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楓山金木犀
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くノ一鮮血化粧――其の二

   ☆     初めての出会いは店から数里ほどもある小さなお堂の前。そこはかつで許嫁と逢瀬を重ねた場所でもある。その思い出での地は、今となっては失った許嫁への想いだけが寂しく凝った場所になっていた。  幸次郎はそのお堂を死に場所にしようとしていたのだ。  ――死にたいのなら、そうすればいいわ。  首に縄を掛ける寸前、そう声が掛けられた。  ふっと目をやると、そこには艶やかな着物姿の女が立っている。  お堂の扉が開いた気配はなかった。  ――驚かせたわね。あなた、槍屋の幸次郎さんでしょう。知っているわ、辛い目に遭ったんですってね。  一歩一歩音もなく女は幸次郎に近付いて来る。  ふっと芳香が立った。  ――そんな狐につままれたみたいな顔しないでよ。わたしはお瑶。そうね、今は旅籠茶屋で働いているけれども、ふふ、くノ一よ。  お瑶は隠すことなくそう言った。  くノ一、その言葉に幸次郎は不審な表情を浮かべる。それは噂には聞く権力者御用達の裏稼業。それが本当いるというのか。よしんだいたとしても、何故自分の前に現れるのだろう……。  ――死ぬ気があるなら、わたしに強力しない。  目の前に吊るした縄からも手を離し、幸次郎はお瑶を見つめる。  流れるような黒髪、通った鼻筋、涼しげな目元、着物の上からでも分かる胸の膨らみ……。しばし幸次郎は、許嫁の姿さえ忘れていた。  ――貴男の仇である税吏大蔵重進を仕留めるのよ。  幸次郎は息を飲む。  ――貴男にとっては格好の復讐、許嫁の弔い合戦になるというわけ。ねえ、死ぬ気があるならそれくらいやってみる価値があると思わないかしら。  芳香が強く幸次郎の鼻を擽る。  気が尽くと眼前にお瑶の顏があった。切れ長の目が輝いている。白い頬が薄っすらと紅色だ。唇もぷるりとしていて紅い。  外は既に夜であった。ここに灯りらしい灯りもない。縄の位置を確かめる為に幸次郎が用意した蝋燭が微かに辺りを照らしているのみである。  外は静寂だった。  ――そうね。直ぐに答えもでないでしょう。いいわ、時間を上げる。  お瑶は唇を幸次郎の耳元へと寄せる。  ――ここで、わたしと目交いましょう。一時全てを忘れ、空っぽになって、冷静になったら決めればいいわ。ここで死ぬか、それとも大蔵重進殺しに協力するか。  ごくり、と幸次郎は息を飲んだ。  ここで、この女と交わる……。  それは幸次郎にとって、いや男にとって余りにも魅力的な提案だった。  しかし……。  ここは、そう、今は戻らぬ遠い日の思い出の場所。かつて許嫁と契りを交わしたその場所……。  ――貴男の絶望も怒りも悲しみも憎しみも、今はわたしが受け止めて上げるわ。  お瑶は幸次郎から数歩離れると、着物の上を脱ぎ出す。肩から藍と朱が染め抜かれた布が落ち、衣擦れの音を立てる。襟元が大胆に開く。白い肩と、そして二つの大きな鞠のような乳房が零れ落ちた。  夜目にも幸次郎にはそれがはっきりと分かり、彼の視覚を打った。  まるで天女だ――幸次郎は嘆息する。お瑶の姿は、この世ならぬ艶やかさを放っていた。  ツンと白い鞠の先端に付いた茱萸のような突起は、微かな蝋燭の灯を受けて桜色に揺らめいていた。  ――さあ、来てちょうだい。  天女が妖艶に身をくねらせ、幸次郎を誘う。  感情と欲情に押し流されるように、幸次郎はお瑶を抱いた。  そこは、かつて将来を誓い合った許嫁と初めて契りを交わした場。  しかし許嫁は、悪徳税吏の大蔵に嬲りものにされ、売られてしまった。  その大蔵への復讐を持ちかけてきた女と、幸次郎は今、思い出のお堂で臥所を伴にしているのである。  円い豊かな乳房に吸い付き、舌先で桜色の突起を舐る。  下に仰向けになったお瑶が身悶えする度に、着物は崩れていき、裾は乱れ、白い腿までもが露わになっていく。  立ち上る官能の匂い、お瑶の肌から汗が朝露の如く湧く度に、女の芳しい匂いもまた濃くなっていった。 「あぁん……、いいわ、ふふ、上手ね」  悩ましげな吐息と共に、お瑶は言う。  それに励まされるように、幸次郎はお瑶に跨り、片方の豊乳にしゃぶりつき、もう一方を愛撫していた。  吸い付くような滑らかは肌、柔らかく弾力もある乳房、そしてこりこりとした乳首の感触が指に心地良い。  大きな赤子のように、幸次郎はお瑶の豊乳を吸う。  じんじんと下腹部が疼き始めていた。 「ぅうンン……。ふふ、貴男の腰の棒が、わたしのお腹に当たっているわ」  気がつくまでもなく、幸次郎の陰茎は既に盛大に膨れ上がっており、褌の隙間から擦り出て、お瑶の白い腹に触れていた。 「本当にお乳が好きなのね。絶望に耐え切れず心が赤子に戻ってしまったのかしら。いいわ、好きなだけ吸わせて上げる。でも――」  お瑶は更に声を潜める。 「口で味わうだけが、お乳の愉しみ方じゃないのよ」 「え……」  お瑶の言葉に、幸次郎は銜えていた乳房から口を離す。 「ふふ、興味があるのかしら」  ほんのりと上気した顔が幸次郎を見た。 「なら、そのまま身体を起して。そして、その股間の逞しいものを出しなさい」  言われたとおりに幸次郎は上体を起こし、お瑶に跨ったまま褌を取り払って己の陰茎を晒す。  それは怒張し、反り返って、しかも先端からは先走りの汁すら滴っていた。 「なかなか立派ね。それじゃ、貴男の逞しい腰のものを、わたしの谷間に入れなさい」  お瑶は自分の手を乳房に乗せ、白い双丘が形作る深い谷間を僅かに開く。  むっと女の香りが昇った。  それは、魅惑の胸を一層強調する仕草で、幸次郎は見蕩れ、思わず気を遣りそうになってしまう。  ごくり、と何度目かの咽喉が鳴った。 「うう……」 「何をぼうっとしているの。そのままその腰のものを、お乳の間に入れるのよ。火室(ほと)とは違って、また格別の快感を味わえるわ」  幸次郎はゆっくりと腰を前に進め、片手を陰茎に添えて、そのまま下方から挿し入れるように、僅かに開かれた肉の双丘の間へと自分のものを押し込んだ。 「う、ぐうううっ」  滑らかな肌が、敏感になった陰茎全体を刺激する。  快美感が全身を駆け巡る。が、それだけではない。 「ふふ、ようこそわたしの淫獄へ、いくわよ、媚術・魔羅搾り」 「う――うがああああっっ」  怒張し敏感になった陰茎は、すっかり豊乳の間に閉じ込められた。その瞬間、圧倒的な快感が下半身のから脳天までくまなく狂奔する。下腹部の奥底が一瞬で沸騰させられたかのように、欲情の塊が肉体の奥で滾ってくる。 「如何かしら、わたしのお乳は。極楽、それとも地獄。両方かしらね」  お瑶は乳房を両方同時に上下させ、その間に隠れた陰茎を扱いた。膣のような複雑な襞こそないものの、しっとりと吸い付く肌と柔らかさ、その弾力の感触は凄まじく、凶暴な刺激を幸次郎の陰茎に、そして全身に与える。  幸次郎は指先まで痙攣させ、その快感の波に悶えた。 「あぐううっ、ふぐうううっっ」 「そう、そうやって快感を強く強く感じなさい。己の本能のまま快楽を貪るのよ。そして、それど同時に、快楽がその身体で滾るように、貴男の絶望の元となっている憎しみや怒りも同時に強く強く滾らせるのよ。さあ、快楽はもっと激しくなるわ。同じくらい怒りも、憎しみも……」  お瑶は左右の乳房を交互に上下させる。先走りの液が潤滑油となり、ぬりゅぬりゅと陰茎が扱かれる。外側から圧迫が加わり、陰茎は嘶くように乳間でふるふると震えた。 「ああ……、そ、んな……、きもち……。うぐううっっ――」  頭を振り乱し、汗を撒き散らしながら、いつしか更なる強烈な刺激を求めて自ら腰を前後に振っていた。  白い双丘の谷間からは、僅かな抽送でもずぶずぶと水音が響いてくる。 「いいでしょう。これがわたしの、くノ一の素晴らしさよ。さあ、もっと、もっと心地良くなって快楽を貪り、欲情を滾らせなさい。そうすれば更に怒りや憎しみも燃え上がるわ」 「うわっ、うがああああっっっ」  幸次郎は咆哮を上げる。  それは最早人間の言葉ではない。  豊乳による快美感に狂わされた一匹の牡の獣の叫び声だった。  しかし、この獣には感情があった。そしてその感情は凶暴な快感の強さに比例するように、ますます鮮明になっていく。 (うう、にくい、にくい、ああ、あいつが、あの税吏め――) 「ふふ、いい具合に狂ってきているわね。さあ、もっとよ」  お瑶は自在に乳房を操り、幸次郎の陰茎を閉じ込め、圧迫し、扱き、責め立てる。幸次郎の自分勝手で乱暴な腰の動きに合わせるように、巧みに乳肌を擦り付けていった。  その時、どくん、と幸次郎の身体が脈動した。 「そろそろかしら。まあ、よく耐えた方ね」  するとお瑶は、両腋を締め、魅惑の谷間に閉じ込めた陰茎全体を豊乳によって一気に圧迫する。 「ああああっ、ああああっ」  口角から唾液を垂らし、咽喉を見せる程顔を反らせて、幸次郎は絶叫した。  鮮烈な快美感が全身の快感神経を焼き切りそうになる。 「いい声よ。さあ、その欲情と感情を解き放ちなさい――」  ぎゅうう――ときつく乳圧を加え、お瑶は乳獄の中の虜を搾り上げる。  陰茎が谷間で激しく脈動し、暴れた。 「あうっああ、うがああああっっ」  下腹部から尿道に掛けて熱いものが迸り、鈴口から白濁が噴き出す。  それは閉じられた双乳の隙間からも滲み出て来て、次第に零れる量は増えていく。 「一発でこんなに出すなんて……。絶望で欲求はなかったみたいだけれども、溜まっているものは溜まっているのよね。それとも、死を前にして子孫を遺そうとする本能の所為かしら」 「うぅ……、はぁ、はぁ、はぁ……」  最後の一滴間まで搾り取るように乳圧を加えると、またびくびくと陰茎は震え出し、精を放った。  上乳や肩、首や顎が白濁に汚れるのも構わず、お瑶は陰茎を搾り続ける。 「ひい、も、もう、や、やめて……あああっ」 「遠慮することないわ。最後まで面倒見て上げるわよ」  そう言って、お瑶は口角付近に付着した白濁を、舌先でぺろりと舐め取った。 「少しは落ち着いたかしら。それで、どうするの。このまま首を縊って死ぬか、それとも……」  並んで肌を密着させるようにして、二人は寝そべっていた。  既に着物は脱ぎ捨てられて、幸次郎もお瑶も全裸である。  お瑶の身体を汚した白濁はすっかり拭き取られていた。幸次郎の陰茎もまた奇麗になっており、硬さは先程よりはない。 「……お、俺は、やはり、きやつを許せない。おれの許嫁を……」  ぽつりと零すように、だがしっかりと幸次郎は言う。  お瑶は満足そうな笑みをうかべると、 「そうよね。なら、わたしに協力して頂戴。大蔵重進殺しを――」  幸次郎は首を回し、お瑶の顏を見る。  それは穏やかだが、凄艶な天女の顏だ。  その射抜くような、見透かすような目が幸次郎を見ている。  偽りを述べる理由はなかった。 「ああ、仇討ちだ。協力する……」 「ふふ、良い子よ。なら、決まりね」  するとお瑶は、幸次郎の頭を抱きかかえ、その顔を豊乳で覆った。 「むぐぐ……」 「まだよ。もっと怒りを、もっと憎しみを高めなさい。いざ、その時の為に……」  柔らなで弾力のある乳房が、幸次郎の顔面を包み、扱く。 「余計な恐怖も、情けも要らないわ。只わたしの言うことだけを聞いていればいい。そうすれば貴男の願いは叶うのだから……」  幸次郎の願い。  許嫁の復讐。 「さあ、契りの儀式を続けましょう。夜はまだまだ長いわ」  蝋燭はとうに尽きていた。  宵闇の中、お瑶に抱かれながら、幸次郎は快楽と憎悪を滾らせていく。  かつて、別の女と幸せな愛を誓い合った場所で、幸次郎は淫靡な天女によって快楽と復讐の誓いを結んでいくのだった。

Comments

コメントありがとうございます。 近々三章目も投稿したいと思います。 こちらこそ、お待ち頂き、しかも楽しんで下さったようで感謝です。

楓山金木犀

短期間に2本もすごく待ってたのでうれしいですありがとうございます。


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