SamSuka
ニリツ
ニリツ

fanbox


お金話

 定期的にツイッターのTLに原稿料の話が出てきて、その度に色々思うので一度文章にしておこうかなと思い候。


 まず、件のツイートに関して。カラーイラスト1枚3万円という値段設定が高いか安いかという点は、安いと言わざるを得ません。

 個人が売り上げとして月に20万円の稼ぎでは税金や保険、設備等の負担を考えると圧倒的に足りません。どうも毎度思うのですが、3万円が高いという事を言っている方々は主に学生やそれに準ずる若い年代なのではないかと感じています。通常社会人をしていれば、人月で20万円というのは成り立たないというのが解るはずなのですが、アルバイトのバイト代みたいな感覚で喋っている気がしてまずそこがずれていように見えます。

 アルバイトでいえば時給1000円だ2000円だというので計算してもおかしくないのですが、例えばタクシーに乗れば1時間も乗れば7000円はかかります。美容院で髪を切ったりパーマをかけたり、これも1時間や1時間半で9000円やそれ以上かかります、車の整備でも同じでしょう。技術を持った人間1人を1時間拘束するにはそのくらいかかるのです。何故かと言うと、支出とのバランスを見ればそのくらい貰わなければ利益が出ないからという話でしかありません。その価値が無いのであれば依頼が発生しないのももちろん当然です。

 そしてイラスト1枚を制作するのには個々によりますが10時間以上はざらにかかります、私でも実作業でそれ以上かかります。それに加え事前のやり取りや必要であれあ打ち合わせ、それに何をどう描くかを考える時間など、これにも時間がかかります。

 それと、漫画の原稿料を引き合いに出されていますが、これは別問題です。漫画原稿料とイラスト原稿料の最大の違いは印税の有無です。漫画の場合は、単行本化した際の印税という収入形態があり、それは単行本の印刷部数×本の単価の10%(これも様々あります)が形式としてはあります。それを含めた上で原稿料が別途発生し、それがページ単価1万円といった扱いになっています。イラストレーターのイラストには単行本というのも無く、基本印税という支払形式は存在せず、1枚の原稿料のみの支払いが標準となっています。ですので漫画の原稿料と比較する時点でずれていますし、間違いです。が、別の問題としてライトノベルのモノクロ原稿の原稿料がこの漫画と同じ基準の1万円以下で設定されています。前述の通り印税は無い上に買い切りなので、非常に安いです。まあいつか改善してくれるといいなと思っています。


 加えて個人依頼が成立しにくいという現状について言及すると、大きな理由としては「商業の原稿料よりも高額になるから」というのがあります。上記の話を元に、じゃあ個人でも1万円払えばラノベのモノクロ原稿みたいなのを依頼できるのかというとそれは難しい話で、何故ならばライトノベルのモノクロ原稿であれば、それを購入した人が見てくれて、宣伝として成立します。しかし個人の場合その宣伝効果が見込めません。商業イラストの場合、その宣伝効果も加味しての値段だったりします。ラノベの表紙であれば本屋で並んで日本中で数万人の人が目にするでしょう、Webでの告知等も考えればそれ以上の効果です。さらに「ラノベのイラストを描く人」というイメージ効果も見込めます。個人相手だとそれが期待できない以上、その分を原稿料に乗せざるを得ません。

 個人依頼だから安いのでは、いうイメージが実は逆。というお話です。


 それと街頭でやっている似顔絵描き、あれもカラーで1枚2~3000円じゃないか。という話ですが、あれも特殊技能で、しかも1枚に何時間もかけたりしていないはずです。時間あたりの売上でいえば7000円くらいだったりするんじゃないですかね。安いとは思いますが。


 そして最後にいつもこの手の話で出て来る「でも好きでやってるんでしょう?」に関しては、好きでやってる嫌いでやってるに金額が左右されるいわれはない。で終わりです。


 イラストというのは、生活必需品ではなく文化、生存にとっては余剰のものです。そういったものに発生する金額というのは扱いが難しく、普通に考えると「高い」と思われても仕方がないのかもしれません。ですので自分や自分の絵に魅力やその金額に見合う価値がなくなれば続ける事はできないでしょう。

 今後もその価値を生み出し続けられるよう、きちんと努力して全てを磨いていかなければいけないなと思う次第です。


 と、件のツイートとそのリプを眺めて思ったいつもの事です。


More Creators