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池野くるめ
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【小説】異世界最強の魔法使いエルフは紙おむつが手放せません!? 第四話 この魔法使いに逆トレを!

 ケンは我々と同じ言語を使うが、この世界のことは本当に知らないから、本当に不思議だ。年齢を聞いてはいないが、人間は我々エルフよりも成長が早い種族だから、多分自分よりは年下で、大体二十歳前後といったところだろう。  彼がこの世界に来た本当の理由は正直なところまだ分からないのだが、彼が持ち込んだ「紙おむつ」という道具がダンジョン攻略にとても有効なことだけははっきりと理解できる。そう、理解は出来るのだが……。 「あーーーーやっぱりこの中に出すなんて無理!!!」  思わず声に出てしまう。私は居間のカウンターに突っ伏した。顔を横に向けると、カウンターの細かな木目が見えた。私はケンの魔法の師匠でもあるから、こんな情けない姿は、ケンが一人で魔法の練習に出かけている今しか見せられなかった。 「ピノ、『それ』を使いこなせればあなたもダンジョン探索できるのよ!頑張って!」 「いいわよね〜〜我慢が効く人は」 「あら、私だって使おうと思えば使えるわよ。試してみる?」 「いいわよ、わざわざやらなくても……」  ベルは私のことを一生懸命応援してくれるが、ケンが私に課した「逆トイレトレーニング」はまるで進む気配が無かった。  それもそうだ。物心ついてからというもの、おしっこはトイレ以外でしてはいけないものだと親に教えられてきたし、ダンジョンでのひどいトラウマだってある。だから、どんなに膀胱が一杯になって溢れそうでも、トイレ以外の場所でわざと力を抜いておもらしすることなんて出来るわけが無かった。転んだり攻撃されたりして、自分の中のコップが倒れてしまうことはあっても、自ら栓を抜いてしまうなど考えたことがなかったのだから。  片手で股のあたりをさすると、おむつのふにふにとした柔らかい感触がした。正直に言うと、この下着の履き心地はこの世界のどんな服よりも肌触りが良かった。いや、だからこそ、これをおしっこで汚してしまうことに、より一層の抵抗を感じてしまうのだ。 「ねえ、ピノ。ちょっと提案なんだけど、いきなり出すところまで行くのが難しいなら、まずはおむつが濡れている感覚に慣れてみるのはどう? ぬるま湯で濡らしてみたらどうかな?」  ふいにベルがそう提案してきた。確かに、それならこの下着を濡らす感覚にも慣れることができるかもしれない。 「そうね……それならおしっこしなくていいし……試してみようかしら」  私は身体を起こしトイレへ向かった。もちろん今履いているおむつを脱ぐためだ。おしっこはしない。出来るだけ我慢して尿意を高めて、少しでもおもらししやすいようにするためだ。 「はいこれ」  脱いだおむつをベルに差し出すとぬるま湯を注いでくれた。 「なんだかこの間エーテルを注いだときよりもよく吸い込むみたい。もしかすると、真水だと吸収力が上がるのかもね」  私はぬるま湯をたっぷり吸い込んだおむつを受け取った。ピンク色の生地に黄色いネズミのような可愛らしい動物が描かれたおむつは、ぬるま湯を吸収し、たっぷりと膨らんでいる。  トイレに行き、そのおむつを履いた。膨らんだ吸収体が股に当たる。もっと気持ち悪いのかと思っていたが、半乾きのハンカチを当てているような感覚で、そこだけぬるま湯に浸かっているようでもあり、心地よさすら感じられた。ケンに教えられた通り、人差し指をお尻とおむつの間へ差し込み、ギャザーをしっかりと立てる。  よし、これで準備完了だ。まずはおむつ濡らす感覚に慣れていこう。くよくよしていないで、私だってやれるってとこを見せないといけないのだ! ******  それから数日の間、朝起きたら新しいおむつをケンにもらい、それをぬるま湯でたぷたぷにしてから次の朝まで履くことで、濡れたおむつの感覚に慣れる訓練をした。まだその中におしっこを出すところまではいけないが、徐々に「この下着は濡れて大丈夫だし、むしろ濡れているのが正しい状態」と思えるようになってきた。小さな一歩だが、確実な一歩である。  今までは、膨らんだおむつで生活するなど考えもできなかったが、今履いているのはこの世界の布製おむつではなく、別の世界から来た紙おむつなのだ。自分は他の者と違い、特別な装備をしていると思うと、その抵抗も和らいだ。そう、このおむつを履くことは、退化ではなく進化なのである。そう自分を納得させた。  履き心地の良さから、水を吸い込んだおむつを履いて生活していても、それを意識することはほとんどなかった。何かに集中しているとその存在を忘れてしまう程だ。唯一の例外は椅子に腰掛けた時である。この時ばかりはおむつに体重がかかり吸収体が肌に押し付けられる。なんともいえないその感触も数日の内に慣れてきた。  このぬるま湯おむつトレーニングが功を奏したのはそれからさらに数日経った時である。朝、新しいおむつにぬるま湯を注ぐ前に履いたところ、それが乾いていることにわずかな違和感を覚えた。 (これは……もしかして……イケるかも?!)  私は、二人にはそうと悟られないようそそくさとトイレに向かった。鍵を閉め、椅子型の便器に腰掛ける。一晩中の間にしっかりとおしっこが溜まっているから、わずかに力を緩められれば後は自然に流れ出していきそうだ。 (漏らしても大丈夫……漏らしても大丈夫……)  懸命に自己暗示をかけるがなかなか力を緩めることができない。しかし、濡れたおむつの、ぬるま湯に浸かったような心地よい感覚を思い出した瞬間、僅かに力が緩んだ。  じゅっ、とほんのわずかにおしっこが出た。反射的に止めようとしたが、それを必死に押し止める。じゅっ、じゅっ、とおしっこが少しずつ染み出してくる。一晩中たまりにたまったおしっこが一斉に開門を求め圧をかける。今までの自分なら、一滴も漏らすまいと出口をぎゅっと閉めてしまうのだが、この数日のぬるま湯おむつが効いていたのか、力を抜くことができた。 じわじわと流れ始めたおしっこは、すぐにおむつへ吸収されていく。そこだけ温かくてなんだか気持ちが良い。 (大丈夫よ、私! この中になら出しても魔物には襲われないから…!)  必死に自分を言い聞かせ、流れ始めたおしっこを止めないようにした。だんだんおもらしの勢いが上がり、おむつの吸収スピードよりも多くのおしっこがおむつへと注ぎ込まれる。しかし、高いギャザーのおかげでそれが外に溢れ出ることは無い。 (ごめんなさい…!ごめんなさい…!)  恥ずかしさと背徳感の混ざったぐちゃぐちゃの感覚が脳内を満たしている。しかし、もうおしっこが外に漏れないことが分かったことから来る安心感と、そこだけお風呂に浸かっているような心地よさから、これを止めようという考えはすっかり失せてしまった。   やがておしっこの勢いがゆっくりになり、そして完全に漏らし終わった。 (や、やった……!!おむつ、使えた!!)  私は大慌てでリビングに戻り、棚を整理していたベルに告げた。 「できたわよ、『これ』に出すの!」  宣言している途中から気恥ずかしさが襲ってきた。しかし、おむつの中に出すことが出来たのは事実である。 「やったじゃない! これで、ついに探検デビューできるわね。これで私の研究もはかどるわ」 「そうよ、私もやるときにやるのよ」 「おもらしを?」 「そっちじゃなくて!! いやまあそれはそうなんだけど……」  ところで、さっきまでいたケンの姿が見えない。どこへ行ったのだろう。せっかくの快挙だというのにケンがいないのは残念だ。 「そういえばケンは?」 「ピノがトイレに籠もってる間に魔法の練習に行ったわ。彼の魔法も大分上達したみたいね」 「飲み込みはかなりいいわ、そろそろ実戦でも使えると思うわよ」  ベルは棚を整理する手を止め、少し考えてから答えた。 「あら!それじゃあ今の二人にぴったりなお願いがあるの。 聞いてくれる?」  なんとなく面倒くさいイベントになりそうな予感がした。 「もしかして、何か採集とか、討伐とか、そういうやつ?」  ベルのことだ。研究に使う植物か何か、多分街の外でしか手に入らないものが欲しいのだろう。トイレの問題のせいで遠くにいけないことに常々小言を言われていたから、大体の察しはついた。 「御名答、ケンが帰ってきたら話すわ」 ******  俺がこの世界に来てから、毎日午前中は魔法の練習をするのがルーティンになっていた。何かを継続することはそれほど得意な方ではなかったが、魔法の練習はいくらやっても飽きなかった。本当は一日中やっていても良いのだが、貯めておける魔力もまだ少ないし、魔力回復のために大量にエーテルを飲むと強烈な尿意に襲われるので、一日数時間続けるのが実質的な限界だった。そして俺が一人で魔法の練習をしている間、ピノはうまくおむつを使えるよう練習しているようだ。  そんな日課をこなし始めてしばらく経った頃、いつものように魔法の練習を終え家に戻ってくると、二人がかしこまった様子で俺の帰りを待っている。  最初に話し始めたのはベルの方だった。 「ケン、魔法の練習はどう?」 「ん〜最初よりは大体上手くなったんじゃないかな」 「それは良かった!ピノのほうも、ふふ、できるようになったみたいよ。おむつ」 「もう、まだ結構恥ずかしいんだからあんまり言わないでよ! でもまあ……ベルが言ってることはホントよ」  ピノが顔を赤らめる。正直に言うとその表情がめちゃくちゃ可愛い。そんなことよりも、あのトラウマを乗り越え逆トイトレを成功させたという事実は大きい。 「へえ、ちょっと見せてよ」 「バカ、何言ってるの!焼くわよ?! 全くこれだから人族の男は……」  しまった、うっかり完全にアウトな事を言ってしまった。元の世界なら今ので懲戒免職である。 「さて、それでなんだけど。もうこれで二人とも最低限探検に行くスキルは身につけた訳だし、三人で街の外に出て、研究に使う材料を集めたいと思います!」  ベルはどこからか枯れ草のようなものと地図を持ってきて説明を始めた。 「これはただの枯れ草に見えるけど『賢者の葉』と呼ばれる植物なの。魔力を多く含んでいてエーテルを作るのに欠かせないんだけど……中でもこの洞窟の奥で採れるものが特に優れているとの情報をキャッチしたわ」  おお、そういうのだよ。俺が待っていた展開は!……というかエーテルってハーブみたいな香りはしていたけれども、本当に植物から出来ていたのか。しかし植物なのに洞窟の奥で採れるとはどういうことだろう? 「私達のいる街がここで、目的地がここだから、歩いて大体片道三日くらいと行ったところかしら」  ベルは親指と人差し指を地図の上でコンパスのように使い、目的地までの距離を測っている。地図の縮尺は分からないが、それなりの距離があるようだ。 「空を飛ぶ魔法ならすぐに着くんじゃないの?」  俺は気になってピノに聞いてみた。 「空を飛ぶ魔法は魔力の消費が大きいから、この距離をしかも三人で飛ぶのは難しいわ。少なくとも行きは歩きね、帰りになっても魔力とエーテルが余ってたら考えるわ」  やはり、そう簡単には行かないようだ。 「それと、今回賢者の葉を探す目的地の洞窟はいわゆるダンジョン、迷宮なの。魔物が高頻度で出現するから魔力と排泄物の管理が必須よ。二人共、よろしく頼んだわよ」  

Comments

いつもコメントありがとうございます! 逆トレの過程を書いている小説をあまり見たことが無かったので、ならば自分で書いてやろうと前々から思っていました!逆トレを始めるもっともらしい理由を考えていくと、今までのお話のような流れになりました! 敵に捕らわれて……的な流れも王道で好きだし、なんならそのうち書こうかと考えてはいるのですが、必要に迫られて使ううちにどんどんおむつ沼に入っていくような描写ができればなあ〜〜と思っています! これからも引き続きよろしくお願いいたします!!

池野くるめ

更新お疲れ様です! 今回は逆トイレトレーニングという楽しい過程がじっくりと描写されていて素晴らしいの一言でした! 自分もこの趣味は長いのですが、まさかぬるま湯おむつで興奮するとは思いませんでした。 おむつの感触は使用前も後もよいものですよね。半乾きのハンカチは的確だと思います(笑) このお話を読んでいて思ったのですが、 おもらしに至る過程として「我慢」の良さがよく挙げられます。 我慢は社会のルールを守る道徳的な抵抗であり、堤防の決壊によって開放感へと転化されます。 対して濡れたおむつで体をおもらしに慣れさせる「順応」は おもらしという社会のルールを破るための背徳的な行為であり、放水によって達成感に繋がります。 背徳的なだけに、逆トイトレなんて敵からの洗脳等のバステを受けて始めそうなものですが、 この作品はそうはならず、全ての設定をもって前向きに逆トイトレにつなげているのがすごいです。 バステでは解除が前提ですし、解除困難な重いものでは作品が暗くなりますよね。 また、「我慢」と「順応」のどちらでも興奮できる自分の業の深さを再認識しました(笑) 雑感を長々と書きましたが、この興奮もピノの可愛さがベースになります。 努力した逆トイレトレーニングの成功の喜びは分かち合いたいけれど、出すところも自分で濡らしたおむつも見られたくない。 なんなら知られることすら恥ずかしいという、そんな彼女だから、致してしまう瞬間がたまりません。 それでは、これからの彼女達の冒険と、心と体の変化を楽しみにしてます!


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