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鯰田NMZ
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現実世界放浪記【参】

ラッシャイ。俺は鯰田。げんこつ山のたぬきだ。俺は現実世界を歩くにあたってすべての選択肢を誤ってここに居るが、その誤りのすべてを語ってやるつもりはない。だが今日はフォロワーであるお前へ特別に、俺の人生であった誤りのひとつを語ってやることにした。


俺はこの現実世界放浪記で現実の少し暗い部分…風俗について話をしてきた。今回もそんな話だ。まだ読んでないなら先に読め。

現実世界放浪記

ラッシャイ。俺だ。鯰田。げんこつ山のたぬきだ。普段は仮想世界で電子霊獣として息をしてるが、現実ではそうもいかねぇ。郷に入っては郷に従え。すなわち、俺のような異形のたぬきであっても、時に“人間の皮”を被って社会という魔界に潜入せねばならん。 狂った精神を抱えたままでも、生き抜くには経験が要る。正気のふ...

現実世界放浪記【弐】

ラッシャイ。俺だ。鯰田。げんこつ山のたぬきだ。俺はかつて数々のネットゲームに魂を溶かして生きていたが、その詳細をペラペラ喋るつもりはない。だが今日は特別に、フォロワーであるお前にだけ、そのゲームで出会ったフレンドが引き起こした、ある事件の記録を語ってやろうと思う。 俺がまだケツ青いガキだった頃、俺...


俺は中州や飛田新地といった風俗に足を踏み入れたわけだが、それ以外にも様々な場所に歓楽街は存在する。その多くの裏側は規制やら何やらで取り締まられたのか閉店が相次いだらしいがな。


しかし消えたといっても生き残っている店舗もある。許可をとっているのかもよくわからないが店舗として存在している以上は多分きっとメイビー大丈夫なのだろう。そんなリスクを考えない若い輩がミスを犯す。今回はそんな話だ。

歓楽街の記憶を抱いた町

九州の風俗といえば、誰もが真っ先に思い浮かべるのは中州だ。ネオンの川辺、客引き、酔っ払い。だが実は、そこからそう離れていない場所にもう一つ名前が挙がるエリアがある。雑餉隈(ざっしょのくま)だ。読めないだろう。安心しろ、俺も最初読めなかった。


この街、昔は中州と肩を並べる活気を誇っていたらしい。だが今は見る影もない。ベッドタウンの住宅街、シャッター通りの商店街。すれ違うのは爺さんと婆さんばかり。かつての色と喧騒は抜け落ち、代わりに残ったのは「寂れ」の二文字だ。若者と見るやいなや俺みたいなチンピラ崩れでも道端で駅の方向を聞かれたりする。


だが、そんな街にもしぶとく生き残るものがある。ピンクサロン。エステ。30分5000円、7000円、そんな小遣い価格で遊べる風俗が点々としている。これが雑餉隈の裏の顔だ。


俺はネットで少し調べて興味本位で来た。だが、いざ現地に立ってみると驚いた。目の前にあるのは、どう見ても古びた民家の入口だ。

これが入口?ふざけるな。間違っていたら完全に不審者だ。さすがに家を間違えたくらいで警察の世話なんてことにはならんだろうがしょうもないミスはしたくない。


念のため周囲を一周して確認する。だが、やっぱりここしかない。困る。あまりにもわかりにくい。お前ら、風俗をやる気あるのか?いや、あるからこそこうして隠しているのか?わからん。


だがここまで来て退くのは敗北だ。俺は意を決してドアを押し開けた。


中に入ると突然「店舗」らしさが現れる。カウンター、料金表、時間の提示。現実感が一気に戻ってくる。指名はせず、フリーで入場。そもそも今日は特定のキャスト目当てではなく、ただ興味本位だ。


狭い廊下を通されると、待合室。真っ赤なソファが目に飛び込んできた。だが、それ以上に驚いたのは部屋の広さだ。廊下が狭いだけに、唐突な開放感に違和感を覚える。さらに本棚には漫画や雑誌がぎっしり。まるで漫画喫茶だ。風俗の待合でこれほど充実している光景はなかなか無い。


場所間違えたんじゃないか……?


そんな疑念を抱きながら雑誌をめくること10分。呼ばれた俺は再び廊下を通り、プレイルームへと案内された。


中は暗い。顔ははっきり見えないが、相手はアラサーくらいだろう。痩せすぎでも太りすぎでもない。こんな人が中州ではなくここで働いているとは思いもしなかった。予想ではアラフォーのビア樽が出てくるかもしれないと覚悟していたがこれは大当たりの部類だろう。俺は歓喜した。


甘ったるいバニラの香りが漂う部屋。目を凝らすと、マッサージ店の施術台のようなベッドが置かれている。狭いが、ここで事をなすのは十分可能だと理解する。


「うつ伏せになって」そう指示され、言われるがまま背中を向けた。


そう、ここは表向き「マッサージ店」なのだ。

俺の背中に置かれた手から始まったのは…取ってつけたような整体。


この時まだ俺は若く、肩こりという概念に縁がなかった。だからこの時間は、ほとんど無為。退屈。眠気すら誘うマッサージを受けていたところ、キャストからの一言――「硬すぎる」。すまねえ、デスクワークしかしてねえんだ。


さらに指示を受け、仰向けになる。俺と同様、暇を持て余していたキャノン砲の整備が始まる。ここでようやく、暗闇に慣れた目がキャストの輪郭を拾い上げる。……美人じゃねえか? 俺の趣味補正か、暗さ補正かは知らん。だがそう見えた。


砲の整備が終わったあたりで、キャストの挙動が変わる。棚から取り出したのは――ゴム。そして提案。追加料金だ。


そう。これだ。これがあると聞いて、俺は雑餉隈に足を運んだのだ。本来の施術料に加え、オプションを提示され、受け入れれば追加のサービス。内容はキャストごとに多少変わるという。だが「本当にあるのか?」と疑っていた俺には、願ってもない展開だった。


なお、この提案は誰彼構わずではないらしい。ネットの噂によれば、清潔感がないとか、横柄な態度だとか、そういう客には提示されないようだ。俺はそう踏んでいる。


ともあれ、俺はその“雑餉隈スタイル”を受け入れた。興味本位。貴重な体験代だと思えば安いもんだ。ちなみに断っても、普通に最後までやってくれるらしい。だが俺は興味に負けた。


そして、心地よい重みを感じながら、いよいよフィナーレに差し掛かる――その瞬間。

店内に流れていた聞き覚えのないJ-POPが、突如として知っている音に変わった。

You は Shock!!!!!!!

ふざけんな!!!! なんでだよ!?!?!?

どういう転調だよ!?!?!?!?!?


……流れに身を任せられず、悲しい気持ちを抱えたまま退店した。


そして………北斗神拳の余韻を引きずったまま、俺は雑餉隈を後にした。

胸に残るのは虚しさと、財布に残らない諭吉。


駅前の牛丼チェーンに入り、やけになって「特盛、卵、サラダセット」を注文。

出てきた牛丼を前に、ふと気づく。

――この一杯。トッピング込みで千数百円。だが、さっきまで俺が体験してきた雑餉隈アトラクション代を上乗せすると……?


はい、約一万円。

つまり俺はいま、**「雑餉隈スペシャル高級牛丼」**を食っているのだ。


一口喰らう。

味は……普通の牛丼。だが俺の舌には、追銭の味とJ-POPから北斗の拳へ強制転調した哀しき旋律が、しっかりと混ざっていた。


結論。

地域の謎風俗とは――「高級牛丼を食べるための、極めて遠回りなルート」である。


さて、今回はここまでだ。山での執筆活動のために、記事が気に入ったらフォローや支援をしてくれ。よろしくな。

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