Kanon 沢渡真琴、月宮あゆ他 獣っ子と天使
「祐一……真琴やあゆちゃんに手、出してないよね?」
大学受験の為の勉強に余念のない美坂香里は親友が怒っている声を出しているのを聞いて顔を上げた。
冬休み明けの3年生の教室は、受験シーズン到来で登校してもしなくても構わないことになっている。多くの生徒は残り少ない高校生活を味わい楽しむために登校する。香里の場合には一日の生活にメリハリを付ける為に登校していた。
心穏やかに自習に集中したかったが、親友の底冷えした声は無視できなかった。
「手なんか出してないっての。何故、俺にそんな質問をする?」
水瀬名雪の彼氏は不機嫌な声で返答していた。
2人は従兄妹同士だがラブラブなカップルであり、同居中ということもあって毎日セックスしている深い仲。それを隠そうともしない。香里が考えるに祐一に浮気の気配はないが、名雪は何かを感じ取っているようだった。
「犬飼こむぎちゃんと猫屋敷ユキちゃんは美少女だけど、元は犬と猫でしょ。でも、pixivにはあの子たちのえっちな、本当にえっちしちゃってるイラストがたくさんアップされているの」
「そ、そうだな……それで?」
祐一が冷や汗を垂らすと名雪は更に瞳を細めた。
「祐一はpixiv好きなオタクでしょ。なら、獣っ子が好き、だよね?」
「別に殊更好きというわけじゃ……」
「ケモ耳と尻尾が生えた真琴とか。祐一の好み、だよね?」
射すくめる様な冷たい視線が祐一に突き刺さる。
「獣っ子と化した真琴を見たら、祐一は我慢できなくなっちゃって襲うんじゃないかと思ってね」
「俺はそこまで下半身に無節操じゃねえってのっ!」
祐一はクラスメイトが全員振り返る大声で疑惑を否定してみせた。
だが、名雪の追及は止まらない。
「pixivでは天使も大人気。天使のえっちなイラストはいっぱい」
「あゆちゃんは羽根つきマークがトレードマーク。祐一が天使の羽をプレゼントしてコスプレさせて」
「あゆちゃんを襲うんじゃないかと心配なの」
「だから俺は鬼畜じゃないってのっ!」
祐一の大声は再びクラスメイト達を振り返らせた。
「でも、真琴もあゆちゃんも、祐一の赤ちゃんを孕んじゃえば逆転勝利だってすっごく息巻いているよ」
「アイツらが勝手に言ってるだけで、俺は無実だぁあああああああああぁっ!」
絶叫を繰り返す祐一にクラスメイトたちは迷惑していた。
「…………名雪という恋人がいるのに他の女の子にもいい顔ばかりしているからそういうことになるのよ」
受験勉強の手を止めざるを得ない香里は大きなため息を吐いた。
「今は手を出していなくても祐一はいずれ真琴やあゆちゃんに手を出すかもしれない。私の知らないところで祐一の子どもが誕生するかもしれない」
「そんな事態はあり得ない。どうすれば信じてもらえる?」
「祐一の赤ちゃんの素は全部私が管理して搾り尽くす。それしかないんだお~」
名雪は祐一の下半身、ズボンの股間部分を凝視した。
「とりあえず、祐一のが他の女の子に悪さできないように今日学校から帰ったらすぐにえっちして搾り尽くすんだお~」
名雪は祐一の股間をパンパンと叩いてみせた。
「くっ! 浮気を疑われない為だ。空になるまで名雪の中に出し尽くしてやるぜっ」
そして祐一も若干嫌がった素振りを見せながらもセックス三昧な放課後を認めてみせた。
「…………結局、バカップルのいつもの惚気じゃないのよ」
香里は手を止めてしまったことを後悔しつつ、受験勉強を再開したのだった。