束の間話
Added 2019-08-22 15:29:35 +0000 UTC横濱Chill(挨拶)
俺、横浜がそんなに好きじゃなかったんだ……、ニリツです。
昨日今日と出張でした、本当は家にこのまま帰る予定だったんですが、急遽原稿の修正依頼があり事務所に戻って仕事してました。事務所でもう一泊。
出張は、浜松の専門学校にて学生さんの個別面談を二日間に渡ってやってきました。対象は一年生全員と二年生の希望者、内容としては進路相談が主になります。この面談、今回で三回目かな?になりまして、夏の風物詩となってきております。絵は全員に当てはまる事象というのが限られていまして、最初の年、普段の授業でクラス全員に向かって喋る内容に限界を感じ、学校側に私の方から申し入れて希望してくれた生徒全員との個別面談をやる事になりました。
この学校は三年制の専門学校で、尚且つ学生の就職、絵を仕事にするという事に力を入れています。就職活動は二年の終わり、三年の頭には最盛期になります。つまり一年の夏の時点で就活まで残り一年半といった状態です。専門学校という性質上、入学の時点で一定以上の技術を習得している学生は少なく、ほぼ未経験で入ってくる方も珍しくありません。そういった方が就職、つまり仕事に耐えうる技量を身につけるのに、一年半という時間は決して長くありません。ですのでこの夏の面談は、残り時間と本人の進路希望を照らし合わせ、あとこれこれの時間でこれこれの技術を習得しましょうねというお話をする機会としています。
学校に入学して半年、年齢的には18歳や19歳、本人達にとって「絵描きになる」というのは現実感がなく、それに向かって力を尽くすというのが非常に困難です。私自身その頃はふわっふわしておりました。ですのでいかに「一人一人、それぞれの本気を引き出すか」というのが専門学校の常なる悩みと課題であり、この面談はその対応策の一つな訳であります。
その際、なかなか避けて通れないのが、本人の画力、現状の伝達です。足りない物を補うには、何が足りていないのかを本人に自覚してもらう必要があります。延々と時間がある場合であればのんびりとやればいいのですが、卒業というタイムリミットが存在する以上どうしてもこれに直面します。
当然ですが、若い身空、蓄積した能力が少ない以上、勇気を出して絵の学校に来た皆さんは、己の絵が数少ないアイデンティティであり、そこに依らざるを得ない部分があります。ですので往々に己の能力を高く見積もっておられます。特に美術というジャンル、小中高におけるその教育。そして明確な技量が表面に出にくいイラストという性質上、本人達の中に「このくらい描ければプロで通用するだろう」という意識が非常に根深いです。
面談では、学生に嘘を言うわけにはいきませんので「あなたは今このくらいのレベルです、そしてあなたの希望する企業の募集で求められるレベルはこのくらいです」という話をします。アイデンティティに響きます、かなりのショックだと思います。そこでプラスして「絵は学問です、練習し勉強すれば身に付きます。具体的には年内にこれこれをやってこれをできるようにしてください。来年の春までにこれこれ。そして就活がはじまる段階でここまでこれを身につけてください、そうすれば希望する仕事に就ける可能性を限界までたかめられます」という説明をします。
未経験に近い学生の場合、そのハードルは非常に高くなり、それこそ毎日数時間のメニューを年単位で続ける、といった内容にもなります。その上で、本人にそれを受け止めるか、もっと妥協するか、という選択肢を頭に入れてもらいます。
かなりスパルタな事だなと、自分でも思います。ですが過去、自分がそのくらいの年齢の頃、何より「世界がどういう形をしているのか、自分がそのどこに立っているのかが分からない」のが辛かったし、恐ろしかった事を、今の学生さん達にどうにかクリアしてもらえたらという狙いで開催しております。
この方法は完璧ではありませんし万能でもないです、効果がある人がいれば、逆効果の人も居ると思います。人のきっかけは様々であり、普段の授業では得られない形のものを、可能性を一つでも多く提供する事ができればと思っています。そしてこういった形のアプローチは、現役のイラストレーターである私がやる方がよりリアルに感じる事ができるだろうと、担当しています。
という感じで、そこそこ私の方も疲れる内容の事を二日に渡って数十人とやりあってまいりました。もうちょっとで夏前からの修羅場もひと段落、そうしたら久し振りに二日程の連休をとろうかと思っています。そのために事務所に戻ってきました。
束の間一息いれて、また今年後半も頑張っていきたいと思います。
余談ですが、七月の20からこっち、モノクロ含みますが一月で60枚くらい描いてました。頑張った頑張った。休日は美味しい物でも食べましょう。
それではまた、ニリツでした。