SS ロシデレ マーシャ 犬山まなファッション
「久世く~ん♪ ちょっとこの服を見て~♪」
とある日曜日の午後、近所をぶらっと散歩していた時のこと。
公園の前を通ると中から声を掛けられた。マーシャ先輩だった。やたら嬉しそうに手招きしている。
俺は散歩を中断して彼女の元へと駆け寄ってみた。
「こんにちは、マーシャさん。今日はまた随分と嬉しそうですが一体どうしたんですか?」
「犬山まなちゃん(CV:藤井ゆきよ)っていうお友達から、日本の乙女の最先端ファッションの服をもらったのよ~♪ とっても可愛いでしょう♪」
マーシャ先輩は大きな胸を突き出しながら可愛いとご自慢のファッションを披露してくれた。
黒字のシャツに、胸の部分に大きく黄色い猫がプリントされていた。サイズが合っていないというか、先輩のおっぱいが大き過ぎるからか。猫の顔が左右に引っ張られて何だか酷いことになっていた。
「すっ、素敵な、ファッション、ですね……」
コメントに困ったがとりあえず褒めておくことにした。
マーシャ先輩の性格はそう長くない付き合いの中でもわりと分かっている。自分が認めた可愛いを貫く人だ。この猫シャツが可愛いというのを譲る気はない筈だ。
「そうでしょう~♪ 可愛い猫ちゃんが正面で強調されていて惚れ惚れしちゃうの~♪」
先輩のおっぱいのせいで猫がやたら苦しそうですが。心の中でツッコミを入れておく。
犬山まなという少女が何者なのか俺は知らない。けれど、猫シャツを堂々と着るぐらいだから子どもっぽいファッションセンスの持ち主で間違いないだろう。それが、可愛いもの好きのマーシャ先輩の琴線に触れたのだと。
でも、俺は見誤ってしまった。犬山まなという少女の真に注目すべき点を。
「まなちゃんはとっても凄い力を持っているのよ~♪」
「どんなですか?」
「妖怪にすっごく好かれ易い体質でね~♪ 毎週のように霊障に巻き込まれちゃうんだって~♪」
「えっ? 霊障?」
令和の日本には似つかわしくないパワーワードが先輩の口から飛び出た。
でも、先輩は朗らかに笑っているが冗談を言っている様には見えない。この人と一緒にいるとよく現実を超越したメルヘンな世界に飛ばされてしまうことがある。妖怪のいる世界にぶっ飛ばされてもおかしくはない。非科学的ではあるけれど……
「この服を着ていると、まなちゃんと間違えて私にも妖怪たちが近付いて来るかもしれないんだって~♪」
「それって、マズいんじゃ?」
大量の冷や汗が額から流れ落ち始めた。
「可愛い妖怪さんなら会ってみたいよね~♪」
「出てくるのは絶対に可愛くない妖怪ですって!」
マーシャ先輩は霊障という言葉の意味を絶対によく分かっていない。可愛くて害のない妖怪と遭遇しても霊障とは言わないのだから。
ヤバいヤバい。俺の本能が危険を告げていた。理性もまた最大限の警戒を訴えていた。
「マーシャ先輩、そのシャツを脱いでくださいっ!」
「そんなっ! こんな昼間から、しかも公園で服を脱いで裸になれだなんて……久世くんのえっち♡」
「そんなことは言ってませんよっ!?
「でも、久世くんの頼みなら……ポッ♡」
マーシャ先輩は恥ずかしがって頬を赤らめた。でも、嫌がっている様子でもない。
駄目だ、この人。俺の話が、危機感が通じていない。
そして話が嚙み合っていない内に霊障の方がやって来てしまった。
「なんか……アニメでよく出てきがちな尻尾と羽根が生えた悪魔っ娘みたいな少女が飛んできましたよっ!?」
目を疑ったが、心の方は納得していた。現実を通り越して妖怪の世界に足を踏み込んでしまっているのだと。
「しかもあの悪魔っ娘、何だか透けてますよ? もしかして……幽霊っ!?」
非現実を二乗する事柄が口からポンポン出てくる。
「あの姿……まなちゃんから聞いたことがあるわ。アレは……サキュバスね~♪ 羽と尻尾がとっても可愛いわね~♪」
「それじゃあ、サキュバスの幽霊ってことですか?」
サキュバスって幽霊になるんですかっ!?
心の中でどうでも良いツッコミを入れてしまう。
生まれ育った環境ゆえに危機対応能力にはそれなりに優れている。そう自負してきたが、それは現実の人間世界に限ってのこと。妖怪、しかも幽霊化している存在を前にすると頭がこんがらがってしまった。そして、俺が次の行動を打ち出せない内に悲劇というか、とんでもない事案の種は撒かれてしまった。
「さっ、サキュバスの幽霊が先輩の身体に乗り移ろうとしているっ!?」
サキュバス幽霊は先輩の身体の中に頭から入り込み始めていた。
「わあ~♪ 一生で一度体験できるか分からない神秘体験ね~♪ 素敵だわねえ~♪」
「感動している場合ですかっ!? 身体を乗っ取られてしまう前に早く逃げないとっ!」
慌ててマーシャ先輩の手を掴んで離脱を図った。けれど、行動を起こすのが遅すぎた。
俺が走り出そうとした時には既に彼女の身体にサキュバスの幽霊は完璧に入り込んでしまっていた。
「久世くん♡」
「なっ、何でしょう……?」
先輩の雰囲気は明らかに変わっていて、俺の全身から噴き出る冷や汗の量は格段に増えていた。
朗らかな表情なのは何も変わらない。けれど、全身から纏うオーラがピンク色に変わっていた。
「えっち、いっぱいしようね♡」
「へっ?」
俺は一瞬、彼女が何を言っているのか分からなかった。
でも、マーシャ先輩は本当にサキュバスの幽霊に憑依されてしまっていた。
「ホテル、入ろっか♡」
彼女は俺の腕を掴むと凄い速度で走り始めた。
「いいっ!? 何でこんなに力強いんだっ!? 解けない……」
か弱い女性である筈のマーシャ先輩からは考えられない程の力強さで俺は引っ張られていた。掴んでいる手を全く解けない。
それに、運動が得意そうに見えない先輩からは信じられない程の高速で道路上を走っていた。俺は転ばない様に全力疾走で付いて行くのがやっとだった。
先輩の身体に憑依したサキュバス幽霊が何かの力を行使している。非科学的でもそう考えるしか納得できない。
そして、俺は自分に起きていることをよく理解できないまま駅近くのラブホテルへと連れ込まれてしまったのだった。
俺は先輩に放り投げられる様にしてホテル内の一室に連れ込まれた。
初めて入った男女が愛を営む場所に脳の処理が追い付かず、ますます混乱してしまう。
一方でサキュバス幽霊に乗っ取られてしまっているマーシャ先輩の方は行動に躊躇がなかった。
「えっちする為に、服を脱ぐね~♡」
「へっ?」
混乱が立ち直れない俺の前で、先輩はストリップショーを始めてしまった。
所作は上品ながらも服を脱いでいく動きは決して止まらない。シャツを脱いでスカートを脱いで白い清楚な下着姿に。
けれど、彼女はブラとパンツを晒しても手の動きを止めなかった。
「なっ!?」
マーシャ先輩は下着も戸惑うことなく脱いでみせた。大きな乳房の頂きにある桜色の突起物も、淡い茶色い茂みも全部が丸見えだった。
見てはいけない。そう言いつつもストリップの最中から目が離せなかった。だって、男だもの。妹のあざとヌードとは訳が違う。そこには完成された美が存在していた。
「久世くん……私の身体、どうかな?」
「…………とても、綺麗です。それに、すごくいやらしいです……」
素直な感想を喋りながら自分にとても強い違和感を覚えた。普段の俺であれば、例え混乱しているにしても『いやらしい』なんて女性に向かって口にしない。
それでふと気が付いた。俺はサキュバスの幽霊に魅了されてしまっているのだと。
マーシャ先輩が超人的な力を発揮したのではなく、魅了された俺が弱体化したせいでホテルに連れ込まれるのを抵抗できなかった。そう考えた方が自然だった。
そして、今の状況はもう詰んでしまっていることに気付いたのだった。
「そう♪ 久世くんに気に入ってもらえて良かった♡」
先輩は俺の手を引くとベッドに仰向けに寝かせたのだった。
マーシャ先輩は俺を引く手に力を込めていなかった。なのに解けなかった。俺が魅了されているのはもう間違いなかった。
先輩は俺を寝かせた後で、腰の上に跨ってみせた。我が校の全校男子がきっと見たがっているに違いない彼女のアソコからは愛液がトロトロと止まることなく流れ落ちているのが視界の片隅に入っていた。
「久世くんは何の心配も要らないの♪ 痛い想いをするのは私なんだから♡」
「えっ? それってどういう……」
彼女は質問に口では答えなかった。代わりに行動で指し示した。
マーシャ先輩は腰をゆっくりと下ろしていき、いつの間にかビンビンに勃起してそそり立っていた俺のペニスを膣内へと咥え込んでいったのだった。
「へっ? 先輩っ!? それは幾ら何でも……」
「痛ったぁああああああああぁっ!」
俺の亀頭が先輩の膣内に潜り込んだ辺りでマーシャ先輩は大きな悲鳴を上げた。
悲鳴から少しして、俺達の結合部からは真っ赤な血が流れ落ちてきたのだった……
「処女膜が破れて血が出ただけだから心配要らないわよ♡」
「処女膜が破れたって……えぇええええええええええぇっ!?」
先輩の処女を俺が奪ってしまった。
その事実に気付いてとても焦った。
だって、俺とマーシャ先輩は恋人同士ではない。それに先輩には──
「先輩には恋人がいた筈じゃ……確かさーくんって名前の……」
妖怪幽霊の仕業とはいえ、恋人のいる女性の初めてを奪ってしまった。
漫画なら泥沼必至の展開だ。俺は、自分がさーくんに包丁で刺されて血の海に沈む最期をありありと想像してしまった。
「さーくんのことは良いの。久世くんが初めての相手なんだから♡」
「それって、一体……?」
サキュバスに乗っ取られている先輩の言葉の意味はよく分からなかった。
彼女はそれ以上の説明はせず、代わりに俺と繋がっている腰を上下に動かし始めた。
「痛い。けれど、気持ち良い♡ 久世くんとえっち、してるからかな♡ あんっ♡」
はじめは痛みが勝ってぎこちなかった先輩の動きは、時間が経つに連れてリズミカルなものに変わっていった。
動きが軽快になるに連れてマーシャ先輩の表情は穏やかなものへ、そして興奮を楽しんでいるものへと変わっていった。
「あああっ♡ えっちってこんなにも気持ち良いのね♡ 自分でもシタことがほとんどなかったから知らなかったわ♡ ああっ♡ あああああっ♡」
マーシャ先輩は本当に気持ち良さそうな顔と声を表しながら俺の上で腰を振り続けている。対して俺は何とも答えることができなかった。
経緯はともあれ、俺がマーシャ先輩の初めてを奪ってしまったのは変えようのない事実だ。すぐにでも不誠実なセックスを止めさせないといけない。
でも、できなかった。初めて味わう女性の肉襞はあまりにも気持ち良過ぎた。それに、相手は誰もが美女と認めるマーシャ先輩。俺とも浅からぬ縁が産まれている。そんな美人で親しいお姉さんとのセックスを途中で止めたいとは本能が思わなかった。むしろ一分一秒でも長く彼女の柔肉を堪能したい。そう考えてしまっていた。
だけど、彼女で童貞を失ったばかりの俺にセックスを長く楽しめる余裕なんてあるわけがなかった。
俺のペニスはもう限界を迎えてしまっていた。彼女の子宮に精液をぶちまけたくて仕方ない衝動が全身を支配していた。
「マーシャ先輩……そろそろ、抜いてください。俺、今にも先輩の膣内に出しちゃいそうです……」
最後の理性を振り絞って先輩にペニスを抜いてもらう様に訴える。万が一にでも妊娠なんて展開になったら大変だ。そこだけはまだ理性がまだ勝っていた。ところが──
「このまま出して大丈夫だよ♡」
「えっ?」
今日は大丈夫な日、というやつなのだろうか?
そう思ったが、答えは違った。
「だって私…………さーくんのお嫁さん。じゃなくて……サキュバスだもん♡」
先輩は妖艶に微笑むと膣をギュッと締め付けてきた。
ペニスに絡み付く肉襞の更なる刺激に俺は耐えることができなかった。
「うわぁあああああああああぁっ!?」
情けない声を上げながら精液を一斉に彼女の子宮目掛けて解き放っていた。
「…………これが精液。さーくんの……久世くんの赤ちゃんの素が子宮に流れ込んでくる感覚♡ これが……幸せ♡♡」
俺の精液をお腹の中で受け止めながらマーシャ先輩は幸せ満面な笑みを浮かべてみせたのだった。
騎乗位でのセックスを終えて、俺たちはベッドに寝ながら休んでいた。初めてのセックスで自ら動いてハッスルし過ぎて先輩はお疲れだった。
一方で俺も、恋人でない女性と最後までシテしまって。しかも、膣内射精してしまって。どうリアクションを取れば良いのか分からなかった。
黙ったまま何も言えない俺に対して彼女は述べた。
「赤ちゃんデキちゃったら……責任取ってお嫁に貰ってね♡」
ゾッとする一言だった。でも、俺がシテしまったことを考えれば仕方のないことだった。
サキュバス幽霊のせいとはいえ……そう言えば、いつの間にかサキュバス幽霊のピンク色の気配を感じなくなっていた。魅了が解けたのっていつの段階だろう?
「個人的には、赤ちゃんがデキてなくても久世くんのお嫁さんにして欲しいなあ♡」
マーシャ先輩は甘えた声を出してみせた。
恋人のさーくんは?
聞きたかったが、聞けなかった。
恋人ではなく純潔を捧げた相手に嫁ぐ。マーシャ先輩がそういう貞操観念の持ち主である可能性は十分に考えられた。ロシアのしきたりとか九条家の家訓とか俺はよく知らない訳だし。
「アーリャちゃん共々、姉妹纏めてお嫁に貰ってね♡」
マーシャ先輩はとても良い表情で望みを口にしてみせた。
妹も一緒に娶る凄すぎるおまけ付きの望みを。
「ぜっ、善処します……」
俺はその願いを無碍に断ることができなかったのだった。