目覚めたときの話
Added 2024-10-27 07:59:29 +0000 UTCすこしだけ、おれの話をしようかと思う。 普段から洗脳だの常識改変みたいなホモものの小説めいた文章をちまちまと書いているおれだが、こんなにも「そういう」変態的とも言えるジャンルに偏ってしまった性癖には理由がある。 忘れもしない。きっかけは小学校5年生の時だった。 その日、おれは家族で家からすこし遠く離れたショッピングモールへと出かけた。そこは当時ガキだったおれには何から何まででっかくて、おもちゃ屋や本屋のテナントも入っており、一日中時間を潰せるテーマパークにも匹敵する施設だった。 親が衣料品かなにかを買いに行っていたときだったんだと思う。おれと弟は本屋に取り残されて、マンガを立ち読みしながら親が迎えに来るのを待っていた。 ふいに、小便に行きたくなった。おれは弟に「ここで待ってろよ」と声をかけ、本屋のすぐ隣にあったトイレへと向かった。 トイレは小便器が4つくらい並んで個室も3つほど備え付けられたもので、そこそこ広々としていた。誰もいない男子トイレに入って、小便器に向かってズボンを下ろしたおれは、すぐに放尿をはじめた。 と、物音がしてトイレに誰かが入ってきた。 短めの髪をジェルみたいなものでセットして前髪を持ち上げて、真っ黒なスーツに紫のワイシャツを着た20代半ばくらいのお兄さんだった。 お兄さんは色白で形のいいやや吊り目の目をちらりと一瞬おれに向けて、そのあとはおれのすぐ隣の小便器に立ってゴソゴソと股間のファスナーをいじり、用を足しはじめた。 おれは小便器に張りついたまま、何度もお兄さんを盗み見した。当時、すでにホモ気が芽生えはじめていたおれは、ちょっとかっこいい歳上のお兄さんが気になってしかたがなかったのだ。 おれとお兄さんは小便器に並んだまま、ちらりとちらりと何度も視線を交錯させた。お兄さんの方から、ジョボジョボと小便の音がしていたのが、やけにはっきりと耳に聞こえたのを覚えている。 おれはとっくに小便なんか終わっていたのに、まだ皮の被った親指の先っぽくらいの小さいちんちんを指でつまんで、じっと立ち尽くしていた。 お兄さんの小便の音が止んだ。おれはそれがなんだかすごく残念な気分になった。お兄さんが離れて行ってしまうと思ったからだ。 おれがガキの頃はまだネットなんて普及していなかったし、子供たちも今のように早熟でもなかった。早熟であることはむしろ「エロい」ことであり、なにか恥ずべきことであるように扱われた。 そのため、当時のおれはまだ勃起という言葉も知らなかった。ただ、5年生になったあたりから、ときどき理由もわからずにちんちんが急に鉄みたいに硬くなり、言うことを聞かなくなることだけは体験して知っていた。 そのときも、唐突にそれが起こった。小便器に向けてむき出しだったおれのちんこは、お兄さんの横顔を見てむくむくと鎌首をもたげ、天井に向かって一丁前にそそり立った。(と言っても、それはせいぜい数センチほどの大きさしかなかったが) おれはこの状態が何なのかもよくわかっていなかったが、親などには言えない種類のものであることはなんとなく感づいていた。 なにか心臓がドキドキするような、秘密。 その秘密を、もう二度と会うこともないだろうお兄さんに知ってほしくなった。 家から遠く離れたショッピングモールのトイレで出会った人と、もう一度どこかで遭遇する機会なんておそらくないだろうと。そういう意味で、なにか大胆な気分にもなっていたのかもしれない。――これはいまこうして文章にして書いてみると興味深いが、おれはこのころから露出に性的な興奮を覚えていたのかもしれない。いまでもおれはときおりささやかな露出行為を行い、駅や商業施設のトイレなんかでオナニーに耽ったりする。その萌芽は、まだ精通もしていない少年時代からあったのかもしれないと驚いている。 おれは天井に向けてそそり立ったちんこをわざと見せつけるかのように、靴音を立てて一歩小便器から離れてみせた。天井の照明のもとに、皮被りのおれの小さなイチモツが照らし出された。もちろんまだ毛の一本も生えていなかった。 お兄さんがおれを見たのがわかった。その目がすこしの驚きに染まったのを見て、おれは喜びを覚えた。お兄さんは、ショッピングモールのトイレで見たおれのちんちんを忘れないでいてくれるだろうと、おれは自分の心臓の音と無意識に荒くなった呼吸の音を聞きながら思った。 しかし、お兄さんはすぐに目をそらしてしまった。おれはとても悲しい気持ちになった。お兄さんにとって、自分は取るに足らない存在なのだと感じられたからだった。 しかし、意気消沈するおれの目の前で、お兄さんがゆっくりと一歩後ろに下がった。お兄さんのちんこがおれの目にはっきりと映った。太くて、長くて、黒くて、おれのとは比べ物にならないほどに大きい拳大の金玉をぶら下げて、ふさふさの陰毛を蓄えたお兄さんのちんこ。 おれは思わず唾を飲み込んだ。 それを見た瞬間、おれのちんちんには血液が怒涛のように押し寄せた。そのせいで勃起しすぎてちんちんが痛くなった。 「あっ…」 おれは思わず吐息をもらして、腰を引きながら股間をぎゅっと手で握りしめた。 お兄さんはそそり立った立派な肉棒をさらけ出したまま、小便器を離れた。そしておれに目配せしながら、奥の方にあった誰もいない個室へと入っていった。 おれはお兄さんのあとを追った。勃起したちんこを隠すことも忘れて、ぶるんぶるんとそれを震わせながら、小走りでお兄さんの入った個室へと向かった。 個室の扉が開き、お兄さんがおれを迎え入れてくれた。おれたちはちんぽを見せつけ合うような形で、向かい合った。 「ちんちん好きなのか?」 お兄さんがおれの耳元に顔を寄せてそう囁いた。その声がすごく低くて、体の奥底までジンジンと響いてくるような調子をしていて、おれはけつの奥がなんだか変な感じになりながらも必死で頷いた。 「大人のちんちん、もっと見たいか?」 お兄さんはつづけた。 おれはお兄さんの目を見て「うん」とかすれそうな声で返事をした。心臓はバクンバクンと高鳴っていて、正直わけがわからなかった。 おれに向けて腰を突き出したお兄さんのちんぽは、なんだかエロい匂いがした。お兄さんはそれに手を添えて、ゆっくりとしごきはじめた。 「もうシコってるか?」 「わかんない」 「じゃあ、教えてやる。こうするんだ」 お兄さんは指を輪っかにして、剥けあがった真っ黒な先頭のところを重点的にこすりはじめた。 おれは見よう見まねで自分の手も輪っかにして、自分のちんぽを上下にこすった。すぐに変な感じがして、腰が引けて動けなくなった。 「耐えろ」 お兄さんが言った。「男になりたかったら、耐えなきゃならねえよ」 おれは男になりたいと思った。というより、お兄さんのようになりたいと思った。だから精一杯我慢して、お兄さんの真似をして腰を突き出し、ちんぽを上下にこすりつづけた。 「なんか変かも」 変化はすぐにおとずれた。おれのちんちんの根元で、なにかがむずむずとくすぶっているのが感じられて、我慢ができなくなった。 「変だ。やばい」 「やばくねえ。耐えろ。耐えたらおれと同じ男になれる」 お兄さんはおれの手のうえに大きくて分厚い手を重ねて、容赦なく握ってしごき立ててきた。 「あっ! あっ!」 おれは変な声を出してしまった。 「声出すんじゃねえ」お兄さんは相変わらず低い声で囁いた。 「むりっ…。あっ! うんっ!」 おれがそれでも声を我慢できずにいると、次の瞬間に身をかがめたお兄さんがおれの唇を唇で塞いできた。 おれは最初、自分の顔が喰われたのかと思った。お兄さんはかぶりつくみたいにおれの唇を自分の口で覆って、舌を差し込んで口内をぬるぬると犯してきた。 おれは頭がぼーっとして何も考えられなくなった。 すぐにときはきた。ちんこが急激に熱くなり、なにかかたまりのようなものが尿道を駆け上がってくるのを感じた。 「んふぁっ!」 おれはキスで抑え込まれている口ではなく、鼻から息を漏らした。腰が勝手に動いた。けつの穴がぎゅっと締め付けられるのを感じた。脳みそまでジンジンと痺れ、全身をぴくぴくと痙攣させて、ぶっ倒れそうになっていた。 お兄さんがいつのまにかおれの腰に手を回して、おれが倒れるのを阻止してくれていた。 潮が引くように全身を襲った熱が冷めてくると、いままで嗅いだことのない匂いが鼻をついた。プールの匂いに似ていると思った。ちんこを握っていた手が、なんだかぬるぬるとして生温かった。チュパっといやらしい音を立ててお兄さんの口とおれの口が離れたので股間へと視線を落とすと、おれのちんこから白く濁ったしょんべんとはまた違う液体がだらだらと流れ出ていた。 「なんだ。一丁前に出るんじゃねえか」 お兄さんはそう言ってニカッと笑い、おれの頭をわしわしと撫でてくれた。おれはそれが無性に嬉しかったのを覚えている。 「これなに?」 おれはお兄さんに尋ねた。 「精子だ。もう学校で習ったんじゃねえか?」 「わかんねえ」 「男はみんな出せるんだ。エロいことすると、ちんぽから溢れてくんだよ。気持ちよかっただろ?」 おれはぶんぶんと頷いた。正直に言えば気持ちよかったかはわからなかったが、またしたいと思っていた。できれば、またこのお兄さんと。 「じゃあな。坊主。大人になれてよかったな」 お兄さんはそう言って、まだ天井に向けてそそり立っているちんぽをズボンのなかにしまおうとした。 とっさにおれはお兄さんの手を掴んだ。 お兄さんは「なんだ?」と不思議そうな顔でおれを見た。 「お兄さんのも見たい」 おれはそう言った。 「お兄さんも気持ちよくなったら精子出るんでしょ? お兄さんにも気持ちよくなってほしい。手伝いたい」 一瞬、お兄さんは動きを止めた。なにか迷っているみたいだった。 その隙に、おれはお兄さんのちんぽの先端を舌で舐めてみた。 「おい!」 お兄さんがおれを引き離そうとした。でもおれはお兄さんの背中に手を回し、ひっついて離れなかった。 さっき、お兄さんに口の中を舌で舐め回してもらったのが気持ちよかった。おれもお兄さんにお返しをしたかった。ちんぽを舌で舐めたら、きっと気持ちいいだろうと思ったのだ。 それになにより、おれがお兄さんのちんぽを舐めてみたかった。お兄さんから出る精子を飲んだら、もっとお兄さんに近づけるんじゃないかと思っていた。 その妄想の興奮で、初めての射精を終えたばかりのおれのちんこも、またふたたび硬くそそり立っていた。 「くそっ!」 お兄さんはすこし怖い声でそう言ったけど、むりやりおれを引き剥がすことはなかった。おれは思う存分にお兄さんのちんぽを舐めた。アイスキャンディーを舐めるみたいに舌を這わしたり、喉奥まで押しこんでみたりした。そのすべてがなぜだか気持ちよかった。 お兄さんともっとくっつきたくて、おれはどんどん密着していった。お兄さんもおれを拒まなかった。 お兄さんのワイシャツの下に手を入れて背中に触れたとき、お兄さんがおれの手を止めようとした。 でもおれは、お兄さんのちん毛の茂みの匂いにうっとりとしながら股間に頬擦りをして、お兄さんのワイシャツをまくりあげた。 そこには龍の絵があった。 お兄さんの尻の上の方から、背中にかけて、渦巻く水のようなものと、怖い顔をした龍の絵が描かれていた。 おれは思わずちんぽから口を離した。 「すげえ」 おれはその絵に見惚れてしまった。 「なにもすごくなんかねえよ」 お兄さんはそう言って笑いながらおれの頭を撫でた。 「坊主はおれみたいになるんじゃねえぞ」 「おれ、お兄さんみたいになりたい」 おれはそう答えた。 「かっこよくて、優しいし、なんかそれに背中の絵も、すげえって思う。男って感じがする。おれ、大人になったらお兄さんみたいになりてえ」 「馬鹿言うな」 お兄さんは困ったように笑っていた。「もういい」 そう言って、自分の手で勃起したちんぽをしごきはじめた。さっきまでおれのちんこを触っていたのとは全然違う、荒々しい手つきだった。 「精子飲みたい」 おれはそう言った。 「お兄さんの精子ほしい。飲んだらおれもお兄さんみたいになれる気がする」 「とんだ変態ガキを拾っちまったな、おれは」 お兄さんは息を荒げながら、苦笑いしておれを見た。 「欲しけりゃ勝手に飲め。もう出る」 おれはお兄さんのちんぽの前で口を開けた。そこに勢いよく、おれの精子の何十倍も濃い匂いをしたお兄さんの精子が飛びこんできた。口の中が熱くなった。 お兄さんの精子をおれは存分に味わってから飲みこんだ。 そのあとはお兄さんはおれの頭をがっしりと撫でたあと、「知らねえやつにホイホイついていくんじゃねえぞ」とだけ言って個室から出ていった。おれは興奮の余韻が冷めやらず、また硬くなっていたちんこをしごいて、人生二度目の射精をした。お兄さんの精子を飲んだせいで、背丈や筋肉もお兄さんのような体になり、背中に龍の絵が浮かび上がってくる自分を想像するとどんどん興奮してきたので、そのまま三度目の射精もした。 思い返せば、とんでもない初体験である。でも、おれはあのお兄さんを忘れることができないし、忘れるつもりもない。 いまのおれはヒョロっとした冴えない中年男になって、まかりまちがってもあのお兄さんのような男にはなれなかった。 でも、だからこそ、いまでもオナニーの時はおれは妄想するのだ。 いかつい男の精子を取り込んで、蛹が羽化するように自身の体も逞しく生まれ変わる想像などで股間を膨らませながら、こうしてエロい小説もどきの文章をしこしこと書いていたりする。 人間は、誰も皆自分の中に潜在的に変態的素養を持っているのではないか。 おれはそれを目覚めさせる手助けがしたいと思う。 そうやって一人でも多くの変態をこの世界で目覚めさせたい。全ての男がホモになった世界を夢想する。 すこしまえ、発展場でいかついオヤジにケツを掘られてきた。刺青はなかったからあのお兄さんなわけはないのだけれど、なんだか少し面影がある気がするオヤジだった。 当然種付されてきた。なんだか自分がすこしその親父に近づいてガチムチになれたような気がしないでもなく、しばらく気分が良かった。 おれの書いた文章を読んで、あなたもちんぽやけつを熱くしてくれていたらおれは嬉しい。 それはおれのばらまいた精子が芽を出して、あなたのことも変態に作り変えようとしている証拠に他ならないのだから。