悪の組織の怪人×変身ヒロイン
Added 2025-05-06 08:42:50 +0000 UTC※自分なりの変身ヒロインものを書きたくて試作。シリアスかコメディか中途半端になりましたが。もうちょい続きを書きたいです。
その日、俺はある建物の通路を歩いていた。
その建物は床も壁も天井も真っ白で、照明も明るく、清潔感に溢れていた。どこにもチリ一つ落ちてない。だがここまで清潔だと、逆に自分が病棟の中にいる病人でもあるかのような不安な気持ちが湧いてくる。
この建物が俺の不安を誘うもう一つの理由として、ここには一つも窓が無かった。大小を問わず、本当に一つもない。――まあ、人目を避ける必要がある悪の組織の秘密の地下基地なのだから、それは当然の話なのだが。
目的の部屋のドアの前に立つと、生体認証によってロックが解除された。パシュンという音と共に自動ドアがスライドする。しかしそれで部屋の中に入れた訳ではなく、ドアは二重になっていた。
二枚目のドアと一枚目のドアに挟まれたスペースで、俺は己の身体を変化させた。普通のサラリーマンスーツを着込んでいた男の身体が、巨大なサソリと人間が融合したような異形の姿へと変態していく。俺自身の目にも、己の皮膚の色が黒く変わり、昆虫の甲殻のように硬質化していく光景が映っていた。
自分自身が怪物に変化していく恐ろしい光景を目の当たりにしながら、俺は思った。
(うーん、研究開発部が新しく作ったスーツは便利だなぁ。これまでみたいに変身のたびにビリビリに破けなくて済むのはめちゃくちゃ助かるよ)
怪人形態になすると俺の身体はかなりパンプアップする。以前までは、変身のたびにスーツとワイシャツを破ることになっていた。しかし新開発のスーツは、ナノマシンが繊維に配合されているとかで、俺の変身と共に溶けて、黒いベルトに変化していた。
ちなみにベルトのバックルには、俺が所属している組織のシンボルが描かれている。この姿になった俺は、人類社会の転覆をもくろむ悪の組織「ユートピアシンジケート」の怪人、「ヴェノム・スコーピオン」という訳だ。
しかし悪の組織とは言っても、俺にとっては普通の会社と変わりない。俺はここで怪人として働くことによって給料をもらい、シングルファザーとして可愛い我が子を養っている。誰が何と言おうが、怪人は俺にとって大切な仕事なのだ。
「――んっ、んんっ。……よし」
俺は咳ばらいをして声を整えてから、二枚目のドアのロックを解除した。このドアは薄く見えるが複合セラミックで作られており、現代戦車の主砲すら余裕で跳ね返す。
そして、複数のセキュリティを解除してようやく部屋に入った俺を、中にいる娘がキッと睨みつけてきた。
「――!? あなたは――……ヴェノム・スコーピオン!」
「ふっふっふ、良いザマだなルナティカよ」
不思議なコスチュームを身にまとったその娘は、外見的には十代前半だ。制服を着せれば現役の女学生にしか見えないだろう。しかし俺は向こうの年齢について真剣に考えないことにしていた。相手が何歳であろうが、俺は組織の怪人で、向こうは市民の平和を守る変身ヒロイン――つまり俺にとっての「敵」なのだから。
災害に戦争にデジタルカタストロフィ、21世紀代に色々とあったせいで、22世紀の現代は非常に治安が悪くなった。発展した科学技術は一部の者を潤すだけで、格差は拡大した。政治は腐敗し、民衆はさらに愚かになっている。健気にもそんな荒れ果てた世界を良しとしない連中もいるが、ルナティカはそのうちの一人だ。
「この部屋の住み心地はどうだ? これまで散々手こずらせたが、市民の希望の正義のヒロインも、ようやく我々の手に落ちたという訳だ」
「くっ……!」
普段の俺とはずいぶんキャラが違うが、俺はプライベートと仕事を分けるタイプである。
少々芝居がかった物言いでも、悪の組織の怪人としてはこのくらいでいい。
先の戦闘で俺たちに敗北しこの部屋に囚われたにもかかわらず、ルナティカを名乗る少女は、毅然とした瞳で俺を睨みつけていた。
「おいおい、酷いじゃないか。そんな目を人に向けていいのか?」
「……?」
「お前の相棒がいつもいつも、馬鹿の一つ覚えみたいに言ってるじゃないか。憎しみじゃなく愛情が大事だって」
「……っ! あの子のことを馬鹿にしないで!」
この娘には同じ変身ヒロインの仲間がいるが、特にスターリアを名乗る娘とは、端から見てもわかる特別な友情で結ばれていた。クールで皮肉屋なルナティカは、明るくムードメーカーなスターリアのことを友人以上に見ているのではないか、そう評したのは俺じゃない。ネットに蔓延る、変身ヒロインをアイドルか何かのように崇めて応援するオタクたちだ。
「ナイトメアシンジケートの怪人のくせに! 『実験』とか言って、怪しいことばかりしてみんなを困らせるくせに! あなたたちみたいな人は軽蔑されて当然よ!」
「まあ確かにそうだな」
それは否定しようもない。
ちなみにうちの組織の自称は「ユートピアシンジケート」だが、部外者からは「ナイトメアシンジケート」と呼ばれている。俺は首領の顔を見たことがないが、首領は主に市民たちの感情を操る実験を俺たちに命じてくる。なんでもそれによって、やがては平和な理想郷をこの世界に造り出すことが目的らしい。だが、端から見ればその実験はテロ行為と変わりない。
俺はルナティカの言葉に頷いてから「ところで」と言った。
「俺がお前の尋問役を仰せつかった。お前らの正体や力の源について、知る限りの情報を吐いてもらうぞ」
「尋問って……」
ルナティカの顔に恐怖の色が浮かんだ。これから何をされるのか、頭の中で悪い想像を盛んに働かせているようだった。
俺がこの役目を命じられたのは、先の戦いでルナティカを捕らえる大金星を挙げたのがこの俺、怪人ヴェノム・スコーピオンだったからだ。
俺自身の話をすると、俺は、以前は普通のブラック企業に勤めていたが、そこで散々酷使されたあげくにリストラされた。行先に迷っていたところをこの組織にスカウトされた。まずは一般戦闘員として経験を積んでいたが、なんでも俺には非常に高い怪人適性があったらしく、研究開発から改造手術を受けてみないかと誘われた。怪人になれば特別手当がつく。俺の幼い娘は病持ちで、入院や手術のために金が欲しかった。
ルナティカを捕らえたのは俺の実力と言うより、ほんの偶然に過ぎない。あの戦いでは、戦闘員時代の同期や怪人がだいぶやられた。
ルナティカは、俺の声に怒りが含まれているのに気付いた様子だった。きっと怖いのだろう。手足がわずかに震えている。だが、敵組織に囚われて、そこの怪人から理不尽な怒りを向けられているというのに、正義のヒロインは気丈な台詞を口にした。
「何を聞かれても話したりなんかしない……っ!」
「だろうな。そう言うだろうと思ったぞ」
「な、何する気? やめてっ!」
今回の役目を上層部から仰せつかった俺は、変身ヒロインの一人を捕らえた報酬を兼ねて、追加改造を受けて新しい能力を身に着けていた。
ヴェノム・スコーピオンの名前の通り、俺は毒を使う怪人だ。これまでは、敵の身体を麻痺させる神経毒しか使えなかったが、追加改造により新しい種類の毒を獲得した。いまからその毒をルナティカの身体に打ち込もうと、俺の尻尾の先端が少女の細い首筋に近付いていった。
ルナティカは注射を嫌がる子どものように後ずさった。しかしこの部屋から逃げることはできない。一見普通の病室のようにも見えるが、ここには彼女の力を封じるための様々な方策が施されている。
俺は彼女を壁際に追い詰めると、彼女の手首を掴んで壁に押し付け動作を封じた。そしてサソリの尻尾を動かして、彼女の首に毒を注入した。
「――いや! やめて! ――あっ!? あっ、あっ、あっ」
俺の尻尾がどくんどくんと音を立て、変身ヒロインの血管に毒を送り込んでいく。ルナティカは目を見開いて口を開けた状態で、なすがままになっていた。
やがてルナティカの黒い瞳にピンク色の輝きが宿った。
「あっ♡ なに、これぇっ♡」
ルナティカも、己の身体の変調に気付いたようだ。
俺が新しく身に着けたのは、平たく言えば強烈な媚薬を相手に打ち込む能力である。快感神経を異常に興奮させ、苦痛を麻痺させながら、快楽だけを何十倍何百倍にも増幅させる危険な毒だ。
ちなみにルナティカの前に、俺は通りすがりの市民を攫ってこの毒を試している。
結果は物凄いことになった。
攫ったのは普通のOLだったが、あっという間に俺の怪人チンポを求めるメスになった。俺に犯し抜かれ身体中をザーメンだらけにされてもなお貪欲にペニスをねだる淫乱になった。実験を終えたあと、そのOLは医療部に身体を治療させ記憶を弄らせてから解放したが、俺の打ち込んだ媚毒を抜くには非常に手間がかかったそうだ。
――そんな倫理に外れたことをして心は痛まないのかと言われそうだが、俺たちは悪の組織である。痛まないと答えるしかないだろう。
「あっ♡ あっ♡ ううううっ♡」
「どうしたルナティカ。そんな辛そうに身体をよじって。もしかして熱くなってきたのか? おかしいな、地下基地とは言え、この部屋の空調は完璧なはずなんだが」
「とぼけ、ないで! スコーピオン! あなたが私の身体に何かしたんでしょ!?」
俺の尻尾はルナティカへの毒の注入を終えて彼女の首筋から離れた。尻尾の先端が刺さった場所は少し赤くなった程度で、目立った傷にはなっていない。
「あっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ♡」
「それでもまだ変身を維持できるのか。たいしたもんだ」
「う、ううう……っ♡」
俺が手首を離すと、ルナティカはその場にへたり込んだ。
「さて、情報を吐く気になったか?」
「……っ!!」
ルナティカは、尻をぺたんと床につけたまま、ぶんぶんと首を横に振った。
何があろうと仲間に不利になるような情報を俺たちには渡さないという強い意志が、歯を食いしばった口元から伝わってきた。
しかし彼女の息は明らかに乱れており、汗が首筋や胸元を伝っていた。変身ヒロインとしての彼女たちの衣装は、そもそもこの年頃の少女が身に着けるにしては露出が多く煽情的だ。開けた胸元に伝う汗の雫を見ていると、俺の中にも邪な感情が湧き起こってくる。
「なるほど」
と俺が言うと、ルナティカは身構えた。
「なら、今日の尋問はこれで終わりだ」
「…………え?」
「なんだ? どうしてそんな顔をするんだ? まさか俺に何かして欲しかったのか?」
「ち、違うっ!」
「だろ? 続きはまた明日にしようじゃないか」
俺はルナティカに背を向け、彼女が幽閉されている部屋を出た。
ルナティカの視線が俺の背中を追っているのが伝わってきたが、俺は振り向かなかった。
§
「神矢さん、今日はそんなにお仕事遅くならずに済んだんですね」
「はい。先日はご迷惑をかけて申し訳ありませんでした、那須野先生」
「いえ、そんなつもりで言ったんじゃないんです!」
俺の前で慌ててそう言ったスウェットとジーンズにエプロン姿の女性の胸には、ひらがなで「れいか」と書かれた名札が付いている。
那須野麗香。彼女は俺が娘を預けている保育施設の保母さんだ。
「唯ちゃんもさっきまでパパを待ってたんですけど、いまは眠ってます」
「そうですか……」
「昼間遊び疲れちゃったみたいで……。でも、発作が起きたりはしなかったので安心してください」
「いつも気を配っていただいて感謝します」
「いいえ、そんな!」
スーツ姿の俺が深々と頭を下げると、那須野先生は再び慌てた。
仕事が遅くならずに済んだと言っても、あたりはすっかり暗くなっている。職業不詳のチンピラや不良外国人集団が多数現れるから、この街でこの時間に出歩くのは非常に危険だ。特に小さな娘が一人でいるところを見つかったりしたら、まず間違いなく誘拐されるだろう。それに昨今は、警察を始めとする国家権力もまるで役に立たない。
「……神矢さんも大変ですね」
と那須野先生は言った。
長い髪を一本のおさげに結んでいる彼女は、まだ二十歳くらいだろう。前に専門学校で保母の資格を取ったと言っていた気がする。大学なんてものに行ける人間はいまでは一握りだ。
「いまは調子がいいみたいですけど、唯ちゃんの病気、心配ですね」
「…………」
「完治するには、かなりお金がかかるんですよね?」
「……はい」
「あっ、ごめんなさい! 保護者の方にこんな立ち入ったこと聞くなんて失礼ですよね。なのに私ってば……」
那須野先生は顔を赤らめてうつむいた。
しかし彼女が純粋に俺の娘を心配してくれているのは伝わった。だから俺は、柔和な微笑みを浮かべて「気にしないでください」と言った。
組織の怪人として変身ヒロインと戦ったり破壊行為に手を染めたりしている俺だが、表向きは普通の優しいパパである。他の戦闘員や怪人たちも、大体はこうして一般社会に溶け込んでいる。仮に街中ですれ違っても、互いに同じ組織だとは気付かないだろう。
俺たちは保育施設の玄関先で話している。俺は施設の奥を覗き込むようにして言った。
「もしかして、今残ってるのは唯で最後ですか?」
「はい」
「それは済みませんでした」
那須野先生は笑顔を浮かべ、「いいんです」と言った。――だがそんなことはあるまい。俺の娘のためだけに残業してくれた彼女に対し、俺は本当に申し訳ないと思った。
「唯ちゃんを起こして呼んできますね」
「――いや、寝てるならそのまま運んでいきますので」
「そうですか?」
「そっちのほうが騒がしくないでしょうし、先生にも余計な迷惑をかけずに済みます」
「ふふっ、唯ちゃん、パパのこと大好きですもんね」
「……せっかくだし、那須野先生のこともお送りしましょうか?」
「えっ?」
「私は車なので」
怪人をやっている男が何を偽善的なと思われるかもしれないが、とにかく俺は唯が無事ならなんでもいい。唯が難病を抱えていると知って細やかに面倒を見てくれるこの人を、無碍に扱うことは出来ない。
「この辺はまだいいですけど、通りに近付くと危ないですから」
「そ、そうですか? ……そうですよね。このあいだも、隣町で誘拐騒ぎがあったそうですし。じゃあ……お言葉に甘えてもいいですか?」
「もちろんです」
俺は心底から頷いた。この保育施設の周囲は「実験」の対象にしないで欲しいと組織の上層部には陳情してあるが、危険なのはうちの組織だけじゃない。仮にこの人が襲われて、そのとき都合よくルナティカのような正義のヒロインが駆けつけてくれるとも限らなかった。
俺は革靴を脱いで保育施設の中に上がり込むと、ぬいぐるみクッションに持たれるように眠っていた娘の唯の身体を抱え上げた。娘の体重は、同年代の子どもと比較すると確実に軽い。怪人の俺の力で抱えるのは驚くほど簡単だ。そんな俺を見て、那須野先生は「神矢さんって何かスポーツでもやってらっしゃったんですか?」と言った。
「いやまあ、そんなようなもんです」
「わ、私、スポーツマンの男の人って素敵だと思います!」
「えっ?」
「あ、いえ、なんでもありません。……聞かなかったことにしてください」
俺が娘をチャイルドシートに積み込んでいるあいだに、先生は施設の消灯と施錠を済ませた。保育士としての格好から私服姿に着替え、髪も解いた先生は、働いているときよりさらに若く見えた。
「助手席に乗ってください」
「は、はい。失礼します」
「そんな緊張しなくても――高級車とかじゃないんで汚してもらって平気ですよ?」
「そんな、でも――……あうう」
そのあと俺は先生をアパートまで送り届けた。その短い移動のあいだにも、何度か緊急灯を回転させたパトカーや救急車とすれ違った。どこかで放火でもあったのか、街の一角の夜空が赤く染まっていた。
変身ヒロインが一人減ったせいで、この街の治安はさらに悪くなったようだと思った。
§
「身体の調子はどうだ、ルナティカ?」
俺にそう言われたコスチューム姿の少女は、赤らんだ顔で悔しそうに目を伏せた。その表情は、彼女が俺たち組織に捕まった数日前よりずっと弱弱しかった。
俺は今日も、組織の地下基地に幽閉された変身ヒロインのもとに顔を出していた。
俺が媚毒を打ち込んだルナティカの身体は、常時興奮して発情状態にあるはずだ。この部屋の四方に仕込まれた観測機器類によって、彼女の体温や心拍は常に計測されている。その状態で耐えるのは非常に辛いだろう。
「情報を吐けば楽にしてやるぞ?」
「っ……! ぜ、絶対に、なにも喋ったりしないから!」
ルナティカはそう言ったが、その呂律は昨日より回っていない。夜も発情に苛まれて、寝ようと思っても寝られないはずだ。変身ヒロインの頑丈さは特別とは言え、限界というものがある。
「そ、それに、楽にしてやるってどういうこと? 私が話せば、解毒剤をくれるっていう意味?」
「興味があるのか?」
「……え?」
彼女は何が起きたのか理解できないというふうに目を白黒させた。
いままで何も無いように見えた俺の股間部分から、異様なものが姿を現し始めたからだ。それは俺が敵に毒を注入するために用いる棘のような器官よりは小さいが、平均的な人間のモノより遥かにでかく、しかもグロテスクだった。先端は鉤のようで、竿にあたる部分のところどころに突起がついている。
それは俺の意志に応じてズズ……っと屹立していった。他の硬質化した部分とは違い、そこだけが生々しく体液で濡れていた。
怪人と戦っている時も常にクールなヒロインの顔が、恐怖一色に歪んだ。
「ひっ――!? そ、それってもしかして、おちん……」
「ようやくこれが何かわかったか? お前が情報を寄越せば、こいつをくれてやる」
「くれてやる? 私、そんなもの欲しくなんか――」
「強がるなよ、ルナティカ」
怪人形態の俺が笑みを浮かべたのが、果たして彼女に伝わっただろうか。
俺が手をかざすと、それに反応して、ただの白いパネルのようだった四方の壁と天井が映像モニタに変わった。――大音量の音声と共にそこに映し出されたのは、夜中切なそうにベッドの上で自慰にふける少女の姿だった。
『あっ♡ あっ♡ あっ♡ んっ♡ ん~~っ!♡』
「こ、こ、これって……」
「いい表情じゃないか。ああして自分の指で弄るのは気持ち良かったか?」
『はぁっ♡ んっ♡ んっ♡ んぅうううっ!♡♡』
ルナティカはこっそりオナニーしていたつもりなのだろうが、この部屋にカメラがついていないはずがない。声を押さえているつもりでも、高性能マイクとスピーカーは容赦なかった。何倍にも増幅されたルナティカの嬌声が室内に鳴り響く。彼女は慌てて周囲を見たが、部屋のどこを見ようと、己の切ない表情と、コスチューム越しに秘部や乳首を弄る姿がクローズアップされていた。
羞恥によって、ルナティカの顔はこれ以上ないくらい真っ赤になった。
「~~~~~!!」
「はっはっはっは。まるでその手の店じゃないか」
「け、消して! すぐに消して!」
「どうしてだ? なぜ俺がお前の命令に従わないといけないんだ?」
下衆だ。
俺は少女の恥じらいを弄ぶ下衆である。
だが心は痛まない。
「お願い! 消してください!」
ルナティカの瞳に初めて涙が浮かんだ。
羞恥に苛まれた結果というより、怪人の俺に懇願するのが悔しかったらしい。
俺は再び手をかざして映像と音声を止めた。部屋は静かな病室に戻った。
「望み通りにしてやったぞ?」
「う、ううう……っ」
「引き換えに何を教えてくれるんだ?」
「あ、あ……っ」
ルナティカは、マヌケに口をパクパクさせたあと、とある名前をつぶやいた。
「月見涼……」
「ふむ、それはなんだ? お前の本名か?」
「……そうです」
「どこかの学校の生徒なのか?」
「桜葉学園の二年生……」
それはこの街にある学校の名前だ。経済的に裕福な層が娘を通わせる、いわゆる「お嬢様学園」である。俺の心は浮き立った。俺は変身ヒロインの本名と通う学校の名前を手に入れた。それだけでも上層部から賞賛されるに値する成果だった。
「仲間も同じ学校にいるのか?」
「…………」
「どうなんだ?」
「知らない。私たちは、お互いに正体を明かしてないから……」
「なるほど、それは嘘じゃないようだ。用心深いな」
「…………」
「月見涼」
「……っ」
「変身を解け」
彼女はその命令にまでは従う気は無さそうだった。
変身を解除すれば、彼女はいよいよ抵抗する力を失う。当然の判断だ。
しかしここまで来れば、どのみち同じことだった。
「――な、なにするの? 近寄らないで!」
前にも似たような台詞を吐かれたが、今回はあのときよりずっと悲痛で弱弱しかった。俺の棘が彼女の首筋に突き刺さり、追加の媚毒を送り込んだ。
「ひあっ♡ あっ♡ ああっ♡」
「色々教えてくれたご褒美をくれてやるよ、月見涼」
抵抗しようとするルナティカの頭を俺の右手が掴む。棘はドクドクと脈打ち、普通の人間なら壊れるだけの媚毒を少女に与えた。
やがて彼女の身体はビクビクと震え始めた。四肢はだらんと垂れ下がり、だらしなく開いた口からヨダレが零れていた。クールで気丈な変身ヒロインの面影は欠片もない。そんな少女の身体を、俺は壁際のベッドに投げ捨てた。
「あううっ!?」
華奢に見えて、ビルのコンクリートにぶち当たっても平気な娘たちだ。これくらいは何でもないだろう。
俺は仰向けに倒れたルナティカに覆いかぶさった。怪人の生殖器は、すでに彼女の股間に狙いを定めている。俺は容赦なくルナティカのコスチュームを引き裂いた。彼女の力が弱まっているせいか、それは驚くほど簡単に破けた。
「や、やめてぇ……♡」
「そんな蕩けた顔で言われてもな」
「やだ、やだ、かいじんとえっちするなんてやだ。わたし初めてなの、だからゆるして……っ。ごめんなさい……っ」
「安心しろ」
「……ふえ?」
「お前が気持ち良くなれるように、せいぜい優しく抱いてやるよ」
ルナティカ――月見涼は、俺の胸の甲殻を叩いたりしてまだ抵抗していた。しかしいまの彼女の力では俺の甲殻にヒビ一つ入らない。俺は彼女の両脚を持ち上げ、屹立した生殖器の先端を変身ヒロインの割れ目に添えた。初めてだという自己申告通り、そこはぴっちりと閉じていて、見た目にはただのスジのようにしか見えなかった。
そしてそこに、怪人のペニスが割り込んでいった。
「んおっ♡ おっ♡ おおっ♡」
「初めてのクセに、挿れただけで感じるじゃないか! 月見涼!」
「やだっ♡ やだっ♡ 入ってくるっ♡ かいじんのおちんちんやだっ♡ んほおおっ!?♡」
「おおお、締め付けてくるぞ!」
俺のペニスを受け入れるに従って、彼女の両脚がつま先までピンと伸びた。ルナティカは口から舌を垂らしつつも、健気に俺の胸を押していた。だが媚毒を大量に注入された彼女の膣内は、それが敵対する怪人の肉棒であっても挿入されて悦んでいた。
「どうだ俺のチンポの味は。さすがに指でここまでは入らないだろう?」
「へっ♡ へっ♡ へっ♡ えあっ♡」
「おいおい、犬みたいにだらしなく口を開けるなよ」
「んぐうっ!?」
「まだ欲しいのかって思うじゃないか」
俺はルナティカの口に毒の棘を突っ込み、さらに追加の媚毒をくれてやった。胃の中に毒を送り込まれたルナティカの膣はさらに締まった。人間とは異なる怪人の異形のペニスは、そんな少女の膣ヒダを、無数の鉤や突起で容赦なく削った。
「ふぐっ♡ ぶっ♡ んぐっ♡ んんんんっ!?♡♡♡」
毒の棘に口を塞がれたままルナティカは喘いだ。彼女の正体は桜葉学園の二年生。――かくいう俺も、いずれは唯を桜葉学園に入れることができたらいいと思っていた。あそこならば素行不良の生徒もいないし、教育システムもしっかりしているからと。そんな少女を、俺は乱暴に犯していた。単なる尋問の意味じゃなく、彼女の膣内でペニスを往復させる快感を確かに味わっていた。
(――おっ?)
やがてルナティカのコスチュームが、映像モニタが故障したときのように明滅し始めた。彼女たちは、俺の組織にとっても未知の力によって変身している。いよいよその変身が維持できなくなったようだ。
俺はピストンの速度を上げた。そしてルナティカの腰を掴みながら、ヒロインの膣の最も奥まで生殖器を挿入し、そこで怪人のザーメンをぶちまけた。
「んっ♡ ぶっ♡ んん~~~~っっ!?!?♡♡♡♡」
俺が射精したと同時に、ルナティカも足ピンしながら絶頂した。怪人形態での射精は、人間形態で行うよりも精液の量が段違いだ。少女の子宮を余裕で溺れさせるだけのものが、圧倒的な快感を伴いつつグロテスクな生殖器から発射された。
俺の射精は実に長かった。どくどくどくどくと、濃いやつがひっきりなしに出た。ルナティカの下腹部がぽっこり膨らみ、入りきらなくなったものが俺たちが結合している隙間から逆流してきた。その時になって俺はようやくペニスを抜いたが、まだ出続けていたザーメンがルナティカの身体に降り注いで彼女の全身を穢した。
彼女のコスチュームは、そのタイミングで搔き消えた。少女の髪の色が変わり、桜葉学園の制服を着た娘の姿が現れた。
「あ、うあ、ああ……♡♡♡」
「なるほど、それがお前の真の姿か」
「ひあっ♡ うっ♡ あっ、あっ♡♡」
月見涼になったルナティカの全身は小刻みに震えていた。どういうメカニズムか、ぶちまけられた精液は変身解除と共に消えたが、媚毒に浸された身体は容易には絶頂から戻ってくることはできないようだ。
ただの少女を見下ろしながら、俺は言った。
「お楽しみはこれからだぞ、涼」
§
(ルナティカ、あなたはあれからどこに行ったの……)
とあるビルの屋上で、夜の都会を見下ろしながら金色の髪をなびかせる少女がいた。身体に貼りつくレオタードのような衣装。彼女は巷でスターリアという名の正義のヒロインとして話題になっている娘だ。
彼女の仲間であるルナティカは、数日前の組織との戦いを境に消息を絶った。その日からスターリアは懸命に彼女の行方を捜索していたが、いまもってルナティカの居場所は掴めていない。
(やっぱりルナティカは、シンジケートに捕まっているのかしら)
スターリアは敵組織のアジトの位置を見つけようと試みたが、彼女たちの敵組織であるナイトメアシンジケートは、あれから表立った活動を起こしていない。
残る心当たりとしては、スターリアの正体が通う桜葉学園の生徒である月見涼だ。
(月見さんとはクラスが違うし、ほとんど話をしたこともなかったけど、ルナティカがいなくなってから、月見さんも登校してない。それってつまり……)
教師に尋ねても病気だとしか返ってこなかったが、真相は違うのではないのだろうか。月見涼がルナティカだとしたら、彼女はいまどこにいるのだろうか。仲間の身を案じながら、スターリアは唇を噛んだ。
そしてスターリアの予想通り、ルナティカの正体である月見涼は、やはり敵組織の手に落ちていたのであった。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」
「いい声を出すようになったな、月見涼。それともルナティカか? お前はどちらの名前で呼んで欲しい?」
「やっあ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ ああんっ♡」
ルナティカこと桜葉学園二年生の月見涼は、全裸に剥かれた状態で男に後ろから犯されていた。男は一見普通の人間のようだが、身体のどこからか異様な棘が伸びており、その先端が涼の尻のあたりに刺さっていた。
男はルナティカたちと戦うナイトメアシンジケートの怪人ヴェノム・スコーピオンの変態前の姿である。彼が涼に自分の顔を見せたというのは、もはや彼女が完全に堕ちるまで解放するつもりはないという意志の表明だろう。彼は身体の一部だけを怪人形態にして、正体を晒した少女の体内に媚毒を注入しながらペニスを抽挿している。
「ほらこっちを向けよ」
「んっ♡ んんっ♡」
涼は男に唇を奪われながら犯された。彼女の瞳は涙に濡れているが、それ以上に股間が愛液で濡れまくっている。つい先日まで処女だった彼女の膣は、男の太いペニスを受け入れて、ずっちゅずっちゅと音を鳴らしていた。
「ぷはっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ ああっ♡♡」
「キスしながら突いたら中が締まったぞ。そろそろイクのか? イキたいときはなんて言うんだった?」
「イ、イカせてっ♡ イカせてくださいっ♡」
「それだけか?」
「涼のおマンコ、あなたのおチンポでイカせてっ♡ 怪人のせーし、正義のヒロインのおマンコと子宮の中にびゅるびゅるって注いでっ♡ お腹いっぱいにしてくださいっ♡」
「ははははっ、上手におねだりできるようになったじゃないか!」
「あっ、あああああ!!♡♡」
男から与えられる快楽にどんなに抵抗したところで無意味である。わずか数日で、涼はそのことを心と身体に叩き込まれてしまったようだ。こうして彼が望む通りの淫らな台詞を口にしたことを、決まってあとから酷く後悔することになるのだが、セックスしているあいだは理性が溶けてどうでもよくなる。ひっきりなしに己を苛む身体の疼きを止めてもらうことが最優先になってしまう。
「すごいっ♡ すごいっ♡ おっきいの奥まで届くっ♡」
常に冷静で、暴走しがちなスターリアを諫める役目が多かったルナティカの正体である少女が、浅ましく腰と尻を振って男のピストンに応えている。涼が幽閉されているこの白い部屋で、彼女と男が一緒にいるときは、ほとんど常にこうした激しいセックスが行われていた。
いま涼に入っている男のペニスは怪人形態のものではなく、通常時の人間男性のものだった。しかしそれでも少女の狭い膣穴には十分すぎる。むしろ強すぎる快感で意識をあっさり飛ばすことがないため、ペニスの形状を隅々まで己の穴の中で感じることになっていた。
「おっ♡ おっ♡ おっ♡ これっ♡ あなたのさきっぽの太いとこでっ♡ 入口のとこ擦るのいいっ♡ おっ♡ おっ♡ おっお♡」
「すっかりセックス好きのメスになったな、涼」
「――っっ♡♡ そんなこと言わないでっ♡ あなたのせいでしょ!?」
「いや、それでいいって言ってるんだ」
「ひあっ!?♡ おっ♡ おっ♡ 怪人のえっちな毒っ♡ 入ってくる♡」
「無関係な他人を助けるために、お前らが命をかけることなんてない。こうやってセックスに溺れるほうが、ずっと幸せだろう?」
「んっ、んんぅうううっ!?♡♡♡♡」
「イケ涼。俺も射精するぞ」
「はあっ、あっあ♡♡ イクっ♡ イクううううううううっ♡♡♡♡」
「ぐうっ!!!!」
涼の膣内がひときわ狭くなった瞬間、彼女の子宮に男のザーメンが撃ち込まれた。媚毒の影響下にありながらの絶頂は、彼女がこれまで市民を救って得てきた達成感などの感情が、束になっても敵わないほど鮮明で強烈だった。四つん這いだった涼は、ビクビクと全身を震わせながら、祈りでも捧げるように首を垂れた。男は射精しながら、そんな涼の胸を背後から両手で揉みしだいた。
この部屋での涼の生活は、決して劣悪とは言えなかった。完全に監視下に置かれ移動の自由も奪われているが、それに目をつぶれば室内は清潔で、温かい湯が出るシャワーも、身体を余裕で沈めることができる風呂も、ウォシュレット付きのトイレも用意されている。
ただ、この部屋に来てから涼が接することができるのは彼だけだった。食事は自動的に運ばれてきて、掃除も自動で行われる。涼がコミュニケーションを取れる相手は、憎むべき敵とは言え彼だけだったのだ。
「ふあ、あ、あう……♡♡♡♡」
「まだ出るぞ涼」
「……♡♡♡ はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡」
自分の身体を使って射精する男の温もりが嫌だと言ったら嘘になる。それは確実に敵の罠だったが、男は涼を恫喝するだけでなく優しい言葉もかけた。特にこうしてセックスの絶頂を味わって彼女の心がグズグズになっているところに、その言葉がやってくる。
「よく頑張ったな」
「っっっ!!♡♡♡♡」
男の声に反応して涼の身体がビクビクビクっと激しく震えた。彼のペニスが涼の膣内から引き抜かれる。いままで自分の内側を埋め尽くしていたものがなくなって、涼は喪失感に襲われた。
(しっかり、しっかりしてルナティカ! 負けちゃだめ!)
彼女は正義のヒロインとしての自覚を呼び覚ますべく己を叱咤し、敵の手中に落ちないよう心を励ました。幸いにしてと言うべきか不幸にしてと言うべきか、男に中出しセックスしてもらった直後は媚毒の効果が弱まる。性欲に支配されず、理性的にものを考える力が戻ってくる。
「――っ!」
「まだ人を睨む元気があるのか?」
「最低。あなたなんて最低よ! 無理やり人にこんなことして――」
「イカせて欲しいって言ったのはお前だろ?」
「~~~~~っ! うるさい! 最低よ、どうして悪の組織に力を貸すの!?」
「そんなこと言われてもな。これが俺の仕事なんだ。……それよりも涼、お前の家族のこと調べさせてもらったぞ」
その言葉を聞いて涼はハッとした。
通常、悪の組織の怪人からそのように告げられれば、家族を盾にした脅しが待っているに違いないと思うだろう。だが涼の場合はそうではなかった。
「お前の親父さんは、まだお前がいなくなったことに気付いてないぞ?」
「そっ、そんな……」
「ずいぶん大きな会社の社長なんだな、お前の親父さん。でも仕事に夢中になり過ぎて、娘の行方不明にも気付かないほど家に帰ってこないってのはどうなんだ?」
「そんなの……」
と言いながら、涼自身もそのことを予感していた。
彼女の母は既に亡い。肉親と言えるのは父親だけだ。しかしその父は仕事で忙しく、それ以上に愛人のところに入り浸っている。
ショックを受けた表情の涼を、男はしばらく無言で観察していた。
「……辛かったな」
「えっ? んんっ♡♡」
不意の優しい言葉と共に、涼は彼に抱き締められていた。それと同時に彼女の唇はキスで塞がれた。
そしてまた、涼と彼との激しいセックスが再開した。
「んっ♡ あっ♡ はあっ♡ んんぅっ♡♡」
抱き締められつつ、キスを繰り返しながらの正常位だ。媚毒の効果は残っていたが、それはほぼ普通の人間同士のセックスと変わりなかった。
「涼、触って欲しいとことか、突いて欲しいところがあったら言えよ?」
「だっ、だれがっ、あなたなんかにっ! ふあ♡ あっ♡ あっ♡ あんっ♡」
「ここがいいのか?」
「ハァっ♡ はぁっ♡ ハァっ♡ ~~~っ♡♡♡♡」
涼は認めてこくりと頷いた。自らの膣内の弱点を敵に明かしてしまった彼女は、そこを重点的に突かれて身もだえした。せめて恥ずかしい声がこれ以上漏れないよう口を塞いだが、それは大した効果はなかった。
(きっ、気持ちいいっ♡♡♡♡)
男のペニスで膣内を突いてもらい、胸や腹や太ももを優しく擦ってもらう。この快楽は、正義の味方として戦っているときには決して味わえないものだ。
(おっぱいとあそこ触られるの気持ちいいっ♡♡♡♡)
涼は既に絶頂していた。しかもそこから自分で降りることができなかった。
バチバチと頭の裏で弾け回る火花が思考を焦がし、鼻血が出そうになる。自身の腰を支える男の手が、とても頼もしいと思ってしまった。
「イってるか? 涼」
「~~~っっ♡♡♡」
「中に出して欲しいか?」
「――♡♡ ――♡♡」
男の連続質問に、涼は続けて頷いた。
そして次の瞬間、涼の奥深くまで入ったペニスから精液が注がれた。
(あ……これ……♡ やっぱり好き……♡ お腹の奥にビシャビシャ当たる……♡)
悪の組織の怪人と正義の味方の変身ヒロインは、硬く抱き合いながら、絶頂を終えたあともしばらく繋がっていたのだった。
「それじゃあな、涼」
「…………」
セックスを終えると、男はスーツ姿になって鈴が幽閉されている部屋を出ていこうとした。涼は裸のままベッドに座り、男のほうをみないようにしていた。もしこのタイミングで目を合わせたら、まだ行かないで欲しいと口にしてしまいそうな自分を恐れていたのだ。
そして鈴のそんな心は男に読まれていた。
「また会いにくる」
「……っっ。私は会いたくなんかない!」
「そうか?」
「そ、そうよ!」
「だったらもう来るのはやめるか」
「……えっ?」
涼は男と目を合わせてしまった。
男の手が涼のあごを持ち上げ、舌が口内に滑り込んで来た。
涼はしばらく、ぬるぬると彼と舌を絡ませる感触に浸っていた。そして男は、涼の髪を優しく撫でながら言った。
「また来る」
「…………」
涼は、今度は素直に頷いてしまったのだった。
§
「ヴェノム・スコーピオンさん。ルナティアの『尋問』のほう、順調のようで何よりです」
俺にそう言ったのは、俺の改造を担当している組織の研究開発部の男だった。
頭部をすっぽり覆うマスクをしているせいでそいつの顔は見えない。しかし声と、白衣の下にある身体付きからして男だ。そいつはうんうんと満足そうに頷きながら言った。
「あなたのような方がいてくださるお陰で、我々の理想郷は確実に近づいていますね」
「何か俺に用ですか?」
「今回捕らえたルナティアの力を解析したことで、あなたの能力を拡張することができるようになりました」
「…………」
「また追加手術を受けてください」
「わかりました」
「それと、あなたの娘さんの病状の進行を抑制する薬を製造するのにも彼女たちの力が利用できそうです。そのためにも……」
ルナティアだけでなく他の変身ヒロインを捕らえてこいと、男は暗に行っていた。俺は男に頭を下げて、地下基地を出た。そして娘の唯を迎えるために、彼女を預けている保育施設に向かったのだった。
Comments
Good!! I need more story!!
vlzkcb1633
2025-05-06 22:24:22 +0000 UTCこれはとてもいいモノですね… 是非続きが読みたい
ロベルト
2025-05-06 22:06:22 +0000 UTC初コメントです、凄く良かったです 父の顔と怪人の業、意図して分けようとすれど、背中合わせの境界線が曖昧となる主人公…凄く良かったです エロスは言わずもがな、息子がお世話になっております
トム
2025-05-06 09:26:37 +0000 UTC