ディーふらぐ! 船堀 噂話
「私と風間さんが恋人同士、ですか? えっと……そういう事実はないのですが……」
2月某日放課後。船堀は風間賢次と恋人同士なのかクラスメイト女子に尋ねられて戸惑ってしまった。何故そのような質問を受けたのかよく分からなかった。
クラスメイトと別れて独りきりになって家路に向かいながら、何故あの様な質問が飛び出たのか考えてみた。
「私と風間さんが恋人同士だという噂話でもどこかで出ているんでしょうかね?」
最初に考えたのは誤報が世間に広まっているのではないかという可能性だった。
「でも、そんな誤解が広まっているということは……そんな噂が立つような根拠の様なものがあるってことですよね? 私と風間さんが付き合っていると思われるような……」
舟堀は考えてみた。すると段々と彼女の顔は赤く染まっていった。
「私が風間さんと恋人に見える様な行動を一緒に取ったということはないと思うんです。でも、私が風間さんに想いを寄せている姿を見られてしまったのかも……」
船堀は自分でも知らない間に風間の姿を目で追って見つめてしまっていることが多々あることを自覚していた。その様子を誰かに見られてしまったのなら。船堀が風間に惚れている⇒2人は付き合っていると誤解が広まってもおかしくはなかった。
「そうですよね。私は風間さんのことが……ですから」
船堀自身、風間に特別な感情を抱いていることは認めていた。他人に告げることはできなかったが。
けれど、第三者にバレてしまっている可能性は十分に考えられた。風間本人はとても鈍感でバレていないことは確信が持てていたのだが。
「…………もし、風間さんとお付き合いすることになったのなら。私、どうなるんでしょうか……?」
船堀は風間と恋人同士になったらというシミュレートを始めた。
「高校生同士なんですから……キス、しますよね」
風間とキスしているシーンを想像する。
全身が一気に熱くなった。
「高校生なんだからキス、だけじゃ済みませんよね」
船堀の全身が熱で燃え上がっていく。
「えっちなことも、しちゃい、ますよね……」
船堀は性的なことに免疫がない。けれど、年頃の少女であることは変わらず、興味がないわけではない。妄想は進んで行く。
「はっ、裸……見られちゃったりするんですよね?」
船堀は風間の目の前で服を脱いで裸になった自分を想像してみた。
「ひゃっ、ひゃぁああああああああああぁっ!?」
船堀は自らの想像に驚いてひっくり返りそうになった。
けれど、今日の船堀は一味違った。
倒れそうになりながらも妄想を加速させた。
「はっ、裸を見るだけで終わらないのがえっち、なんですよね?」
船堀は少ない性知識で妄想を加速させていく。
「おっぱい舐められたり、吸われちゃったりするんですよね。ううう……胸、全然自信がありませんよぉ」
船堀は自分の胸に手を当てながら落ち込んでみせた。
高尾という圧倒的巨乳が知り合いにいる為に船堀の貧乳コンプレックスは屈折の度が濃かった。
「でも、でもですよ。恋人同士なら……胸が小さくでも、風間さんはきっと受け入れてくれますよねっ!」
顔を輝かせながら必死に自分を鼓舞する。
「そっ、そうしたら、風間さんもおっぱい弄る次の段階に進んで……進んで……」
ベッドに寝て股を広げてみせる自分を想像する。
船堀は呼吸困難に陥ってしまった。
「かっ、風間さんも裸になって、私の、私の……」
船堀の妄想がクライマックスに到達する。
「私と、風間さんが……せっ、せせせ、せっく……ぷしゅぅうううううううぅっ」
セックス。その光景を一瞬思い浮かべて船堀の脳は停止した。
偶然とも言えるタイミングで自宅に辿り着いたから良かった。玄関の中に入って転がる様にして座り込んで呆けてしまい動けなくなってしまった。屋外だったら大変なことになっていたかもしれなかった。
その日から船堀は風間との恋妄想を控えるようになった。
「よぉ、船堀」
「ひゃぁあああああああぁっ!? 風間さぁ~んっ!?」
しかし、風間に話し掛けられる度に過敏な反応を見せて跳び上がってしまう日々がしばらく続いたという。