SS デレマス 佐々木千枝1
「アレ? ここはどこだ? 俺はどうして……駄目だ。何も思い出せない。昨日、飲み過ぎたのか?」
346プロのキッズアイドルを担当するプロデューサーは重い頭を摩りながら目を覚ました。知らない天井、知らない光景が目の前に広がっていた。見覚えのないベッドに寝ていた。
どこかのホテルの一室であることは分かったが、何故ホテルに泊まっているのか分からない。しかもこのホテルは内装から見るにラブホテルに違いなかった。
昨夜のことを思い出そうとするがハッキリしない。担当アイドルである佐々木千枝が仕事を頑張ったご褒美にファミレスでスイーツをご馳走した辺りから記憶がなかった。
そんな男の本当の悲劇、いや、現実はこれから始まるのだった。
「おはようございます……プロデューサーさん」
まだ幼さを残す少女の声が隣から聞こえた。嫌な予感を覚えながらも声のした方を振り返る。
昨夜スイーツをご馳走したキッズアイドルが眠そうな瞳で上半身を起こした。その姿を見て男はギョッと目を見開いた。
「千枝ちゃん……はっ、裸っ」
11歳の少女は布団の端を握っているだけで何も身に付けていなかった。
膨らみかけの乳房も、その先端のピンク色の突起物も全て丸見えだった。
色々な意味でアウトだった。けれど、プロデュサーが味わうことになるアウトは一つだけで済まなかった。
「昨夜は酔ったプロデューサーさんにいっぱいいっぱい愛してもらいましたから……ぽっ」
千枝は顔を真っ赤に染めてみせた。
「…………愛して、もらいました……?」
男は全身をガクガクぶるぶると激しく震えさせながら昨夜何があったのか確かめてみることにした。すなわち、千枝が握っている布団を退かしてその下の様子を観察してみた。
「…………シーツに、赤い血がたくさん付いている……」
頭がクラっときた。
しかもその血はチラッと見えた千枝の股の所にも付いていた。
「千枝、男の人とえっちなことをするのは初めてだったから……いっぱい痛くて、いっぱい血が出ちゃいました」
目を細めて語る千枝の言葉はとどめに他ならなかった。
「だけど、プロデューサーさんはお酒の力も借りて、千枝のことを大好きだって何度も言ってくれて。それで、千枝は痛くても耐えることができましたぁ♪」
千枝はパッと微笑んでみせた。それはプロデューサーにとっては駄目押しに他ならなかった。
「俺は、俺はなんてことを……担当アイドルに、しかもまだ小学生に手を出してしまうなんてぇ……」
男は賢者タイムどころか絶望に身を浸していた。
「酒の力とはいえ、俺はなんてことを……うん?」
男は奇妙なことに気が付いた。
「俺、昨日酒なんて飲んだっけ?」
男には飲酒した覚えがなかった。
千枝と一緒に入ったのはファミレス。しかもキッズアイドルを前にして酒を飲んだと考え難かった。
「飲んでましたよ。ビールをいっぱい」
千枝は淀みなく返してみせた。
「そっ、そうか……」
嘘を吐く少女ではないと知っているので男はそれ以上は言えなかった。自分の認識の方が間違っているのだと思ってしまう。何せファミレスに入った記憶はあっても出た記憶はない。そして千枝をホテルに連れ込んで初めてを奪ってしまったという状況にあっては自分の理詰めによる記憶なんて掲げてはいられなかった。
「千枝、シャワーを浴びてきますね。昨夜はプロデューサーさんにいっぱい愛してもらって体中がベトベトなので」
「あっ、ああ……っ」
千枝は軽く頭を下げるとベッドを降りた。
どう見ても小学生というまだ幼い身体付きの少女。けれど、その股の付け根の部分には血の痕が残っていた。破瓜の血の痕に違いなかった。
「俺ってヤツは……」
プロデューサーは心底自分を軽蔑した。時間を戻れと後悔した。けれど、どうにもならない。まだ幼い千枝は自分の手によってもう“大人のオンナ”になってしまっていた。
千枝がシャワーを浴びて戻ってくるまで、男ができたことと言えば、よろめきながらなんとか服を着ることぐらいだった。
シャワーを浴び終えた千枝は昨日の私服に着替えて男の前に出てきた。
「えへへ♪ お股の所がまだ痛くて。なんか変な感じがします」
千枝の一言一言は男が昨夜何をしてしまったのか思い知らせるものだった。
「すまん、千枝。取り返しの付かないことをしてしまったが、この詫びは必ず……」
男には担当アイドル少女にどう償えば良いのか分からず体がよろめいていた。
「千枝はプロデューサーさんのことが大好きですから。別にお詫びとかしなくて大丈夫ですよ」
千枝は首を横に振って健気な言葉を掛けた。
「だけど……」
「お母さんにはU149のみんなでお泊り合宿だって言っておきましたので。そのところだけ口裏を合わせてくださいね♡」
千枝は健気に微笑んでみせた。
「分かった。でも、この償いはいつか必ず……」
「そうですね。でも、プロデューサーさんに何かしてもらうのは今じゃありません」
「千枝ちゃんっ!? なんか、雰囲気怖くないっ!?」
プロデューサーには、千枝の瞳が赤く光った様に見えた。
そして、その瞳を見た瞬間に震えが止まらなくなった。
「何のことですか?」
「えっ? あっ、いや、勘違いだった……」
千枝の表情はいつものものに戻っていた。男は自分の勘違いだと思うことにした。
それから男は千枝を彼女の自宅近くまで送った。
「ここまでで大丈夫ですから。プロデューサーさんはお仕事に向かってください」
「あっ、ああ……」
「プロデューサーさんに愛してもらえて……千枝、幸せでした♡」
千枝はにっこりとほほ笑むと小走りに去っていった。
男は遠ざかっていく少女の背中を見つめていた。
「千枝ちゃんに、どうやって償おう……」
やらかしてしまったことが大き過ぎて千枝にどう償えば良いのか考え直してみても分からない。
千枝が何も要求してこないこともあって男は償いの件を後回しにしていった。
男が償いと向き合わなければならないのは数か月後のことだった。