夢の夢の夢の…
Added 2019-10-13 08:19:24 +0000 UTC今この瞬間も僕のお尻の中にはペニスを模したディルドが入っている。 デスクのパソコンに向き合ってキーボードをタイプする姿を見て、それに気づく人は多分いないと思う。僕は欲求不満だった。 元々かわいいだとか、イケている容姿をしているわけでもない僕は、ゲイアプリを使っても出会いなんかなかったし、発展場に行っても相手をしてくれるのはおじさんや、かなりクセのある人たちばかりだった。でも体は正直だ。23歳の時に、残業で遅くなると実家の家族に嘘をつき、出張でこの街にきていた男の人とセックスして処女を散らした。 彼は初めての男にしてはイチモツがかなりでかい方で、僕も僕で23歳にもなったのに童貞&処女なんて舐められるに違いないと信じていたから、経験はそこそこあるみたいな見栄を張ったせいで、相手はローションで軽く僕の肛門をほぐしてから遠慮なく直径5㎝はありそうな亀頭をぶちこんできた。 「久しぶりだからキツイ。しばらく動かないで」なんて慣れたふりして言ってみたけど、実際は肛門が切れる感覚で痛くていっぱいだったし、 「もう動いていい?」としびれを切らした相手に言われるがままにピストン運動を受けていわゆる初釜掘りをされてる間も 「早く終われ!!」と心の中で思っていて、あんまりいいセックスじゃなかったと思う。 15分ほど掘られて 「お前のマンコとろとろだよ。イクッ、イクッ!!」と言って相手がゴム越しに僕の直腸で射精したときは、一人の男を射精させた満足感を若干覚えたけれど、 「あーこれ確実に切れてるわ。帰ったらオロ〇インでも塗っておこう…」と他人事のように考えていたのをしっかりと覚えている。 そのあと、彼は僕のペニスを口で咥えて、僕のことも射精させてくれたけれど、僕は僕で尻の痛みでいわゆる事後の余韻を出せることもなく、むしろ軽く不機嫌でノリの悪い奴に 見えていただろうから、イチャイチャなんかもできるでもなくそのまま彼とはそれっきりになってしまった。 次にウケとしてセックスしたのはそれから3年後くらいで、アプリで知り合った市外からの人にケツマンを掘られた。不思議なことにその人もさほど経験のないはずの僕のケツを「トロマン」と呼んだ。 彼は太さは標準だけど、カリが高くて、長いイチモツを持っていたので、ストロークが長く、これまた結構ハードなセカンド体験となった。今度は僕も何度かタチとしての経験も積んでいたから、セックス後はすぐにシャワーを浴びたりもせず、互いの乳首を責め合ったりキスをしたりしてみたけれど、だんだん向こうが冷めてきたのがわかって、ここでもスゴスゴと退散することとなった。 射精するまでは金玉に溜まった精子が魔法をかけてくれていたのかもしれないが、出すものを出して冷静に僕のことを見てみると、熱が冷めたのだろう。彼はそこそこ格好いい部類の顔とスタイルだったけど、それに対して僕は通行人Cくらいのモブ顔で、1000円カットの床屋ヘアスタイルに、ユ〇クロで買ったGパンとパーカー。 太ってはいないけど筋肉のもりあがりもない。中の下くらいの男コンテストがあったら8位入賞くらいできちゃいそうな冴えない男であった。そう、きっとそんなコンテストがあっても8位入賞が関の山、しかもエントリー総数は10人みたいな。 そんな感じのモブマンだったのだから、9モンスター人気ユーザーとかになったこともあった彼としては、いささか不満な相手だろう。こんな高齢化の迫る地方都市に仕事で来る羽目になり、唯一の20代であった僕で妥協したのだろうが、お互い幸せになれない感じで終わった。 こんな苦い経験から、僕はセックスをあまり好まなくなってしまった。でも二人の男に称された「トロマン」はウズキを覚えるようになってしまったのである。 ちなみにここまでこの文章を書いている最中も、もちろん最初に書いたディルドは僕の前立腺を刺激し続けていて、半勃ち未満平常以上くらいをキープし続けている僕のペニスからは粘液が分泌されてパンツが湿ってきているのだが、それでも疼きはとまらないのだ。 むしろこんな中途半端な官能文章を書いて興奮が助長されている気さえもする。 今僕の頭の中では、会社で残業しているシチュエーションが展開されている(実際は日曜の夕方に起きたばかりでとりあえずパソコンをつけてネットサーフィンがてら、こんな文章を書いているのだが)。 ほかの社員はみんな帰って、残っているのは僕と僕の後から中途採用で入ってきたけど、仕事が抜群にできるTさんが同じ部屋で残った仕事と格闘している。 本当は僕もさっさと帰ることはできたのだけど、彼と一緒にいたいがために適当な雑務をこなしながら彼の手助けをしたりして、夕飯を買うがてら差し入れしてみたりと彼に好印象を残すことをやっているわけだ。妄想の中ながら甲斐甲斐しい僕である。 Tさんは学生時代は体育会系だったらしく、本人は最近腹回りが出てきたとよく言っているけど、実際は胸筋がYシャツを押し上げているのがわかるし、きれいな逆三角形体格だ。 おまけに顔もいい。30代の大人の男、働き盛りの持つ独特の色気を垂れ流されるもんだから、僕は彼を使って今まで何十回もオナニーをしてきた。(これは妄想ではなく現実の話である) 「やっと終わったぁ!」妄想の中のTさんがそう言って大きく伸びをした。 「お疲れ様です」 「いや、H君のおかげだもあるよ。」 「僕は何もしてないですよ」 「いやいや、夕飯とかまで買ってきてくれちゃうし、絶妙なタイミングでコーヒー淹れてきてくれるし、かと思えば俺が次に何しようとしてるかちゃんと見てて、必要なファイル出しておいてくれたり抜群のサポートだった。ありがとう」 「高卒でここ入ったから、Tさんたちみたいなバリバリした仕事あんまりできないから、せめて事務職でも役に立てることないかなって探してみただけですよ」 「そういうの出来る子って中々いないよ?女だったらいい嫁になりそうだよな」 「そんな風に言われると照れちゃいますね」 「それって褒められてるから?それともいい嫁になるって所?」 「どっちもってことにしておこうかな。じゃあ、終わったならもう帰りましょう!」 「ちょっと待ってよ。」 「?どうしたんですか?」 「今の俺の質問に答えてよ」 「え?」 止まってしまった俺に向かってTさんがデスクから立ち上がり歩いてくる。 俺の目の前まできたTさんは、俺の目を見たまま言葉をつづけた。 「女だったらいい嫁になりそうっていわれて照れちゃったの?」 「…そんなの、そんな真剣になることですか?」 「…真剣にもなるよ」 「なんで…」 「お前のここみりゃ誰でもわかるよ」 そう言って唐突にYシャツ越しに僕の乳首を撫でてきたTさん 「あっ!なにする…」 「乳首モロ感かよ。お前さては開発済みだな」 「何言って…」 「誰にさせたんだよ?ここの奴らか?それとも別の男か?」 「Tさん…なにやってるんですか。ここ会社ですよ」 「見たんだよ。お前が会社帰りに発展場行ってんの」 「!」 「お前も仲間かと興味持ってな。そしたらやけに俺になついてくるじゃねえか。これは一度くらい食ってやろうかと思ってたんだが、なんだかだんだん可愛く見えてきちまった」 「うそ…」 「っつーわけで、やらせろ。俺のちんぽはお前のこと考えてビンビンだ」 「でもここ会社…」 「会社じゃなかったらいいのか?じゃあ俺のマンションくるか?」 「…はい」 そのあとはどうなってしまうのだろう。こんな素敵な体験をしたことがあるわけではないから、僕の妄想はいつもこの辺で終わってしまい、どこかで見たポルノ動画のようにTさんに荒々しく抱かれる想像をしながらペニスや肛門をいじって。射精して、それで終わりだ。 「あっ、あっ、あっ、Tさん、だめっ、だめっ、そこイイっ!イクッ!イクッ!!」 僕はディルドを激しく出し入れしながら性感帯の乳首をいじり倒して絶頂へと向かう。 「なにやってんだ」 すると突然冷たい目をしたTさんが部屋の電気をつけて入ってきた。 「えっ…?」 「何やってんだって聞いてるんだよ」 なんでTさんがここに?僕は部屋にいて、今日は日曜で、そんで、そんで… 「なんだこの文章?」 そう言ってTさんは僕の手からマウスを奪い、スクロールしてメモ帳に書かれた粗雑な僕の、僕だけの、僕のための官能小説を読んでいく。 「へぇ…」 どうしよう。何が起きたのかわからない。会社にいるのに、僕は妄想にふけってわけがわからなくなってしまったのだろうか。 「肝心の部分が抜けてるじゃねえか」 そう言って彼は二人でマンションに行った後の空白になった部分を指でたたいて指し示した。 「わかんねえなら、おしえてやってもいいぜ?」 そう言ってニヤリと笑うTさんを見て、僕はもうこれが妄想でも現実でもどうでもいいと思った。アナルの奥は未だ疼いている。 入れていたはずのディルドは、溶けてなくなったかのように消えているのが感覚でわかった。