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【無料記事】背景業界を目指すきっかけと今までの出来事

背景業界を目指すきっかけと今までの出来事

背景業界を目指すきっかけ

背景(風景)を私が初めて描きたいと思ったきっかけは新海誠さん監督の「秒速5センチメートル」を観たことでした。

背景の美しさはもちろんだったのですが、映像を美しくみせる演出やエフェクト、キャラクターが主体のアニメーションでその世界自体を丸ごと表現することができるような目新しい可能性の部分に憧れました。

当時通っていた専門学校では3Dを専攻していましたが、すぐに担任の先生に頼み込んでアニメ科の授業を見学させていただきました。
偶々、3Dの授業がない休みの日に背景の授業があったのでお邪魔させていただいて、先生を質問攻め。先生方に作っていただいた土台の部分を今も大事にしています。
今思えば図々しい生徒でした(笑)


▲描き始め

▲卒業間近


卒業間近の課題は当然3Dの作品などを提出しますが、先生曰く、「これから先に為になるようにCGなら3Dじゃなくても大丈夫。」とのこと。
とても嬉しかったです。相手の先の事を考える、譲歩する…簡単かもしれないけどなかなかできないことだと思います。
専門学校で学んだのは単純にモノづくりのノウハウだけではなく、提出期限を守ることや、ちゃんと謝罪すること、お礼をしっかりすること、相手の事を考えることなど社会に出る前段階を教えていただきました。

社会に出て

どうにか背景を専門に描く背景会社に入社し、新人として背景の描き方を学びました。

「仕事」で背景を描くとはどういうことかを約4年半ずっとご教授いただきました。
趣味と仕事の違いは制限時間があります。
背景に限らず、クライアント様がいる場合、例外もあるかもしれませんが納期があります。
仕事で絵を描く時はバランスが重要だとおもいます。時間とクオリティは常に天秤にかけられていて、どちらかに偏りすぎるとアニメのようなグループ制作は破綻してしまいます。
テレビアニメの場合、1日で「商品」としての絵を5枚描くぐらいが基本だと思います。※もちろん作風や予算によって変わってきます
仕事に関して色々な方々にもお話を聞かせていただきましたが、先輩が後輩に教えるというのは実は当たり前のことではなくボランティアな部分も大きいとおもいます。
単純に労力がいるからというのもあるかもしれませんが、相手におもっていることを正しく伝える難しさや正しい情報なのかという不安や恐怖も同時考えてしまうのかもしれません。
私も多くの人にたくさん色々なことを教えていただいたので、メイキングなどを作るときはいつも教えてくれた人やきっかけを作ってくれた人の顔を思い浮かべます。

そして、自分自身の個性は何だろうと考え、挑戦してみたくなってお世話になった背景会社を離れました。

フリーランスになって

自分より絵を描くのが上手い人がとにかくたくさんいらっしゃる業界だったので、フリーになる不安は凄かったです…

▲フリーランスになった直後

フリーになってからクリエイターとは何かをよく考えるようになりました。
例えばテレビアニメのスタッフロール。お恥ずかしい話ですが、この業界にあこがれを抱くようになってから初めてチェックするようになりました。
1つの作品にこれだけ多くの人が参加しているんだ…と感動しました。
しかし、実際にはその一人一人が「私がこの作品の制作に関わっています」「ここを担当しました」と気楽に言いにくい感じがありました。

マーケティングなどそういう考えで情報が制限される場合もありますが、個人的にはスタッフの名前がびっしりのせられた宣伝が好きです。
私がもし裏方のスタッフだったら、発売前の宣伝段階で名前やその分野の紹介をしてくれる作品だったら例え無意識でも報酬以上の作品を仕上げます。やはりそれが人間だと思います。

とある作品に関わった時、SNSなどで出来る限り多くのスタッフの方々のことを表に出しながら制作を進めたいと提案したことがありました。
プロデューサーの方も同じ考えをもっていらっしゃったので実践していくこととなりました。
関わった全てのスタッフの名前を表に出すというのは難しいですが、ほぼほぼすべての分野の事を前面に出しながら作品の制作について紹介していった結果、
スタッフ個人のSNSで、この作品でこんなことを担当しましたととても言いやすい雰囲気ができました。
そして、何より大きかったのはずっと個人的に理想としていた「制作側とユーザーさんが作品を通じて交流すること」が叶ったことです。
~監督や~の声優さんなど、認知されやすい花形の位置にいる人は、作品がよいものだったら自然と多くのユーザーさんと交流する場面が増えると思いますが、裏方の位置にいるスタッフはこれがなかなか難しいのです。

リリース直前、SNS上でカウントダウン企画などをした時、ずっと応援してくれていた方々や顔も知らないけれど支えあっていたスタッフの皆さんの発言を見ながら感動し泣きました(笑)
発売日当日、店頭の前で応援してくれていた方とスタッフの方が楽しそうに話をしていたのを見てまた涙腺を緩め、その後の打ち上げでスタッフそれぞれが挨拶するときに感極まり号泣しました(笑)

作品制作を楽しくするにはどうするかの答えが見つかった気がしました。
お仕事に楽しさを求めるのはもしかしたら間違っているのかもしれません。しかし、その作品を思い出深いものにするのはその作品を思い出すときに思い浮かべた人たちの多さなのかなとおもいます。

▲最近


自分が良いと信じたものを作品の為にも折れずに突き通し、本気で抗ったり、
「自分は名前を出さなくていいから関わった人達がさらに活躍できるような作品になるといいな」
と笑っていたプロデューサー。

そういう尊敬する人を立てる背景のような存在になりたいと思った今日この頃です。




-------------------以下お知らせなので記事はここまでです。ありがとうございました!---------------------------



この度背景作画の技術書がKADOKAWAさんから出していただきました。

今回出させてもらった背景の技術書は一言でいうと『苦手意識を払拭するための本』です。
背景は経験値がものをいうと私は思っています。
例えばフェンスを描こうと思ったとき、何も見ないで初めて描こうと思うとああいう部品があったのは覚えているけど、正確にはどんな形だったか…裏側はどうなっていたか…
悩むことがとにかく多いです。しかし、一度観察して描くと、なんとなくでも経験したことは確かに蓄積され、しばらく経ってから描こうと思ったときに悩む時間は格段に減って
答え合わせだけで済むようになります。
この繰り返しが経験値となり、悩む時間を描く時間に変えることができるようになると思います。
例えば、ワンドロで絵を描くとき、手を動かす速さは人間である以上限界があります。
差が出るとしたら迷って悩む時間の有無だと思います。

本書はその悩む時間を減らして描く時間に変え、できる限りたくさん絵を完成させ、経験値を蓄積しようというのがコンセプトです。

最初から一枚の密度がある絵を描こうとすると描かないといけないものが多すぎて目が回ってします。少なくとは私はそうでした(笑)

アナログでは絵をパーツに分けて描くというのは難しかったですが、デジタルではそれが可能となります。
最初はパーツを描いてみて、それらを上手く遠近感を出して組み合わせると一枚の絵が完成する。その達成感を得てもらうのが「楽しい」につながると思い、今回はこのような形の展開でメイキングを制作致しました。

本の「はじめに」の部分でも書かせていただいていたのですが、この本は「素材を制作し、それを組み合わせることで絵を描いていくこと」のみを推奨するものではありません。

コツを掴めた!と思ったら別の描き方を試すのも良いと思います。レイヤー1枚でゴリゴリ描く方法ももちろん正解で、そこを目指すべきだとも思います。

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