魔装少女ランス
突如として現れた魔族。魔族と人間の戦争により人々は大きく疲弊していた。人々が作り上げた武器や兵器、積み重ねられたあらゆる戦術も強大な魔力と強靭な肉体を持つ魔族との戦いにはどれも決定打にはならなかった。
人間と魔族、どちらもそれぞれの持てる力を総動員し、戦い続けた結果、戦況は拮抗し戦争は泥沼化した。
そんな時に人間の中にも魔力を操る者が現れ始める。魔力を操り、その力を身にまとい、武器へと変える者たちを魔装戦士と呼んだ。理由は解明されていないが魔装戦士の中であっても、特に若い女性は魔力との相性が良く圧倒的な力を持っていた、人々は彼女たちのことを魔装少女と呼んだ。
その魔装少女は両親を魔族に殺され、必死に幼い弟を守るために戦火の中を生きあがいた。彼女もまた初めから魔力を操れたわけではない。力も持たず、それでも唯一の肉親である弟を守るため、死体から金目のものを剥ぎ取り、食料を盗み、火事場泥棒も数えきれないほどやった。身寄りのない少女は魔族から隠れ逃げ、人間からは盗人として蔑み疎まれた。ボロボロの服、肌は泥に汚れ、髪はボサボサ、なりふり構っていられなかった。生き延びるため知恵と度胸で危険を回避し続けた。
だがその日はやってきた。食料を得るため危険と知りつつも魔族の領土に踏み込み、魔族に見つかった。言葉など通じない。魔族にとって人間に区別はない、見つけたら殺すのみ。強烈な暴力の嵐、並みの人間であれば根を上げ、諦めていただろう。自分が死ねば弟も野垂れ死ぬ、最後の瞬間まで少女の瞳は生への渇望を宿していた。とどめの一撃、その瞬間いままで閉じていた回路が開くように少女の全身を魔力が駆け巡った。少女の身の丈と同じほどのランス、それが彼女の魔装。魔装少女は己の力の使い方を初めから理解している。魔力を込めたただの突き、だがそれは魔族の腹部に大きな孔を穿ち、先程まで容赦なく暴力を振るったその魔族は呆気なく絶命した。
その後魔装少女として目覚めた彼女は魔族に虐げられる人々を助け、十分な報酬をもらい、弟を信頼できる場所に預け、旅に出た。魔装少女として、人々を救う一振りの武器として生きることに決めたのだ。生きるためとは言え罪を負った自分の名前が残るのを嫌がった彼女は名前を捨て、己の象徴でもある「ランス」と名乗った。
魔装少女ランスは人類にとっての希望であった。並みの魔族など相手にならないほど圧倒的な力で戦場を駆け抜けていった。しかしその戦いの日々に終わりは見えなかった。虐げられる人々を守り救う戦いであったが、魔族の数は多く、果てが見えることはなかった。そんな時ランスはある情報を耳にする。世界に七柱いる魔族の頂点、魔神の存在を。魔神討伐、それこそが人類の反撃の狼煙になる。ランスは決意し、魔神を目指した。
出会った人々の情報を頼りに、ようやく魔神の住処を見つけた。人が来ることを拒むような険しい山脈のなかにその洞窟はあった。轟轟と風が吹き、凍てつく寒さは死を感じさせた。魔装によって身の回りに見えない空気の層のようなものが張り巡らされている魔装少女でなければ、酸素の薄さ、気温の低さで素早く動くことなど不可能な場所だった。慎重に闇の奥へと歩を進めていった。個々の能力の高い魔族はあまり群れたりはしないが、いままでたたかった相手には統率の取れた群れもあった。複数の魔族に囲まれるのは危険だ、気配を殺して最奥へと進んだ。最奥はがらんとしたドーム状の巨大な空間だった。中央には岩を切り出して作った玉座があり、そこにそれはいた。座っているため正確な大きさは判断できないが、体長は4〜5mほどだろうか、獣の頭蓋骨のような頭部、太い丸太のように肥大化した全身の筋肉、何よりも巨大な体躯から溢れ出す強烈な魔力は一目で目的の相手だと理解できた。
「魔神ガンスロー、覚悟」
ランスは声を張り上げながら携えたランスを構え突撃した。正面からの挨拶代わりの一撃、当然避けられると踏んで次の動作へ繋げるため、ランスの攻撃はやや踏み込みが甘かった。魔神には見透かされていたのか、立ち上がることなく腕力だけで刺突を受け止められた。
「ぐをおおおお」
洞窟に響き渡る魔神の咆哮。あまたの戦場を渡り歩いた魔装少女は即座に次の動作へと移る。突き出したランスを引き戻し、距離をとる。
逃げるため、否。ランスは魔力を脚部に巡らせる、ゴツゴツとした岩肌の地面が少女の脚を中心にひび割れ陥没する。少女の姿が消え、微かに光が瞬いたように見えた。
次の瞬間大きな音とともに、洞窟の壁面に魔神ガンスローが叩きつけられた。
「避ける気がないなら、力の限りを込めるだけ」
すばやく相手の状態を確認する。渾身の一撃であったが、魔神には傷一つついていないようだった。少女は落胆することもなく次の一手に出る。魔装少女になったあの日から、何も変わってはいない、諦めることなど端からないのだ。
「一撃でダメなら、何度も撃つだけ」
地を蹴り、壁を蹴り、天井を、光の軌跡が空間を駆け巡る。文字通り光の速さでの連撃、空気の摩擦音と足場にされた洞窟が砕ける破砕音が鳴り渡る。
多くの魔族はランスの一撃で沈んだ。ここまでの容赦ない攻撃は初めてだった。
最後の一撃にはさらなる魔力を切っ先に込めた。魔神の巨躯が地面に沈んだ。本来ならば、、あれほどの攻撃を受ければ塵一つ残さず消えててもおかしくはない、そんな攻撃だった。原型をとどめている、それだけでどれほど強固な肉体なのかうかがい知れた。ランスは息を切らしながら、ぴくりとも動かない魔神を見つめた。魔神に大きな外傷はない、それほどの硬さを持っていたのだ、動きが遅かったから勝てた。もしもランスと同じ速さであったならば。
あるいは、あれほどの攻撃でも致命傷にならないならば、ランスに勝ち目はない。
「……」
息を切らしているランスの目の前で、静かに魔神は立ち上がった。
ランスは不屈の闘志を持った魔装少女だったが、その瞬間どう戦おうと勝ち目がないことを理解した。
魔力で出来た武器はあっけなく破壊され、少女の体躯よりも大きな腕で抑え込まれた。
どんなに力を込めてもびくともしない圧倒的な力を前に何一つ抗う術はないのである。
「ぐおおお」
獣のような咆哮。死線を潜り抜けてきたランスにとって死はそれほど恐れるものではなかった。弟のことが心配ではあったが、すぐに危険が来ることのない場所にいることを知っているからそれほど未練はなかった。戦士として生き、弟を、人々を救えたことを誇りに思う。すべてを受け入れ、目を閉じたが、死の瞬間は訪れなかった。
足を掴まれ、両腕を触手に拘束され、身動きが取れない状態だった。唐突に股間の部分の布が引き裂かれた。露わになる秘部に理解が追いつかなかった。
「なっ……」
戦士としての最後を想像していた。魔族と人間は違う種族で、これから行われようとしている行為は同族同士でするものだ。少女は理解できないまま、魔神をにらみつけた。
骸骨のような頭部をにらみつけたが、感情は何一つ読み取れなかった。
「ぐごごごごご」
何かを言っているようだった。だが、魔族の言葉など人間の少女が知る由もなかった。
〔交尾する気なのか、言葉も通じない私と〕
死も、痛みも恐怖ではなかったが、その行為を想像した時初めて恐怖を感じた。生きることに必死で戦いに明け暮れた日々、恋すら知らずに生きてきた少女にとってそれは未知であった。いつか戦わなくていい日が来たら、その程度の認識。
「ぐおおお」
魔神の吐息が充満する。思いのほかにどこか甘く、呼吸をするだけで身体が火照るような感覚がした。事実、その吐息には媚薬のような効果があった。番に交尾を促すためのそんな機能なのだろう。
「なんか、あたまがぼーっとしてき、た」
ふわふわした夢の中へと誘われるように、先ほど感じた恐怖も消えていた。
ランス自身は気づいていないが、すでに割れ目からはとめどなく愛液があふれ、自らの太ももを濡らしていた。
「ぐおおおおおお」
やわらかい触手のような魔神の男性器が少女の閉じられた肉壁をこじ開けていく。破瓜の血はあふれ出る愛液と混じりあっていった。
「ああっ、んんっ、ああ、なんか、おなかにはいって、きた」
夢見心地のまま男性器を迎え入れた少女の身体は熱く、より相手を求めるように快楽を強めていった。
「おくに、きたいの?いいよ、もっとおくにきて」
「ぐおおおお」
ランスは自ら腰を振り、魔神もそれに応えるように性器を打ち付けた。
「あっ、あっ、くるっ、きちゃう」
「ぐおお」
「ちょうだい、あなたの、たね、わたしの、おなかに」
「ぐおおおお」
どくどくと脈打つように少女の膣中へとぶちまけられる精液。熱い熱い白濁液は少女の中を満たしていく。少女の小さな身体に入りきらなかった分が溢れ出していた。
「いっぱい、いっぱいだあ」
「ぐおお」
引き抜かれた男性器にどこかさみしさを感じた。
「オデ、オマエ、スキ」
不意に言葉が聴こえた。今、この空間には二人しかいない。ランスは魔神を見つめた。
「オデ、オマエ、ト、イッショ」
「あなたの、声なの?」
先ほどまでただのうなり声にしか聴こえなかったものが、拙いながらもちゃんと言葉に聞こえるようになっていた。
「ソウ、オデ、オデノ、コエ」
「そうか、魔力が繋がったから、気持ちが分かるようになったんだ」
少女は微笑んだ。魔神の気持ちが分かったからだ。敵意など魔神には最初からなかったのだ。そして番を求めていた彼の好意はただただ純粋だった。それが理解できた。
「わたしも、たぶんあなたが好き」
生まれて初めての幸福感に満たされた魔装少女は、このまま流れに身を任せてもいいと思った。
「オデ、オマエ、スキ、オマエ、オデ、スキ」
魔神の喜びが伝わってきた。ランスは自身の下腹部が熱くなるのが分かった。
「もっと、する?」
二人はその後時を忘れて身体を重ねあった。