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かるちゃあノベルpt6 超成体ラタイダー第2話

「あ、あー、しまったァ」

後部座席のドアを開けた途端、剣三郎は溜息をついた。すっかり大量のコーヒー豆や店の備品もろもろを仕入れたのを忘れていたのだ。しかしこの小さい軽自動車では到底後ろの荷台スペースに積みなおせるような箱の量や大きさではない。

「…あの…助手席ではお邪魔ですか?」

「あ!あーお嬢ちゃ…あ、いやマリーさんが構わねぇなら。」

「はい。では、失礼します。…わぁ!コーヒーのいい匂い!」

マリーは無邪気に車の助手席に腰を下ろした。

剣三郎も運転席に座り、エンジンをかけるとシフトレバーに手をかけた。その際にマリーの白く張った太腿が目に入った。剣三郎は目を開けてからの美少女が、彼が彼女を最初に見たときに感じた清楚真面目で可憐な女性だろうという印象が、『ひとつのあの恐怖の例外の他は』全く外れていないと思ったが、それでも目に入った麗しい素肌の曲線には確かに大人の女性としての色香があり、それは正直彼に少しばかりの肉欲を芽生えさせた。

『いけねェいけねェ!…全く毒だなこりゃ…』

そう思いながら彼は彼女と二人、悪夢の山間道をあとにした。


車中ではマリーが剣三郎にコーヒーについてあれやこれやと質問を続けていた。剣三郎もその事となると調子にのって自分の知識のありったけを披露したが、どこかマリーが無理をしているような雰囲気があるのは察していた。それが世代の違う中年に気を遣ってくれているものなのか、はたまた自分にはもう問われる事も答える事もありはしないという寂しさからなのかは分からなかったが。

流れる国道のライトに一瞬照らされた美少女の顔がなんだか紅潮しているように見えた。

気のせいだろうと剣三郎はアクセルを踏んだ。


「ふーっ、ご到着だぁ。さてと早速コーヒーを…」

店舗も兼ねている我が家に何事もなく無事に辿り着き、剣三郎は狭いガレージに車を停めた。車内のアラームは午前四時過ぎで、まだ外は暗かった。安堵の溜息をついた彼が車を降りようとしたその時、

「待って…」

突然マリーの手が剣三郎の腕を掴んだ。驚き彼が振り返ると、彼女はコウベを下げて少し震えていた。彼を掴んだ手は発熱と呼んでもいい程の高温であった。

「ど、どうした⁈ぐ、具合でも悪いのか?」

剣三郎の脳裏に闇の中に血塗れで笑う裸のマリーの姿が一瞬浮かんだ。彼は恐怖にゴクリと唾を飲んだが、マリーにはまだ意思の疎通は出来るようだった。

「…い、いえ。…も、もうひとつ…聞いていいですか?」

「あ、ああ…」

「……お、奥様はいらっしゃいます?」

「ん⁈…い、いや…いたけど大昔に死んじまったよ、ハハハ…⁈」

「そう…じゃあ…今は…ひとり…ですか?……」

そう言いながら、剣三郎の腕を掴んでいたマリーの手は、ゆっくりと彼の体をなぞり、彼の股間に辿り着くと服の上からそこを優しく撫で始めた。剣三郎は満足そうな笑みを浮かべたまま転がったカマキリの怪物の生首を思い出した。彼はなんとか平静を保って言った。

「あ…あぁ!こ、こんな老いぼれに寄ってくるお、女なんて…いるもんか!」

「…そう…なら…ハァー…ハァー…」

マリーの息は明らかに荒んできていた。彼の股間を弄る彼女の手は次第に激しくなり、やがてはそのチャックを開け、固く屹立した剣三郎の逸物を引き出すと直接その肉棒をしごき始めた。

「マッ⁈ママママ…マリーちゃん⁈」

剣三郎は焦ってマリーの方を見た。まだ俯いたままの顔の下に、ジャンパーの隙間から豊満な胸の谷間が見え、彼の息子はますます反り返った。

「…信じてください…私…いつもはこんな女ではないんです……あ……でも…私はいま名前以外何も知らないんだったわ…実はずっと…こんな…女…だったのかも…」

「そ、そ、そ、そんな事ねぇよ‼︎あ、アンタは…いひっ⁈」

チュパッ、チュプッ、ジュプッ、ジュポッ…

俯いたままの彼女の顔は剣三郎の股間へと沈んでいき、その整った薄い唇が彼の陰茎を咬えこんだ。自分の眼下で揺れる頭の顔面は今どうなっているのだろうか?貞淑な天使のままか?それとも狂気に歪み変貌しているのか?どちらにしろ彼女の体温がますます上がっているのはその手や口伝いに理解出来た。やがて彼女が顔を上げた。幸いにも彼女の人相はまだ天使のままであった。しかし顔は紅潮して汗ばみ、その瞳は朦朧としながらも潤んでいた。


「お…お願いします。わ、私を……私を抱いてください!…熱くて…熱くて…もう、抑えられなくて…ゴメンナサイ…ごめんなさい…ごめんなさい…」

剣三郎は少しばかり躊躇した。いま彼女を抱けばあの怪物化が防げるのだろうか?それとも逆にセックスが変身へのトリガーなのか?全く分からなかったからだ。しかし未だマリーはマリーのままで、その渇きに苦しみもがいている…

『ええい!鬼が出るか?蛇が出るか⁈か、母ちゃん…ゴメンよ‼︎』

そう決めると剣三郎はマリーの中へと勢い飛び込んだ。ジャンパーを剥ぎ取ると揺れる二つの胸にしゃぶりつき、乳首を啜った。妻に先立たれてからこっち、久し振りに味わう女の味だった。

「あっ!アァ…ハァアアアァーン‼︎き…来て‼︎」

「お、おうよ‼︎今楽にしてやるからな‼︎」

剣三郎は狭い車内の中自分のズボンをずり下ろして、愚息をマリーの股間に当てた。そこはもう準備など不要な程にヌルヌルと濡れていて、彼の息子を易々と迎え入れた。

「ふぐっ!あ!ハァ!ハァ‼︎」

「んアウンッ‼︎ハァッ!アンッ!アンっ‼︎ァアアン‼︎」

マリーの『ソレ』の締め方は剣三郎が嘗て経験したこともない程にキツく、また中では煮えた蜜が彼の陰茎に絶えず絡まり続けた。しかも目の前ではまるで映画女優のような整った顔立ちの女がよがり、喘いでいるのだ。

『ちっきしょお‼︎こっちは錆びた刀で久々の出陣だってぇのによォ!』

彼は今にも果ててしまいそうなのを必死で我慢して腰を振った。まだ彼女の『発情』は全く収まっていないようだったからだ。

『ええい‼︎お、俺だって抜かず三発の剣ちゃんと呼ばれた男でいっ‼︎』

そう自分に発破をかけて、剣三郎はマリーをますます激しく抱いた。

「ウアッ‼︎け、剣さん!い、いい‼︎いいいいいい‼︎」

「あ、ああ‼︎昇天させてやるぞ‼︎マリィーーー‼︎」

「アン!アン‼︎アン!アン‼︎アアッ!わ、私もう!私もうううう‼︎キ、キス‼︎キスしてええええええ‼︎」

剣三郎はマリーと激しく舌を絡めあい、その細い身体が千切れそうな程に抱きしめた。


「アッ⁈アアッ⁈ゥアアアアアァン‼︎」

「マ、マリー‼︎ウゥッ!くっ‼︎」

二人の身体が激しく痙攣し、しばらくの後、女性の白い腕が倒したシートからダラリと垂れた。

剣三郎は大きな呼吸を繰り返すマリーの胸に顔を埋めながら、その体温が常軌を逸した物ではなくなったことに安心していたが、途端にある事を思い出した。

「い、いけねッ‼︎お、俺ぁさっきアンタの中に…す、すまねぇ!すま…⁈」

狼狽する彼の口をマリーの唇が優しく塞いだ。彼女は何も言わずただ首を横に振った後、軽く笑みを浮かべながら剣三郎に再び熱いキスをした。

夜明けがすぐそこまで迫っていた。


〜クモオンタ編〜


秋のやわらかな陽光がカーテンの隙間から幾条も漏れて、この世界に美しい朝がやって来たのを告げていた。

マリーが目を覚ましたのは見知らぬ和室の六畳間だった。褪せた古い畳の上に陽だまりが揺らめき、随分と心安らかな気持ちのよい目覚めだった。気がつけば自分の体には女性用のパジャマが着せられ、厚く暖かい布団にくるめられていた。

『わ…たし…私…昨夜は…』

まだ回転の悪い寝起きの頭でぼんやりと記憶を辿りながら、彼女は上体を起こした。丁度その時、襖の向こうから声がした。

「おはよう。入ってもかまわねぇか?」

「え…は、はい…」

マリーが答えると襖が開き、湯気の立つマグカップと分厚いトーストをお盆に乗せた大野剣三郎が入って来た。コーヒーの優しい香りと共に。

「どうだい?よく眠れたかい?」

その大柄で白髪混じりの男の、優しい微笑みを見たときに、マリーに昨夜の記憶がまざまざと蘇った。自分の止められぬ快楽への衝動を、全て受け止め抱いてくれた男。途端に彼女は自己嫌悪と羞恥の塊となり、布団から飛び出すと、深々とその場で土下座をし、頭を下げた。

「ご、御免なさい‼︎ゆ、昨夜は!わ…私、あ、あんな端ない真似…な、なんとお詫びをすればいいか…」

そのマリーの突然の行動に驚いた剣三郎は思わず落としそうになったお盆をなんとか立て直した。

「⁈とっ…と!い、いや!とんでもねぇ!こ、こっちだって人助けにしちゃあまりの役得を…アンタ…じゃないマリーさんがそんな風に思う事なんて微塵もねぇさ!」

「で、でも私!奥さんの事だってろくに聞かないで、あんな…あんな下品で淫らな事を!」

マリーはまだ顔を上げぬまま狼狽し、まくしたてた。思わず剣三郎もお盆を横に置くと、マリーに向かって額を擦りつけて土下座をした。

「ま、待てマリーさん!それは違う!それは違うぞ‼︎アンタは下品でもスケベでもねぇ‼︎清く美しい女神だ‼︎謝るのは俺の方だ!こんな老体がいい思いをさせてもらってよ!とにかく!兎に角だ‼︎身体まで捧げた女性がその男に土下座なんてする理由なんてあるもんか‼︎さぁ!その綺麗な顔を上げてくれ‼︎アンタが顔を上げてくれるまで絶対に俺も顔を上げん‼︎」

「剣…三郎…さん…」

マリーがゆっくりと顔を上げると、まだそこには畳に額を擦り付けたままの剣三郎の姿があった。

「………顔…あげたか?」

「………は、はい…」

「じゃあ俺は今何してる?」

「…ま、まだ謝られたままです…」

「正解だ‼︎てことはアンタは本当に土下座をやめてるな?」

「…は、はい…」

「プハーッ!もう二度と俺に土下座なんてすんじゃねぇぞ‼︎感謝してるのはこっちなんだからよ!」

その起き上がった顔を見て、マリーは思わず頬を赤らめ目を逸らした。彼に対する胸の高鳴りが抑えられなかったからである。

「さぁ…昨夜に約束した自慢の一杯だ。冷めないうちに味わってくれ。」

剣三郎はそう言って、お盆をマリーの前に置いた。コーヒーの白い湯気が揺らいだ。

「ありがとうございます。いい匂い…」

上品な手つきでカップを持ち、小さな唇をカップに当ててマリーはそれをひと口飲んだ。

「…美味しい……」

さらにひと口ふた口、じっくりと味わいながらマリーは剣三郎の自慢の一杯を堪能すると、深く溜息をついた。

「ありがとうございます。暖まりました…わたし…私、こんなに安心したの…一体いつ以来なんだろう…ウッ…ウッ…ウワアアアン!」

突然肩を震わせ泣き出したマリーはそのまま剣三郎に抱きついた。その女の肉の柔らかさと暖かさに思わず昨夜の情事が頭によぎった剣三郎だったが、いけないと頭を振り、マリーを優しく抱き止め、その頭を撫でてやった。

「ここでゆっくりしてけばいいさ…いつかアンタの記憶が戻るまでよう…」

だがしかし、その言葉に何かを思い出したかのように突然マリーは頭を上げた。その端正で美しい顔がいきなり眼前に迫り、剣三郎は顔を真っ赤にした。

「そっ、それが!剣…三郎さん!あ、あの…し…信用のない女と思われる…でしょうけど…」

「な、なんでぇ?…⁈、お、思い出したのか⁈何か⁈」

剣三郎は彼女が昨夜の惨劇の記憶を全て甦らせてしまったのかと不安になった。しかしマリーは少し恥ずかしそうに剣三郎から目線を逸らして話始めた。

「ち、誓って私…昨夜までは名前しか思い出せなかったんです。ほ、本当です!と、ところが今朝になると…家や、両親、高校生の頃あたりの記憶までが…ふ、不思議としか言いようがないんですが…」

顔を赤らめ戸惑いながら話す美少女の言葉に嘘はないと剣三郎も思った。そしてなにより、彼女の闇に沈んだ記憶に一筋の光が照らされた事に彼は心から喜んだ。

「よ、良かったじゃねぇか‼︎そりゃ本当にめでてぇ!めでてぇよ‼︎」

剣三郎はなんの屈託も下心もなくそのまま彼女を強く抱きしめ返した。マリーの方はといえば、その行動に頬を染め、少しばかりのオンナの感情を心に抱きながら、彼の背中に両の手をまわした。


遠くに電車の音が聞こえ、秋の終わりの冷たい空気が張った街がまた活発に動き始める頃、喫茶『エルモサ』の前では身支度を整えたマリーと、剣三郎が別れの挨拶をかわしていた。

「本当にお世話になりました。何から何まで…一体なんとお礼を言ったらよいか…」

深々と頭を下げるマリーを剣三郎は優しく見つめた。

「気にするなよ、マリー…さん。これも何かの縁さ。」

「あっ、あの…お借りしたお金と、この服はいずれ必ず返しに来ますから‼︎」

「いやいや!いいっていいって‼︎気にすんなよ!」

「で、でもこの服…奥さんのなんでしょう?」

そう言ってマリーはやや余った袖を握り『私より背の高い人だったんだろうな…』と思った。少しばかりの、嫉妬心とともに。

「なぁにこんなべっぴんにまた着て貰って、母ちゃんもその服も喜んでらぁな!…あ!あぁ、そうだ!気が向いたらまたコーヒーでも飲みに来てくれよ。とびきりのを淹れるからさ。」

「えぇ、必ず。」


遠く小さくなっていくマリーの後ろ姿を見送りながら、剣三郎は願った。もう二度と、あの清らかな美少女の人生に、恐怖の闇が襲いかかりませんように。彼女の人生が、豊かで幸せなものでありますように、と。

一度だけ彼女は振り返り、笑って大きく手を振った。剣三郎も笑い返して手を上げた。だがしかし心の奥底のいいようもない不安は、やがて彼女の姿が見えなくなってもついに消える事はなかった。


「そ、そんな…」

記憶を頼りに辿り着いた我が家を前に、マリーは呆然と立ち尽くした。

彼女が降りた駅は間違いなく生まれてからずっと利用してきた駅だったし、出口を出た後の風景もまた間違いのない物だった。信号を渡った先にある角のケーキ屋さん、小さな商店街と公園…確信を持って帰ってきた自分の家の、ただ表札だけが違っていた。周りの風景や、お隣さんだって見覚えがあるのに。しかしこの今朝突然に戻った記憶に、マリー自身まだ確証が持てないのもまた事実であった。

意を決し、彼女はその家の玄関に立ち、インターホンを押した。少しの沈黙のあと、無愛想な中年の女性がドアを開けた。

「どちらさま?」

怪訝そうにマリーを見つめ、女は言った。

「あ、あの…こちらは神村さんという方のお家では?…」

「はぁ?私は網島ですが?…」

「そ、そうですか…あ、あの!ま、前に住んでた方がそうだったとか?何かご存じないですか?」

「確かにこちらには越して来ましたけど、前に住んでた人なんて誰だか分かるわけないじゃないですか!」

「わ、私がその…か、神村マリーといいまして、以前ここに住んでいた者なんです!……た…多分……」

「……ちょっと、待っててください…」

女はそうボソリと呟くとバタンとドアを閉めた。


それからしばらく、不安気に待つマリーに後ろから聞き馴染みのある声が突然飛び込んだ。

「ちょっと⁈ちょっと!…あんた…マリーちゃんかい?マリーちゃんだね‼︎まぁまぁ!綺麗になって!」

「吉田の…おばさん!」

間違いない。向かい隣の吉田さんだ。ひとつ下の優くんのお母さん。やはりここは私の生まれ育った場所だとマリーは思った。

「ところでお父さんとお母さんは元気かい?」

「元気って…?何か…何かあったんですか⁈父と母に!」

「何かって…マリーちゃん?貴方…一体?」

兎に角目の前にいる女性こそが自分の過去の手がかりとなる唯一の女性だ。マリーは意を決して彼女に全てを打ち明けた。

「そう…だったのかい…可哀想に。いやね、たしか貴方が大学で一人暮らしを始めたって聞いてから1年くらいだったよ。突然二人揃って引っ越すんだってね。そこから…もう2年は経つかねぇ?」

「そう…ですか…どこに行ったとかは?…」

「すまないね。わからないよ…」

落胆するマリーにさっきの女が玄関の扉を開けて出てきた。

「あの…すみませんが、今のあなた方の話を聞いてしまって…そういう事でしたら中を見られますか?何か気付く事があるかもしれないですし。主人も了承してくれてますのよ…」

気がつくと女の後ろに背の高い男が無愛想に立っていた。その暗がりに光る鋭い眼光にマリーは思わず怯んだ。

「あ、ありがとうございます。で、でも…」

「いいじゃないか!ああ言ってくれてるんだし。何か思い出すかもしれないよ。」

迷うマリーの背中を押したのは吉田のおばさんだった。

「さぁ、どうぞ…」

中年夫婦2人の手招きに、マリーは気後れしながらも従った。


案内された家の中は、意外やマリーの予想を大きく外れていた。彼女は人が変わって住んでいる家など、既に大きく様変わりしてしまって、なんの手がかりもないだろうと思っていたのだが、なんとそこはマリーの暮らしていた頃そのままだった。

怪訝に思いながらも彼女はその足を止める事が出来なかった。

「お父さん!お母さん‼︎」

リビング、台所…昔のままの室内をマリーは半狂乱で両親の面影を追った。ふと思いつき、マリーは階段を駆け上がり、2階の自分の部屋だった場所の扉を開けた。驚いたことにその場所もまたマリーの記憶の中の風景そのままであった。

学習机を開けるとそこには神村マリーと書かれた学校のノートが詰まっていた。

「ど…どういうこと?…⁈」

狼狽し、虚実の境が曖昧模糊となったマリーの耳に階下から聞きなじみのある声がした。

「い、一体なんだ⁈君達は⁈」

「お父さん⁈」

マリーは階段を駆け下りリビングへと飛び込んだ。

彼女の父と母が妖気を放つ黒い3人の影に怯えていた。

「何が目的だっ⁈」

段々と後ずさる2人にひとつの黒い影が襲いかかったが、マリーの父は空手の達人であった。瞬時にその攻撃をかわし、手刀でその影を倒した。

「綾子!君だけでも逃げなさい‼︎」

「でも貴方!…」

「早く‼︎」

マリーの母は少し躊躇いながらも、意を決し窓から飛び出そうとした。

「逃がさん!」

マリーには何がなんだかわからなかった。

「うっ⁈」

母が突然首元を押さえて苦しみだすと、その姿は突然溶けて泡となり、衣服だけが床に落ちたのだ。

「⁈綾子⁈綾子ーっ‼︎」

「母さん!お母さぁん‼︎」

父と共にマリーも悲鳴を上げて母の元に駆け寄った。しかしマリーはその母の遺品に触れる事が出来なかった。

「よ、よくも…よくも綾子を‼︎」

そう怒鳴って黒い影達に立ち向かう父を止めることも叶わない。全てがマリーの手を擦り抜け、実体がないのだ。

「父さん!やめて!父さん‼︎」

マリーの懇願は虚しく響き届かず、

拳を振り上げた父もいきなり苦しみだした。

「グフッ…き、貴様たち…人間ではないな…」

目の前で溶けて崩れ落ちる父にマリーは手を伸ばした。またもや抜け殻となった父の衣服や眼鏡は彼女の手を擦り抜け地面に落ちた。

「父さん⁈父さぁあん‼︎そんな⁈そんなぁあ‼︎」

マリーは倒れ込み、大粒の涙を床にこぼして泣き叫んだ。


「クックック…洗脳前の記憶が一部戻っているとの情報だったが、こうも早く網にかかってくれるとはな。チョロい仕事だぜ。」

「⁈」

マリーが涙に濡れた顔を上げるとそこには先程の中年夫婦2人が気味の悪い薄ら笑いを浮かべて立っていた。

「どーう?その恩赦でクモオンタ様が見せてくれたイリュージョンは?気に入ってくれた?」

そう言うと女の体は突然風船のように膨らみ引きちぎれ、中から屈強な黒ずくめの男が姿を現した。その印象はマリーが先程見た幻覚の黒い影とよく似ていた。

「⁈貴方達が!父さんと母さんを‼︎」

「おーっとと。やったのは俺やコイツじゃねえぜ。俺はただここで起こった事実を立体再生してやったまでだ。殺した奴等は機密事項だか知らんが、ロックがかかっててよく見えんかっただろ?さぁ、大人しく帰ろうぜ。ラブドールちゃん。」


その男の合図で『女だった』男がマリーを捕まえようとしたが、彼女はスルリとそれをかわすと、軽々と男を投げ、その腹に拳を見舞った。男は泡を吹き倒れた。厳しくも優しい父に育てられたマリーもまた、幼い頃から父の教えを受け、その空手の腕前は相当なものであった。

「ほぅ?可愛い顔してやるじゃねぇか。」

「教えなさい‼︎何者なの⁈貴方たち!」

「あぁ?俺達ゃ、お前のご主人様の…手下さ。そんで逃げ出したワンちゃんをこうして今捕まえてるんだよ。ほ〜ら、おいでおいで。」

「おことわりよっ‼︎」

隙だらけの男の腹にマリーの蹴りが入った。しかしその途端彼女はその足先にいいようもない違和感を感じた。マリーの脚は男の腹にヌルリとめり込んでいたのである。

「⁈」

「フフフ…残念だったな。」

男がニヤリと笑うと彼の体から6本の毛むくじゃらの腕が飛び出た。その内の一本は凶暴な爪先から出た粘液で、しっかりとマリーの脚を掴んでいた。

「な⁈ヒィイッ⁈」

目の前のこの世ならざる者達の異形の様に彼女は堪らず恐怖の悲鳴を上げた。なんとか体勢を戻し逃げ出そうとしたマリーであったが男の手からは次々と白い粘質の糸が飛び出て、それは瞬く間に彼女の手足を捕え、マリーは惨めな格好で中空に吊り上げられた。

「い、いやっ!離して‼︎」

苦しみもがくマリーの眼下に見慣れた人物が姿を現した。さっき親身になってくれた吉田のおばさんだった。

「おやおやマリーちゃん。なんて格好をして。」

「⁈おばさん逃げて‼︎」

「逃げる?なんで…私が…逃げなきゃならないんだぁあい⁈」

そうニタリと笑うと彼女の顔がグニャリと歪んで千切れ、またもその中から黒づくめの男が姿を現した。マリーは恐怖と絶望に泣き叫んだ。

「⁈イヤアアアーッ‼︎そんな⁈そんなああああ‼︎」

その可哀想な美少女の様を眼下の化け物三人は存分に楽しみ、やがて6本脚の蜘蛛男が舌舐めずりをすると吊り下げられたマリーの元にやって来た。男は涙に濡れたマリーの顎を掴み、視姦するかのようにジロジロと吟味した。

「たかがセクサドール1匹が逃げたぐらい、変わりはいくらでもいるだろうと思ったが…なるほど、『オヤジ』がこだわる訳だぜ。どぉれ…」

多脚の男の目線がマリーの胸元に注がれ、彼はそのセーターを掴むと勢いよく引きちぎった。

音を立てて裂けたセーターからマリーのふくよかな二つの胸がこぼれた。

「⁈い、イヤッ‼︎イヤアッ‼︎イヤアアアーーっ‼︎」

「うっへっへ。何も恥ずかしがる事はねぇだろう?お嬢ちゃん。お前は元々組織に脳改造された高級娼婦だ。むしろこの格好の方が普段通りとすら言える。」

『高級娼婦?脳改造?わたしが…?』

マリーに思案する隙も与えず、そういうと男はむんずと彼女の胸を掴み揉んだ。

「⁈なにを…イヤッ!やめなさいっ‼︎」

「ヒッヒ…こりゃヤベぇ…久々に興奮してきちまった。まぁあまりに早く片がついた仕事だ。少しばかり楽しんで帰してもバレはせんだろう……フゥッ!フゥッ‼︎フゥッ‼︎フグウウウウッ‼︎」

男の鼻息が荒くなると、ついに彼の人間の皮も内から裂けて、中からまるで蜘蛛と人が混ぜ合わさったような化け物が姿を現した。

「ヒィイッ‼︎イヤアアアアアア‼︎」

マリーは逃げようと必死にもがいたがそれは既に全くの無駄な足掻きであった。

「怖がるなよ、ご奉仕人形。…仕方ねえ、折角だからお前も楽しませてやるぜ。」

そう言うと蜘蛛男の腹から5、6匹の蜘蛛が飛び出しマリーの体に貼りついた。モゾモゾと這い回る彼等は、何やらマリーの敏に感じ入る箇所をそれぞれ目指しているようだった。

「いやあっ、いやああっ‼︎こんなのイヤアアアっ‼︎…はっ⁈…痛ッ⁈…ああああ…」

最初に乳頭に辿り着いた2匹は正確にその突起に噛みついた。役目を終えた彼等は床にボタリと落ち溶けた。噛まれたマリーの桃色の乳首は途端に勃起し、そり返った。

「…イヤ…イヤァ…」

虚ろな表情になりながらも必死にマリーは抵抗し、捕らえられた身体をひねった。だがそれも虚しく残った蜘蛛たちはマリーのジーンズの隙間からその股間目掛け侵入していく。

「いやぁ…イヤああ……あ⁈ヒイッッんッ‼︎」

虚しく腰をくねらせるマリーが最後に上げた悲鳴は、蜘蛛達が無事に指名を完遂した事を周りの獣共に悟らせた。

「…あぁ…いやぁ……いやあああ…」

頬を紅に染め放心状態となりながらも、目に涙を溜めてマリーは首を横に振り続けていた。

涎を垂らした蜘蛛男がマリーの反り立った乳頭を摘んで折り、弄んだ。

「⁈あぐひいィィんっ‼︎」

マリーは悶えビクリビクリと大きく痙攣した。

「ヒッヒッヒ…バッチリだろ?高純度の媚薬の効き目はよ?さぁ、最高のキメセクをしようぜ。」

そう言うと彼はあざとくもう片方の乳首に噛み付いた。


つづく


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Comments

カルチューン・C・ラブ様 他のSNS(x)ではいつも拝見させていただいてます。 「ラタイダー」、創造が炸裂していて最高です!!

maskedrider

ご返答ありがとうございます。

Kitajima Gaku@Fanbox

クモオンタは確かに多少オマージュの部分はありますが、以降は全然踏襲してないですね。Hなヒロピンシチュをしやすい虫や生物を選んでいる感じです。

カルチューン・C・ラブ

ライダーの伝統芸であるところの蜘蛛男(つまりはスパイダーマン)へのオマージュなのですね。次は蝙蝠男(つまりはバットマン)でしょうか?

Kitajima Gaku@Fanbox


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