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天海の陰陽師【麒麟編】第2-終「蠢く邪な獣たち」

お待たせした分、一気に更新します!

2話目はこれでおしまい!

それでは、続きをどうぞ!


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 【???研究所-中庭-】


 かつて、ここでは遺伝子関連の実験が繰り返されていた。

 それは不死であり不老である技法に辿り着くための手段であり、それは全世界の生きとし生けるものを超人的に飛躍させる開発でもあった。

 でも、それは1人の狼によって狂わされることになった。

 彼は、研究員を初めとして誰一人として仲間としては認めておらず、単なる実験動物としてしか見ていなかった。

 故に平気で新薬を職員の飲み物に仕込んだり、楽しそうに細胞を抉り取りフラスコの中で弄んだり、嬉しそうに精神をおかしくさせたり……。

 とにかく、実験するためならばなんでも良かった。

 例えそれが弟でも……。

 そう……彼には弟がいた。

 唯一の肉親とも呼ぶべき弟が……でも、彼は兄が苦手であった。

 母が異なり、姿も容姿も種族も違う優秀な兄が苦手であった。

 彼の名は、水無月秀……そして、彼の異母兄弟こそここに鎮座している秋月楓……黒幕であった。


 「やれやれ、この木もずいぶんとボロボロになってしまったなぁ……やはり、ここは日の当たりが悪いのかな」


 手にしたホットドッグをむしゃむしゃと食べながら、白衣姿の小さな狼獣人は優しそうに木の幹を撫でていた。

 かつてここは、自分に恋愛感情を向けていた憐れな実験動物と過ごした場所……そして、この木の下には失敗作が夥しいほど肥料として埋められているのであった。

 この木は、失敗したクローンの血で成長した。

 否、それ以外は与えられて来なかったのだ。

 故に、この木はやがて血を欲する怨念の溜まり場になっており、故人であった彼にとってはある意味回復ポイントと呼べる場所であったのだ。

 何故なら彼は……死人だから。

 生に執着する魂を捕食し、無理矢理この世にへばりついている狼だから……。


 「心地よい……なあ、君たちもこないか? 死刑囚の諸君」


 先刻、天来学園付属異能力者投獄施設【封神】より脱獄した……いや、脱獄させてやった死刑囚たちは飄々と己の本来の武器と服装の手入れを行っているところだった。

 そんな彼らを横目に、秋月楓の側近……雪雹の悪魔【デルタ】は、小瓶に詰めていた目玉をうっとりと眺めていた。


 「おい、デルタ。 ほら、コレクション眺めてないで、みんなにこれからのこと説明して」

 「これは、失礼しました主様……こほん、それでは皆々様。 楓様よりこれから私めがお話を……」

 「ちょっと待ってもらっていいか? 小僧……」

 「どうなさいました? 玄武殿」


 黒いフードを深々と被り、全身を包帯で隠して種族すらわからない男……玄武は、それが口と呼べるのか分からないがおそらく顔のある位置から再び声を出していた。


 「目的って、俺たちに何かさせるのかい? そこの狼小僧の命令で」

 「そうですね……何かしてもらうというより、してもらいます。 これは、絶対的な強制ですね」

 「ふーん、もし断ったら?」

 「私としては、あまりおすすめは致しません。 特にあなたはね……」

 「まあ、そりゃそうだな……魂だけの存在だった俺に新しい器まで用意してくれたわけだしな」

 「それに我々が求めているのは、あなたたちが欲するものと同意義……楓様の指示に従えば自ずと手に入れることができますよ」

 「ふふーん! なら、俺様を閉じ込めていたあの虎野郎にも復讐できるってもんだぜ」

 「そうだね……黒の賢者【ライラプス・ダークサイド】」


 黒の賢者【ライラプス・ダークサイド】。

 種族は犬獣人(ドーベルマン)で、メガネをかけた紳士的な男。

 かつて、天野教授の息子であり全扉の管理人たる天野迅雷を誘拐し、全扉の力を手にしようとしたが、隠匿森にて光の賢者に敗北。

 その際、禁断魔法を使用したため、不死になり異能力者投獄施設下層部へ収容された魔法使い。

 黒魔法を扱うことに長けており、呪いや天体を使った攻撃などを得意としている。

 黒魔法とは属性ではなく、性質を現す文言である。

 黒は主に宇宙に関連した魔法が多く、天体を現出させたり、超重力によるブラックホールの出現など……規模を間違えれば容易にこの星一つ破壊することが可能である。

 

「えへっ……じゃあ、僕の望む理想をみんなに伝達できる日も近いって訳だね」

 「その通りだね……元神封鬼第特級執行官【ブレイン】」


 元神封鬼第特級執行官【ブレイン】。

 種族は犬獣人(サモエド)で、かつて神封鬼に所属していた男。

 しかし、己の自己理想を押し付けるのではなく、教育と言う名の洗脳を与え、神封鬼を自身を信仰する【カルト教団】に変えて世界を己の理想とする管理下に置こうとしていた。

 結果として当日の神封鬼統括であり、現在は魔法学校ウィズダムにて教師をしている時の大賢者、そして当時無所属であった無名の心理学者によってその野望を看破された、精神を操る異能力者。

 その危険性から薬により眠らされ、以降封神の下層にて収容されていた男である。


 「ふふっ……待っていろ晴明の形見よ……本当の身体を取り戻し、永遠に我が物にしてやろう」

 「まあ、お好きになさってください…………【玄武】の鳥海殿」


 【玄武】鳥海(うかい)。

 種族は肉体が失われているので魂のみ(今は弟子の肉体を代理で使っている)の男である。

 かつて陰陽師たちを集団で死に追いやった存在であり、当時の陰陽師の長であった夜見野晴明により封じられた。

 その子孫であり、晴明以上の実力を秘めている彼岸を手にし、彼の子として生まれ変わることで呪いを解き、新たな肉体で夜見野の全てを手に入れようとしている陰陽師。


 「勿論、君もだよ……デルタ……いや、【四大悪魔鬼族】処刑人デルタ」

 「身に余る光栄です……楓様」


 【四大悪魔鬼族】処刑人デルタ。

 種族は雪雹(悪魔)で、冥界に存在する貴族の家系の生まれ、レストラン迅凱仙スープ料理担当のオズの兄である。

 かつて、悪魔の身体の臓器やパーツを無理矢理奪ったことにより、冥界から追放されひっそりと現世で暮らしていたが、秋月楓の実験に賛同し、以後彼の協力者として暗躍していた。

 人体のパーツを集めるのが趣味で、特に目玉を抉りとるのが好き。


 そして、秋月楓。

 種族は狼獣人で、秋月一族宗家の長男。

 当時の秋月一族の宗家家長の生まれた長男だが、実際は不明点が多かった出産であった。

 その後、天才性を出し、父親と母親を事故に見せかけて殺害し、その後秋月家から弟である紅葉を連れ出し逃走。

 以降は、善良な博士を演じていたが、学生時代にであった当時無名の心理学者により看破され、学園をその日に卒業。

 その後研究所に潜み、様々な実験をして暗躍していた狼。

 レストラン迅凱仙のハスキー先輩や、情報機関【ライブラリー】のファングなど、ライブラリーに所属する多くの人材はかつて秋月楓がそうなるように仕向けていた【不老不死の人体実験】の被験者であり、拉致、誘拐された者たちである。

 他にも、十二星座怪盗のレオが殺されたのも、別ルートが弟である秋月紅葉に滅ぼされるように仕向けたのも、始まりの神すら操り天野迅雷を結果として殺害したのも全て彼の思惑であった。

 最終的に、天海の陰陽師【夜見野彼岸】と最速剣術【神速】後継者【ライカ(ハスキー先輩)】たちと、全扉の管理人【天野迅雷】によりこの世界から消滅した……はずだった。。


 「さあ、じゃあみんな行こうか……目的地【鳥ノ国】バードランドへ……」


 邪悪な野望を秘めた者たちは、獲物を求め……今旅立った。

 様々な思惑を胸に……邪悪は動き始めるのであった。 

天海の陰陽師【麒麟編】第2-終「蠢く邪な獣たち」

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