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おチンポ拾いゲーム

「一平くんは、なんでこのプール教室に参加したんだい?」


 手持無沙汰の状態ですることもなく、胸まで水に浸かったまま天井をただボーッと見ていた寺谷一平(てらたにいっぺい)は、不意にそんな質問を投げかけてきた相手へと視線を移した。彼が体を動かしたことで水面に波紋が広がり、それが横にいた男性の脇腹に当たってチャプンと音を立てた。

 目線の先にいたのは、警察官の樺島稔(かばしまみのる)。プール教室の前のオリエンテーションの際に、服を着た状態でもそのたくましい体つきに一平は舌を巻いたが、こうして稔の水着姿を目の当たりにすると想像以上だった。


 高校球児として普段から太陽の下、グラウンドで肉体をいじめ抜いてきた一平。部活の後にはチームメイトたちと鏡の前に立ち、鼻を摘まみたくなるような汗の匂いを撒き散らしながら、誰が一番良い体つきかを競い合うのが日常茶飯事だ。その一平の目から見ても、稔の体つきは魅力に溢れていた。


 一平は、質問をしてきた稔に対してどう答えたら良いものかとやや思案したが、結局素直に答えた。


「そのぉ……、実はオレ最近彼女ができまして。その彼女に今年の夏は海とかプールに行きたいねって言われたんです。自分で言うのもなんなんすけど、オレ運動神経は抜群なんです。でも、なんでか泳ぎだけは苦手で……。そんなときに目にしたのが、このプール教室の広告だったんす」


 しどろもどろといった具合で恥ずかし気に一平が告白を終えると、稔はガハハと豪快に笑った。


「そうかいそうかい。いいねえ。初々しくておじさん嬉しくなっちゃうよぉ! 実は俺もね、この教室に参加したのは『コレ』のせいなんだよ」


 日焼けで褐色になった顔に白い歯を見せながら、稔は丸太のように太い腕を水の中から出して、小指を立てた。その意味が分からず、一平が返答に詰まっていると稔もまた、やや不思議そうに眉を寄せた。


「あれ? もしかして『コレ』、わかんない?」


「小指を立てるのって、なんか意味があるんすか?」


 稔の不可解な行動に戸惑いながらも一平が尋ねると、またも稔はカラカラと笑った。その振動で水面が揺れ、今度は一平の横っ腹に波しぶきがかかって水音を立てた。


「あ~、悪い悪い! 『コレ』ね、大切な女の子って意味なんだ。恥ずかしい話、娘に泳げないことを知られて、『パパかっこ悪い』って言われちゃってね」


 それで一念発起したわけ、と付け加えると稔は照れくさそうにポリポリと頬を掻いて、目の前にいる親子にもこの教室に参加した理由を尋ねた。


 大泉幸三(おおいずみこうぞう)、勝利(かつとし)親子。幸三は四十過ぎで、勝利は中学生らしい。親子ともにスポーツ経験者なのか、稔や一平のようにガタイがいい。ただ脂肪が付きやすい体質なのか、幸三の腹はビールっ腹のように出っ張っていて、その横にいる勝利もまた、幸三ほどではないもののややぽっちゃりとしている。

 そんな親子は、この教室に通おうと思った理由を稔に尋ねられると、先ほどまで能面のように無表情だった顔を崩してほころばせた。


「いや〜、お恥ずかしい。私、この歳で水泳が苦手でして……。遺伝したのか、息子もカナヅチなうえに、二人ともこのお腹でしょう? 最近太り気味なもんですから、ダイエットになるかと思って、親子で参加させていただいた次第で──」


 野太い笑い声がプール内に響き、それにつられて一平と勝利も笑う。人当たりが良さそうだな。稔はそう思ったが、警官の勘がなぜか働いた。あまり深くこの親子とは関わらないほうがいい──と。とはいえ無視することもできないので、教室が始まるまでの間、そのまま二人に話を合わせることにした。そうこうしていると、プールの入り口の扉が開き、ビキニタイプの水着を履いた男性が一人入ってきた。


 高身長で無駄な贅肉が一切ない、いかにもスイマーといった体つき。オリエンテーションでも服を着た彼の姿を見たが、海パン一枚になった状態だとその肉体の見事さはさらに際立っている。


「本日は当プール教室に参加いただき、まことにありがとうございます。みなさん、泳げるように頑張っていきましょうね!」


 爽やかな笑顔。その爽やかさが返って嘘くさいと、稔は感じてしまった。まったく、職業病だな……。今日は仕事なんかは抜きで、泳げるようになるためにこの教室に参加したというのに、これではちょくちょく妻に呆れられてしまうのも仕方がない。


 稔が心の中で苦笑していると、インストラクターの男性がパンと手を叩いた。


「それではみなさんには、水に慣れてもらうために、『おチンポ拾いゲーム』をしてもらいます!」


「???」


 『おちんぽひろいげーむ』? 何かの聞き間違いかと思い、稔は目を白黒させた。しかし、他の参加者の表情を窺ってみると皆一様に同じ反応だ。


「あのぉ……、すみません。『おちんぽひろいげーむ』ってどういうゲームなんですか?」


 おずおずと手を挙げて隣にいた一平が尋ねると、インストラクターの男性は待ってましたと言わんばかりに説明を始めた。


「皆さんは男性ですので、当然おチンポ──、『男性器』をお持ちですよね? その男性器を肉体から切り離し、プールの底に沈んだおチンポを見つけて拾っていただくというゲームです! ちなみに、拾うのは自分のモノでも、他の方のモノでも構いません」


 説明を聞いても、疑問符しか頭には浮かばない。一平をはじめ、男性陣は皆困惑した表情だ。「彼が何を言っているのか分からない」そんな顔をしている。しかしそんな四人を余所に、インストラクターの男性が笛を吹くと、突如として彼らの目と鼻の先に何かが現れた。


「「!?」」


 水面にプカプカと浮かんだグロテスクな異物。そしてその異物が目の前に出現した瞬間、稔や一平の股間を違和感が襲った。慌てて水着越しに股間を押さえてみると、なんだかいつもの感触がない。


「な、なんだっ?!」


 人目も憚らず、稔が慌てて水着をずり下ろすと、そこにはあるはずの『ムスコ』が存在しなかった。陰毛だけは密林のように茂っているが、肝心のチンポがどこにも見当たらない。


「チンポがっ──、俺のチンポがないぞ!?」


「オレもっす! ……まさか、あそこに浮かんでるのって、オレらの?!」


 稔の悲鳴を皮切りに、男性陣が次々と水着を下げて股間を確認する。しかしやはり、彼らの股間には本来あるべきものが無くなっていた。


「それではみなさん、いいですか~?『おチンポ拾いゲーム』スタート!」


 インストラクターの男性が笛を鳴らすと、水面に浮かんでいた肌色の物体がゆっくりと沈み出し、プールの底へと潜っていく。稔と一平は何が起きているのか理解が追い付かず、ただただ呆然としていたが、大泉親子は先ほどの困惑していた様子などどこ吹く風といった面持ちで、「うおーっ!」と雄たけびを上げて我先にと潜っていった。


「ちょ! えっ?!」


 到底泳ぎが苦手とは思えない、まるで水を得た魚のような動きで水底に潜って行った親子は、瞬く間に沈んでいたチンポを拾って口に咥えると、勢いよく水面へと浮かび上がってきた。極太のソーセージかサラミのような男性器を手に取って掲げると、大泉親子は勝ち負けを競い合っていたかのように言い争いを始めた。


「ちくしょ~! また、そっちが父親役かよ~~!!」


「ぬっふっふ~。落ち着けって息子よ。ペアの間ならチンポの交換は可能だって、運営の人がいつも言ってるだろ?」


「ほんとか〜? そんなこと言って、この間も結局交換してくれなかったじゃないかよ!」


「な! そっ……、それはだな……」


 そんなやり取りを傍から見ていた稔と一平は、ますます混乱した。いったい彼らは何を言っているのか。チンポが体から切り離されてしまったことでさえ驚きだというのに、そのチンポを交換? 交換するだと……?!


 冗談のようなやりとりを繰り返す彼らに、いい加減しびれを切らした稔が物申そうと口を開きかけたその時、インストラクターが先に警告の言葉を投げかけた。


「そこのお二人さん。早くチンポを拾って股間にくっつけないと、この先おチンポ無しの生活になってしまいますよ!」


「「はあっ?!」」


 呼吸がピタリと揃い、デカい図体をした男二人がインストラクターに食ってかかる。チンポが無い生活? オナニーもできなければ、セックスも、小便すらもできなくなってしまう。そうなれば、絶対に人体に悪影響が出るに決まっている。稔と一平は苦虫を嚙み潰したかのような表情で互いの顔を見合わせると、渋々といった具合に苦手な水の中に顔を浸け、チンポを拾いに行った。


 ザプリと水音を立て、水面に顔を出した二人。プールの水を飲み込んで咳き込む彼らの手には、大泉親子のチンポが握られているものの、それらは瓜二つと言ってもいいくらいにそっくりだ。強いて言えば、一平が掴んでいるモノのほうが、少しばかり黒ずんでいるくらいだろうか。


「よくできましたっ! これで皆さん、『おチンポ拾いゲーム』クリアでーす! それでは皆さん、ゲットしたおチンポを各々の股間にくっつけてみましょうね!」


 自分の手に握られた、仮性包茎の陰茎。なぜこんな情けないモノを、自分の新しいチンポにしないといけないのか。怒りで地面にそれを叩きつけようかと悩んでいると、幸三が稔のチンポを掲げながら目を細くし、満足そうにほくそ笑んだ。


 性欲が強く、毎晩のように妻とセックスに励む稔の男根は、淫水焼けして黒々としており、エラの張った亀頭は膨らんで真っ赤だ。表面に極太の血管をうねうねと這わせた、その大きさも太さも見事な竿は、幸三の掌の中でヒクヒクと震えている。その根元からぶら下がった鶏卵サイズの睾丸入り玉袋も、その存在を主張してはばからない。


「お巡りさんのおチンポ、私に握られて元気に勃っちゃいましたねえ。あ~、久しぶりだなあ。こんなズル剥けのエロエロチンポは。なあ、勝利?」


「おう、父ちゃん。稔さんのチンポもエロいけど、一平くんのチンポも剥けててめっちゃエロいぜ!」


 ここ最近入れ替わってきた奴らの身体は、ずっと包茎チンポだったもんな。日本人の大体七割は包茎らしいぜ──。


 こんな訳の分からない状況で聞こえてくる、中学生男子の日常会話のような大泉親子のくだらないやり取り。警察官としてこういう輩には、制裁を加えなければならない。

 だが、なんの罪で? チンポを奪った窃盗罪か? そもそもこの馬鹿げた現象に、法律なんて適応できるのだろうか……。


 稔がそんなことばかりを悶々と考えているうちに、プールの対岸にいた大泉親子は、手にした稔と一平のチンポを己の股間にくっつけようとしていた。


──グチュリ。


「ぬお゛ぉぉぉっ♥♥」


 この日のために股間の毛を剃り落としてパイパンにした幸三が、稔のチンポを股ぐらに挟み込んで、その刺激に思わず腰をガクガクと震わせた。血の繋がりのない肉と肉が、グチュグチュと音を立てて融合していく。瞬く間に幸三の肉体の一部となった稔のチンポは、赤黒く張り詰めた亀頭の先端から、我慢汁をトプトプと溢れさせ始めた。


「ん゛むぅっ! やべえ……、稔さんのズル剥け黒デカ若パパチンポが、俺のお股と合体しちゃったよぉ♥」


「んアァ、父ちゃん……。一平くんのくっさい高校球児おチンポも、オレの股間でビクビクうねって、エロい汁垂れ流してる……♥♥」


 幸三の息子である勝利もまた、黒ずんではいないものの剥けている一平のチンポを股ぐらに挟み込み、その感触に鼻の下を伸ばしていた。


 二人ともすでにチンポからは手を離しているというのに、それが彼らの股間から剥がれ落ちる気配は無い。まるで、最初から一つだったかのように一体化し、ドクンドクンと血管を脈打たせて天を仰いでいる。


「お、おい……、俺の、俺と一平くんのチンポを返せっ!!」


 稔は大泉親子に向かってそう叫んだものの、彼ら親子はニヤニヤと下品な笑みを浮かべるだけで何も答えない。それどころか、幸三は乱暴に手を動かし、自分のチンポをシゴき始めてしまった。するとそれに呼応するかのように、稔のモノだった黒々としたデカマラが、幸三の掌の中で太さを増していく。


「ん゙っはあ゙ぁっ! 稔さんのおチンポ、すっごくエロくて気持ちいいですよぉっ♥ シゴく手が、止まらんっ!!」


 シコシコという擬音すら生ぬるいほどの速度で、チンポをシゴき上げる幸三。その横では息子の勝利も父と同様に、高校生にしてはデカい一平のマラを一心不乱にシゴいており、その光景はさながら変態親子のオナニーショーだった。


──この親子は狂っている。


 稔も一平も、そう感じずにはいられなかった。他人の大事なモノを奪っておきながら、それを平然と己の性器のように扱っている。気持ち悪くて、到底許すことなどできない。


 なのに……、それなのに二人は、憎むべき彼らのチンポを自分たちの股間にくっつけ、それをゆっくりとシゴき始めていたのだ。


「ん゛ほっ! おぉっほぉっ♥♥ 稔さんのデカマラ、このクソデブ大泉幸三の身体と完璧にドッキングしてイきそうだぁっ!!」


 止めどなく流れ出る先走り。それが極太の男根をコーティングし、幸三の指先や掌に絡みつく。竿をシゴくたびに溢れてはグチュグチュと音を立て、泡立ったカウパーによってニチャニチャという卑猥な粘着音が、遠く離れた稔と一平の元まで届いていた。


「あっ、あぁぁんっ♥ 一平くんのズル剥け高校生デカチンポも……、気持ち良すぎるよぉっ♥♥」


 変態なのは一人だけではない。幸三の息子の勝利もまた、その変態性を発揮して一平のチンポを股ぐらに挟んでシゴき上げている。


 他人の男根を自分のモノとして扱いながら、刺激し快感を得ている。そんな親子の姿に、稔と一平は怒りを覚えるどころか、魅入られてしまっていた。


「ん゛ほぉっ! 稔さん、一平くん、見てますか? 稔さんのおチンポは私のおチンポに、一平くんのおチンポは勝利のモノにこれからはなっちゃいますよぉっ!」


「うぁっ! 父ちゃん、すげえよ……。オレ一平くんのおチンポで、もうイッちゃいそう!!」


「ぐっ……。この変態親子め……」


 稔は消え入りそうな声でそう罵ったが、その言葉とは裏腹に、彼の股間では他人のイチモツがビクビクと震え、先端からは我慢汁を垂らしていた。


「んぉぉっ、イクイクイク~~♥♥ 稔さんのチンポがビンビンに勃起して、ザーメンぶっ放しちまうぅぅっ!!!」


「お゛ぉッ!! あ゛ぁ……♥ 一平くんのチンポからも、ザーメン出そう。もう、イッちゃうよ一平くんっ!!」


 そして──、大泉親子は同時に果てた。屈強な肉体を持った二人は背中を反らせると、プールに向かってアーチを描いたチンポの先から、ねっとりと濃厚な白濁液を発射した。


「「ん゙っ! あはぁっ♥♥」」


 親子の肉棒の先から撒き散らされた真っ白な精液が、どぷんどぷんと音を立てて塩素の匂い漂うプールの水底へとゆっくりと沈んでいく。稔と一平もまた、その白い軌跡と、他人のチンポで射精して恍惚の表情を浮かべている大泉親子を目にしながら足先をピンと伸ばし、プールの水面目がけ勢いよく射精した。気持ちいい。気持ちよすぎる。稔はこれまでに経験したことのないほどの快感と、自分のモノが他人によって汚されたという背徳感に酔いしれていたのだった。


「あ~あ……、二人ともイッちゃったね、父ちゃん♥」


「おう。厳格な警察官もこの圧倒的な快感の前では、人の子だったってわけだなぁ♥」


 大泉親子のそんな会話を聞きながら、稔はふと我に返った。自分はいま、何をしていた? 他人の男根を股間にくっつけて、それで気持ちよくなって射精までしてしまった。こんな変態的な行為が許されていいはずがない。射精してしまった事実は消せない。だとしても、彼らから自分と一平のチンポを取り戻さなくては。


「おい! この汚いチンポを、元に戻せっ!」


 稔がそう叫ぶと、大泉親子は顔を見合わせ、ゲラゲラと笑いだした。


「わっはっは、無理ですねえ。もうあんたのデカマラは私のモノで、一平くんのチンポは息子のモノだ。くっつけたが最後、このチンポは自分たちの手では外せないようになってるんですよぉ!」


「そうそう。今日からは、オレたちのチンポを可愛がってね、一平くん♥」


 一平は「そんな……」と絶望に顔を歪ませ、稔は怒りで肩を震わせた。こんな奴らのチンポなどいらない。今すぐこの汚いモノを切り離したい。

 だが、いくら念じても、自分の股にくっついている他人の男根が離れることはない。大泉親子がプールサイドから上がってきて、稔と一平の前に仁王立ちする。その股間には、先ほど射精したばかりにもかかわらず再びビンビンになった肉棒がそそり立っていた。


「悔しいですか? でも、受け入れるしかありませんよ。今からあなたたちの身体は、私たちのモノになるんですからね♥」


「なっ! どういう意味だ?!」


 幸三の言葉の意味を理解できず、稔はそう問いかけた。だがその次の瞬間、突然幸三と勝利の顔がぐにゃりと歪み始めた。ぽっちゃりと脂肪を蓄えていた顔が、ほっそりと引き締まっていく。時間にして数十秒。その間に幸三の顔は稔の顔に、勝利の顔は一平の顔へと変わってしまった。




「あ~、まず変わったのは顔か。おっと稔さんの声、すごく色っぽいですねえ♥」


 太い眉に、大きな目。鼻筋の通った精悍な顔立ちに太い首。先ほどまで、いかにも不摂生な生活を送っていそうであった幸三の老けた丸顔は、あっという間に健康的で張りのある稔の顔へと変貌を遂げた。


 角張った顎を掌で撫でると、いつの間にかインストラクターによって用意されていた鏡の前で、幸三はその男らしい顔の口元を歪めて笑みを浮かべた。


「そんなバカな……!」


 他人の顔が、毎日鏡の前で見飽きていた自分の顔へと変わってしまった。稔はその事実を受け入れきれず、何度も瞬きを繰り返した。だが何度目を擦っても、目の前にいる男の顔は稔の顔のままだった。


「お、おい……なんであんたの顔が、俺の顔に? いったい何をしたんだ?!」


「だからぁ、言ったじゃないですか。もうあんたら二人の肉体は、オレたちのモノになるんだって! お互いのチンポを付け替えたことでね♥」


 日焼けして真っ黒になった、高校球児らしい顔。完全に一平の顔を手に入れた勝利がそう言って笑うと同時に、幸三がその横で微かに身を震わせた。


「おぉっ……、今度は体毛が入れ替わっちまったようだな♥」


 幸三のごわごわと毛の生えた腕や太股が、つるりとした肌に変わっていく。胸から腹にかけて密生していた体毛も消え失せ、その代わりにパイパンだった股間に黒々とした陰毛がもっさりと生え揃った。

 その様を目にしていた稔には、逆の現象が起こる。スベスベだった肌から、毛がモジャモジャと生えた肌に。腕も脚も腋も、乳首の周りまでも、すべて毛むくじゃらになってしまったのだ。


「おほっ! 稔さん、その素敵な体に濃い体毛が似合ってますねえ。ああ……、奥さんが毛深い男性が苦手だから、稔さんはいつも陰毛以外の毛の処理をしてたんですか。なるほどねえ♥」


「な、なんでそのことを……」


 家族しか知らない秘密を、今日初めて会ったばかりの男に知られている。その事実に困惑する稔に向かって、幸三は人差し指で自分のこめかみをトントンと叩いた。


「そりゃあ、この頭の中に入ってるのはあなたの脳味噌ですから。身体に馴染めば、そのくらい分かるようになるのは当然のことですよ。それにこれからは、そんな些細なことだけじゃない。ほら、体も入れ替わっていきますよ。ハァ……、この匂い。稔さんの体臭、最高です」


 幸三がそう言うと同時に、稔は自らの腋から嗅いだことのない、ムワッとした不快な体臭が立ち上ってくるのを感じた。そして、それは次第に強くなり……。


「おほっ! この汗臭い匂い、たまんねえ!!」


 勝利もまた、自分の体臭が変化していくのをその身で感じ取り、毛が鬱蒼と生えた腋に鼻を擦りつけ、歓喜の声を上げた。


「な、なんなんだ! オレの顔で変なことをするのは止めろっ!!」


 一平はそう叫んだが、幸三と勝利の耳にはすでにその声は届いていなかった。彼らは互いの肉体に鼻を近づけると、スンスンと鼻を鳴らして恍惚の表情を浮かべる。


「ん~……。高校球児の汗臭い匂いも最高だなぁ、勝利!」


「現役警察官の身体から漂う、男臭さってのもなかなかだよ、父ちゃん……」


 そう言いながら笑い合う大泉親子のスキンシップは、次第にエスカレートしていく。すでに入れ替わり済みのチンポをズリズリと兜合わせにして擦り合わせると、さらにチンポを肥大化させつつ、互いに頭に手を回し、唇を貪り合う。


「んふぅ……♥ 【一平】くんとのディープキスぅ……♥♥」


「あむぅっ……。【稔】さんとベロチューしちゃってるぅぅ……♥♥」


 自分と一平の顔をした男たちが唇を重ねているのを視界に収めていると、頭の中が混乱してくる。稔は両手で頭を抱え、幸三と勝利の淫らなキスシーンから目を逸らそうとした。だが次の瞬間、ズキリという頭痛とともに脳味噌に膨大な情報が流れ込んでくる。それはまさしく、他人の人生だった。


「くっ……。うああ゛っ! な、なんだこれは……」


 十数年もの他人の思い出。しかもここ最近の記憶は、ガタイのいい男たちと濃厚な雄セックスに耽ってばかりの映像で埋め尽くされている。


「う゛っ……、おえぇぇっ!!」


 稔は胃の中のものを吐き出して、プールサイドに倒れ込み激しくえずいた。脳の内部が、他人の記憶によって犯されていく。自分が自分ではなくなっていく。しかし、同時にその身にもたらされる快感は凄まじく、苦しみながらも稔のチンポは再びムクムクと勃起していった。


 そして体の変化は、稔が一番に経験することになった。ゴキゴキと骨が軋み全身が縮むと、がっちりと張りのあった胸板に脂肪が乗り、シックスパックに割れていた腹筋は垂れて溝が浅くなり、ふくらはぎも太腿もむちむちと肉がついてしまう。体が変化を終えると、次は顔だ。精悍な四角い顔は丸みを帯び、警官としてしかめっ面になることが多いせいで付いた深いシワは消え去り、若々しさを増していく。太い眉はそのままだったが、肌の色は日焼けとは無縁の白さになり──。


「ああ……。俺の体、俺の顔が……」


 這う這うの体で鏡の前へと進んだ稔は、そこに映し出された顔を凝視しながら消え入るような声を漏らした。もう先ほどまでの彼は、そこにはいなかった。大人への階段を上る途中の、中学生らしい幼さの残る顔。だらしない生活を送ったことで、丸みを得たでっぷりとした体。どれもこれも、さっきまでの【大泉勝利】と寸分たがわない。なぜこんなことに……。そう思いながら一平のほうへと目を向けると、彼の肉体も稔と同じように変化を遂げ終わり、元高校球児とは思えないような脂肪たっぷりの中年親父の巨漢と、ヒゲ面がそこにあった。


「いひひっ! 一平くぅん、君ももう立派な中年親父だなぁ♥」


「稔さんも、これからはオレの身体で楽しんでくださいね♥」


 大泉親子の二人は、肉体が入れ替わったことで衝撃を受ける稔と一平の姿を見て笑い合うと、再び全身を擦り合わせ始めた。丸々と肥えた裸体からはダラダラと汗が滴り落ちており、彼らの周辺の空気はサウナのように熱気で満ちていた。

 そして稔と一平の後を追うように、彼らの肉体も変わり始めた。


 たっぷりと脂肪を含んでいた男たちの腹は平らになり、腕や脚もどんどんと引き締まっていく。


「あ゛っ……、んああぁっ♥」


 勝利が肉体の変化に悦びの声を上げる。すでに肉体の変化を終えた稔と一平は股間をギンギンに勃起させ、その変化をただ見守ることしかできなかった。


「んお゛っ! お゛っほぉぉ~っ♥♥」


 幸三もまた、魅力的な【稔】のバリトンボイスで、快楽に満ちた雄叫びを上げる。ドンドンと筋肉が隆起して、二人の肉体はたくましい雄のモノへと変化していく。野性的で男くさい、そんな体へと──。


「んお゛ぉ~っ! 本官、樺島稔巡査部長、敬礼射精でイクでありますっ!!!」


 塩素の香り漂うプール内。全身から湯気を放つ四人は、ビクンビクンと体を痙攣させながら、肉体が入れ替わった事実と、その光景を目撃した興奮から激しく吐精するのだった。



***


「気持ちいいか、【勝利】くぅんッ?! 現役のお巡りさんのズル剥けおチンポの味を、下のお口で味わった感想はどうだ?」


「いひっ♥ 【稔】さんの極太デカマラ、最高っすッ!! ぬお゛おぉぉッ♥♥」



 四人の肉体が入れ替わってから、一か月が経った。


 泳げるようになるためという建前のもと、彼らは身体を交換した後もプールで顔を突き合わせ、そのたびにかつての肉体を犯し、そしてかつての肉体に犯され、すっかり変態的な行為にどっぷりと浸かるようになっていた。


 【稔】の肉体を奪い取った幸三は、【勝利】の肉体となった稔のアナルを執拗に責め立て、【幸三】の肉体へと生まれ変わった一平は、【一平】のチンポを得た勝利にアナルを穿たれる快感によがり狂う。


 つい一か月前までは、善良な警察官として市民を守る立場にあった稔の脳内は余すところなく、オナニーを覚えたての中学生の感情に毒されてしまっていた。プールではかつての自分にケツを激しく攻められ、大泉家に帰れば精液臭い自室に閉じこもって、アナルオナニーに耽る。肉体を交換する前は、女性のことを考えてでしか自慰行為などできなかったというのに、今では男とのセックスを想像してのケツ弄りの快感が病みつきになってしまっていた。


「ん゛お゛ぉッ♥ いい゛っ! チンポ気持ちいい♥♥」


 そんな稔は、まだ開発の終えきっていないアナルを幸三に掘られ、甲高い嬌声を上げる。自分の肉体を奪った相手。憎むべき男に──、だが【樺島稔】というたくましい雄に犯された稔の脳味噌は快楽に蕩け、彼のケツマンコは咥え込んだチンポをギュウギュウと締めつける。


「お゛っ♥ すごっ! 【勝利】くん……、お巡りさんのチンポそんなに締め付けたら出るっ……、出ちまうよッ♥」


 すっかり警官の顔となった幸三は、その精悍な顔を快楽に歪め、中学生男子のケツマンコを犯しながら情けなく腰をヘコヘコと前後させる。


 このプール教室では肉体を奪い取った相手のケツ穴を犯して、悦楽に浸る男。しかし彼は新たな我が家に帰れば、【樺島稔】としての役割を果たしていた。夜になればベッドの中でその肉厚な身体を、稔が愛する妻に重ね合わせ、彼女の膣の中に猛る肉棒を挿入して【樺島稔】の濃厚な精子を放出する。来る日も来る日も──。


 その結果、【樺島稔】の妻はその胎内に子を宿した。愛し合って婚姻の契約を交わした相手の肉体を奪い取った人間によって、種付けされた妻。しかしその事実を知るよしもない彼女は、妊娠した感動を稔の娘と分かち合い、そしてその喜びを彼女を夫から寝取った男と共有したのだった。


「【勝利】くん……、いや、へへ……稔さん。あんたの奥さん、私のぶっ放したザーメンで妊娠しちゃいましたよ。今じゃ私のガキを孕んだ喜びで、毎日セックス中に幸せそうな喘ぎ声を上げてますよ♥」


「妻が……、妊娠……?」


 ニヤニヤとした笑みを顔に貼り付けた幸三の、驚くべき報告を聞かされた稔のケツ穴は、しかしより一層激しくチンポを締め付けて、彼の子種が注ぎ込まれるのを待つ。

 中学生の肉体になってしまったいま、稔にとって妻子がいた記憶はもはや朧気で、夢の中での出来事のように感じられるようになっていた。そんな曖昧になってしまった思い出よりも、いまはガタイのいい警官の肉棒で、すっかり緩くなってしまったアナルをガンガンに掘られたい。


 その稔の思いに応えるように、幸三が腰の動きを速めていく。そして──。


「んあ゛ぁぁ~ッ!! 【勝利】くん! 出すよ……、中に出すからな! 妻を孕ませた俺の遺伝子、たっぷり君のケツの中に注いでやるぞぉッ♥♥」


「ひあ゛ぁぁっ♥ 【稔】さ……、あ゛お゛ぉぉぉぉぉ~ッ♥♥」


 ドクンッと精が放たれて、稔の腸内へと濃厚な【樺島稔】の遺伝子が注ぎ込まれる。前立腺をかつての自分の亀頭でゴリゴリと刺激され、稔のチンポはビクビクと痙攣しながらトコロテンで精液を吐き出した。


「あ……♥ あひッ♥♥」


 中学生の脳味噌になった彼の頭の中身は、一か月という月日をかけて、チンポが気持ちよくなることしか考えられないように造り替えられていた。


 そんな稔のアナルからズボリとチンポを引き抜き、幸三が自身のそれをもって稔のほうへと歩み寄る。


「んふっ♥ 【勝利】くんっ……♥ 俺のザーメンまみれのデカマラ、そのお口でお掃除してくれよッ!」


「あ……♥ はい、【稔】さぁんっ♥♥」


 すっかり雌犬と化した稔は、差し出された巨根にむしゃぶりつくと舌全体を使って舐め上げ、亀頭を口に含んで熱い精液をジュルルッと吸引する。



「んお゛っ! イグッ! イクぞ【一平】くん♥♥」


 蕩けた顔でかつての自分のチンポをしゃぶる稔の目の前では、【大泉幸三】の肉体になった一平が、高校球児である【寺谷一平】の引き締まった尻を割り開き、その肛門へとチンポを突き立てていた。


「お゛っ♥ おおお゛~~ッ♥♥」


 一か月前までは甲子園を夢見て、日々グラウンドで汗を流していた一平は、完全に好色な中年親父の顔となり、いきり立つデカマラから絶え間なく透明な汁を垂れ流しながら、腰を激しく前後させる。


「【一平】くんッ!! 出すぞ! おじさんの子種で孕めッ! お゛っ♥ お゛お゛おぉぉ~ッ♥♥」


 加齢臭の漂う体を高校球児の背中に擦りつけながら、一平は濃厚な雄精子を肉棒から吐き出した。チンポを締め付ける腸壁をシェイクしながら、最後の一滴まで注ぎ込もうとヨダレを辺り一帯に撒き散らしながら、野太い咆哮を上げる。


──ぐちゅぐちょ、ヌプヌポ。


 そんな淫音を聞きながら、稔は幸三のチンポを喉奥まで咥え込み、口内を唾液と精液まみれにさせながら舌を這わせた。瞬間、稔と一平の視線がかち合う。二人の頭の片隅では、冷静なもう一人の自分がかつての常識を刷り込もうと必死に叫んでいるが、もはや彼らはそれに耳を傾けることができなくなっていた。すっかり快感の虜となった二人は、肉欲に惚けた瞳でお互いのあられもない姿をその瞳に焼き付けながら──。


「んお゛ぉッ♥ いぐっ! 【俺ェ】、妻子持ちの警官だったのにチンポでケツ穴犯されて……、お゛っ♥ お゛お゛ぉぉ~ッ♥♥」


「んひっ♥ ふひひ♥ 【オレ】も高校球児だったはずなのにっ……、もう男のケツ穴掘ることしか考えられんッ♥♥♥」


 快楽に浸る四人は、夏の日差しの照り付けるプールで淫らに交わり続けるのだった。


(了)

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