SS 負けヒロインが多すぎる 八奈見杏菜 青年誌向け設定
ラノベ大好きムッツリオタクぼっち少年温水和彦はつい考えてしまう。
「八奈見さんが少年漫画のキャラみたいな設定ではなく、青年誌漫画の負けヒロイン設定だったら……」
偶然と必然が様々重なって日常的に接する様になってしまったクラスメイト八奈見杏菜。ぼっちを貫き通す人生だった温水は、リアルな彼女よりも脳内の彼女とアレコレするのに忙しかった。
そんな彼が今日考えていたのは、負けヒロインの設定が現実とはちょっと違うというものだった。杏奈はセックスが日常的に描かれてしまう青年漫画雑誌のヒロインに変換されていた。
{草介、これから学校に行かないといけないのに……あああっ♡ 朝から乱暴だよぉっ♡}
幼馴染の草介を起こしに部屋を訪れた杏奈は押し倒されてそのままセックスしていた。
2人は別に恋人同士という訳ではない。けれど、性に興味津々になった中学生の頃から何となくセックスする仲になっていた。
何となく、とはなっているが、それは草介に限ってのこと。杏菜は本気だった。草介のことを愛していた。だから受け入れた。セックスは彼との愛情を確かめる行為に他ならなかった。
{出すぞっ!}
{今日は危ない日なんだから……駄目ぇえええええええぇっ♡♡}
体を震わせながら草介の精液を子宮に受け入れる。
何も考えずに膣内に出したがる草介を本気で拒むことができない。もし、本当に妊娠という展開になってしまえば。その時こそ草介との仲が本物に変えられるかもしれない。社会的な成功よりも愛に生きていた。
だからこそ、草介が恋人に姫宮華恋を選んだことは本当にショックだった。
草介にとって杏菜とは身体だけの関係だった。肉欲と愛情を別に考えていた。
鈍感なだけで最後は自分を選んでくれる筈。処女を捧げ、その後も身体を捧げ続けた。セックスが好きだからではなく、草介が好きだからだった。その想いは伝わらなかった。
{私、何をやっていたんだろ……}
結局、学校を休むことになってしまい、シャワーを頭から浴びる杏菜の瞳は虚ろだった。
「八奈見さんがセックス経験豊富な非処女だったら……僕は、どう接していたんだろう?」
恋人どころか異性の友達もいない童貞を極めている温水にとって、杏奈が経験済みだったら手に負えない存在になっていた。
温水は八奈見杏菜が少年漫画寄りの負けヒロインで心底安堵したのだった。