SS 俺ガイル 川崎沙希 八幡誕生日
恋人の誕生日に彼の部屋を訪れる。その意味が分からない程に川崎沙希は子どもではなかった。
けれど、具体的に何が起きるのかハッキリと分かるほどにはセックス経験があるわけではなかった。
沙希はつい先日、夏休みも始まって2週間が過ぎた頃にようやく初体験を迎えたばかりだった。
言い換えればセックス体験はまだその1回のみ。彼女はクールを自覚し、自分から性的な情報を集めて回るような真似はしてこなかった。だから同年代女子に比べて性知識は不足している。性的なことは全て八幡リードに任せていた。そして、その姿勢は今日も同じだった。
「あっ♡ あああっ♡ はっ♡」
沙希は裸で抱き合いながら八幡とキスをしていた。
とても恥ずかしかった。
キスなら付き合い始めてから何度もしてきた。先日の初体験時もした。
けれど、キスをしたのはいずれも服を着ていた時だった。
セックスの最中にもキスしたが、それは気分が盛り上がった八幡が一方的に唇を合わせてきたものだった。
裸で抱き合いながら合意の下に自分から八幡の唇を啄む。シチュエーションが少し変わるだけで恥ずかしさが段違いに胸の奥から込み上げてくる。恥ずかしさで死んでしまうという表現が誇張ではないぐらいに。
けれど、沙希はキスを止めようとは思わなかった。
「おおぅっ」
八幡が実に気持ち良さそうな声を上げながらキスに没頭しているから。
恋人が喜んでくれている。しかも今日は八幡の誕生日。沙希がキスを打ち切る道理は何もなかった。
沙希は一匹狼で何事も自分を優先しがちと思われている。けれど、それは大きな誤解に過ぎない。彼女はいつだって家族ファーストだった。そして今は、恋人である八幡ファースト。彼女にとって大切な存在の願いを優先する少女だった。
八幡にとっては幸せな、沙希にとっては恥ずかしさでいっぱいのキスが終わり、沙希の身体はベッドに寝かせられた。
八幡は沙希の身体に覆いかぶさると胸を揉み始めた。
「ふわっ」
沙希の口から驚きとも嬉しさともつかない声が漏れ出た。
オナニーもあまりしたことがなかった沙希は性感帯が発達しているとは言えない。胸を弄られても性的に感じるということはない。けれど、精神的な充足感は異なる。
好きな男に愛して貰っている。沙希にとって胸攻めは幸せな瞬間にあることを確認させてくれる行為に他ならなかった。
つい先日まで童貞だった八幡の拙い攻めは続いた。胸を攻めても、秘所を攻めてもテクニックと呼べるものはなかった。
けれど、その拙い攻めを受ける沙希の方が精神的な満足感を強く覚えていた。その満足感は秘所から愛液を滲ませるという変化を産んだ。
「…………そろそろ、挿入して良いか?」
八幡は激しく怒張したペニスを沙希に晒しながら挿入の許可を求めた。
ベッドに寝かせたその瞬間から挿入したくて堪らなかった。けれど、アソコがなかなか濡れて来ないことでじれったく感じていた。
それが、沙希の心の充足によりようやく準備が整った。下半身に支配され掛けていた少年にとって待ちに待った瞬間だった。
「…………うん♡」
八幡の願いを叶えてあげたい。沙希は健気な想いを胸に抱きながら頷いてみせた。
初体験の時はとても痛かった。身体の中心を引き裂かれていく感触は普通なら耐えられるものではなかった。けれど、沙希の膣内に入り込んで八幡はとても嬉しそうな表情を浮かべていた。八幡が喜んでくれていることで沙希は痛みを幾らでも喜んで受け入れることができた。
まだ一度しか経験したことのないセックスは沙希にとっては性的な快楽をもたらしてくれるものではない。けれど、幸せそうな八幡を見られるので彼女にとっても幸せな行為だった。
「行くぞ」
八幡の亀頭が沙希の膣内へと入り込んできた。
沙希の歓待の意思とは裏腹に、膣はなかなか八幡のペニスを飲み込んで行かない。けれど、それでもゆっくりと奥へと入り込んでくる。
痛い。身体に異物が入ってくるのは2回目となっても慣れない。
けれど、感じる痛みは初体験の時より少なくなっているのが分かった。
八幡のペニスを膣壁まで受け入れる時間も初体験の時と比べると随分と短かった。
痛くない。短い。
そう感じられる分だけ沙希には余裕が少し出ていた。
余裕の分だけ八幡を見つめることができる。好きな男の望みをより良い形で叶えて上げることができる。
それが、沙希とって幸せだった。
「動くからな」
宣言した後で八幡はピストンを始めた。
荒々しいが単調で前戯同様にスキルを感じさせない腰遣いだった。
けれど、八幡が自分のお腹の中に入って気持ち良くなろうと動いている。
その事実が沙希を幾らでも幸せへと導いてくれた。
「…………大好き♡」
沙希は微笑みながら真心からの言葉を八幡に向かって発してみせた。
2人の愛の営みはまだ始まったばかりだった。