SS ひぐらしのなく頃に 園崎詩音 アフターからの始まり
「あぁあああああぁっ♡ 悟志くんのおちんちんが、私の一番深い所に当たって。とっても気持ち良いですぅうううううううううぅっ♡」
愛しい恋人に平日の昼間から抱かれて喘ぎ声が止まらない。
私をオンナにした彼のモノは私の性感帯を的確に擦り付けていやらしい刺激をいっぱいにくれる。 私たちはいつの間にかセックスに慣れて、肌を重ねることに精神的よりも肉体的な満足を得る様になっている。
逆に言えば、セックスしながらも私の心はモヤモヤを抱えていた。
「詩音……そろそろっ」
腰を振る悟志くんの表情に余裕がなくなっている。射精の時は近い。
それに対して私の答えはいつも決まっていた。
「初体験の時に悟志くんは言ってくれましたよね? 詩音のこと、もう一生放さないって」
「確かに言ったけど……」
「なら、男らしく最後までシちゃってください♪ 私は……悟志くんのもの、ですから♡」
悟志くんに射精を促す。
現役女子大生としては膣内射精を要求するのはよろしくないことなのかもしれない。
でも、私は自他ともに認めるなんちゃって女子大生。大学がある大きな街の方に行くのは出席点呼のある必修授業がある週に2日(連日)だけ。
残りの日は興宮に戻って悟志くんと同棲しながら暮らしている。私たちは共に葛西が新たに出店したフルーツパーラーの店員として働き生計を立てている。大学生をクビになったとしても生きては行ける。お母さんは怒るだろうけど。
鬼婆が亡くなり、まだ大学生であるお姉に代わって園崎の実権を握ろうとする親戚たちが権謀術数を巡らす園崎の中枢からは完璧に手を引いた。代わりに悟志くんと興宮の一市民として静かに生きる道を選んだ。
だからこそ、悟志くんとの幸せな生活は守らないといけないいけない。
「詩音……出すよっ!」
悟志くんが私の腰を強く掴んで自分の方へと引き寄せた。
次の瞬間……激しい熱と液体がお腹の中を駆け巡る刺激で私の頭の中は真っ白になった。
「悟志くぅううううううううううううううううううううんっ♡♡」
赤ちゃんの素を子宮の中で感じながら、私は快楽によって意識をしばし手放した。
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「…………今の僕には詩音だけだから。君がこうして一緒に居てくれて本当に嬉しいよ」
悟志くんと枕を並べて寝るピロータイム。
私の彼氏さまはとても嬉しいことを言ってくれる。でも、悟志くんのその言葉にはとても重くて悲しい含みがある。
「悟志くんには私だけなんてことはありませんよ。みんなが、いるじゃないですか」
私の励ましの言葉に対して悟志くんは沈黙した。
雛見沢症候群のせいで眠らされ続けた悟志くんが、治療の目途が立って目覚めたのは私が大学に入ってからのことだった。
悟志くんにとってみれば5年ぶりの目覚めとなった。その5年の間に悟志くんを取り巻く環境も、雛見沢自体も大きく変わってしまった。悟志くんが深い孤独感を抱いたのは無理もないことだった。
ううん、違う。悟志くんが孤独感を覚えた本当の理由。それは、命を賭して守った最愛の妹の沙都子との関係がぎくしゃくしているからに他ならない。ぎくしゃくなんて生易しい言葉では済ませられない。沙都子は悟志くんを避けていた。
悟志くんが沙都子と一緒ではなく私と暮らしているわけ。それは、仲良しだった兄妹の関係がおかしくなってしまったからに他ならない。
沙都子は梨花ちゃまと共に私も在籍していた聖ルチーア女学院に進学志望していたが、学業成績的に厳しいことから断念。興宮高校への進学へと切り替えた。
沙都子は梨花ちゃまと異なる進路を選んだ。沙都子が中3の途中から急に暗くなったのはそれが原因じゃないかと思う。でも、どうもそれだけではないらしい。もっと深い何かがあるらしい。
沙都子の人生に暗い影を落とした何か。その何かが何であるのか私には分からない。お姉や圭ちゃんたちも知らないという。でも、それが深刻なことであることは誰にでも分かった。
悟志くんが目覚めて……沙都子はあまり喜ばなかった。それどころか、涙を流して謝罪していた。
『わたくし……に~に~のことをずっと忘れていたんですの。ううん、おぞましい執着に囚われて……意識から、わざと外して考えない様にしてしまったんです……』
沙都子が起き抜けの悟志くんに向かって放ったその言葉が何を意味しているのか私にはまったく分からなかった。お姉たちもそう。梨花ちゃまだけは何かを察していたようだけど、あの子狸は口を割ったりはしない。だから私は分からないまま。
それからしばらく経って、悟志くんは沙都子と2人きりで会話をした。何を話したのか私は知らない。ただ、兄妹の関係が修復されるどころか余計に距離が離れてしまった。
悟志くんは沙都子が暗く変わってしまった理由について聞いたっぽい。でも、私にはそれを話してもらっていない。というか、悟志くん自身、受け止めきれていないんじゃないかと思う。
なんせ雛見沢に関連することでは超常現象でさえ珍しくない。悟志くんを苦しめた雛見沢症候群もそうだし、ロリなオヤシロ様もいるぐらいなんだし。沙都子が変わってしまった原因は人の力の及ばない何かなのかもしれない。
現状分かっていることは、悟志くんと沙都子の関係がぐちゃぐちゃになってしまっていること。兄妹一緒に暮らすことを諦めてしまっていること。そのお零れで私は悟志くんと同棲できていること。
私と悟志くんのイチャラブ生活という最も大切なライフスタイルから考えれば、沙都子の件は深入りしないのが正解、なのだと思う。でも、そうはいかない……
「私、5年ぐらい前に自分に誓ったんですよ。悟志くんと沙都子を守るんだって……あの時は、全然無力だったんですけどね。今も、そうですけど……」
まだオヤシロ様の祟り云々言われていた際に、私は自分に誓った。ルチーアから逃げてどうしようもない生き方を送っていた私にとっては唯一と言って良い程の人生の道しるべとなった。
「悟志くんも目覚めて私の隣に居る。ルチーアに行っちゃうはずだった沙都子も興宮の高校に通ってる。なら、ひと肌脱ぐべきなんだろうなって思うんですよ」
余計なことを言っている。それは自分でもよく分かっている。
でも、北条兄妹の為に生きるって、人生の目標をもらったあの誓い。無視するなんてできない。
「愛する旦那さまと可愛い義妹の為。頑張ってみるのも悪くないですよ」
悟志くんの手を強く握りながらお節介を焼くことを宣言する。
私のキャラとは違うとは思う。でも、頑張ろうと思う。頑張りたい。
「…………詩音」
悟志くんも手をギュッと握り返してくれた。
沙都子が抱えているのは相当なものなのだと思う。多分、私の手には負えない。
でも、そうだとしても、私は沙都子に手を伸ばそう。
兄と妹が再び仲良しになれるように。