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カルチューン・C・ラブ
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かるちゃあノベルpt5 はだかんぼの恋 最終回(第7話)

地中海から吹く風は心地よく『裸に白ワンピ』な私の股下を吹き抜け、ときにきわどく、ときに大胆…てか丸見えになるまで私の服の裾をそよがせた。


街行くマッチョな男達は日本人よりよっぽどわかりやすい反応で、中には口笛をならして私を讃える者もいる。本来ならそんな陽気な助平野郎どものシュプレヒコールをうけながらヨーロッパの午後の街並を散歩するなんていう贅沢を満喫したいのだが、私の気が落ち着かないのは、相変わらずあのげーじつかが撮影場所に向かう途中に勝手にフラフラと姿を消したからであり、同行スタッフに頭を下げて、こんな土地勘のわからぬ場所で、こんがりやけた厚い胸板と胸毛まみれの中をあのヒョロガリもやしを一人で探さなければならない焦りからだった。


そう、あのあと私達が連名で発表した処女作品集『街とはだかんぼ』は最初にまずはカルト的な人気を獲得し、その後SNSなどでその話題は世界中へと拡がった。


1年前は誰が想像したろうか?この私が彼の撮影でヴォーグやi-Dの表紙を飾るなんて。神様だってはぁ?って不思議そうな顔をいまだにしてんじゃないか?

とにかく『Z世代のゲンズブールとバーキン、ジョン&ヨーコ』なんて神輿を宇宙にまでぶん投げたんじゃないかと思うほど担がれまくった私達はありがたいことに世界中からのオファーを受けて一流の写真家、モデルとしていま活動出来ている。


「Favoloso! Sei una dea della bellezza!

Ti piacerebbe prendere un tè con me?」

私の歩いている側をテンプレ胸毛マッチョ君がまとわり付いてくる。

「ソーリーソーリーひげソーリー。私英語ダメなんでー。ん?英語?何語??」

私は歩を止めずにお断りのジェスチャーをする。

少し歩くと私はどうやら街の外れに出てしまった。いまだ冬吉を発見出来ていない焦りはあったが、目の前に広がる海と絶景に私は感動し、しばらく動けなくなった。少し磯の香りが混じった風が海から私の立っている丘へと駆け上がり、ワンピースを捲り上げ、私のアンダーヘアーを揺らしてもまだ止む気配がない。

『そうだ!』

思い切って私は衣服を脱いで素っ裸になり両手を広げた。気持ちいい!世界が私を中心にまわりだす!髪と脱いだワンピースを風にそよがせて、目を閉じ恍惚の表情を浮かべていた、そのときだった。

パシャッ!


私はそのシャッター音に特に動じもしなかった。上坂千夏の最高の瞬間を永遠に切り取ってくれる奴なんて世界にひとりしかいないに決まっているからだ。あとしばらく、たっぷりと今この瞬間を満喫すると、私はそのまま右手に持っていたワンピースを着直して、ようやくゆっくりと目を開けて、眼下にいる冬吉を見た。

「どこ行ってたのよ?」

「ん?あぁ、こっちの方になんだかいい絵が見つかりそうな気がしたんで…」

いつもの調子で目も合わさずにコイツは平然とそういう事を言う。

「みんな心配してたのよ!」

「千夏が来てくれてよかったよ。」

だから会話をキャッチボールしろって!

「ほら行くよ!みんな待ってるんだから!」

「そうか。でももう今日の撮影は終わったよ。さっきの1枚できっと OKが出る。」

こいつが言うからにはそうなんだろう。きっとまたあのカメラの中には到底私とは思えない美人の女神さまが写っているんだ。まぁだがしかし私は君よりもちょびっとだけマシな社会不適合者なのでいちおー世間体も気にするのだよ。

「とにかく行くよ!みんなに謝らなきゃ‼︎」

そう言って私は強引に才能ある芸術家の腕を引っ張ったが、彼はまだ立ち止まったまま、ふいに私に告げた。

「なぁ、千夏…」

「ん、なぁによ?」

少しばかり照れて顔を赤らめながら彼はボソッとだけど確かにこう言った。

「…これからもずっとそばにいてくれるか?…」

え?…え…え?………かーっ、こんなに最高のロケーション、シチュエーションでそんなベタでキザなセリフ吐くかねぇ!えっ?もしかして2人きりになりたかったからはぐれたとか?これ全部計算づく?…んなわけないないー!こいつ絶対そんな奴じゃねぇもーん!

…なんて些細なディテールに私が総ツッコミを入れまくっているのは、投げられた言葉の本質があまりにも衝撃的でマトモに捉えるとその場に倒れちゃうんじゃないかと不安だったからだ。ここは真面目に返しちゃいけない。そんなことしたら嬉しさのあまりに涙腺崩壊、汗腺ボタボタの失禁の失神になっちゃう。

そんなわけで私の発した言葉はものすごく斜に構えてて、高慢チキで勿体ぶっていたわけだけど、お願いだから許してよ。私が平静を保つのはその方法しかなかったんだもん。

「その質問に答える前に、私もひとつ聞いていい?」

風が含む磯の匂いでご飯が食べられそうなほど深い深呼吸のあと私はたずねた。

「いつまでも私のそばにいてくれる?」

それまで少し不安げだった彼の顔が、まるで子供のようにウブな笑顔に変わった。

「いいから俺の質問にはやく答えろ!」

嬉しそうににやけて彼は言う。

「やだねー、私のに先に答えてよ!」

嬉し涙をごまかして私は彼のまわりをピョンピョンとはしゃぎながらその問いをはぐらかし続けた。

「さぁ、もも組さんのきしだとうきちくーん!ちゃんと先生についてこないとまた迷子になりますよー」

とんでもなく照れて、デレて、トロトロになった顔を見せないように私は彼より先に歩き出す。

風がいっそう強くなった。ワンピースは常にめくれあがり、私はもうほとんど全裸丸出しで歩いているようなものだった。数歩ばかり遅れながら、彼ははしゃぐ私に向かってシャッターを切り続けている。彼の言うとおり、もしかしたら本当にさっきのとこの写真でオーケーが出るかもしれないなと私は思った。


だってこれ以上のいい笑顔は、今日はもう出せそうにないと思うから。




おわり



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Love the exhibitionist theme.

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