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カルチューン・C・ラブ
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かるちゃあノベルpt3「ツインズピークス」第7話

「おはよ…」

ある朝私が朝食を食べていると珍しく美香も起きてきた。そしてさらに珍しく私同様彼女も今日は一日なんの予定もないと言う。一緒に暮らし始めてからこんな日は滅多になかった。11月にしてはやけに陽気で暖かい日だったので、私達はお互い美香は2人でショッピング、私は2人で部屋の大掃除を主張し、これまた珍しく美香が折れて大掃除をすることになった。聞くと普段から彼女の部屋も含め、ほとんどの掃除やゴミ出しは私がやっていたので、ちょっとした負い目があったらしい。私としては2人の関係は昔からこうで、5歳の彼女が遊んでそのままのおもちゃも、10歳の彼女が投げっぱなしたランドセルも、16歳の彼女がちらかしっぱなしの実家の二人の部屋も、気付けば私が片付けていたので、特に気にもしていなければ苦でもなかったのだが。

少し身体に汗が滲むほど、ひねもす二人は大掃除に邁進し、夕方にはクタクタになって宅配ピザを頼むことにした。早めのお風呂に入り、いつでも眠れる準備をして、女2人の打ち上げパーティは始まった。彼女は冷蔵庫から大きな缶ビールを取り出して私にも勧めたが、私はやんわりと遠慮した。もともとお酒に弱いのと、酔って彼女の前でうっかりタケルさんの事を喋らないか不安だったからだ。

そう、私と彼の関係は今もまだ続いたままだった。


「優香ちゃん最近さぁ…」

食後すっかりくつろいで3本目のビールを開けていた妹は上機嫌に言った。

「彼氏出来たんでしょー?」

私も久々に姉妹で過ごした楽しい一日にすっかり気を緩めていたのだが、その一言で途端に現実に引き戻された。

「えっ?な、なんで?」

私を赤い目で上から下まで見回した彼女がニヤけて言う。

「最近ミョーに色っぽいぞ!ハハハハハ!」



「そ、そうかな?…別に…そんな人いないけど」

動揺しながらもズルい私は平気で嘘をつく。でも質問の通りなら私の答えは間違ってはいない。あの人は『アナタの彼氏』だ。

くだらない言い訳と自己弁護を私が心の中で反芻していたその時だった。

「…きやッ⁈」

突然美香が私を押し倒して馬乗りになってきた。本能的に抵抗する私の両手を易々と彼女の手が押さえつける。私と全く同じような背格好の彼女が私より力が強いのは何故なんだろう?まぁインドアの私よりも彼女の方がアウトドア派で様々なスポーツをしているからだろう。この夏にはバイトでプールの監視員をしていたくらいだ。

「ちょっと美香なにすん…うあンっ⁈…」

彼女は私をバンザイの状態で押さえつけ、その顔を私の首元に埋めてスンスンと鼻を鳴らしてきたのだ。ビールの臭いと彼女の匂いが混じり合って私の頭は軽く揺らいだ。

「そうかなァ?お姉ちゃんじゃない匂いもするんだけどなぁ?」

「ちょっとやめて…なにすん…あンっ!」

彼女はそのまま私の首筋を甘く噛んだ。

「初々しい反応。さてはお主、まだ生娘か?」

その言葉に私は少しムッとなった。頭の中にタケルさんとの濃密で激しい求愛が浮かびあがる。

「…ち、違うもん。」

「ええっ⁈お姉ちゃん経験あるの?じゃあ初めてっていつよ?」

「こ…高3…」

「ウソウソウソ!私聞いてないよ〜。」

「言う必要なんてない。」

「ねぇ誰?私その人知ってる?誰だれダレ〜?」

「言う必要なんてない!きゃっ⁈…んあんっ!…うんっ!やぁあん…」

再び私を押さえつけた美香は今度は私の耳に舌を入れ、大胆に舐め回してきた。

「お・し・え・て♡」

直接耳の中でその言葉を囁かれた私の身体はその意に反して熱くなり始めていた。

「いやっ!…お願い、やめて!…こんな…あぁん!…ハァ…ハァ…」

「ダメー。教えてくれなきゃ私このまま優香ちゃん犯しちゃうー」

その舌は私の耳や首を責め続けたまま、いつの間にか彼女の右手は私の左胸を揉んでいた。

「ああっ!やっぱり胸だって私より絶対おっきくなってる。くやしいい!」

美香は私の胸の大きさに悔しがっていたみたいだったが、私はといえば自分の身体の正直さが悔しかった。男性とは違う優しくて柔らかい愛撫、そして彼女はまるで自分の身体のように正確に、服の上から私の乳首を責めてきた。



「⁈はァあんっ!」

身体はまだこの心地よい快感に浸っていたいと懇願したが、流石に私の頭は妹に発情させられる姉の痴態に抵抗した。

「お願い、美香ちゃん!もうやめてっ!言うからぁっ!」

妹は手は止めてくれたが身体はまだ私に覆い被さったままだ。悔しがる理由もない程の大きな彼女の胸が私の胸にピタリと押し付けられている。

「では白状したまえ」

「…さ、沢村くん…」

「…さわむら…!あの生徒会長の⁈」

私は相槌だけをうった。

「へぇー!気付かなかった!で、今も続いてたりすんの?」

「ううん、すぐに別れちゃった…」

「そっかぁ。しかしアイツがこの高嶺の花を手にしたとはねェ。」

彼女は両の手を私の頬に添えて、私を上から下まで吟味するように見ると、そのまま私の横にゴロンと転がり仰向けになった。私達は一本足りない川の字のまま喋り続けた。美香は初体験の場所だとか、どんなことをしたかなどを細かに尋ねてきて、私もほとんどのことを正直に答え続けた。

「そうかそうか。私に隠れて隅におけませんなぁ。」

その言葉が別の意味を持っているようで、私はすっかり解放的になっていた自分の心をもう一度引き締める。

「でも知ったら悔しがるだろうな、マァくん、ヒデ坊、裕ちゃん、それにリョータな。」

「?亮太君って、川越…亮太くん?」

「そだよー」

美香の口から出たズラッと並んだ懐かしい旧友の名前はしかし私には的が外れているように思えた。

たしかに彼等は私と仲良くしてくれたし、その内の何人かに告白をされたこともある。特に川越君はラブレターにプレゼントまで添えてとても情熱的だったのを覚えている。だけど…臆病な私が返事に迷っているうちに、いつの間にか彼等はみんな美香と腕を組んでいた。だから私には美香の言葉の意味が分からない。だって彼等はアナタの恋人だったじゃないか。結局は皆んな、私よりも綺麗で、明るくて、華やかな妹に夢中になるんだと私はひどく傷ついたものだ。生徒会長との交際を美香が知らなかったのも無理はない。私がひた隠しに隠したからだ。だって油断をすると…またアナタに盗られるんじゃないかって…ワタシは思っていたんだから。


すっかり夜が更けても私達は眠らずに、2人並んで天井を見ながら話し続けていた。

「ねぇ、お姉ちゃん?」

「なぁに?…」



「クローンっているよね。今もう犬とか猿もいるんだっけ?…私達も…そういうもんかな?」

「…分からないけど、多分違うとおもう。」

私は本当に分からなくて、感覚で答えた。

「じゃあさ。その子達はお互いを見て、ソックリだなぁって思うんだろうか?」

ピタリとくっついてきた美香をじっくり見つめて答える。

「…思わないと思う。逆によく似てるからこそ…お互いの些細な違いが余計に気になるんじゃないかな?」

「あっ!私が言葉に出来なかったのまさにそれ!流石は優香ちゃん、賢い〜。そうだよね。ソックリだなんて思うのは、周りの人間だけだよね…」

「…うん…そう、思うよ…」

言いながら私は過去に何度も妹を羨んだ事を思い出していた。こんなにそっくりなのに、どうして私は彼女みたいに明るく笑えないのだろう。どうして私の周りには沢山の友達がいないのだろう。そして私の隣にはどうして、腕を組んでくれる人が現れないのだろう。優香はどうして美香じゃないんだろうか。こんな感情しばらく忘れていたのに…ぼんやりとただ天井を見つめ、想いに耽っていたときだった…


チュッ




突然美香が私の口にキスをした。するが早いか彼女は立ち上がり、

「そろそろ私寝るわ。お姉ちゃんも眠いでしょ?」

「え、そんなこと…」

「今日はありがとね。いっぱい優香ちゃんの秘密教えてくれて。また色々と教えてよね。」

そう言って彼女は自室へと消えていった。

『…秘密なら…まだいっぱいあるんだよ…』

私は、私が彼女になれない理由がわかった気がして、悪寒に襲われた。

続く


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