「先輩っ……、先輩には、ほんっと〜に感謝してるんです。先輩のためなら、何でもするっす! もうね、チューもしちゃいますよぉ」
タレのかかった鶏肉が焦げた香ばしい匂いや、タバコの煙が漂う飲み屋街。その真っ只中を、屈強な男たちが肩を組んで、よたよたと歩いている。勤務を終え、日中の鬱屈した気持ちを洗い流そうと酒を全力で浴びた警察官ふたり。その内の一人、坊主頭で若さ溢れる雰囲気を醸し出す畠山薫(はたやまかおる)巡査長は、隣で肩を貸してくれている髭面で渋みを帯びた岡田康正(おかだやすまさ)巡査部長に、半ば身を預ける様にもたれかかっていた。
「はぁ? チュ〜だと? ……ま、まさか薫、お前ホモだったのか?」
太い眉を八の字に歪め、熊のような強面を引き攣らせた康正が、背中を仰け反らせる。
「いやいやいや! オレ、バリバリ女が好きっす!! けど、冗談じゃなく先輩にならオレの操、捧げてもイイってくらい感謝してるんすよ。だって親父の借金で参ってた時、親身になって力になってくれたのは先輩だけだったんですから」
「……そんな大袈裟なモンじゃねぇよ。お前のオヤっさんと俺の付き合いだしな。いい加減、気にするのはやめろって」
薫と康正は部下と上司という関係であり、康正と薫の父は中学時代の生徒と恩師という仲だ。そういうわけもあって、薫が借金の返済で困っていると康正に相談した時、彼はその肩代わりをしてくれたのである。
「そういうワケには〜、いきませんって。先輩はオレの恩人っす。次はオレが奢りますから、恩人様の行きたいとこ、ドコでも連れてってくださいよ」
すでに千鳥足の薫。康正はため息をつくと、そんな彼をとりあえず自宅へと連れ帰ることにしたようだ。
「しょうがねえやつだな〜、お前ホント酔っ払いすぎだぞ。とりあえずまあ散らかってっけど、俺ん家に泊ってけや」
「へへ、じゃあお言葉に甘えて……」
康正が住んでいるマンションは、飲み屋街からそう遠くはない。数分ほど歩いてたどり着いた一室は、彼が口にするほど散らかってはおらず、むしろ整理整頓が行き届いている様に見えた。頭の片隅ではそんな光景に意外だなと思いながらも、泥酔した薫はリビングのソファへとダイブすると、遠慮もせず大の字になった。
さすがは、尊敬する上司の家といったところか。フカフカとした座り心地と、目蓋をさらに重くしていく温もりの誘惑に意識を失おうとしていた時、不意に彼の両肩が康正によって掴まれた。
「わっ! なんすか、先輩ッ?!」
「……薫、すまんな。お前の身体は素晴らしい。だから……、その肉体いただくぞ──!!」
うとうととしていた状況から一転。大きく見開かれた薫の瞳に、大口を開いた康正の顔面が映る。
「ポゼッション──!!」
その掛け声と同時に康正の口から光線のようなものが飛び出し、それが容赦なく薫の口内へと襲い掛かった。
「ふごっ!? んん゛む゛ッッ!!」
異物が自分の体内へと侵入してくる感覚。反射的に危機を感じた薫は吐き出そうとしたが、どうすることもできず、光は彼の体内へと吸い込まれていく。そして彼の全身は徐々に、彼自身の意思では動かせなくなっていった。
「……っは! あ、あがッ?! …………むふっ、薫、お前の身体……、もらったぞ♥」
***
光を吸収し終えた薫は、自分の目の前で確かめるようにググッと己の指を動かすと満足そうに笑みを浮かべ、ズボンのベルトへとその指先を伸ばした。
カチャカチャと金属音を鳴らした直後、下着ごとズリ下ろされたズボンから薫のムスコがぶるんと勢いよく飛び出す。
(先輩、やめてくださいっ!! ……いや、先輩がこんなことをするわけがない! お前はいったい誰だ?!)
薫の知る康正は、他人の肉体を操って悦に浸るような人間ではない。それに当の康正本人は、ぐったりとした様子で床に伏してしまっているではないか。
「くはははッ! 肉体を乗っ取られてもなお、先輩のことを信頼しているのか。優しいなぁ、薫は。さすがは、私が見込んだ男だ……♥ 君の言う通り、私は康正ではない。私の名は【プレジデント】。警察官である君なら、聞いたことがあるんじゃないか? この呼び名を、そして『マッスルボディオークション』という言葉を──」
『マッスルボディオークション』
それは闇で行われているという、非合法のオークションである。オークションのオーナー【プレジデント】は、他者との肉体を交換する【ボディチェンジ】の能力や、数多くの摩訶不思議な能力を持っていると警察内部では目されている。彼は気に入った相手と自分、もしくは己の手下と肉体を入れ替えたのち、オークションのステージに立ってその肉体の素晴らしさを余すことなく披露し、オークション参加者に高値でその肉体を売買しているという話だ。
そして『マッスルボディオークション』という名の通り、その餌食となるのはほぼ100%男性であり、しかも恵まれた筋肉質の肉体を持つ人物ばかりである。例えばスポーツ選手であったり、ボディビルダー、警察官や消防官、格闘家といった身体を鍛えることを生業としている者などだ。
ただオークションのターゲットというのは、無作為で選ばれるわけではない。例えば過去に重大な事件を起こした者であったり、借金で首が回らなくなった者であったり──。
そのことを思い出した薫は、顔を青くした。まさに、そのターゲットに相応しいのは自分ではないか。
「あ゛ぁ、いい゛っ♥♥ 私のことを思い浮かべてくれたんだな、薫ぅ♥ 君の絶望が、私に伝わってきてチンポが……、君のチンポが勃起するっ♥♥ はッ、あ゛ぁ♥」
薫の肉体を我が物にしたプレジデントは、その巨躯に見合ったイチモツを無骨な手で握り込み、激しくしごき始めた。
「んふぅッ……♥ 康正の身体も素晴らしかったが、やはり若い雄のチンポは格別だ。しかも、この金玉! ずっしりと重い……。肉体を奪われるのではという恐怖から、子を成そうと精子がたっぷりと溜まっていっているのを感じるぞ♥ ん゛、お゛ッ! お゛ほぉぉッッ♥♥」
(あ……、ああ。やめてくれ……)
薫はただ見ていることしかできないでいた。自分の肉体を好き勝手に弄ばれているというのに、その行為を止める手立てがない。壁に掛けられた鏡には、これまでに見たことのないようなくらいに興奮した様子で、オナニーに耽る己の姿が映し出されている。
「お゛っ♥ んほぉぉッッ♥♥ あ゛ッ! ん゛あ゛ぁぁ~ッ♥♥ 薫のチンポきもちい゛いっ!! 正義の味方の、警官おチンポで【オレ】、イッちまうぅぅッッ♥♥」
──ビュルルッ!! ビューッ! ドプドプドプゥッ!!!
膨れ上がった亀頭の先端から、粘り気のある真っ白なザーメンが発射される。ここしばらく、職務の多忙さや借金による辛苦からまともにオナニーなどしていなかったせいで、飛び出た精液はまるでゼリーのように濃く、それを放出した際の射精感は全身を電流が駆け抜けたようだった。
鏡の中の厳つい顔の男は、異様なこの状況に眉を顰めつつも潤んだ瞳で、紅潮した頰を緩ませている。そんな光景を目の当たりにした薫は、絶望と絶頂の心地よさを同時に感じながら意識を手放した。
*
『エントリーナンバー9。今日のオークションの目玉! 当オークションのオーナー、【プレジデント】自らが調達してきた肉体。背丈良し、筋肉良し、顔も精悍な現役警察官。これまでの品行も方正でしたので、末永らくお楽しみいただける肉体となっておりますっ!!』
(な、なんだ……?)
鼓膜を震わせるほどの大音量の声で、薫は意識を取り戻した。
困惑する彼をよそに、暗闇の中、静寂に包まれたオークション会場のステージにスポットライトが落ちる。その中央に立つのは【畠山薫】──、彼の肉体を乗っ取ったプレジデントだ。警察官の制服に身を包んだその姿は、まさに正義の象徴そのもの。場内を埋め尽くす男たちが息を呑む中、彼は制服を脱ぎ捨てると一礼し、野太い声で堂々と語り始めた。
「紳士の皆様、こんばんは。オレは、畠山薫と申します!」
低く、艶やかな声。そしてその男らしい響きに、場内の人間だけでなく、彼自身もまた一瞬、陶酔したかのように口元を緩める。
「……この声、エロすぎる♥」
反射的に喉元に手を当てたものの、すぐさま彼は背筋を伸ばし直すと、誘惑を振り払うように頭を軽く振り、真剣な眼差しで観客一人一人を見渡した。
「27歳、A型。身長183センチ、体重118キロ。この体格を見ていただければおわかりかと思いますが、オレは学生時代から柔道を愛し、これまで日々精進してまいりました! 柔道においては、全日本選手権で準優勝という成績を残しております。そして現在は警察官として日々職務に励み、皆様の安全と平和を守ることを使命としていますっ!」
(オレの振りをするんじゃねぇ、この盗人野郎!!)
深々と一礼すると、彼は観客に向かって白い歯を見せた。強靭な肉体に強面の顔、だがその親しみやすさ溢れる態度と雄々しい姿に、場内から思わず歓声と拍手が沸き起こる。プレジデントはその反応に軽く頷き、さらに深みのある声で一言加えた。
「では、続けて私の全てを披露させていただきます。まず皆様、この顔をご覧ください」
鋭い目つきと太い眉をわざと誇張するように、彼が顔を上げ、光を浴びる。
「この厳つい顔立ち……、この凛とした瞳、顎の四角さ! 男らしさの極みと言っても、過言ではないでしょう。セクシーなだけではなく、威厳と貫禄を備えたこのフェイス。そして、肉体のポテンシャルもこの通りっ!」
プレジデントは両腕をゆっくりと持ち上げ、力こぶを作った。盛り上がった二頭筋の美しい曲線に、舞台照明が反射し、筋肉の輪郭がくっきりと浮かび上がる。その光景に、観客から思わずため息が漏れる。彼はその反応に満足そうに微笑むと、視線を自分の腕に向けた。
そのたくましい筋肉に武骨な指を滑らせ、自らもまたその感触にうっとりとした表情を浮かべる。頬がわずかに赤らんで、彼の口から熱い吐息が漏れ出した。
「素晴らしい……、まるでエロスの塊だ♥」
さらに、彼は胸板をゆっくりと張り出し、ポージングを変える。両手を腰に当て、わざと大きく深呼吸をし、分厚い胸筋を動かしてみせた。観客の中からどよめきと歓声が湧き上がる。プレジデントはその熱狂的な反応に口角を上げた。
「皆様、これを見逃してはなりません。この顔立ちにふさわしい肉体の一部──、特に注目してほしいのはここです!」
彼は観客に向けて背を向けると、その巨大な尻を強調するべく、ゆっくりと艶めかしい仕草で腰を突き出した。
「どうですか、この尻!」
片手で尻タブを鷲掴みにし、もう片方の手で弾力のある臀部をピシャリと叩いてみせる。
「ただ大きいだけではありません。硬さ、張り、そして均整の取れた形……。これこそ、鍛え上げられた柔道家の証です!」
彼の堂々たるアピールに、観客はさらに熱狂し、オークション会場は一層の興奮に包まれる。彼自身もまた、その肉体の魅力に酔い痴れながら、満面の笑みで観客を煽り続けるのだった。
「さあ、この顔、この肉体、これら全てを手に入れるチャンスが皆さまにはあります!!」
(くそっ、やめろぉぉぉっ!!!)
*
ビジネスソックスと制帽を身に着けている以外は、まるで変質者さながらに乳首にピアスを付けていたり、チンポやアナルには作動中の電動バイブが固定され、とげの付いた首輪をハメた状態でチンポの先から我慢汁を垂れ流している【薫】。胸元には、彼がオークションの対象物だという証の『SLAVE』という文字も、油性のマジックで大きく記されている。
『では、100万からスタートです!』
オークショニアの掛け声と同時に、次々と観客席に座った男たちの手持ちの札が挙げられていく。100万、150万、200万……。提示される金額は、すぐさま大きく膨れ上がっていく。そしていよいよ大台の1000万に達した時、一人の男が手を上げた。
「その肉体は私のモノ! 一億だっ!!」
驚くべき金額に会場はどよめきに包まれ、やがてそれは拍手へと変わっていく。興奮した様子のプレジデントは、大股を開いてチンポをおっ勃てると、身を震わせながら射精を繰り返した。その白濁液がステージの床を汚す様に、観客たちが下品な笑い声を漏らす。精液を吐き出さないように取り付けられていたコックリングなど、もはや意味を成していなかったようで、恍惚とした彼のチンポからは、絶えずドロドロとした濃い精液が撒き散らされている。
『──他にありませんかっ? ……では、一億ッ! 一億で落札ですっ!!』
カンカンッとオークションハンマーが打ち鳴らされる。落札者である男がステージに上がると、観客たちは再び大きな拍手を送った。
『皆様メインの入れ替わりショーを一刻も早くご覧になりたいかと存じますが、その前におまけのショーを行いたいと思います。それではご注目! どうぞっ!!』
オークショニアの合図とともに、ステージの床が開き始める。そしてその下から現れたのは、椅子に縛り付けられた、岡田康正警部補だった。会場のメインの照明が消え、ステージ上のプレジデントと康正だけがスポットライトで照らされる。
「んむ……? ふむぅん゛っ?!」
呻き声を上げる康正の口にはギャグボールが嵌められており、言葉など到底発することもできない様子で、ヨダレを垂れ流している。巨根ともいえる股間のモノには、金属製の貞操帯が取り付けられていて痛々しい。おまけに、彼のアナルには巨大なディルドがハメ込まれている。そんな異様な光景に会場から笑いが起こると、康正のケツマンコに収まっているそれが激しく振動し始めた。
康正の頭の中は真っ白になっていた。ついさっきまでは、交番内で書類仕事をしていたというのに、突然現れた謎の男に声を掛けられた途端、意識を失った。そして気がついたら、この有様だ。
「ん゛っ♥ ん゛っ♥」
(ケツが、壊れちまうっ……)
日焼けした顔を赤黒く染め、脂汗を浮かべながら、彼は必死に快楽に抗った。しかし、その抵抗も長くは続かず、すぐに限界が訪れる。
「ん゛んんんむ゛うぅッッ♥♥」
(イグッ! イグゥッ!!)
ビクンッと大きく身体を震わせると、康正は貞操帯の隙間から精液を吹き出しながら射精した。彼のチンポから勢いよく放たれたザーメンが、磨かれた真っ黒なステージの床を白く汚す。これまで経験したことのない、尻の穴で感じる悦び。気の遠くなるような深い快楽と屈辱によって、理性を粉々に破壊されつつあった彼の口にハメられていたギャグボールを、プレジデントが取り外した。
「ぶへっ! ハアァ〜、はぁ……。薫……、これぁ、どうなってやがる? お前がこのオークションの元締めってわけじゃ、ねぇよな……?」
「半分正解で、半分外れです、先輩。私は異能を持ったオークショニア、【プレジデント】。覚えてはいないと思いますが、この身体を操作する前は、あなたの身体も操らせてもらっていたんですよ」
「まさか、そんな……、あ゛ぁんっ♥」
再び振動を始めたディルドに、康正は甘い声を上げた。
「ん゛っ♥ あ゛ぁっ♥ やめっ、やめてくれぇっ!」
「先輩、あなたの肉体は【オレ】の肉体ほどじゃありませんが、結構な高値で売れたんですよ。先輩も知っているでしょう? この『マッスルボディオークション』のターゲットになるのは、莫大な借金を抱えた者か、もしくは過去に重大な犯罪を犯した者……。ねぇ、10年前にとある容疑者の娘さんを口車にハメて手籠めにした、岡田康正巡査部長?」
「う゛っ……。お、俺はそんなことしてねぇ!!」
「──当時巡査だったあなたは、15歳の罪なき少女を自分のモノにしようと襲いかかり、抵抗した彼女を殴って気絶させ、彼女の処女を無理やり奪った。あなたのような汚物は、生まれ変わらないといけないのです。その汚らわしい肉体を欲してくださる、こちらの方のような清い心の持ち主の落札者様とね」
スポットライトの当たった場所に、低身長でだらしない体型の、いかにも中年親父といった見た目の男が姿を現した。スーツや身に着けたアクセサリーこそ高級そうだが、その不摂生極まりない体型のせいで全てが台無しになっているような男だ。髪の毛はバーコード状に禿げ散らかっていて、額はギラギラとテカっている。腹は迫り出し、足は短足。瞳は濁って、息も臭そうだ。そしてそんな彼はというと目を輝かせながら、ぐったりとした康正を嘗め回すように見つめていた。
「ハァ〜、エッチな身体だよぉ〜♥ マッチョなガタイに、男らしい顔つき。汗の匂いまでなんだかセクシーで……、ずっと舐め回したいと思ってたんだ。ボクの好きなタイプだよぉ~」
気持ち悪い濁声を発しながら、その男が康正の方へと歩み寄ってくる。そして彼のチンポにハメられていた貞操帯をカチャカチャと外し始めた。
「やめろ貴様っ、汚い手で触るな……! あぁっ?!」
貞操帯が外れた彼のチンポを、男が握り締める。途端、ビュルッと雄汁を噴き出した彼は、身体を震わせて情けなく腰を突き上げた。貞操帯に長時間締め付けられていた分も加わり、その勢いは相当なものだった。
「おほっ! すごいね〜♥ こんなにギンギンになったチンポ、見るの初めてだよ〜。これがボクのおチンポになるんだぁ♥♥」
精液まみれになった肉棒に男が顔を近づけそうになった瞬間、プレジデントがその行為を制止した。
「キリガヤ様、お待ちを。私自身が他人と肉体を入れ替えるのであれば特に制約もなく行えますが、私を介さずにお二人の肉体を交換する場合は、極度の性的絶頂を伴わないといけないのです」
そう告げた彼は、牛に使用する搾乳機のようなものを二つ持ってきた。それは太い管で繋がっている。彼はその片方を康正の股間に固定すると、キリガヤと呼ばれた男の股間にも同じように固定した。そして──。
「この搾精機が、お二方の肉体を交換する媒体となっております。両者のチンポに程よい刺激を与え、射精へと誘います。そしてお二人が絶頂に達した瞬間、私の能力を使用して身体を入れ替えさせていただきます」
康正は搾精機から逃れようと身体をよじるが、それはタコの吸盤のように股間部に吸い付き、ビクともしない。逃れられない恐怖に、彼の背筋を嫌な汗が伝って行く。
「それでは私がカウントを始めたら、お二人は同時に絶頂に達するように心掛けて下さい。では、スイッチオン!」
たわいない遊戯でも始めるかのようなその掛け声とともに、二人のチンポが管の方へと引っ張られる。強烈なバキューム音。まるでチンポが優しく揉み解されているような感覚に、康正が快楽の声を上げる。
「んほぉっ!! おほぉぉ~~~~♥♥」
『10……9……』
(クソっ! やめろっ!! んっ♥ んん゛っ♥♥)
1から0へと変わる瞬間、康正とキリガヤは同時に腰を突き上げて射精した。そして──。
『3・2・1……、チェンジッ!!』
(い、いやだッ! やめ……)
強く願っても、その願いは届かない。彼の心の叫び声が途切れたのと同時に二人の身体が明滅し、魂が光の塊となって口から飛び出した。そして二本の光線が、すれ違うようにして互いの口へと吸い込まれる。
「「んん゛んッ♥♥♥ あ゛ぁぁ~~!! お、おほぉぉ~~~ッッ!!!」」
魂が互いの肉体に宿った瞬間、二人ともが身体を仰け反らせて盛大に喘いだ。他者との肉体交換。誰もが経験できるわけでもない、まさしく究極の快楽を全身で感じながら、二人は同時に絶頂へと駆け上り詰めた。
*
「……おぉっ! 最高だぁ、このエッチなボディ!! むさくるしい髭面、分厚い筋肉をまとった警官らしい裸体。ボクの理想の肉体だぁ〜。それに、チンポもこんなに立派になって……♥ 形も、色もぉ申し分ないよ! 今日からボクは──、いや俺は【岡田康正】として生きていくんだな。おお゛んっ♥ 康正の記憶が頭ン中で溢れて……、気持ちよすぎるぅっ♥♥ このマッスルボディで、これからは現役警察官という肩書を持って、雄交尾三昧の日々を過ごさせてもらうぜ♥」
「ふ、ふざけんな……」
自分の口から漏れた、聞き覚えの無い情けない声に、康正は身を震わせた。おかしいのは声だけでなく、腕や足も細くなり、その代わりと言わんばかりに腹にはたっぷりと贅肉が詰まっている。股間には今まで感じたこともないような違和感があり、恐る恐る自身の股座へと手を伸ばすと、自然と親指サイズほどしかない皮被りのチンポを握り締めてしまっていた。
「な、なんだっ?! なんで俺、こんなしょぼいチンポなんか握って……、お゛ぉっ! んほぉぉっ♥♥」
亀頭にほんの少し触れただけで、ゾクゾクとした快感が彼の背筋を走り抜ける。全身からはすえたような汗の匂いがぷんぷんと撒き散らされ、チンポからは、粘り気のある我慢汁が止め処なく流れ落ちてしまっている。肉体が入れ替わった余韻が、無意識のうちに彼の新しい脳味噌の中で、快楽の渦となって渦巻いているのだ。
「ん゛っ♥ な、なんだこれぇ……。お゛ぉっ! 【ボク】のチンポが、どんどんデカくッ?!」
「どうしました、お兄さん? おぉ大変だ、かわいいおチンポが勃起しているじゃないですか。早くヌかないとお辛いでしょう? 市民を救うことこそ、我々警察官の役目。本官が、あなたの射精のお手伝いをしてさしあげますね♥」
康正の背中側に回り、骨太な手で彼の肉棒を握り締めるキリガヤ。かつての自分の肉体を目の前にして興奮する彼の男根は熱く滾り、今にも暴発してしまいそうなほどだ。そんな硬くなった陰茎を、康正の尻の割れ目に擦り付けると、野太い喘ぎ声を漏らした。
「ハアァ……♥ 皮を被って可愛いですね、【キリガヤ】さんのチンポは♥ 生意気盛りのお子様サイズだ。ほら、シコシコしてさしあげますよ。大きくな~れ、大きくな~れ♥♥」
「お゛ぉっ! んほぉっ♥♥ お゛ほっ!! やべでぐれぇ……、あ゛ぁぁ〜〜ッ!!」
ゴツい手で粗チンを上下にしごかれるたびに、康正の脳味噌はかき混ぜられていく。苦しいはずなのに、気持ちいい。脳が混乱と快楽の渦に飲み込まれて、バグを起こしている。自分という存在が、別の色で塗り潰されてしまうような強い刺激に、彼は酔い痴れずにいられなかった。
「は〜い、お皮、剥き剥きしましょうねぇ〜♥」
先走りと精液ですっかりぬるぬるになった包茎の皮を剥かれる。包まれていた亀頭が外気に触れるその感覚だけで、彼の身体はビクンッと大きく痙攣した。同時にヒクヒクと震える尻の穴に、棍棒のような男根が押し当てられる。
「ひっ、だ、ダメだぁ……。【俺】のチンポを入れるなぁ!! そ、そんな太いの入れられたらぁっ♥ んぐお゛ぉぉ〜っ♥♥」
ずぷんっと音を立てて、巨大な肉の棒が康正の中へと沈んでいく。まるで長年連れ添ってきた相棒を受け入れるように、すんなりとかつての自分のチンポを飲み込んだケツ穴。それも当然。いつかこういう日が来るのを待ち望んでいたキリガヤが、極太のディルドを日常的に尻穴に咥え込んで開発し続けた成果だ。
「んほぉぉっ!! お゛っ……♥ は、入ってるぅっ♥♥ ケツにぃ、でっかいチンポ、ぶち込まれてるぅぅっ♥♥」
【キリガヤ】の肛門の肉をめくれ上がらせ、直腸を圧迫する【岡田康正】の肉棒。凶暴なまでの雄の象徴が、腸壁を乱暴かつ優しく擦り上げる感覚に、彼は瞬く間に絶頂を迎えていた。肉体が入れ替わったことを証明するかのように、その親指サイズのチンポからは、大量の白濁液が飛び散って床に溜まっている。
「あ゛ぁぁ〜〜っ! お゛ぉっ♥ おほっ♥ おふぅ……♥♥」
濁音混じりの嬌声を上げながら絶頂に浸る康正の表情を見て、キリガヤはニヤリとほくそ笑んだ。完全に堕ちた彼の目を見た感じでは、もう以前の意志は残されていないだろう。【岡田康正】の肉体を完全に乗っ取った──。その圧倒的優越感に、キリガヤは分厚い筋肉をより膨れ上がらせ、快楽の雄叫びを上げながら、睾丸を収縮させた。
「ん゛ぉーーッッ♥♥ これからは、俺が岡田康正巡査部長だ! この肉体、このお巡りチンポでガチムチ野郎どものケツの穴を掘りに掘りまくってやるぜぇッ!! イクイク、イッグゥウゥゥ~~~♥♥♥」
「たすけっ……、助けてくれぇ、薫ぅ!! 俺が、俺じゃなくなってい゛くッ! お゛っ♥ イグッ、イっちまうぅ……♥♥」
彼の肉体から、【岡田康正】としての記憶がザーメンとともに吐き出され、魂までもがキリガヤの肉体に順応するように変化していく。そして記憶の貯蔵庫には新しい記憶が上書きされ、彼の脳味噌の中身は、完全に【キリガヤ】のモノと入れ替えられてしまった。
「あ゛っ……♥ ん゛ぉ……♥♥」
白目を剥いて舌を垂らしながら、全身をヒクヒクと痙攣させる【キリガヤ】。そんな彼の股間から小便が漏れ、床を黄色く染める。そして彼はそのまま意識を失い、その場に倒れ込んでしまったのだった。
***
(先輩……)
床の上で倒れた彼の姿を見た薫は、心が痛むのを感じた。同時に、彼は倒錯的な興奮を覚えていた。尊敬する先輩が、他人に肉体を乗っ取られて犯される。そんな光景に、薫はおぞましくも欲情してしまったのだ。次は自分の番だ。プレジデントによって一時的に肉体のコントロールを支配されるのではなく、肉体を入れ替えられて恒久的に別人として生きていく。その恐怖と期待、そして興奮が彼の股間を硬く滾らせていた。
「さぁ、次は君の番ですよ、薫くん。このおチンポは、もう君のモノではなくなるんです」
そこからは、康正とキリガヤの肉体が入れ替わったときと同じ流れだった。違ったのは、肉体交換に道具を使う必要がなかったこと。そして、薫の口から飛び出した光の塊が二つだったこと。そのうちの一方は、彼の肉体を落札した男の口の中へ。そしてもう一方は舞台袖へと消えていった。その後は再び、ステージ上でセックスショーの幕が開く。
「ああ、素晴らしい……。こんなスケベな身体が、今日から私のモノになるのか♥ これからのことを想像しただけで、【オレ】のキンタマん中で精子がドクドク作られてるのを感じるぜ♥♥ おっと、ちょうどいいところにチンポを入れる穴があるじゃないっすか……♥」
肉体を乗っ取られた薫は、屈強なかつての自分の肉体に組み敷かれ、そして極太のチンポをケツ穴にぶち込まれていた。腸壁を肉棒で擦られるたびに、自分の頭の中から大切な何かが抜け落ちていく感覚に襲われる。自分という存在が、別のモノで塗り替えられていくような恐怖に薫は涙を流しつつも、自ら激しく腰を振り続けた。自分が自分ではなくなっていく感覚が、たまらなく気持ちいい──。
「たまんねぇ……♥ おっさんのケツマンコにチンポ出し入れするたびに、頭の中身まで【畠山薫】らしくなっていってるぅ♥♥ おお゛ぉっ、イグッ!! オレの精子、出るッ♥♥♥」
「あ゛ぁぁ~~!! オレ……♥ オレが、【私】になってしまう……、お゛ぉぉんっ♥♥」
ステージ上に勢いよくザーメンを撒き散らすと、彼もまた先ほどの康正同様、小便を漏らしながらその場に倒れ込んでしまった。肛門からチンポを引き抜かれても、快楽の余韻から小刻みに腰を前後させるのを止められないでいる。
そんな薫の様子を満足げに見届けた落札者二人は、床に散らばっていた警察官の制服を身に着け始めた。ホルスターや手錠、無線機や警棒といった装備品までも、手慣れた様子で自らの身体に取り付けると、互いに顔を見合わせて目元を緩めた。両者の股間はすぐにテントを張り、水色の制服には黒いシミがじんわりと広がっていく。
「よお、初めまして薫。そんでもって、これからもよろしくな♥」
「こちらこそ、よろしくお願いします、康正先輩♥ とりあえず明日はオレたち非番ですし、これから先輩の家でオールでセックスしませんか?」
「ああ、いいぜ薫。お前の処女マンコ、俺のチンポの形に変わるくらい可愛がってやるからな♥」
筋肉隆々の警察官二人は抱き合うと、幸せそうに舌を絡めたキスを交わした。それから唇が離れる頃には、互いに肩を抱き寄せ合い、股間を揉み合いながらステージから去って行くのだった。
そんな仲睦まじい光景を舞台袖で見ていた男性が、ステージ上に姿を現した。普段の肉体へと戻ったプレジデントだ。薫や康正に負けないほどの均整の取れた体格。整えられたグレイヘアに髭、漆黒のタキシード。紳士然とした装いの彼が指をパチンと鳴らすと、緞帳がスルスルと降りていく。
観客席にいるのは、ほとんどが【入れ替わり】という行為にフェティシズムを覚える男たちである。そんな彼らが下半身をあらわにし、チンポを痙攣させながら射精後の余韻に浸る光景に、プレジデントは満足げに微笑んだ。
「皆様、最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。本日の『マッスルボディオークション』は、これにて終了いたします。これからも、更なる逸品──、選び抜かれた至高の肉体をご用意し、皆様をお待ちしております。それではまた、お会いしましょう──」
(了)