【告知】「地下に吹く風、屋上の土」とSFプロトタイピング
Added 2020-11-29 13:36:43 +0000 UTC6月に書いた短編「地下に吹く風、屋上の土」がウェブ掲載されました。
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この作品は「SFプロトタイピング」というお題のもとに書かれました。SFプロトタイピング(Science Fiction Prototyping)というのは、もともとはインテルの未来学者ブライアン・デイビッド・ジョンソンが10年くらい前に提唱したアイデア。科学技術が社会に及ぼす影響をフィクションの創作方法論を使って考察するためのフレームワークで、近年の新しいデザインの潮流の一部として位置づけられているようです。
このあたりの分野はスペキュラティブデザイン、クリティカルデザイン、デザインフィクション、SFプロトタイピングなどなど、いろいろな運動や手法があってややこしいのですが、一部の研究者や学生のおかげでかなり整理は進んでいます。興味がある人はこの辺から読んでみると話が早いと思います。
ただ、日本国内の最近の様子を見ているとSFプロトタイピングという言葉はかなりふわっとした使われ方をしており、「SF小説やSF映画の制作プロセスをビジネスや政策立案に利用すること」くらいの理解でも十分かもしれません。
この作品「地下に吹く風、屋上の土」も、SFプロトタイピングの方法論にしっかりと則って書いたものというわけではなく、むしろ小説によって可能な「プロトタイピング」とは何かという問題意識のもとで書いたものです。つまり、現実の中で何らかの機能を持ちうる小説を書き、それに対する意見(良し悪し、好き嫌い、派生するアイデア)を読者からフィードバックしてもらうことができるか、というのが個人的な問いでした。
そのために、文芸的な洗練を多少犠牲にする覚悟で意図的にアイデアの骨格を分かりやすく書き、研究者への取材から得たアイデアや概念を盛り込み、アイデアの仮想実行環境としての小説世界を作ることに注力しました。それが成功しているかどうかはぜひ本文を読んでみてください。