SamSuka
ハセトム(旧:HI)
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バレンタインの亡霊

 栗本君はよくモテる。テニスサークルに所属していて、身長は180cm。六つに割れた腹筋はチョコレートみたいだと大人気。本人も自分の魅力をよくわかっているから、夏場はシャツで汗を拭う振りをして、無駄に引き締まった腹や背中、腰回りを見せつけている。  顔も結構かっこいい。高校時代に芸能界にスカウトされたこともあるらしい。短めの髪を茶色に染めて、整えられた眉の下にあるくっきり二重の目を上手に使って女子生徒に笑いかける。それだけで女たちはどいつもこいつもヘラリヘラリと締まらない笑みを浮かべて蕩けている。  栗本くんは女好きで有名で、いわゆるヤリチン だ。ちんぽの乾く暇がないくらいの勢いで、五人の彼女とバレないように上手に付き合っている。そしてほぼ毎晩、セックスしている。18cmくらいありそうな身長に比例した巨根の、皮が剥けてカリが高く張り出しているちんぽでマンコをガツガツと掘り込み、女たちをヒイヒイ鳴かせている。  なんで僕がこんなに栗本くんに詳しいのかって?それは僕が彼に恋する亡霊だから。もう数十年、事故で死んでしまうまで通っていた大学でふよふよと漂っていた僕は、去年入学してきた栗本くんを見て一眼で虜になってしまった。そしてストーカーになった。でも彼は僕に気づくことはできないんだから実質的な被害はないようなものだし、大目に見てほしい。  僕は栗本くんにくっついてまわっているので、彼の日常も夜の顔も、オナニーする時に見せる誰にも見せたことのない惚けた表情も知っている。それを見て僕の頼りない霊体でも股間が熱くなってもっこりしてしまうのだが、自分で自分に触れることもままならないので、いつも悶々としてしまう。  栗本くんと友達になってみたかったなー、栗本くんと付き合いたかったなー、なんならワンチャン、エッチくらいできないかなー、男同士のノリでシコリ合いとかでもいいんだけどなー。  妄想は止まるところなく捗るけれど、亡霊の僕にはそんなの夢のまた夢で、でも栗本くんを追ってしまうことはやめられず、ずーっと、じーっと彼の全てを覗き見ていた。ごめんね、でも毎日サイコーです。生きてた頃はゲイバレしないように結構必死だったからね。  で、今年もやってきたバレンタインデイ。栗本くんはチョコをたくさんもらう。彼女がいると公にしていないから、本命も含めて大量にもらう。途中から受け取ってもリュックに入りきらないようになって、取り巻きの友人にあげちゃってるし。でもそんな最低なところも顔がかっこいいからみんな許しちゃう。僕も許しちゃう。  家に帰ってきた栗本くんは、チョコの選別を始める。自分で食べるのは気に入った幾つかのものだけで、残りは高校の後輩とか兄弟に「食べ物を粗末にしたくないから」とか言って配ってる。去年もそうだった。やっぱり最低だ。でもイケメンがやると「後輩・家族思いのいい男」に見えるんだから不思議だ。  今年は栗本君の手には五つのチョコが残った。そのうち三つは手作りっぽいが、どれも美味しそうだと思う。  でも、僕はその中の一つに違和感を持った。なんていうか、栗本君が食べていいのかな?っていう種類の違和感。うーん、うまく言えないなあ。もっと言えば、僕が食べるためみたいというか、生きてる人が食べていいのか亡霊の僕が不安になるような空気を漂わせている不穏なチョコ。もわーって異様な雰囲気が漂ってる。「これ食べない方がいいんじゃない?」と教えてあげたいけど、僕にはそれも無理な話で。  チョコの選別を終えた栗本くんは一仕事終えたって感じで、満足げによりにもよってその一番やばそうなチョコに手を伸ばした。封を開ける。手作りのトリュフチョコっぽいのが四つ箱に入っている。 「おー、いいね。こういうシンプルなのが結局一番だよな」  栗本くんは呑気にそんなことを言いながら、一つを摘んで口に運ぶ。  あー、やめた方がいい気がするよー、と僕が頭の上でワアワア騒いでも、栗本君には聞こえない。彼は一つチョコを口に放り込むと「おっ、めっちゃうまい」とそのまま残りの三つも次々と口に放り込んでしまった。  チョコを食べて満足したのか、栗本くんがウトウトし始めた。まだ寝るには早い時間のはずなのに、そのまま倒れ伏すように眠ってしまった。チョコに薬でも入ってたんじゃないかと僕は訝しんだ。栗本くんは、よくモテる。時々、この人やばいんじゃないかと思う人からもモテている。やばいファンみたいな人から貰ったチョコだったんじゃないだろうか。美味しそうかどうかだけで判断してたけど、もっと受け取る時に相手を見た方がいいよ、栗本くん。  しばらくたつと、栗本くんがムクリと起き上がった。なんだ、なんでもなかったのかと胸を撫で下ろしていたら、栗本くんが突然ゴソゴソとズボンとパンツをおろし始めた。  下半身が裸になって、上半身にTシャツを着ただけの栗本くんが部屋の真ん中で仁王立ちしている。体の中心のちんぽが、なぜかびんびんに勃起してゆらゆらと上を向いて揺れている。 「栗本くん、大丈夫?」  聞こえるわけがないのに、僕は恐る恐る尋ねてみた。 「ホワイトチョコのお返し作んなきゃ……」  栗本くんが熱に浮かされたみたいな口調で呟いた。そしてそのまま、オナニーするときのようにちんぽをシコシコと扱き始めた。 「あっ!あっ!あっ!あーっっ!」  快感による声を抑えることもなく、何かに取り憑かれたかのように栗本くんが端正な顔を歪めてちんぽを一心不乱に扱いている。 「あーっ!いくっ!いくっ!イグゥっ!」  栗本くんのぱんぱんに張って照りのある亀頭の先端からねばねばの精液が噴射された。噴射された精液はいつものようにティッシュで受け止められることもなく、部屋中に撒き散らすようにばら撒かれていく。  僕は呆然としながらその光景を眺めていた。栗本くんがおかしくなってしまった。でも、僕も彼を見ているだけで股間が熱くなってジンジンしてくるのがわかる。栗本くんは一度射精した後も、体をくねらせながらちんぽを扱き続けている。 「あっ、あっ、またいくっ、ホワイトチョコが出るぅっ!」  2発目の射精がすぐに訪れた。またも部屋中に精液が撒き散らされる。部屋中にムンムンと栗本くんの遺伝子の種の匂いが立ち込めているようだ。  2回も連続でイッたというのに、栗本くんは手を止めない。 「はあっ、はあっ」と肩で息をしながら、苦行のようにちんぽを扱き続けている。ちんぽは爆発しそうなくらいに膨らんでいる。今まで見た彼のどのオナニーやセックスよりも、それはエロい光景だった。 「くっ、栗本くんっ!」  僕は彼がとても可愛らしく、いじらしく見えてしまって、どうせすり抜けてしまうとわかっていながら栗本くんの体に抱きついた。 「んはあっ!」  栗本くんの口から呻きが漏れた。同時に、僕の体に急に実態感がわいた。  目を開けると、僕は栗本くんになっていた。  いつも見ていた栗本くんのイケてる顔は見えないけれど、手で何かを握っている感触があって、そちらに目をやると栗本くんの立派なちんぽが僕の手の中に握りしめられていた。熱まで感じた。シャツの裾を捲ってみると、栗本くんが自慢しているチョコレートの腹筋がチラリと見えた。  栗本くんに憑依してしまった。  どうしよう。なんでこんなことに。  僕の頭の中は混乱でいっぱいだったけれど、先程食べたチョコのせいか頭の中がぼーっとしてすぐに何も考えられなくなった。  いいや、せっかくならこの機会に栗本くんの体を堪能させてもらおう。気持ちいいことも数十年ぶりだ。こんなイケメンになってひとり遊びを楽しめるなんて、そうそうないだろうし、こうなったということは、そのうち何かのきっかけで元に戻るだろう。  頭の中は「ホワイトチョコを作らなきゃ」という思いでいっぱいだった。よくわからないけど、たくさんオナニーして射精することで、ホワイトチョコが製造されると栗本くんは思っていたらしかった。それならせっかく体を貸してもらうのだし、僕の目的とも合致しているから、たっぷりと搾り取らせてもらうことにしよう。僕は先程食べたトリュフチョコの入っていたアルミカップみたいな容器にちんぽの先端を向けて、引き続きちんぽを扱き始めた。  続けて三発、四発と出すと、さすがの絶倫の栗本くんでも出てくる精液の量が少なくなった。これはもっと快感を加算しなければいけない、と僕は奮い立って、上に着ていたシャツも脱ぎ捨て、栗本くんが普段はいじらない乳首へと手を伸ばした。  部屋の隅の姿見に栗本くんの全裸を写して、それをおかずにオナニーに励む。乳首をいじると少しだけちんぽの怒張が増した気がした。栗本くんの体になった自分の痴態を鏡に写して、わざと普段の彼が絶対にしないようなアヘ顔を晒してちんぽを扱き立てると、栗本くんにはそんな性癖はないはずなのに、ますます興奮していくのがわかった。すぐに5発目の精液がせりあがってくる。鶏卵くらいの大きさがある金玉が2つ、金玉袋の中でグリグリと動き回っているのが見える。  5発目の射精は2回目の時と遜色ないくらいの量の精液が発射された。カップがあっという間にいっぱいになった。僕は栗本くんの体で、そのカップにちんぽを握っていない方の手を伸ばし、舌を出して大きく口を開けた上にカップの中身の精液を垂らした。白濁した粘液がアルミカップから栗本くんの口の中へと垂れ落ちてくる。それを見て僕はさらに興奮する。ちんぽがまた硬くなる。6発目が出そうになったので、慌ててカップをちんぽの前に持ってきた。その際、口にうまく入らなかった精液が栗本くんの精悍な顔の頬にべったりとへばりついた。  そんなことを繰り返すうちに、もはや自分が何発射精したかも僕はわからなくなっていた。久々の人間体での快感に翻弄されて惚けていた。栗本くんの顔は精液まみれでぐちゃぐちゃになり、ちんぽも白く泡立っている。なのに鏡で自分のその姿を見ると、またムクムクとちんぽが膨らみ始めるのだ。おかずの自給自足が可能だ。イケメンでゲイだと大変なことになるな、とふとどうでもいいことを思った瞬間、気絶するように僕の意識は途切れた。  目覚めると朝だった。栗本くんは部屋の真ん中で全裸で全身に精液をぬめらせて大の字になって寝ていた。僕は元の霊体に戻っていた。  まさか栗本くんが死んでないかと恐る恐る確認したら、どうやら息はしているようだった。安心してしばらく彼の全裸を見ていたら、ゆっくりと栗本くんが目を開けた。 「うぉっ?なんだこれ!?」  全裸なことも、全身が(顔までも)精液のヌルヌルにまみれているのにもショックを受けたような、呆然とした顔の栗本くんが自分の体を見ている。何があったのかは覚えていないようで、「なんだ?俺酔っ払ってたのか?」と放心したように呟いている。  やがて考えることを諦めたのか、栗本くんはシャワーに向かった。いつもの倍近い時間をかけて出てきた。そしてまた、大学に行く準備をする。僕も彼について行く。何があったのかを考えるのを栗本くんはやめたようだった。  大学について学友と合流した後も栗本くんはいつも通りに戻っていた。学生のさんざめく廊下をいつものように人々の称賛や妬みの視線を受けて快活に笑いながら通り過ぎて行く。その時 「ホワイトチョコのお返し、楽しみにしてますね」  一人の男子生徒が栗本くんの横を通り過ぎがてら、耳打ちするように囁いた。次の瞬間、栗本くんは一瞬、ほんの一瞬だったけれど、昨日僕が憑依してオナニーした時のようなアヘ顔になって腰をビクンと振るわせた。しかしそれも束の間のことで、「栗本どうした?」という学友の声に「ああ、なんでもねえよ」とすぐに爽やかに笑って返事をしていた。  僕はすれ違ってそのまま栗本くんを通り過ぎて行った男子生徒の後を追った。彼が今回の一連の出来事の黒幕だと直感したからだ。  男子生徒はずっと歩き続け、やがて誰もいない場所まで来ると唐突に口を開いた。 「ホワイトチョコのお味はどうでした?」  僕は彼の話し相手をキョロキョロと探す。でも誰も見当たらない。 「栗本先輩のホワイトチョコ。味見したんですよね?」  男子生徒の方を見ると、なんと彼は僕の方を見て喋っていた。 「見えるの!?」驚いて尋ねると 「はい」と平然と答えを返してきた。彼は続けた。 「僕ね。ゲイなんですよ。で、栗本先輩が好きなんです。それでちょっとおまじないを込めたチョコを渡したんですけど、色々変化があったでしょ?それをあなたは近くで見てただろうから、詳しく聞きたくて」 「近くでっていうか……途中から僕が憑依して栗本くんを鏡で見ながらオナニーしちゃったよ」 「えっ!?それは予想外でした……いいなあ。憑依して無意識下でイケメンがオナニーに耽らされるなんてサイコーのシチュじゃないですか……でも僕が霊体になるわけにいかないし……」 「まあ、栗本くんには悪いけど、色々とサイコーではあったよ」 「いいなあ。まあ、最終的に先輩は僕のものにするつもりなんで、いいんですけどね」 「ものにする……?どうやって?」  僕の問いに彼はふふっと笑った。 「どうやるかは昨日見たんじゃないですか?まあ、お互い協力しましょうよ。僕が先輩を手にしたら、あなたにも分け前はちゃーんと渡しますよ」 「……」 「気に入りませんか?」 「……いや、ちょっと股間が熱くなっちゃっただけ。この体だと自分の熱も自分で処理できないからさ」 「先輩が僕のものになったらそんな悩みもなくなりますよ」  男子生徒が笑う。言ってることはだいぶ邪悪なのに、見た目はふんわりとした柔らかい雰囲気の子だった。 「まあ、じゃあ、昨日のことを教えるよ」 「よろしく。栗本先輩を僕らのものにしちゃいましょう」  長生き(亡霊だから生きてないけど)してみるもんだ。こんな形で自分の性癖が叶う日が来るとは思わなかった。  僕は男子生徒と握手して、昨日の栗本くんの痴態について詳細を語り始めた。


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