SamSuka
ハセトム(旧:HI)
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デカチンポウイルス〜最初の感染者【第3話】

テラテラしたタイル張りの床の上に点々と飛び散った乳白色の液体。 「この年齢になると若い頃みたいなゼリーにはならないですね。」 そう言って彼は快活に笑いながら服を着て出て行った。今日から泊まり込んで貰う部屋に荷物を置いてくるという。その後は軽い夕食をとり、こちらが用意した新薬を投薬させて貰う。その為に必要な準備は既に全て完了していた。なぜならこの為だけに今日、自分は時間を作ったのだから。 沢村が出て行った後、部屋の扉には「消毒中」の札を下げて鍵をかけた。実際検査の後には薬品を使った清掃が入るのは研究施設では日常的なことなので誰も気にしないし、入ってこようともしないだろう。 草岡の心臓は痛いくらいに高鳴っていた。今からすることを万が一にでも誰かに見られたら自分の人生は破滅するだろう。それでも今じゃなければこんなチャンスは二度とないのだ。 検査に必要な量の沢村の精液は既に試験管に採取しており、床に飛び散った分の精液は清掃するのが当たり前だ。 否、本来であればこんな風に床に精液を撒き散らして飛距離を測るようなことはしない。全て草岡の個人的感情から紛れ込ませた無茶苦茶な検査であったが、沢村は疑問も持たずに受けてくれた。そしてその後には彼の子種がヌラヌラと照り輝きながら床に残されている。 草岡は顔を近づけてその匂いを嗅いだ。自身を慰めても同様のものが出るが、それとはまた違う、特別な匂いがしたような気がした。理性はそれだけで全て溶けてしまったようである。次の瞬間には惚けた顔で床に舌をつけて種汁を舐めとる白衣を着た狂った研究者がいるだけになった。 「しかし相部屋になるだなんて、最初に言って欲しかったな。」 社内の問題に社外から来た被験者を巻き込んだ形になったというのも沢村としては気になったが、すぐに自分はそんな心配をするほどの立場でもない庶務3課の課長であったことを思い出し自嘲気味に鼻で笑ってしまう。 「俺が社内の人間だということは伏せとけと言われたな…検査結果になんか出るんだろうか。まあ、どこの部署ですか?なんて聞かれずに済むだろうから、そっちの方が都合がいいか…。」 ネガティブになりつつあるのは先程射精した賢者タイムであろうか? 「ここか。」 沢村のネームプレートが掲げられた病院の病室みたいな部屋。相澤久・金本拓夢と他に2人の同室者がいるらしい。 既に彼らがいることを苦慮してドアをノックすると 「はい、どうぞ!」と男の声が帰って来た。 「失礼します。同室の沢村と申します。」 ドアを開けてすぐには洗面所とトイレらしきドアが横にあり、奥には3つのベッドが並んでいる。残念ながら病室のようなカーテンはなかったが、学生時代の合宿のようなもんだと自分に言い聞かせる。 「相澤です。よろしく!」 坊主が伸びたような短い髪に顎と口周りに髭を蓄えた男が気さくに話しかけてくる。 「はじめまして。4週間よろしくお願いします。」 「沢村さんも4週間コースで治験でしたか。じゃあこの部屋は4週間組みの部屋ってことになるのかな。」 「相澤さんも?」 「はい!俺トラックドライバーやってたんですがね、色々やらかして無職になってしまいまして…ハハ。まあ時間は余るほどあるし、特典もあるみたいだから4週間に応募したんですよ。」 「特典?」 そんなものあっただろうか? 「いや、なに。チンポコでかくする薬だっていうから、長い期間の方がもっとデカくなるんじゃないかと思いましてね。」 そう言ってハハハと笑い飛ばす豪傑ぶり。沢村は嫌いじゃないノリであった。 「そういう意味か。確かに金ももらえて、そっちも貰えるなんて特典ですよね。」 「でしょう?しかも健康診断みたいなことも全部やってくれるっていうんだから、こりゃ行くしかないと思いましたよ。」 なるほど、そういう事情のケースもあるのか。長年の営業職の癖か、何気ない会話の中でしっかりと相手を観察してしまう。 「もう1人の方はいないんですか?」 「ああ、金本くんね。今売店に行くって言って出てるんです。」 「そうか、じゃあ私は先に荷物整理してしまおうかな。あれ?ベッドは真ん中と右の2つ空いてるんですね。まだ決めてなかったんですか?」 「ああ、俺はどこでもいいんですけどね。金本くんが、なんか今時の子っていうか、入ってくるなりさっさと左端に荷物置いちゃって。俺は後から来る人が歳上だったらその人に選んで貰うつもりだったから、まだ決めてないんですけどね…そう言っても」 「ここに来たのは僕が一番最初だったので、順番通りでいいでしょう。」 そう言いながら部屋に長身の若者が入ってくる。 「君が金本くん?」 「はい。余裕持って到着したんだから、僕が最初に選ぶ権利あると思うんですけど、間違ってますか?」 あちゃーと言った顔で相澤が首を横にふっている。確かに彼はまだ20歳前後に見える。相澤は30、40歳くらいだろうか。後から来たとはいえ50歳になる沢村に一言断りを入れてもいいだろう。なるほど、癖のありそうな相手だ。 「いや、いいよ。君は最初に選んだ所で寝るといい。」 「わかりました。」 そういうと彼は自分のベッドに向かい、同室者などいないかのように荷物の整理を始めた。相澤を見ると「恐れ入ったよ。」みたいな顔して肩をすくめている。 …少し大人の男社会の洗礼をしてやるか。見たところまだ学生か何かだろう。あと数年で就職してから荒波に揉まれるより、今のうちに揉んでやった方がいいかもしれない。男の社会勉強だ。そんな意地悪な考えが沢村の頭によぎった。 「しかしあれですね。みんなそんな風には見えないけど、こんな治験を受けるというからにはチンポに対する悩みは男はみんな同じですね。」 わざと爽やかに大きな声で言うと、相澤は沢村の意図が理解できたようで、同様に意地悪い笑顔を浮かべて 「そうですねぇ。俺なんか本当にチンポコが小さくて風俗でも笑われちゃったんですよ。剥けてはいるんですがねぇ。」 「おっ、相澤さんも自分で剥きましたか?」 「はいっ!高校の時でしたけどね。先輩と風呂に行った時に被ってたら臭くて女が相手してくれねえぞって言われて、大慌てで剥きましたよ。」 「おれは中学の時に親父に習って剥いたんですよ。早かったのが良かったのかな。デカさは納得できるようになったんですけど、この歳だとなんとも頼りなくってね。」 「沢村さんデカそうですよね。鼻が高いっすもん。鼻がデカイ男はアソコもデカイって本当なんですね!俺も中学で剥いときゃよかったなぁ。剥けきったのは18になった時でしたよ。」 「剥いた頃ってパンツに擦れただけで勃起したりするんですよね。」 「そうそう!だから通学の電車とかで変態と思われねえかとかヒヤヒヤしましたよ。」 「俺は中学は歩きだったから、もう開き直ってビンビンチンポで通学してましたよ。」 「ギャハハっ、なにそれ最強じゃないですかっ!」 悪ノリが過ぎたかなと思うくらいに話が盛り上がった所で金本の方を見て見ると、相変わらずこちらには全く興味などないように背を向けていたが、その手はカバンに突っ込まれたままで止まっていた。 「金本くんはどんな悩みがあったんだ?」 「そうそう!俺たちのチンポコ話も聞いたんだから教えなきゃ不公平だよ?」 畳み掛けると 「いや、それ勝手にそっちが話してただけでしょう。僕はもう問診にちゃんと答えてますし、皆さんに言う必要はないと思いますけど。」 そう言って部屋を出て行ってしまった。 「ありゃりゃ…打ち解けようと思ったんだけどなぁ…。」 「若い子はわからないもんですねぇ。短小包茎とかで傷ついちゃったのかなぁ?」 相澤がそう言って思わず声を上げて笑ってしまう。 部屋のドアが閉まりきった後に遠ざかる足音が聞こえなかったから、金本はまだ部屋のすぐ前にでもいるだろうことは想像できたが、あまり同情する気にはなれなかった。


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