ヒトブタの飴食い競争#10ヒトブタの飴食い競争と美人投票での総合結果発表です
Added 2022-07-14 15:00:00 +0000 UTC「これ食べて、学食の調理師さんたちが屋台を出していてそこで買ってきたから」
「あ、ありがとうございます」
先輩が昼食としてフランクフルトを持ってきてくれた。
「うん、どうぞ」
先輩がしゃがみ、豚の足装具で四肢の折り畳み拘束と手に填められた球状手袋により自分でフランクフルトを持てないので、先輩がしゃがんで四つん這いの私の口の高さの位置にフランクフルトを持ってきてくれる。
父兄や生徒の目、さらに聖豚コンテストの記録を収めているビデオカメラ撮られながらこのフランクフルトを口に入れるは気が引ける。
フランクフルトを口に入れるってフェラチオを想像させるっていう事でしょ。
他の代表者の子たちも先輩たちにフランクフルトを持たれて口に入れている。
私もお腹が空いたし食べる事にした。
一口、口に含むと一斉にスマホからシャッター音が聞こえ、ビデオカメラも私に寄ってくる。
よく噛んで飲み込む。
この季節外れの真夏日の暑さの中、豚の肌色を模したピンク色のラバースーツからは解放されず腕と足も折り畳み拘束されたまま肘と膝だけを地面に着けているだけなので、はあはあと呼吸が荒いままだ。
荒い呼吸のまままた一口フランクフルトに口をつける。
鼻フックをされたまま、はあはあ言いながらフランクフルトに口をつけるなんて、まるで男性器を目の前にして興奮している変態女みたいじゃない。
それでも空腹と先輩の親切を無駄にしない様にフランクフルトを食べきった。
その後も生徒と父兄達が入れ替わり立ち代わりに見物にやってくる。
当然、私のクラスメイトもやってくる。
「原口さん1位おめでとう!」
「原口さんおつかれさま!」
クラスメイトが歓喜の笑顔で言葉を掛けてくるが至近距離からこのヒトブタにさせられている姿を見られるのは恥ずかしすぎる。
しかも逃げるつもりもないのに、逃げ出さない様になのかと地面に打たれた杭に鎖で繋がれているだから、さらに惨めさが演出されている。
その中には堀内さんもいた。
堀内さんの表情は他のクラスメイトと違い安堵の表情だった。
それはまさに自分がこんな惨め姿でアナルプラグなんていう物をお尻に挿して鼻フック顔を晒さなくて済んだ安堵だろう。
堀内さんの表情を見て私はさらに惨めなる。
「あ、ありがとう」
クラスメイトから顔を背けたいが杭と金属製首輪を繋ぐ鎖が短すぎて顔を背ける事もできない。
「凄かったよ」
「私、原口さんの走ってる姿に感動しちゃったもん」
「ほんとほんと」
女子達が他人事の様に言う。
「飴食い競争1位ならもうミスコンのグランプリ確定だよな!」
「原口さんの周りだけ先輩達や親たちの数も多いしな」
そう、私を見に来ている二年生や三年生の生徒や父兄の数が多いのは明らかなのだ。
次に多いのは失格のペナルティでつい先ほど丸坊主にされてしまった、いじめっこ美少女の坂上さん。
坂上さんは失格なので、今の人だかりはかわいさチェックではなくて丸坊主美少女を興味本位で見に来てる人達だ。
坂上さんは見物客の視線にもう顔を上げる事はできず小麦粉塗れの鼻フック顔で嗚咽を漏らし涙を流しているだけだった。
ただ、私や他のクラスの代表者達の所にはクラスメイトが労いや、そのクラス一番の美少女の小麦粉塗れの鼻フック顔、はたまた全身のラインがくっきり出ていてなんともそそるラバースーツ姿を間近で見る為に来ているというのに、坂上さんのクラスメイトは誰一人来ていない様だ。
坂上さんが所属する2組の生徒は、坂上さんが丸坊主になってしまった事に気まずくなったのか、それとも失格になった事で完全に2組というコミュニティから弾きだしたのか。
それは多分後者だろう。
坂上さんがいじめというコミュニティを乱す行為をしていたのだから。
それに坂上さんが失格になった事で2組全員に毎週の道路掃除というペナルティを負わす事もさせてしまったのだから。
それと私が気になっていた、隣の杭に繋がれていて今も参加者全員のアナルに埋まっている5センチの豚の尻尾付きアナルプラグを入れる時にお尻が裂けて血塗れになってしまった6組代表の子にはクラスメイト達が労いにやってきている様で良かった。
飴食い競争は最下位で顔も十人並み、他の各クラスがそのクラス一番の美少女を代表者に選出している事を考えると美人コンテスト最下位は目に見えている。
それでも6組の女子達は口々に、労いの言葉を掛けていく。
正直今、声を掛けている6組一番の美少女なら、仮に飴食い競争が最下位でも美人コンテストでの最下位は回避できたと思う。
6組の女子達は気弱でおとなしくて目立たない地味な子にヒトブタになるという恥ずかしさを押し付けて、最下位になる事を受け入れたのかもしれない。
午後の部の始まりが近づくにつれ、ヒトブタの展示場いや晒し場から生徒たちが減っていく。
「これより午後の部を開始します、ミス聖豚コンテスト美人投票の締め切りまであと30分となります、投票がまだ済んでいない生徒、ご父兄は投票をよろしくお願いします」
午後の部を開始する放送が入り父兄達もグランドの方に行くが、それでもまだこの晒し場にはまばらに残っている。
グランドでは競技が再開されて、生徒の応援席から歓声が上がっている。
14時になり投票受付が終了しても私たちはヒトブタから解放されなかった。
この季節外れの真夏日の中、結局閉会式までラバースーツで汗を搾り取られ、小麦粉塗れの鼻フック顔を晒し続けている事になった。
そして。
「――優勝は5組です」
閉会式が始まった。
どうやら私たちのクラスが優勝した様だ。
ちなみに組分けは各クラスによる学年の縦割りだ。
「続きまして、ミス聖豚コンテストの結果発表に移ります」
いよいよか。
ヒトブタ全員が緊張の面持だ。
「かわいいヒトブタさん達の入場です、大きな拍手でお迎えください」
「えっ」
これにはヒトブタ全員が同じ思いの様だった。
また先輩に鎖のリードを引かれ入場門からグランド中央に引かれて行く。
再び全生徒、父兄の晒し者になってしまう。
「それでは結果発表いたします」
拍手が鳴りやみ沈黙が訪れる。
「失格者、2組代表坂上さん」
名前を呼ばれた坂上さんはびくんと体を震わせる。
2組の応援席からは露骨な溜息が上がる程度だった、これは2組というコミュニティから坂上さんを完全に弾きだした事を意味しているのだろう。
「第三位、1組代表――」
1組の応援席から拍手が起こる。
「第二位、4組代表――」
4組の応援席からは一瞬の落胆の声が聞こえたが、それでも代表の子に称賛の声が上がった。
「グランプリ発表の前に最下位を発表します」
クラス全体に及ぶペナルティがある最下位。
「最下位は6組代表――」
6組代表の子は泣きだしてしまった。
それもクラスへの謝罪を述べながら。
鳴き声がグランドに静かに聞こえるが6組の応援席から落胆の声も責める声も出ず、ただただ拍手と労いの声が上がっていた。
6組代表の子は今後も6組というコミュニティの中で〇校生活を楽しめるだろう。
「グランプリを発表します」
残るは、私、3組の代表者、飴食い競争で2位だった7組の代表者だ。
飴食い競争で順位の良かった7組の代表者より3組の代表者のがかわいい。
絶対にグランプリ栄誉であるミス聖豚にはなりたくない。
石見先輩が言っていた『ミス聖豚へのヒントを一つ教えてあげます、重視されるのは飴食い競争のタイムや順位ではなく美人コンテストでの得票数です』の言葉を信じ、私とは方向性の違う3組の綺麗系の子に票が集まる事を期待するしかない。
「栄えあるグランプリに輝いたのは」
グランド内のスピーカーからドラムロールが流れる。
「5組代表原口加奈さんです!」
5組の応援席からは私の名前が連呼され、大いに盛り上がる。
父兄席からも大きな拍手があがった。
わかってはいたが、いざグランプリだと言われると目の前にが真っ暗になってしまった。
それでもなんで私が、なぜ私なの?、7組の子だってすごく綺麗じゃん! 私じゃなくてもいいじゃん! 心の中で叫ばずにはいられなかった。
そう、わかってはいた、私の元美少女子役という知名度と掛け値なしのかわいさがあってしまえば確実にミス聖豚のグランプリになってしまうだろうと。
「それではグランプリに輝いた原口加奈さんには卒業式の日までミス聖豚の責務を全うする同意書のサインをしていだきます、このサインを持ちまして今年のミス聖豚の栄誉が送られることになります」
同意書とワイヤレスマイクを持ったミス聖豚実行委員とサインの瞬間を捉える為の同じくミス聖豚実行委員会の撮影係の生徒が近づいてくる。
「原口加奈さん、同意書にサインをしますか?」
放送でサインの有無を問われる。
この同意書には拒否権がある。
拒否した場合はクラス全員への与えられるはずの特別待遇はなし、更に最下位のクラス同様の毎週金曜日の道路掃除が課せられる。
私の注目の発言を撮り発言を放送で流す為に、ビデオカメラを私の目線まで下ろし、ワイヤレスマイクが口元に持ってこられる。
私は――
私は――
私は――
言い出したくても言えない。
拒否しますなんて言えるわけがない。
「サインします」
ビデオカメラに小麦粉塗れの鼻フック顔から一筋の涙を流し、カメラ目線を送りながら宣言した。
放送からの同意の言葉を聞いたクラスメイトが歓喜の声を上げる。
もう5組の応援席はお祭り騒ぎだ。
「それではサインをお願いします」
私の首輪に繋がれている鎖のリード持つ先輩男子が、手足を折り畳み拘束している豚の装具を外してくれる。
数時間振りに立がる事ができる。
ラバースーツと同じピンク色の球状手袋も外してくれると、同意書を持ったミス聖豚実行委員からペンを渡される。
「ここの署名欄に名前を書いてね」
「はい」
私は一文字ずつ丁寧に書く。
「よし、これでいいよ」
実行委員が私のサインが入った同意書を高々と掲げ周囲に見せる。
「原口加奈さんがサインをいたしました、どうぞ皆様ミス聖豚となった原口加奈さんに今一度大きな拍手をお願い致します」
私を称える全校生徒と父兄からの大きな大きな拍手も虚無感に囚われてしまう。
こうしてミス聖豚コンテストは幕を閉じた。