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ハセトム(旧:HI)
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ソドムの世界

 妙な夢を見た。  仙人でも住んでいそうな険しい山と切り立った崖の中、ひとりのいかめしい男が、麻布でできたような粗末な服に身を包みこちらを睨みつけていた。 「神は汝らを許さん。永遠の怠惰の彼方、ソドムの街へと飛ばしたもう」  エコーがかかったような声で男が声を張り上げて、それから、それから……  ――目を覚ますと朝だった。  奇妙な夢をみたような気がするが、内容はもはや思い出せなかった。 「やっべ!」  時計を見ると遅刻ギリギリだ。  俺は壁にかけてあったワイシャツを手に取り、ボクサーブリーフいっちょうで寝ていた布団から飛び出した。  顔を洗って歯を磨き、社会人として最低限の(本当に最低限の)身だしなみを整えた俺は駅にいた。  駅は混雑していた。毎朝とは違う混雑の仕方だった。   「ただいま、緊急ダイヤでの運行となっております。お客様にはご迷惑をおかけしておりまーす」  手に持った拡声器で整った顔の駅員が群衆に向かって叫ぶ。 「何かあったんですか?」  俺は俺の前にいた同い年くらいのリーマンに声をかけた。ガタイがよくて、ジムででも鍛えていそうな男だった。 「ダイヤを間引いて運行してるらしいです。30分に1回くらいしか電車が走ってないみたいで」 「ええっ!?」 「いやー、困りましたよ。俺も会社に電話しても誰も出ないし。どうなってるんだろ」 「あっ、そうか。遅刻確定だから俺も電話しなきゃ。すんません、ありがとうございました」 「いえいえ」  俺は人混みを離れてスマホを取り出し、発信履歴から職場に向けて連絡をした。 「はい、もしもし」  渋いいい声の男が電話に出た。この声はたぶん山下課長だ。  普段であれば事務員の女の子が真っ先に電話を取るはずなのに、俺は違和感を抱きながらも、課長に駅での混乱と事情を説明した。 「お前もか」 「僕だけじゃないんですか?」 「今のところ出社してるのは俺だけだ。そんでもって、お前を含めて4人から遅刻の連絡があった。他は連絡もつきやしない。社長も、専務も、部長も電話に出ない。ビルの掃除のおばちゃんもいやしねえ。俺は自転車で通勤してたからたどり着けたが、他の連中もみんなバスやら電車が少なくなってるんだとよ」 「ええ? なんでそんな事態に?」 「俺が知るわけないだろう。まあ仕方がないさ。お前もゆっくりでいいから出社してこい。連絡がついたやつだけでも一度集まっておきたい」 「わかりました」  俺は電話を切って再び駅を眺めた。  駅前に集まる人の群れは、さっきよりも膨らんでいるような気がした。  あまり後ろの方にいたら電車に乗り切れないかもしれないと想定して、俺は再び先ほど声をかけたリーマンの隣に戻る。   「どうでした?」  リーマンが俺に気づいて声をかけてきた。 「どうも職場も変な様子でした。課長以外誰もいないんだそうで」 「あなたのところもでしたか」 「そちらも?」 「はい。うちも新卒で入ったばかりの男の子が1人でいるみたいで、可哀想だから早く行ってあげたいんですけどね」 「それは心細いだろうなぁ……一体何がどうなってるんだ?」 「……それにしても、ちょっとへんだと思いませんか?」 「へんですよ。まるで人が一斉に消えたみたいだ」 「それもそうなんですけど、この駅にいるの、男ばかりじゃないですか?」  リーマンに言われて俺は初めて辺りを見渡してみた。  見渡す限り、男、男、男、男……  それもどいつもこいつも、妙に鍛えあげたような連中だったり、小綺麗にした奴だったり、なんだか似た気配をまとっている男たちが集まっている気がした。    ――まあ、個人的には好みの雄ばっかりがすし詰めの電車ってのも悪くねえな。  ゲイの俺はよこしまなことを考えた。 「なんだか、変な夢を見たような気もするし、今日は朝からおかしいな」  リーマンが隣でぶつぶつと呟いた。  俺も何か夢を見た記憶があるんですよ、と言いかけたけど、内容を全く思い出せないのでやめることにした。  ⁂  職場につくと、山下課長のほかに3人の男たちがいた。  経理部の神経質そうな小野田係長、営業の佐久、新卒で4月に大学を卒業して入ってきたばかりの村木。そして佐久と同じく営業の俺、宮岡。 「連絡がついた連中は結局お前らだけなんだよなぁ……」  山下課長が困ったようにため息をつきながら言った。 「お客さんも連絡がつかない方多いです。俺の担当で連絡ついたのは1人だけでした」  佐久が付け加える。 「まったく。一体何がどうなっているんだ?」  苛立たしげに小野田係長がつぶやいた。  村木がビクビクしながらそれを見ている。 「あの、来る途中の駅で知らない人と話し合ったんですけど、なんか男しかいなくないですか?」  俺はリーマンとの会話を思い出しながら言った。  その言葉に山下課長が怪訝そうな顔をする。 「そういえば……今日は男しか見てないな」 「俺の乗ってきたバスも男だらけでした」 「私の乗った電車もそういえばそうだったな……」 「僕もです……ちょっと不思議に思ってました」  全員が全員、身に覚えがあったようだ。 「ちょっと、ネットとかテレビ見てみましょうよ。首都圏でこんだけ電車もおかしくなってるし、きっとニュースになってますよ」  俺たちはおのおののデスクに戻り、情報収集を始めることにした。  山下課長は会議室からモニター代わりにしているテレビを1台持ってくる。  逞しく鍛え上げられた課長の腕が、なんだかエロく見えて、俺はチラチラとその様子を盗み見ながらパソコンの電源を入れた。 「どこも同じだ……突然の人の減少、混乱する世界情勢……消えた女性たち……世界規模の混乱、なんらかのテロかと動く政府機関も謎の人の減少にみまわれて混乱している」  小野田係長がネットニュースの見出しを読み上げていく。  俺たちは自然と手を止めてその声に聞き入っていた。 「よっしゃ、テレビがついたぞ」  山下課長がそう言ってテレビの電源を入れた。朝の情報番組が映し出される、かと思ったが、青い背景に緊張した顔つきで座る1人の男性アナウンサーが映っただけだった。 「えー、状況が非常に混乱しておりますが、皆さん落ち着いて行動してください。今日未明から、なぜか1割程度の男性を残して、大多数の人間が姿をくらませるという異常事態と思しき出来事が発生しております。本放送も、普段の1/10程度のスタッフでまわしている緊急生放送です」 「やっぱ何かおかしいな」  課長が腕組みをしながらテレビを睨みつけていた。  ――真剣な時にする顔は、セックスの時に見せる顔と似ているんだよ。  昔、ゲイバーで知り合ったウリセンをしているというガキから聞いた話のネタを思い出した。  ――だから、セックスで変な顔する奴は、普段からしまりない奴が多いんだよね……僕のアソコは締まり抜群だけど! 試してみる?  そう言って酔っ払って笑うガキをぶち犯してやろうかと思ったが、ウリセン関係者をタダで抱くことなんてできると思えなかったし、俺は笑って流したのだった。 「残された者には何か法則があるのか?」  小野田係長が鋭い目つきでパソコンを覗き込みながら呟いた。  こっちもなかなかいい顔をするんだと俺は見直した。  こんな危機的状況かもしれないなかで、セックスのことばかり考えてしまうのは、最近とんとご無沙汰です欲求不満気味だからなのかもしれない。 「どうなるんでしょうね……」  村木が不安げにこぼした。 「誰もわかんねえよ」  佐久が短い髪をガシガシとかきながら言った。 「参ったな」    別に何も参ってなどいなかったのだが、その場に参加している雰囲気を出すために俺は会話に混ざった。  今日はこのまま解散になればいいな、なんて考えていた。  そうすれば、久々にアプリでヤる相手を探してもいいし、発展場に行くのも悪くない。  ああ、でも一応異常事態が起きてるのに発展場なんて開いてるだろうか?   不安になった俺はスマホでツイッターを開いて、ゲイアかにログインした。  前後左右の席に誰も座っていないからできた大胆な犯行だった。 〈やばいよー、なんかめっちゃ変なこと起きてる〉 〈男だらけの世界とか、ホモセ天国到来では〉 〈今朝の電車、男だらけのぎゅうぎゅう詰めでめっちゃ気分よかった〉  不安げな声は少なく、男だらけになったらしい世界に、卑猥な妄想や欲求を満たしている連中がゲイアカのツイッターにはうじゃうじゃいた。  俺は行きつけの発展場のアカウントを検索し、最新の情報を見る。 〈男だらけの異常事態とのことですが、ボッキングスは今夜も18時より通常営業となります〉  胸中で「よっしゃ」と叫びながら俺はスマホをポケットに戻した。  今夜はお楽しみだ。  ついでに明日が休みになればいいのに。 「おい」  急に背後から声をかけられて飛び上がるほど驚いた。  山下課長がニヤニヤした笑いを浮かべて後ろに立っていた。 「誰も見てねえと思ったんだろうが、一応業務時間中にツイッターとは関心しねえな」 「あっ、すみません……みんなが何言ってんのか気になって」 「ふーん、そうか。まあ、その気持ちはわかるな」  ふう、なんとかごまかせた。 「でもお前、ボッキングスのアカウント見てたよな?」 「なっ!?」  山下課長はメガネの奥の目をいやらしげに崩しながら続けた。 「なにっ!?」  小野田係長が反応して、こちらに顔を向けた。   「あれ? 小野田。お前、キングスが何か知ってるのか?」  山下課長はわざと俺の行きつけの発展場――ボッキングスの略称を挙げて小野田係長に尋ねた。  小野田係長は真面目そうな顔をみるみるうちに真っ赤にさせていく。 「しっ、知らんっ。そんな場所。違う言葉に聞こえたから、何を言ってるのかと驚いただけだ」 「あれ? 場所だって知ってるんだ。いいよ、隠さなくて。俺も行ったことあるからさ」 「えっ!」「はっ!?」  俺と佐久の驚きの声がかぶさった。  2人で顔を見合わせて、気まずげに目を逸らす。 「その調子じゃお前らも知ってるんだな」  山下課長は意地悪な顔でそう言った。  意地悪くていやらしいくせに、ワイルドでセクシーに映ってずるかった。  ……にしても、ここまでくれば鈍いと評判の俺でもわかる。   「課長たちも、っすか?」 「うん? 何がだ?」  課長は相変わらず意地悪な目だ。  四十を手前にしたわりに張りのある肌と、胸筋で押し上げられたワイシャツの前で、腕を組んで笑っている。 「ここにいる男たちは、みんな仲間ってことですか?」 「なんの仲間だ?」 「……ホモの」  山下課長は快活にハッハッハと笑った。 「そのようだな。俺もお前のスマホの中にキングスのロゴを見つけて驚いたよ。小野田もキングスのことをよく知ってるみたいだしな」  課長が小野田係長に目線を流す。係長は真面目そうな顔を真っ赤にさせて椅子に体を沈めた。 「佐久もそうだろ? 俺がキングスに行ったことあるって言ったら驚いてたもんな。どういう場所か知ってるってことだろ」  佐久は照れたように笑って頭をかいた。  なるほど、小野田係長が同好の士だったのは意外だったが、佐久は体育会系の体つきに、短く切り揃えた髪、豪快そうで爽快な性格から、二、三度くらい男同士の後腐れのない交尾でも経験したことがありそうな気がした。 「あれ、でも村木は……?」  佐久が思い出したように言った。  俺もそれに気づき、村木の方を見る。  気まずげに身を縮こませた村木がいた。 「その心配はないさ。あいつの股間見てみろ」  課長が顎で村木の方をしゃくって言った。  村木はサッと腰を引いた。  その股間は、誰が見ても明らかにもっこりとテントを張っていた。 「残された男たちは……もしかしてみんなゲイか?」  小野田係長の愕然とした調子のつぶやきがオフィスに響く。  テレビの中では男性アナウンサーが深刻な顔で「緊急事態です。落ち着いて行動してください」と繰り返している。  山下課長がテレビの上に肘を乗せて快活に笑って言った。 「仮説段階だが、どうやらそうみたいだな。少なくとも、この会社で残った奴らはみんなホモのお仲間だ。……さて、そうなったら、お前らこれからどうする?」  急に淫靡な雰囲気を醸し出しながら課長が言った。 「どうせ今日は客先も似たようなもんだろ。一度でいいからしてみたかったんだよ。AVみたいな雄交尾をさ。お前らは?」  ⁂  クチュッ、クチュッ、クチュッ、クチュっ……  俺は課長のチンポをしゃぶっていた。  スーツ姿で椅子に大股開きで座る山下課長のチンポはニョッキリと天をついて立ち上がっており、棹の下にぶら下がる睾丸はダラリと弛緩して、二つの玉が金玉袋の下の方にズッシリと存在感を示していた。  男くささ満点の山下課長のルックスに恥じない、立派な雄の性器だった。  俺は久々の雄交尾への興奮と、オフィスという場所でお互いスーツを着たままフェラをしている背徳感と、小野田係長・同僚の佐久・後輩の松木という仕事仲間たちが俺たちのセックスの前戯に魅入っている状態への優越で、自分のチンポもガチガチにさせていた。  下着の中で、先走り液が染み付いているのがわかった。 「あぁーっ……いいぞ。なかなかうまいな。お前結構遊んでるだろ?」  温泉にでも浸かってるような声を上げながら快楽を主張する山下課長は、途中から俺を悪戯っぽく見つめ、何度もそのゴツい指先で俺の頭を撫でた。不覚にも、上司に本気でときめきそうになる。 「お前もチンポがパンパンじゃねえか。とっとと出しちまえ。中で種汁ぶっ放したら、帰りが大変だぞ」  俺は課長のチンポから口を離し、舌先でチロチロと剥けあがった亀頭を舐めながら答えた。 「どうせ世界中ホモしかいないんでしょ? そんならザーメンくさいスラックス穿いて、アピールして帰りますよ。『俺は変態ホモ野郎だ』って」  俺の提案に課長はハハッと笑った。 「そうだな。そんなのもありかもしれねえな。お前、筋金入りの変態ホモなんだな」  そう言って課長は優しく撫でていた俺の頭を鷲掴みにして、無理やりチンポへと顔を押し付けた。  俺の顔中に、課長のチンポから垂れた淫靡な液体が塗りたくられる。  俺の頬と唇で、卑猥な粘液が糸を引いている。 「イマラチオさせようと思ったけどうまくいかねえな。口開けてくれよ。喉奥までチンポで掘ってやるからさ」  俺はその言葉に素直に口を開けて課長のチンポを頬張った。  次の瞬間、グイと頭を押し付けられ、喉奥まで課長の亀頭が押し込められる。  俺は普段使われることのない部分まで異物が侵入してきたことに反射でえづきそうになるが、課長のがっしりとした手のひらが俺の後頭部を押さえ込んで、俺がチンポを吐き出すことを許さない。  そのままぐりぐりと喉奥を押し広げられていくと、体が負けを認めて緩んでいくのがわかった。  課長のチンポに負けて、俺の喉は本来の形から姿を変え、チンポを咥え込む器官へと変化していく。  強引なやり方で自身が暴かれることに俺は興奮を覚えた。  押さえつけられるばかりでなく、自分からも積極的に課長のチンポに吸い付く。  真っ赤に腫れ上がった果物みたいな課長の亀頭が喉奥をノックするのを感じながら、もっと奥まで飲み干そうと顔を課長の下腹部に押し付ける。  陰毛の茂みの中に俺の鼻が包み込まれた。  汗とも違う、課長の雄のフェロモンが俺の嗅覚を満たしていく。  30代にして課長にまで出世したできる男のフェロモンが、俺の神経を内部から犯してくる。 「おっ、いいぞ。その吸い付き。なんだ、お前結構マゾっぽいんだな。その分じゃバリタチってわけでもねえんだろ? 男ぶってるわりにさ」  思いっきり下腹部に押し付けた俺の頭を撫でながら課長が尋ねた。  俺は生理的な苦しみで涙目になりながらも、課長の言葉に必死に応えたくてウンウンと頷いた。  課長がゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。 「たまんねぇな……」  課長が腕を動かして、俺の頭をピストンさせる。  喉を俺は犯される。  何度も何度も、激しく犯される。  喉の奥に課長の先走りがおちていく。  俺の体に、彼の分泌した粘液が吸収されていく。  俺は体の内も外も課長の色に染められていく錯覚に陥った。  課長のメスになれたことが幸福だと感じてしまった。  やばい。俺と課長、もしかしたら結構相性いいのかも。 「お前らも好きにしていいんだぞ。全員ズボンの前もっこりさせて、清純ぶってんじゃねえ」  課長が小野田係長や佐久、松木に向かって言った。  3人が気まずげに互いの股間を見やっていた。  全員、野球ボールでも入っているかのようにこんもりと膨らんでいた。 「私は別に……そんなことに興味はない」  小野田係長が股間を無理やり両手で押さえ込んで、真っ赤になった顔を背けて課長の言葉に反論した。  課長がそれを見て続ける。 「なんだ、同期のお前が残っててくれて結構嬉しかったんだけどな。お前は興味がないのか。残念だ」  俺は強烈に嫉妬心に近い感情が湧き上がってくるのを感じた。  課長は別に俺のものでもなんでもないのに、他の誰かに関心を向けてほしくなかった。  小野田係長が残っていて嬉しいなんて聞きたくなかった。  課長、あなたを気持ちよくさせる奴隷はここにいますよ……  俺は自分で自分の歪みに気づきつつも、課長に振り向いて欲しい一心で喉の奥を締め上げて、課長のチンポを亀頭を締め上げて所有欲を主張した。 「うぉおいっ。お前、喉奥締めることなんてできんのか。一瞬気抜いてたら射精しそうになったぜ。なんだ、俺が小野田と話してて嫉妬でもしたか? 可愛いな。お前」  俺の頭を押さえつけていた手で、再び俺を撫でてくれる。  俺は満足を感じた。  だめだ、俺、フェラしただけで、課長のことが好きになりかけてる。  男に目覚めたばっかりで、発展場や出会い系で知り合った男と交尾するたびに恋に落ちてた自分を思い出す。  最近はいい歳になって、そんなことほとんどなくなってたのに。  だって、改めて見ても課長は顔がいい。体もたくましい。仕事もできる。なんで結婚してないのか不思議だったけど、自立した大人の男なのだとばかり思っていた。全然ゲイっぽくなどなかった。  それが、こんな世界になって、まだ仮説の段階だけど少なくともこのオフィスにいる奴は全員ゲイで、もう何も隠す必要がなくなったのだとしたら、溢れ出てしまうじゃないか。  課長への男としての憧れが、課長の配偶者になりたいような、甘えたいような、でもいじめてもほしいような、そんな一言では言い表せない感情に形を変えていく。  俺の中で蓋をしていたものが、姿を表していく。    俺は無我夢中になったフリでチンポをしゃぶった。  自分から頭を激しく振ってピストンした。  舌をのたうちまわらせて、できる限りの全ての快感を課長にかんじさせようとした。 「おっ、急に激しくなったな。俺の種が欲しいか? 一発まずはぶち込んでやろうか? 俺はシコる時も1回でなんか終わらねえからな。安心していいぞ」  思わぬ絶倫エピソードに、また一つ課長を好きになる要素が増えてしまった。  俺は必死で口を動かす。  課長に射精してほしかった。  初めての男にはなれなくても、この世界になってから最初の男にはなりたい。 「いくっ、いくっ、いくぞっ、お前に口に俺の遺伝子注いでやる!」  口内にドピュドピュと生暖かい粘ついた液が注ぎ込まれた。  愛しさがわいてきた。俺は舌を絡めて課長の亀頭を舐めまわしながら、次々と発射される精液を次々と飲み干した。  恍惚とした表情で種を飲み下す俺の姿を、課長以外の男たちも眺めていた。彼らのスラックスの股間部分は一様に盛り上がって丘を作っていた。  室内に妙な熱気が篭り始める。


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