タネヅケオニ
Added 2019-01-30 11:43:21 +0000 UTCタネヅケオニという遊びが俺の育った村にはあった。けれどその遊びはある年齢にならなければ教えてもらえないものだったので、俺はそのルールを知らない。 隣の家に住んでいたスグルの兄ちゃんは13になった夏に、村の神社の奥に連れて行かれてその遊びを教えられたらしい。 その神社はなぜか当時の俺たちのような子どもや、女の人は入っては行けないという決まりがあって、普段はどんなに優しい村長さんや学校の先生も、面白半分で入ろうとした俺らに本気で怒った。その様はまるで鬼のようだったと今でも思う。 俺が10歳になった頃に村は過疎が進み合併することとなり、村の小学校と中学校は潰れてしまった。子供たちはみな合併した市に移って、そこから大きな学校へと通うことになったが、 「森を守る役目があるから。」と林業従事者だった大人の男たちはみな村に残った。 スグルの兄ちゃんだった薫くんも、頭は結構良かったのに、中学を出たらすぐに村の林業関係に就職すると言っていた。スグルと薫くんのお母さんは反対していたようだけど 「それが村の男に生まれた宿命だ。」と言って、スグルの父ちゃんは喜んで受け入れていた。俺の父ちゃんも 「いつかお前もそうなれるといいな。」と俺に笑って言っていた。 「ごめん。俺はやっぱり高校行きたいかも。」と言っても 「今にわかるさ。」と笑っているだけだった。 13歳になった中学一年の夏休みの最初の日、スグルの父ちゃんたちが迎えに来て、俺とスグルを村に連れて行くことになった。 と言っても夏休みの間だけ父ちゃんたちと過ごすだけで、これは村を離れた後も毎年冬休みや春休みに恒例となった行事だった。いつもは俺たちの住む市まで月に何度か父ちゃんたちが来てくれるけど、寂しいことには変わりない。俺もスグルもこの恒例を楽しみにしていた。 けれど今年の夏は少し違う気がした。 迎えの車はスグルの父ちゃんと薫くんが乗ってきた。お菓子を食べながら街の暮らしについて話したり、学校のことを話していたら 「そういや、お前らもそろそろかもな。」 と薫くんが呟いた。 「なにが?」 と聞くと 「これこれ。」 と言ってニヤニヤしながら股間の前で軽く握った手をシコシコさせた。 俺は顔を真っ赤にさせて 「そんなの知らねー!」と言ったら、 「おっ、そうかそうか。鉄治に教えてやらねえとな。」とスグルの父ちゃんは笑って言い出した。 「だからなんだよ、そんなの知らねえって!」 とムキになると 「ムキになるってことは知ってるからだろ。」と薫くんにからかわれた。 スグルは少しぼーっとしてるところがあるから、知らないんじゃないかと思ったけど、少し頬を染めてソッポを向いたので多分知っているのだろう。 その反応を見て薫くんもスグルの父ちゃんもなぜか満足げだったのが不思議だった。 村に着いてから俺たちは真っ先に神社に連れて行かれた。 「入っていいの?」 スグルが驚いたように尋ねる。あんなに鬼のように怒られた数年前の出来事を思い出していた俺も驚いていた。 「おぅ。入れ。」 ニヤッと笑って薫くんが石段を登って行く。俺とスグルは顔を見合わせたものの、すぐにその後を追った… そこから先のことは言えない。それは村のしきたりを破ることになるからだ。もしもあなたが同じ村に生まれ、白く粘ついた液を股の間の肉棒から漏らすようになる日を迎えたなら、同じ体験をすることができただろうに。 タネヅケオニのルールは簡単だった。 タネを付け合う鬼ごっこ。 タネをつけられた者は鬼になる。 それだけだ。それ以上のことを知ろうとした自称フリーライターの男がいたが、今ではそいつも… タネヅケオニなる遊びを知ったのはネットの小説サイトからだった。代々続く村の風習で、少年たちは精通を迎えた夏の日に村の神社でオニにタネを付けられて、オニになって次の世代の少年たちを追い、同じ鬼の道に堕としていくという連鎖もののいわゆる悪堕ちものだった。 俺はその小説を読んでから1週間の間、日課のオナニーの回数が増えて、興奮のためか放つ精液の量も増えた。 俺もおとされたい。タネヅケオニのオニになりたい。誰かの妄想の中の話だとわかりながら、そんな妄想でエクスタシーが止まらなかった。バイトの間も少しでもいい男を見かけると勃起し、ズボンのポケットに手を突っ込んでポジションを弄らなければならないほどだった。 俺のバイト先はなんてことないコンビニで、色んな客が出入りする。けれど何と言っても1番の目の保養は作業着姿の男たちである。皆一様に鍛え上げられておりシャープでありながらガッチリとした体をしていて、顔もなぜか人間離れした厳つさと魅力に溢れた男たちが多かった。 先輩に聞くと、彼らは昔合併した村の男たちで、今でも村の主力産業だった林業に従事しているのだという。その筋の通った生き様も俺の中の何かを刺激し、俺は夜な夜なタネヅケオニの小説と、その男たちを重ねては自慰に耽っていた。 ある日の夜勤。俺は少し昂ぶっていた。早く家に帰ってタネヅケオニを読みながら思いっきりオナニーをしたかった。それしか考えられなかった。男ならそういうこと、たまにあるのではないだろうか?金玉が熟成しているのがわかる。俺のタネが次々と作られている。異様に玉袋が熱かった。魔が差したとしか思えない。郊外のコンビニじゃ防犯カメラもダミーだらけで、レジの中の様子は見ることができないのを俺は知っていた。 気がつけば俺は制服のエプロンの下でズボンのファスナーを下ろして、いきり立った自身の怒張を引っ張り出して密やかにしごいていた。タネヅケオニ…タネヅケオニ…そればかりが頭によぎる。昼間見た逞しい男たちがオニとなって俺を追いかけてくる。俺は逃げるがオニの力には叶わない。ダメだ。捕まってしまう。そして容赦なくオニの怒張が俺の尻へとねじ込まれる。抽送もそこそこにオニのタネが発射され、俺の体を内部から侵食してゆく… 「タネヅケされたから…俺もオニに…。」 「兄さん、早くレジ打ってくれよ。」 ハッと気がつくと作業服を着た2人の青年が立っていた。 「…!申し訳ありません!」 そう言って急いでその青年がレジ台に乗せた弁当を手に取ると、俺の手についていた粘液がベットリとそれを汚した。 「あっ…。」 俺の声と客の青年の声が重なる。 「…っも、申し訳…。」 「なにこれ?」 青年はよく見るとどこか幼さがあったが、纏うオーラがいかつくて年齢が全く見えない。その声も怒りを感じさせるようなものでもなく、俺は不思議な感覚に陥っていた。 「ねえ、これなんすか?」 その青年は静かに繰り返した。 「あっ、えっと…。」 「なあスグル。お前これ何に見える?」 「精子…かな。」 後ろにいた同じく作業着の青年が低い声で答えた。 「なんで精子がついてるんだろうな?ここそういう店?」 「いやっ…その…違います。」 「でもこれ精子だよね?お兄さんのでしょ?」 「…。」 「黙るなよ。」 「はい。」 「ん?」 「私の…精子です。」 「なんでついてんの?」 「シコっ…オナニーを、してしまったので。」 俺は頭が真っ白になりながら、かろうじて答えた。 「なんで仕事中にオナニーしてんの?」 「…すみません。」 「…まあいいや。これ、ください。」 「え?」 「買うから。俺腹減ってるし。」 「あっ、お取り替えしま」 「これでいいよ。ってかむしろこれがいいかな。」 そう言って青年は財布を取り出した。 「早くしてよ。」 そう言って見たこともない種類の笑顔で俺に笑いかけた。 「あの人、タネヅケオニって言ってたね。」 バイクに二人で跨りながらスグルが聞いてくる。 「だな。」 「どうする?」 「父ちゃんたちに相談するしかねえだろ。」 「そっか。」 「あ、先に食うかな。」 「ここで弁当食うの?」 「いや、おまけくれただろ。」 そう言って弁当のパックに着いた粘液を指で絡めて舐めとる。 「スグルも食う?」 「ん、一口。」 俺の指に舌をはわせてスグルもなめとる。 コンビニの中を振り返ると惚けたような顔で店員の兄ちゃんは俺たちを見ていた。 「あああっ…痛いぃぃっ…。」 「うるせぇっ」 パンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッ… 古びた木造の建物の中に肉と肉がぶつかる音と、情けない男の悲鳴が響いている。 「痛いよぉっ…抜いてっ…。お願いします…。」 「おぅ。しっかり抜いてやっから安心しろ。…お前のケツの中で俺のを抜いてやるからよぉ…。」 「っい、っいやだぁああっ!」 「おらっ、わがまま言ってんじゃねえぞ、ごるぁっ!」 パンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッ… 「スグルの父ちゃん、タネヅケの時は人が変わるよな。」 「んー。そうかな?」 「お前らもあんなもんだぞ?」 笑いながらとなりにスグルの兄貴の薫くんが腰掛けた。 俺たちの村には伝統がある。 タネヅケオニという遊びに表面上の形は変わっているが、実際は古代から続く厳かな儀式だ。 俺たちは体にオニを宿している。 それはこの村に生まれた男たち全員の宿命だ。 父から、息子へ。さらにそのまた息子へと脈々とオニのタネが受け継がれてくる。 精通を迎えた男児は村の神社に立ち入ることが許され、そこで自身の父の睾丸から、オニのタネを尻穴に注がれるのだ。 どうも最近はネットで好き勝手書けるものだから、俺たちのこの風習をネタにしている奴らがいるようで、スグルの親父さんはそいつらをまとめて狩って仲間にしてやろうと意気込んでいた。 「オニの世界も少子高齢化が進んでるんだよ。」 薫くんは面白そうにそういう。 薫くんは人間だった頃は頭が良かった。けれどオニのタネを注がれてからは、俺たちの御神体が眠る森を守るために人生を費やすことに決めたのだそうだ。村の男児たちはみんなそうなる。父にタネを注がれた瞬間から、俺たちはもう一度産まれるのだ。 「終わったぞ。」 「親父、おつかれ。」 「スグルも薫もあいつの顔見て来い。お前らの弟になるんだからな。」 「自称フリーライターのコンビニバイト27歳独身童貞の兄ちゃんってなんか嫌だな。」 「お前たまに辛辣だよな。」 「だって最初の印象が弁当に精子つけてきた人だもん。」 「まあ、あれは俺もおどろいたけどさ。」 「弁当の蓋に精子なんかかわいいもんだ。俺は精子で飯が食えるぜ?」 そう言って薫くんは立ち上がると建物の中に入っていく。 「仕方ないなぁ。」 なんてぼやきながらスグルも後へと続く。 「俺も帰ったら父ちゃんにタネ貰おっかな。」 「おっ、なんなら今俺がやってもいいぞ?」 「ん。じゃあ貰っていいっすか?」 俺はスグルの親父さんのチンポにしゃぶりつく。さっきまで人間の尻の中をかき回していたから湿っている。ちんぽの乾く暇のない生活をしている人とはこういう人のことを言うのだろう。 タネヅケオニは簡単な遊びだ。 ただ一度オニに捕まってオニにされたら2度とは戻ることはない。 けれど後悔もすることはないだろう。 その真偽が知りたければ、俺たちの村を探し当ててみてほしい。 今これを最後まで読んだあなたならば、きっと間違いなくスグルの親父さんの目にとまって、薫くんが言うところのオニの少子高齢化を食い止めるために俺たちの仲間に迎えられるだろうから。