SS シャニマス 櫻木真乃 心配
「真乃はその場の勢いで声を掛けたらアイドルになってしまった様な人を疑わない子だ。アイドル業界の闇を果たして切り抜けられるだろうか?」
286プロのアイドルプロデューサーは、担当アイドルである櫻木真乃について強い心配を抱いていた。
真乃は芸能界に全く興味がなかった。プロデューサーである男が丘から聞こえてきた歌声に惹かれてスカウトしてみたところ、翌日には業界入りを承諾してしまった。
欲と利権と悪意が渦巻く芸能界において真乃は純粋すぎる。養成所にも通ったことがないので後ろ盾もなければ、警戒心もなく対処ノウハウも知らない。男の方から注意喚起はしているものの生来の人の良さゆえにあまり真に受けている様には見えない。
「騙されていやらしい撮影を引き受けてしまったりしないか心配で仕方がない」
男は頭を抱えた。
真乃の純真さはファンやアイドルパートナーの心を掴むのに長けている。だが、汚い大人に相対するにはあまりにもリスクが高かった。
「女性スタッフだけで撮影しますと言われれば過激な水着撮影。いや、それどころか、掲載はしないからとヌード撮影もされてしまいそうだ……」
男の中で妄想が広がっていく。
***
{櫻木さん、次はこの水着を着て頂けますか?}
スタッフの女性が手に持っている水着を見て、スタジオで撮影中の真乃は仰天した。
{ええぇえええぇっ!? これ、ほとんど紐じゃないですか……}
撮影主任女性が持っている水着は、そう呼ぶにはあまりにも布地が少なかった。少女の言葉通りにほとんど紐の様な形状だった。
{ここには女性スタッフしかいませんから大丈夫ですよ。それに、様々な水着を着ていただきますが、その中で採用されるのは多くて2、3枚程度。過激な水着写真が採用される確率はほとんどないと思いますよ}
{そっ、そうですか……分かりました……}
真乃は内心では嫌だったが、仕事だと思い、スリングショット水着を受け取ってみせた。
撮影スタッフが全員女性なのも真乃の拒否感を和らげた。現場スタッフは女性でも、その上司や雇用主はギラギラした男たちであることに想いが至らずに。
{渡して頂いた水着に、着替えてきました……}
真乃は恥ずかしさが赤面となって表情に出ていたが、律儀に紐水着を着てきた。
今人気上昇中のアイドルの過激写真を撮る様に命じられているスタッフ主任の女は内面で黒い笑みを浮かべてみせた。
それからしばらくは普通の撮影が続いた。真乃の表情も段々と恥ずかしさが取れて行った。真乃が水着撮影に慣れたところで女は次の段階に進むことにした。
{これからは着替えは後にしてまずポージングをきっちり掴むことにしましょう}
{あっ、はい。分かりました}
真乃は素直に頷いてみせた。
{では、ポージングに見合う水着を後からチョイスしますので……櫻木さんには裸になって予備撮影に臨んで頂きます}
{はっ、はっ……裸、ですかぁあああああああぁっ!?}
ヌード撮影を言及させて、落ち着きを取り戻していた真乃は再び動揺した。
女は自分の給料の為に純粋な少女を貶めようとしていることを全く顔に出さずににこやかに説明を続けた。
{カメラを向けるだけで実際には撮影はしません。スタッフにもいつもよく言い聞かせてますから}
女の言葉は一部本当で一部嘘だった。少女アイドルのヌード撮影を実際に担当するのは彼女のみ。他のスタッフたちには撮影させない。アイドルを安心させる為であり、他のスタッフが自分に代わって甘い汁を吸うことがない様にするための予防でもあった。
{………………分かりました}
長い逡巡の果てに真乃は了承してみせた。
女の提案を、自分がモデルとして満足する水準の写真を提供できていないからだと自分に責任を負わせる形で解釈してみせたのだった。
{………………脱ぎます}
真乃は乳首と秘所を僅かに隠しているに過ぎない紐水着を脱ぎ去ってみせた。
控えめな性格に似合わない巨乳の全貌がスタッフたちの眼前に晒される。見事なプロポーションに感嘆の息を呑む音が聞こえた。
{はっ、恥ずかしい……}
涙目を浮かべる真乃は恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだった。
女性だけの空間とはいえ、スタジオ内でスタッフの前で裸になる。それは、大浴場で同世代のアイドルたちと一緒に入浴するのとは訳が違っていた。
{うぅうううううううぅっ}
両腕を使って胸とアソコを隠してしまいたい衝動に駆られる。けれど、撮影現場ということで真乃は必至に衝動を抑えつけた。顔中が真っ赤に染まっていたが、何とか隠さずに立っている。大事なところを丸見えにして恥ずかし気に立つ少女は如何にも男たちの劣情を誘いそうだった。
{これは……次のボーナス、期待できるんじゃないかしら}
女主任はヌード撮影の見返りを期待してほくそ笑んでみせたのだった。
***
「真乃が騙されて破廉恥な撮影をさせられないか……心配だぁあああああああああぁっ!」
男は両手で頭を抱えながら絶叫していた。
そんな後姿をイルミネーションスターズの面々が見つめていた。
「プロデューサーさんは……一体、何を心配しているのでしょうか?」
「真乃は私たちが守るから何の心配もないわよ」
「そうそう♪ 真乃を一人で撮影に出向かせたりなんかしないって」
「よっ、よく分かりませんが……ありがとうございます」
真乃はユニットアイドルの2人にガッシリと手を握られていた。
少女は多くの者によって気付かれることなく守られていたのだった。