SS デレマス 前川みく 警鐘
「アイドルとプロデューサーが結婚する。ウマ娘はトレーナーと結婚する。プライベートと仕事の分別を失くした良くない流れにゃっ!」
学校では真面目な前川さんとして有名な前川みくは昨今のアイドルやウマ娘の電撃寿引退の流れに警鐘を鳴らしていた。
「ウマ娘の恋愛事情はよく知らないけれど……アイドルは恋愛ご法度にゃっ! みくは、ファンの為にもアイドルの恋愛を全面的に規制を提唱するのにゃっ!」
みくは早速自分の訴えを行動に移した。
「アイドルはファンのみんなのものであるべきにゃ。だからみくは、特定の人と交際したりせずに、ファンのみんなを愛しているにゃ♪」
みくの訴えは、アイドルとしてはある種妥当なものだった。
特定の異性と交際しているアイドルに貢ぎたがるファンはほとんどいない。売り上げがないアイドルは引退に追い込まれるだけ。それを考えれば間違ってはいない。間違っていないのだが……
「ふ~ん。プロデューサーの肉便器としてデビュー前から好き勝手に使われて続けている私を滅そうというわけ? ふ~ん」
「私は渋谷さんを肉便器として使ってなんかいませんよっ!?」
「駄目男沼に嵌り、駄目プロデューサーのお世話に人生を棒を振ろうとしている私の生き方を全面否定するというのですか?」
まっとうな筈の指摘は、アイドルというものを歪んだ形でしか捉えることができない一部の少女たちには大不評だった。
「ふ~ん。でも、禁止されたのなら仕方ないわねっ! 規制が憲法に条文で載ってしまう前に寿引退するしかない。プロデューサーっ! アンタには今日からフラワーショップSHIBUYAの二代目見習いとして働いてもらうから。頼りにしてるよ、旦那さま」
「私はまだプロデューサーを辞めるつもりは……嫌ぁああああああああああぁっ! 渋谷さんの人さらいぃいいいいいいいいいいぃっ!」
「私の苗字は今から武内っ! 渋谷なんてここにはいないっ!」
「千枝のお腹にはプロデューサーさんの赤ちゃんがいるんですよ♪ まだ小学5年生ですけど、私はママになります。プロデューサーさんはパパになって、くれますよね?」
一部のアイドルはみくの提案を逆手に取って、プロデューサーとの結婚の時計の針を一気に進めていった。
その結果、みくが恋愛規制を訴えてからごく短い時間に、過去最高の寿婚が生じて、多くのアイドルとプロデューサーがアイドル業界から去る結果となってしまった。
世間では、アイドルを目指す少女は、プロデューサーとの結婚が目的の婚活を行っているのではないかと揶揄する意見が増えてしまった。
「ふにゃ~っ! アイドル全体の世間の印象が悪化してしまったのにゃ~っ! こうなったら、心ある有志を募ってアイドル界を盛り上げるのにゃ~っ!」
みくはアイドル界の盛り上げを熱く訴えた。だが、呼応してくれるアイドルはほとんどいなかった。そして、ほぼ唯一応えてくれたアイドルは……
「おおっと~っ! みくにゃんのお願いに応えてシンデレラガールの未央ちゃんが全裸でステージに登場だぁ~っ! うっふ~ん♡」
「ぎゃああああああああああああああぁっ!? みくのステージを不健全にしないで欲しいのにゃぁああああああぁっ!?」
本田未央は全裸でイベントに登場して、みくの健全アイドル再活性化運動をぶち壊したのだった。真面目な前川さんの目標は叶わなかった。だが、それでも前川みくは諦めない。
「みくはたった1人でも夢を諦めないのにゃっ! 猫キャラアイドルとして戦い続けてやるんだにゃ~~っ!」
どれだけ仲間たちが寿引退しようが、事案で炎上しようが鋼の意思で突き進むことを心に誓って突き進んでいく。
前川みくはただ可愛いだけの猫アイドル少女ではなかった。
スキャンダル発覚? 猫アイドル前川みくは魚が食べられない? 猫キャラになりきれていないと批判殺到炎上中
とあるロケで魚が食べられず猫キャラになりきれていないという理由で炎上。だが、それによって世間の注目を集めることに成功という逞しさを発揮してみせたのだった。