どうも!ただっちです!
彼岸くんのストーリーもようやく半分ほどまで来ました。
ここから、折り返して行きますので最後までお付き合いください🙇
では、続きをどうぞ!
ーーーーーーーーーーーーーー
【そして時間軸は、再び戻る……】
「急激な疲れがでたんでしょうね……ここ2ヶ月、ずっと思い悩んでたみたいですから」
バードランドの国賓歓迎用の宿泊施設にて、彼岸は眠りについていた。
皇の言うとおり、彼岸はあの日……友と決別した日からこの2ヶ月ずっと心労を抱えていた。
それは、自責の念でしかなく、ただただ許される道を歩みたいと渇望した結果であった。
「彼岸先生が、ここまで思い詰めるなんて……秋月紅葉というのは何者なんですか?」
「秋月紅葉……平たく言えば、彼岸くんの命の恩人かな」
聞いておいてなんだが、シルバーにはその秋月紅葉はとてもじゃないが命の恩人という人物像に当てはまらなかった。
もしも命の恩人だというなら、ここまで自身の師匠【彼岸】がここまで精神的にダメージを受けているわけはないはずだからだ。
「かつて彼岸くんは邪悪な考えを秘めた人間どもに、襲われ拉致監禁されるという事態にあいました……そこからは、彼が頑なに語りたがりませんが、凄まじいほどの辱しめや苦痛を受け、もうダメかと自害しようとしたところに、当時の紅葉くんが助けに来てくれたのです……」
「なっ、なんであなたが知ってるんですか?」
「当然です。 私は彼岸くんを観察するのが趣味なんですから、過去の履歴に至るまで……何月何日に何を食べたかまでちゃぁぁんと把握してますとも」
というゴートの極度のストーカー発言に部屋にいるものがドン引きしてはいるものの、先ほど言ったことは間違いではない。
かつて人間に捕らわれ陵辱され精神肉体共に限界まで削られた彼岸を救ったのは紅葉であった。
その事実は変わらない。
「彼岸くんはその後、レストラン【迅凱仙】にて療養込みで仕事をしておりましたが、度々陰陽師の仕事で獣人の国を巡ってました。 シルバー王子と出会ったのもちょうどその頃ですよ」
「彼岸先生そんな状況でも……あの時……」
「そして、更に月日は流れ……森で倒れていた人間の青年である迅雷くんを紅葉くんが連れ帰ったところから物語は続いているのです……おしまい」
彼岸手帳と呼ばれる彼岸に関する記録を纏めた広辞苑並みの厚さの本をパタンとしまい、ゴートは窓の外を眺め始める。
いやまて、普段からあれ持ち歩いてるの?
凄い重量になりそうなんだが……。
「ふむ……どうやら、この国に秋月紅葉がいるのは確かですね……しっかりと心が見えます」
「心が見える? 」
「私の固有能力です。 私は相手の心を読むことができ、またそれをオーラの様なもので感知することもできます。 ちなみに、あなたの心のオーラは黄緑色……正直者で、まっすぐな人によく見受けられるまあまあ綺麗な心ですねシルバー王子」
「ふーん……じゃあ、彼岸先生のは?」
「そうですね……それを語るには6時間ほどいりますが……」
「じゃあいいです」
ガチストーカーのガチな話を6時間も聞くなんて、ある意味洗脳より恐ろしいことだと、シルバーたちは思っているのをゴートは見ていた。
「皇さん、彼岸は目覚めるのか?」
「ええ、疲れてるだけなので数時間したら疲れもとれて目が覚めますよ」
「それはよかった……さて、我々がここに来たのは……」
「俺様に会いに来たんだよな、ボル」
ガチャりと扉を開けて大きな声で愉快そうに歩いて入ってきた鳥族の男……鳥ノ国の国王であるトルネであった。
が、皇が即座に彼を思い切り壁際に蹴り飛ばした。
なぜって?
そりゃ……。
「愛弟子が眠ってるんで大声出すのやめてもらっていいですか? バカな王よ」
「ぎゃふん……ご、ごべんなさい……」
大丈夫かこいつ……と、シルバーは思ってしまった。
が、大丈夫であった。
「ふう、皇様は弟子の事になるとおっかないな……っと、ではでは、改めまして……俺様の名前はトルネ。 神封鬼一級執行官にして鳥族の王……そして、風の賢者だ。 よろしくな、虎族王子殿」
先ほど攻撃を受けたのが嘘のようにしっかりとした挨拶でトルネはシルバーに挨拶をしていた。
しかも、目線を自分に合わせるために片ひざまでついてだ。
ちゃらんぽらんかと思いきや、しっかりと外交の基礎ができていることに普通に驚いてしまったが、まあ王様なんだからそれは失礼だろとゴートは思っていた。
「来た目的は【麒麟】の件かな?」
「そうだな……黄泉の国へ行き来できると言われる【麒麟】……それについてお前から聞きたいんだよトルネ……いや、元【麒麟】の転生者さん」
光の賢者の最後の言葉……それは、衝撃の発言であった。
【夜-バードランド城下町-】
鳥ノ国の本祭は明日に控え、数多くの出店が並んでいた。
そこを仲睦まじく歩く狐の夫婦と、兄妹かと思うほどの若々しい狐の子供たちが歩いていた。
彼らは今回、出店のためにやってきていた。
呉服兼染物屋【狐屋】の面々である。
「まさか、建国祭中のバードランドに出店できるとは……流石は母さんだね」
「そんなに褒めたってこれ以上はなにもできないわよ、陽太」
丸っとした狐獣人の男は、幼げのある少女に向かって母さんという……。
彼女の名前は夜見野廻(よみのみち)……【狐屋】の社長であり、そして彼岸の母親である。
齢50に近い年齢だが、その姿は完全に少女と見間違えるほどに若々しい。
決して若作りしているわけではなく、すっぴんでこれである。
彼女が手を引いているのは、陽太の息子である日我(ひゅうが)。
小学3年生の彼岸の甥っ子である。
「ばあちゃん、そんなに手を引っ張らなくても歩けるよ」
「いいえ、あなたは目を離すとどこかにふらふらいくからだめ……ねぇ、吹雪さん」
「は、はい! お義母様!」
陰陽師の長たる吹雪も、義理の母親の前ではたじたじである。
ちなみに、廻は嫁いびりをするような卑怯な女ではないので、姑嫁関係は良好である。
※ここは重要なので特に強調してくれと廻さんがいってました。
「それより、例のレストランもここで出店するって聞いてるけど……彼岸はいるのかしらね」
「いや、兄さんは今世界中を旅してるから、レストランでの仕事は休んでるはずだよ」
「あらそうなの……」
「兄さん忙しいからね……陰陽師としての仕事もあるし」
「まあ、世のために働いてるのであればお母さんとしては誇らしいことよ。 あの子は昔から無茶ばかりするから心配だけどね」
「それは確かに……ん?」
その時、陽太は前方にとある出店を目にする。
それはレストラン【迅凱仙】の出張店であった。
その前で、ふらふらしながらも看板等を設置している狼獣人「秋月紅葉」活発そうな小さな容姿の獅子獣人「レオ=ゾディアック」がついつい目にはいってしまった。
「あ! 紅葉さん! レオさん!」
と、陽太は少し小走りに走っていく。
顔見知りである二人にせっかくなので兄である彼岸のことを聞こうとしたからだ。
しかし、その瞬間、更に別の人物まで目にしてしまう。
それは、魔法学校の学長黒猫獣人「シロン・ウィザード」、そして……。
「あれ? なんであいつが……」
「……!!」
目線があったその男は、陽太の後方から漂う凄まじい殺気に気づいていた。
その殺気を発している人物は、怒気のこもった満面の笑みでその男の名を呼ぶ。
「護ぅ!!!!!」
夜見野護……彼岸と陽太の父親。
夜見野廻の夫であるが、夫婦仲、そして親子仲は険悪であった。
何故ならば……幼い彼岸を廻から無理矢理引き離し、陰陽師の里へ連れてったという一件以降……廻は謝罪を受けていないからだ。
故に……夜見野廻にとっては不倶戴天そのもの。
故に彼女は金属バットを振りかざして、獲物に近づいていっていた。
そしてそれから逃げる護は、廻に気づくや否や、全速力で反対方向へ逃げていく……。
夫婦の死の鬼ごっこが始まったわけだが……陽太は疑問に思っていた。
何故、このタイミングでこんなにも兄に関係のある人物が集まっているのかを。
「またなにか始まるのかな……兄さんもしかして来てるのかな……」
陽太は嫌な予感がしていた。
また、兄さんが何かに巻き込まれ、そして傷つく……そんな心とは裏腹にバードランドよ夜はふけていくか……。