「家が見たいんだってさ!」 急に兄が、自身の勤める企業のCEOを家に連れ帰ってきたことに困惑する隼兎。兄と比べて慎重派の隼兎は、急な来訪者に警戒しつつも『兄が信頼している人なら』とひとまずは彼を家に上げることにした。下手に失礼を働いて、兄に迷惑をかけたくなかったのも理由だが。 しばらく霧鮫と交流していくうちに、豪快ながらも落ち着いた雰囲気を併せ持つ彼にだんだんと心を開いていく隼兎。末端社員であるだけのはずの兄と彼がなぜここまで距離感が近いのかは分からなかったが、何となく聞きづらかったのでそのことには触れず。 霧鮫が家に来るようになってから何度目か。隼兎は、彼が来る日がだんだんと自分も楽しみになっているのに気づていた。 その日は兄の提案で、霧鮫がわが家に泊まることになった。いつもと同じように、彼と兄と三人で買い物に出かけたり、他愛もないことで笑って過ごし、ともに夕飯を食べ終えてみんな眠りにつく。 ただそれだけ。それだけのはず、だったのに。
凛
2023-06-26 06:41:04 +0000 UTC