいかもしれないが、久々にパーティメンバーと打ち解けることができた気がした。

 だから俺は――。


「二人とも聞いてくれ。明日、火薬を爆破させる」

「…………」

「…………」

「それで無事に壁を貫通できたとして、その先でもしあのミノタウロスに遭遇したら、前に言った通りにしてくれ」

「……エリックさんを囮にして、あたしたちだけで逃げろって?」

「そうだ」

「そのあとエリックさんはどうするんですか?」

「あいつをどこかにおびき寄せて、残りの火薬に火をつける。天井を崩落させたくらいであいつを生き埋めにするのは無理かもしれないが、少しくらいは時間を稼げるだろ」

「違うでしょ? とぼけないで。アイリスは、そんなことしてエリックさんは無事に帰れるのかって聞いてるのよ」

「…………」

「あたしたちにヤケになるなとか言っておいて、ヤケクソなのはエリックさんのほうじゃないの?」

「そんなことは……いや、そうかな……」

「そうよ。ここまで来たんだから、三人一緒に地上に戻りましょ」

「でもどうやって」

「案外、その場になってみたらいいアイデアが浮かぶかもしれないですよ、エリックさん」


 そう言いながら、アイリスが俺の膝に手を置いて来た。そこで俺は、初めて自分が震えていたことに気付いた。

 セレナもアイリスも、俺に優しい微笑みを向けていた。

 なぜか涙が込み上げてきた。


「……すまない、二人とも。もう少し俺が頼りになるやつなら良かったんだけど」

「充分頼りになってるわよ」

「そうですよ。エリックさんがいなかったら、私もお姉ちゃんも、きっと壊れてました」

「あっ、ちょっとアイリス!」

「なあに? お姉ちゃん」


 アイリスが俺の頭を撫でたのに反応して、セレナが大きな声を出した。俺は涙を堪えると、二人に「ありがとう」と礼を言った。


「こっちこそ」

「ありがとうございます、エリックさん」


 それで彼女たちの気持ちは充分に受け取った。俺はそう思っていた。だがそれから寝る前に、二人のあとで浴槽のような泉の水で身体を洗っていると、泉のある小部屋の入口に気配を感じた。

 俺はそのとき、泉に身体を浸していた。水は少し冷たかったが、日中の作業でこびりついた埃や汗を流し、火照った身体を鎮めるためにはちょうど良かった。


「――な、な」


 その気配に気付いた俺は立ち上がったが、それは不味かったかもしれない。

 何しろ俺は裸なのだ。そんなことをすれば、彼女たちの前で局部を晒すことになる。


「セレナにアイリス、なんで……」

「えっと、さっきのあれだけじゃ、お礼したりなかったかなあって」

「お姉ちゃんと話し合ったんです」


 そこには既に寝てしまったと思っていたセレナとアイリスが、俺と同じように裸で立っていた。双子だけあって瓜二つの彼女たちは、白い肌、白い乳房を惜しげもなく晒し、流れるような金色の髪を背中に垂らして立っている。


「話し合ったって言ってるけど、最初この子だけで抜け駆けしようとしてたんだから」

「そうだったっけ?」

「とぼけるんじゃないわよ」


 このダンジョンで長老級のミノタウロスに遭遇したときよりも理解が追い付かなかった。すまし顔でとぼけるアイリスに、眉を吊り上げたセレナが怒っているが、やはり二人は裸なのだ。パーティを組んで以来、着替えるシーンすら目撃したことが無かったが、彼女たちの肢体は思わず生唾を飲み込んでしまうほど魅力的だった。健康的で瑞々しく、細くはあるが、つくべきところにはしっかり肉がついていた。


「うっわ、スケベな目で見られてる。やっぱりエリックさんっておじさんだね」

「そ、そんなに真剣に見られると、恥ずかしいです……」

「ど、どういうつもりなんだ二人とも。お礼ってどういう意味だ」

「……そんなの分かるでしょ?」

「……私とお姉ちゃんの身体、エリックさんにあげます。好きにしてください」


 実に唐突だが、男にとってこれほど魅力的な申し出があるだろうか。不覚にも、俺の肉棒にはみるみると血が通い、二人の前で角度を上げていった。


「あ……おチンチンってあんなになるんだ……」

「凄い……おっきい……」

「男の人が興奮したら大きくなるって聞いてたけど、初めて見た……」

「待て、二人とも待ってくれ。早まるな」

「早まってなんかないです。ここまで来られたお礼をどうしたらいいか考えたけど、これしか思いつかなかったんです」

「だからそれが早まってるって言ってるんだ。君らにはロディとトーマスがいるだろ。こんなおっさんに抱かれようだなんて、そんな――」


 大人の建前を述べながら目いっぱいに狼狽える俺とは対照的に、彼女たちは恥じらいつつも覚悟を決めてきたようだった。一歩一歩俺の傍まで歩み寄ると、手を伸ばさなくても触れる距離まで近付いた。

 彼女たちは言った。ロディとトーマスは、やはり自分たちを俺ごと見捨てたのだと。一度ああいう場面を見せられて、再び彼らとパーティとしてやっていくことはできないと。そこで知ったが、彼らと彼女たちの関係はやはり恋人同士だったが、男と女の本格的な関係までは進んでいないということだった。


「ねえ、エリックさん」

「セレナ……」

「私たちの胸、触ってみてください」

「アイリス……」


 セレナとアイリスは、それぞれの両手で俺の手を片方ずつ取り、己の心臓の上に押し当てた。少女たちの胸は柔らかく、それでいて温かかった。

 普通、彼女たちのような娘が、俺みたいな男になびくわけがない。十日足らずの地下生活で、情が移ってしまったということだろうか。それともやはり、死を意識した結果の自暴自棄か。どちらにせよ、二人の誘いをはねのけるべきなのは知っていたが、俺の意志はそこまで強くなかった。ダンジョンにいるあいだは性欲を発散する機会がほとんど皆無なのも手伝って、俺のペニスは急に目覚めたかのように硬く充血して反り返っていた。


「びくびくしてる」


 とセレナは感想を零した。その通り、俺のペニスは俺の心臓の鼓動に合わせて脈打っていた。二人の少女の視線を集めて、もはや勃起は痛いくらいになっていた。


「本当にいいのか?」

「はい」

「ここまで来て引き返せるわけないでしょ」


 そこで俺の理性は完全に切れてしまった。俺は二人に覆いかぶさるようにその身体を抱き寄せ、セレナとアイリスの順に唇を貪った。


「んっ♡ んんっ♡」

「ああっ、エリックさんっ♡ んんぅ♡ もっとおっぱい揉んでください♡」

「あたしのおヘソに、エリックさんのガチガチのが当たってるよ♡ すごく熱いっ♡」


 理性のタガが外れたのは二人も同じだった。

 極限状態に置かれた男女が、ふとしたはずみで一線を越えてしまうというのは、たまに聞く話ではある。本能が暴走し、煮えくり返った性欲をどうにか発散して鎮めないことには、眠るなど出来そうになかった。

 二人の唇を交互に吸いながら胸を揉みまくると、コリコリになった乳首が俺の手のひらに当たった。それに加えて彼女たちの心臓の鼓動が伝わり、俺も彼女たちも生きているという実感が湧いて来た。

 ガッツいているのは俺だけじゃなく、セレナとアイリスも淫らに俺を求めた。彼女たちの方かも俺の唇を求め、細い腕が俺の身体に絡みついてくる。やがてしなやかな少女の指が、ペニスをさわさわと撫で始めた。


「くあ……っ」

「エリックさん、すごく気持ち良さそうな顔してます」

「だって仕方ないだろ。どこでこんなこと覚えたんだ、アイリス」

「実は、ずっと興味はあって自分で勉強してたんですけど、実際にしてみる勇気は湧かなくて……」

「おいおい……」

「あたしにも触らせて、アイリス。……なんか先っぽヌルヌルしてる。これって大丈夫なやつ?」

「エリックさんが私たちで興奮してくれてる証拠だよ、お姉ちゃん」

「やばい、そんなふうに二人の手で触られてたら――ぐっ!」

「きゃっ!? びくんってした!」

「これってもしかして――」


 金髪の少女たちの青い瞳が、俺の顔を見つめてきた。次の瞬間、限界に達した俺のペニスは、精液という名の欲望の塊を勢いよく吐き出していた。

 相当溜まっていたんだなと、自分でも半分呆れると同時に半分関心してしまった。それくらい大量のねばついた子種汁が、放物線を描いて飛んだ。


「……っ♡」

「すごい……♡」


 ザーメンの匂いを嗅いだ少女たちは、ぽーっと顔を赤らめた。俺は左右の手で彼女たちの肩を抱き寄せながら、腰をビクビク震わせて射精に没頭していた。脳が痺れ、涎が口の端から零れそうなほどの快楽。可憐な少女たちに見守られながらの射精は、頭がおかしくなるくらい気持ち良かった。


「う、あああ……」

「止まったの……? あ、でもおチンチンしこしこってしたらまだ出るよ」

「ぐっ、うう!」

「あっ、痛い?」

「いや違うセレナ。でもいま敏感になってるから慎重に――うああ……」

「エリックさん、もう一回キスしてください」

「アイリス……」

「ん……♡」


 羽の生えた天使像が掲げる甕が、泉に新しい水を供給し続けている。その天使像はずっと昔に彫られたときのまま慈愛の微笑みを浮かべている。そして俺の身体にまとわりついているのは、天使にも劣らぬ美少女たちだ。いや、体温のある生身の身体を持つだけ、空想の天使たちより彼女たちのほうが勝っている。

 俺は射精させてくれたお返しに、自分の正面に立たせた二人のマンコを指で弄り始めた。町の娼婦と違って使用感の全くない二人の割れ目は、すでに表面が火照って赤らみ、同時に汗ばんでいた。


「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっん♡」

「んっ♡ んんっ♡ ひぅっ!?♡」


 俺は二人に自分の手で抵抗することを禁止させ、まずはクリトリスから慎重に刺激してやった。二人の反応はとても良かった。ぷくりと膨らんだ陰核を押したり摘まんだりしてやるだけで、切なくも淫らな表情をたっぷりと見せてくれた。

 弾みかつ彼女たちからの申し出があったからとは言え、可愛い恋人を寝取るような真似をして、この二人の交際相手であるロディとトーマスに対し申し訳ないと思う心は、とうの昔にどこか隅に追いやられてしまっていた。


「エリックさんっ♡ これだめっ♡ 立ってらんなくなるっ♡」

「ひぁっ♡ あっ♡ あああっ♡」

「おいおい、こんなんで音を上げるなよ二人とも」


「んんっ!?♡ やだぁっ♡ アソコいじりながらおっぱい吸うのエッチ過ぎだってばぁっ♡♡」

「エリックさん私もっ♡ 私もお姉ちゃんみたいにおっぱい吸ってくださいっ♡♡ あっ、んんぅうっ♡♡」

「ちょっ、アイリス! エリックさん取らないでよ!」

「お姉ちゃんもいっぱいしてもらったんだからいいでしょ!」

「喧嘩するなって。こうなったら、どっちもしっかり満足させてやる」

「ホント? 噓だったらやだよ?」

「えへへ♡ お願いします♡ エリックさん♡ んっ、あああっ!」


 アイリスが絶頂し、少し遅れてセレナも絶頂した。

 俺は二人への愛撫をさらに継続した。さっき射精して萎えかけていたペニスは、エロ過ぎる少女たちの嬌声を耳にして既に完全復活している。俺は肉棒をギンギンにいきり立たせながら、中指を二人の割れ目に挿入した。


(くっ、流石にキツいな……!)


 第一関節を入れただけで、ぎゅうっと締め付けてくる感覚が凄かった。それでも胸やクリトリスへの愛撫と並行して丹念にほぐしていると、ちょっとは柔らかくなってきた。二人はそのあいだ、何度も何度も俺の名前を叫びながら軽い絶頂を繰り返していた。


「……よし。これならそろそろ入るかもな」

「ふーっ♡ ふーっ♡ ふーっ♡ ふーっ♡」

「あっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡」

「二人とも移動するぞ」

「ま、待って。あたしもアイリスも足ガクガクして歩けないよ」

「仕方ないな……。じゃあ俺の身体に寄りかかっていいぞ」

「あっ♡」

「エリックさん……♡」


 俺たちは泉から出た。そして俺に腰を支えられた二人は、俺と共に、俺が寝床に使っていた小部屋に移動した。壁の隅の段差に毛布を敷いて簡易ベッドにしてあった。


「それじゃあ、まずはどっちから大人になる?」

「ア、アイリス、あんたに先譲ってあげる」

「お、お姉ちゃんが最初でいいよ」

「なんだよ、今さら怖気づいたのか?」

「そ、そんなんじゃないし! でもちょっと怖いっていうか……」

「それを怖気づいたって言うんだ。ほら観念しろ」

「きゃっ!?」


 いわゆるお姫様抱っこというやつでセレナの身体を持ち上げると、彼女は柄にもなく可愛い悲鳴を出して俺に縋り付いた。「お姉ちゃんずるい」と羨ましがるアイリスの前で、俺はセレナをベッドに横たえた。


「心の準備はいいか?」

「う、うん。……優しくしてください、エリックさん」

「ああ、善処する。――ちょっとだけ脚開いてくれるか? そうやって閉じられてると挿入しにくいんだ」

「こう?」

「ああ、それでいい」

「この格好、かなり恥ずかしいんだけど……」

「これからもっと恥ずかしいことするんだから我慢しろ」

「お姉ちゃん、頑張って」

「ありがと、アイリス」

「――いくぞ」


 俺が合図すると、セレナはきゅっと眉をひそめて頷いた。ガチガチに勃起した肉棒の先端をセレナの割れ目に添えると、それだけで物凄い熱さが伝わってきた。セレナは身体をビクっと震わせ、「手を握って欲しい」と子どものようにねだってきた。もちろん俺は要求通りにしてやった。

 そして――。


「んっ!!♡♡」


 俺が腰を進めると、赤黒い亀頭が少女の割れ目をメリっとこじ開けた。俺たちは、性器粘膜同士が接触する感触に打ち震えた。


「このままゆっくり挿れるからな……」

「~~~っっ♡♡ ――っは♡♡ ~~~っっ♡♡」

「無理して喋ろうとしなくてもいいぞ」


 セレナの処女が、彼女が十数年間守ってきた純潔が、俺のようなうだつの上がらない年かさの冒険者の肉棒により奪われていく。奥へと進んでいく最中、彼女の目尻からぽろっと涙が零れたが、それは俺に処女を奪われたことを嫌がっているのではなかった。

 姉の次に俺に同じことをされる妹は、息を飲んで瞬きもせずに俺とセレナが繋がる様子を見守っていた。


(凄いな、これ。挿入しただけでこんなに気持ちいいなんて。生き物みたいにヒダが吸い付いてくるし、なんかザラザラしたのが当たる。これが名器ってやつなのか?)


 俺が比較できる対象なんて娼婦くらいしかいないが、この締め付けと絡みつく膣ヒダの感触は、感動的なほどだった。


(駄目だ。手加減しようと思ってたけど、腰が止まらない――!)


 俺はセレナと手を繋いだまま本格的なピストンを始めた。


「あっ、あっ、ああっ、あっ!」

「お姉ちゃん、痛いの?」

「うん、ちょっとだけ――……んっ、んんぅっ」

「私が回復呪文かけてあげるね」


 アイリスはそう言うと、姉の腹部に左手を置いて呪文を唱えた。淡い光が輝いて、セレナの表情から苦痛の色が消えた。


「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」

「ありがとうアイリス」

「どういたしまして、エリックさん」


 そんなやり取りをしているあいだにも、俺のペニスはセレナの膣内を盛んに往復していた。アイリスの回復呪文のお陰で処女膜を貫いた痛みは和らぎ、セレナは徐々に快感を覚え始めているようだった。


「あんっ♡ あっ♡ あっ♡ あああっ♡」

「お姉ちゃん気持ち良さそう。エッチってこんなふうにおチンチンが出入りするんだ……」

「セレナが終わったら次はアイリスの番だからな」

「……はい。どうしよう、凄く緊張してきちゃいました」

「だったらキスでもするか? 気がまぎれるかもしれないぞ」

「はい♡ ――ん、ちゅう……♡」

「ちょっと、二人してなに? いまはあたしとエリックさんがセックスしてるんだからね!? ――あっ♡ あっ♡ そっ、それすごいよぉおっ♡♡」


 ヘソの裏を突き上げるように角度を変えると、セレナは背中を弓なりに反らして悶えた。いまだにダンジョンに閉じ込めれているにも関わらず、アイリスと睦み合うようなキスを重ねながらセレナのマンコを肉棒で耕すのは天国に思えた。

 セレナの胸が乳房が俺のピストンのリズムに合わせて揺れ、アイリスは、姉と同じ形の乳房をキスしながら俺の身体に押し付けていた。


(ぐっ、出るっ!!!!)


 射精の瞬間セレナのマンコから肉棒を引き抜いたのは、まだ理性がひとかけらだけ残っていた証拠かもしれない。愛液でヌルつく膣内から引き抜かれた瞬間、ペニスは空中で暴れ回りながら精液をばら撒いた。そしてその全てが、セレナの身体に降り注いだ。


「はぁっ、あっ♡ あっつい……♡」

「はぁ、はぁ、悪いセレナ。我慢できなかった」

「ううん、あたしも気持ち良かった……。ていうか、少しイっちゃった……」


 俺とヤリ終えた直後のセレナは、陶酔感たっぷりの表情で、自分の裸体に降りかかる精液を眺めていた。火照った彼女の肌が半濁のオス汁によりデコレーションされ、ピンク色の乳首と閉じ切らない膣の入口とのコントラストも相まって実にエロかった。ほんの少しヘソ下がビクビク痙攣しているのは、言葉通り彼女も絶頂したからなのだろう。


「ねえ、エリックさん」


 俺とセレナが見つめ合っていると、アイリスが胸を押し付けながら耳元で囁いて来た。


「お姉ちゃん、エリックさんのおチンチンにキスしたそうな顔してますよ……?」

「……っ」

「させてあげてください」


 双子だから相手の考えていることがわかるのだろうか。アイリスにそそのかされるまま、俺は射精を終えたばかりのペニスの先を彼女の口元に持って行った。するとセレナは口をすぼめ、ちゅうっと吸い付くようなキスを亀頭の先端に捧げた。


「次は私の番ですよね?」


 俺はアイリスを、放心状態のセレナの隣に横たえた。そして萎える気配のない肉棒を、ぴっちり閉じた割れ目にあてがうと、ゆっくりとその中に突き刺してアイリスの処女を奪った。


「あ、はぁあ……♡♡」

「アイリスの中も気持ちいい……!」

「良かった、嬉しいですエリックさん♡」


 アイリスは俺に向かって手を伸ばし、抱擁を求めてきた。彼女の脚は俺の腰の後ろに絡みついていた。少女と密着したまま腰を振ると、膣ヒダに包まれた肉棒に与えられる快感だけじゃない幸福感と安心感に全身が満たされた。


「好きですエリックさん♡ 嘘だと思ってますか? 私もお姉ちゃんも、エリックさんの頼りになるとこ見せられて、励まされたりしてるうちに、好きになっちゃったんです♡ ロディくんとトーマスくんよりもっ♡ だから責任取ってください♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あんっ♡」

「おいアイリス!? そんなふうに脚で押さえられたら抜けなくなる――!」

「いいですよっ♡ 中で出してくださいっ♡ 出してっ♡ その代わり、私たちの身代わりになって死ぬなんて言わないでくださいっ!」

「うおあっ! 締まる……!!」

「あっ♡ エリックさんの精子くるっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あああああっ!!」


 密着抱擁した体勢で、アイリスの膣奥にザーメンを吐き出していた。

 誰にも穢されたことのない少女の子宮が、俺の子種で満杯になっていく。俺は色々と堪らない気持ちに襲われて、アイリスをさらに強く抱き締めながら彼女と舌を絡め合った。


「……ふう。どうしよう、まだ勃起収まりそうにないぞ」

「どうしようって、こうなったらとことん、でしょ? 次はあたしの中に出してよね」

「セレナ」

「お姉ちゃんずるい。私ももっとしてもらいたい」

「アイリス……」


 火がついた少女たちの性欲は、俺よりよっぽどすさまじかった。彼女たちは俺のペニスを左右から顔で挟み込むと、ペロペロと丹念に舐め始めた。


「んむ♡ はぁむ……♡」

「ちゅうう……♡ れろぉ……♡」


 二人の舌と唇が俺の肉竿と亀頭の表面を這いまわる。ペニスに付着していた二人の愛液と俺のザーメンは、彼女たちの唾液にあっという間に置き換わった。そして俺は、そうやってますます強勃起することになったペニスを、四つん這いになり尻を並べた二人の背後から挿入したのだった。


「んあああ♡ また来たぁ……♡」

「セレナの中、さっきよりすんなり挿入できたぞ」

「うん。あたしの中、エリックさんのおチンチンの形覚えさせられちゃった♡ でもまだ足りないから、もっともっと教えて欲しいな♡」

「わかった」

「あっ♡ あっ♡ あっあっ♡」


 ダンジョンの密室内で少女の嬌声が奏でられる。俺が一突きするごとに、セレナもアイリスも新しい性の悦びに震えながら大人の女になっていった。


「セレナ、注ぎ込むぞ!!」

「うんっ♡♡ 来てぇっっ!!♡♡♡ あああああっ♡♡♡」

「ふううう……」

「ああ……エリックさん、お姉ちゃんのお尻にぴったり腰押し付けて射精してる……っ。あんなのどこにも逃げられないよ……」

「アイリス、次は君の番だ」

「はっ、はいっ♡ 来てくださいっ♡ ふああああ♡♡♡」


 俺たちは本能のままサカり倒した。

 三人の身体の境界がどこなのか曖昧になるほどに肌を密着させ、腕と脚を複雑に絡め、一緒に快楽の沼に沈んでいった。中出しに次ぐ中出し。二人の顔と身体にもぶっかけまくり、若い二人に徹底的に俺の精液の匂いを刻み込んだ。


「ほっ♡ おっ♡ おおっお♡ おっ♡ おっ♡」

「おいセレナ、君のマンコが俺のチンポを追いかけてきてるぞ。あんなに注いでやったのに、まだ足りないって言ってる」

「エリックさん、エリックさぁん……♡♡♡」

「アイリス、心配しなくても次はまた君の番だ」

「はい、嬉しいですぅ……♡♡♡」


 全身がドロドロだった。脳ミソまでも理性と共にドロドロに溶けていた。最後、俺は二人を順番に背後から羽交い絞めにして犯した。乱暴なモノ扱いするようなセックスだったが、一突き一突きに、二人を無事ここから連れ出すという決意を込めた。そしてとどめを刺すように子宮に子種を注ぎ込むと、半ば気絶した二人と共に眠ったのだった。

 そして翌朝になり――。


「ん♡ ちゅ♡ エリックさん、もっとエッチに舌絡めようよ♡」

「おチンチンは私が咥えてあげますね♡」


 俺たちはまだセックスしていた。

 ――どうせ火薬に火をつければ後戻りできないのだから、予定を一日遅らせたところで大差ない。その遅らせた一日分を三人でセックスして過ごそうと、セレナとアイリスが提案してきたのだ。

 泉の小部屋で昨夜のセックスの汗を流していた俺たちは、水浴びしながら本日のセックスに突入していた。俺の身体にまとわりつく姉妹が、俺が特に何もしないでも快感を与えてくれる。冷たい水に身を委ねながらセレナと舌を絡め合い、肉棒を愛撫するアイリスの口内の感触を堪能していた。


「うっ、おおおっ」


 セレナに乳首を弄られつつアイリスの口奉仕を受けて、思わず声が漏れてしまう。セレナは俺の頬を撫でながらつぶやいた。


「エリックさんのおヒゲ、だいぶ伸びちゃったね」

「そりゃここに来てから剃ってないからな」

「ふーん。キスしながらじょりじょりするの気持ちいいかも♡」

「――おっ、おおっ」

「あ~あ、気持ち良さそうな声出しちゃって。あたしらみたいな年下の女の子たちに攻められっぱなしで悔しくないの?」

「セレナこそ昨日はあんなしおらしい声で感じてたくせに、よく言うよ。――うおっ!?」


 皮肉を封じるようにカリカリと乳首を弄られた拍子に、俺はアイリスの口内にザーメンを吐き出していた。びゅるびゅると無遠慮に噴き出す精液を、アイリスは文句も言わず喉を動かして胃に納めていった。そして今度はマンコを俺に差し出して、騎乗位で腰を振り始めた。


「ふあっ♡ あっ♡ あっ♡ ひああっ♡ イクっ♡ イキますエリックさんっ♡」

「アイリスってば、すっかりエリックさんのおチンチンに夢中だね♡ ……あたしもだけど♡」


 食料がまだ残っているのを良いことに体位を変えてはサカることを繰り返し、結局その翌日もセックスに夢中になった。

 設置されたまま火薬が、むなしく着火を催促しているように見えたほどだ。

 でもいい加減、今日こそは脱出を試みるべきだ。――そう思いながら、俺に中出しされまくってイキまくった挙句に幸せそうに眠る全裸の二人を、左右の腕に抱えるように目覚めた日の朝、俺は閉ざされた扉の向こうから響く音に気付いた


「――二人とも、すぐに装備を着けろ!」


 跳ね起きながらそう指示した俺は、自分も服だけは着て、音がする壁のほうに向かって剣を構えていた。ゴンゴンと叩くような物音は、例のミノタウロスが外から壁を破ろうとしているのだと思った。


「エリックさん!?」

「俺がいいって言うまで奥にいろ!」


 俺は、慌てて服を羽織り小部屋から出てこようとしたセレナとアイリスを制止した。

 自分たちを守って命を捨てるなと言われたが、この状況になれば、やはり先に死ぬべきは俺のほうだろう。

 思いがけぬ良い想いをさせてもらった礼でもある。

 そうやって覚悟を決めたつもりだったが、ガラガラと壁が崩れて現れたのは、とても見慣れた顔だった。


「エリック! 無事だったか!」


 後にも先にも、そのときほど拍子抜けしたことはない。

 採掘用具を手にした冒険者ギルドのやつらがそこにいた。


「ど、どうして……」

「お前がいつまでも帰って来ないから、あのロディとトーマスとかいうガキどもを締め上げたんだ。そしたらお前らをダンジョンに置き去りにしたって白状しやがった。――でも大変だったんだぜ? 長老級のミノタウロスをしばくために、わざわざ王都のほうから手練れの冒険者を呼び寄せたんだ」


 そう言われて見やった顔の中には、かつて俺が加わっていたことのあるパーティの連中の顔があった。そいつらも、最初はセレナたちのような駆け出しだった。ずいぶん成長していたが、見間違えようはなかった。


「そしたら、初心者の頃にお世話になったエリックさんのためならだってよ」


 どうやら俺たちは助かったらしい。

 今回は焦って行動せず、大人しく救助を待つほうが正解だったようだ。

 何年冒険者をやっていても、正しい選択肢というのはわからない。

 それにロディとトーマスも無事だったのか。

 俺が呆然としていると、ギルドの仲間は言った。


「お、そっちの娘らも無事だったか。まあ、エリックがついてたんだから心配はないよな。……けど顔が赤いのはなんでなんだ?」


 慌てて「なんでもありません」と取り繕っているセレナとアイリスの顔を見ながら、とりあえず二人を死なせずに済んだと知った。



  §



 ダンジョンに閉じ込められてえらい目にあってから、早くも一年の月日が経過した。

 俺はまだ冒険者を続けている。相変わらずの器用貧乏で、できるのは数合わせに初心者パーティに加えてもらうくらいだが、俺はこれ以外に食っていく道を知らない。

 少し以前と違うのは、ギルドの本部から正式な初心者パーティの指導員に任命されたということだ。俺が加わっていたパーティメンバーの死亡率が、その後を含めて極端に低いことが評価されて……ということらしい。多分、誇りに思うべきことなのだろう。複雑な部分もあるが、嬉しくないと言ったら嘘になる。

 俺は今日も駆け出し冒険者たちとのダンジョン探索を終え、我が家へと帰還した。指導員として得られる報酬もあり、手狭ではあるがれっきとした一軒家に住めるようになっていた。その家の扉を開けると、腹をでかくしたエプロン姿の女性が二人、満面の笑みをほころばせつつ、声をそろえて言った。


「「お帰りなさい、エリックさん」」

「ああ、ただいま。セレナ、アイリス」

「今日もお疲れ様。ご飯できてるから、早く手を洗ってきて」

「鎧脱ぐのお手伝いしますね、エリックさん」


 あの出来事をきっかけに冒険者を辞めた金髪の姉妹は、いつしかこうして二人とも俺の妻に収まっていた。

 大きくなった二人の腹の中にいるのは、もちろん俺の子だ。

 彼女たちと生まれてくる子を養うためにも、これからも必ず生きて戻らなければならない。その決意を新たにしつつ、俺は玄関の扉を閉めたのだった。


Comments

Good story

vlzkcb1633


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