SS ごちうさ リゼ、千夜他
「リゼちゃん、大変なのっ! 全裸隊の活動資金が足りないのっ!」
2月某日の深夜の児童公園。いつもの様に全裸で公園に集まってきたリゼは暗い顔をした千夜から報告を受けた。
「全裸バンドのライブを手配したり、そのチケットを購入したりと結構な額を支援してきたからなあ」
実家が超の付く大金持ちでお金の面で困ったことがないリゼには千夜の危機感があまり共有できなかった。
全裸隊の財政事情について語ってくれたのは、広報担当で自分は決して脱がない千代田桃だった。
「これまでの全裸隊の活動資金は主にシャミ子の全裸動画を有料配信サイトで流すことで得てきた。けれど、全裸隊の活動も大きくなっていやらし魔族の全裸だけでは賄えないようになっている」
「どうして私だけ有料サイトにえっちな映像が流されているんですかぁっ!?」
「他のメンバーの全裸動画を流すのに許可が取れていないから。無許可アップとか良識人の私には決してできない」
「私の許可は取ってないじゃないですかぁ~~っ!?」
「シャミ子はいやらし魔族だから例外」
「全裸に慣れてしまっただけでいやらし魔族じゃありませ~んっ!」
シャミ子は滝の涙を流したが、桃はスルーした。
「つまり、新たな財源確保が必要という訳か」
「現在の財源も見直してくださいよ~」
「シャミ子ちゃん以外にも全裸動画を配信しないと破綻してしまうわ」
千夜は首を落として大きなため息を吐いた。
「ならば私の動画を配信すれば良いさ」
リゼはごくあっさりと躊躇うことなく申し出てみせた。
「えぇええええぇっ!? リゼちゃんがえっちな動画を? 確かに、リゼちゃんはメンバーの中では珍しい18歳成人。合法かもしれないけれど……」
話を切り出した千夜の方が戸惑っていた。
ちなみに言えば、千夜は露出狂で全裸でいることには興奮している。
けれど、それが映像として永年に渡って残ってしまうことは受け入れ難かった。乙女だからというよりも、甘味処の看板娘としての世間体を考えてのことだった。
「さあ、好きなだけ撮影して配信するが良いさ。この鍛え抜いている肉体に恥じ入る個所など存在しない」
リゼは勇ましくファイティングポーズを取ってみせた。
リゼの表情には全く照れがない。
大きな胸はプルンプルン揺れているが堂々としている。
あまりにも堂々とし過ぎていて千夜たちは不安を抱かずにはいられなかった。
「リゼちゃん……乙女の恥じらいがなさ過ぎる」
「これは……バズらないね。身体はエロいだけに何とかしたいけど」
桃たちは有料エロ動画配信サイトに加入する層のニーズを想定して顔を顰めるしかなかった。JK18歳少女の恥じらいがなければ満足感を覚えてもらえない。シャミ子が大人気を保ち続けているのは、彼女が全裸に慣れた筈の今でもよく涙を流して恥ずかしがる点だと計算していた。
「ポーズを指定して艶めかし度を上げましょう」
千夜は普段の行動を動画配信するのではなく、配信用に映像を撮ることを提案した。
「まあ、それしかないよね。シャミ子は演技が下手だからその手は使わなかったんだけど」
「動画を撮ること自体に絶対反対ですよぉ~っ!」
シャミ子の涙ながらの訴えは軽くスルーされた。
「じゃあ、リゼちゃん。早速だけど……首の後ろに片手を持って来て胸を強調するポーズを取ってくれないかしら?」
千夜はグラビアアイドルがよくやるポーズを注文してみた。
「分かった。ストレッチの延長だな♪」
リゼは元気よく頷くと言われた通りのポーズを取ってみせた。
「どうだ?」
「確かにリゼちゃんのポーズ自体はとってもセクシーなんだけど……」
「満面の笑み過ぎて色気を不思議なまでに感じないね」
「色気なんてどうでも良いので動画配信はリゼさんだけにしてくだぁ~いっ!」
千夜たちの反応は微妙だった。
リゼの表情はボディビルダーを連想させるもので、グラビアクイーンとは程遠いと思うしかなかった。
「編集が大変になるとは思うけど……股を開いてもらうとか」
「無修正では流せないから手間が掛かるが……この際仕方ない」
「リゼさんっ! それは駄目ですよぉ~っ!」
「案ずるな。ストレッチでよくやってることだ」
リゼは地面に座り込んで開脚してみせた。
「はっはっは。どうだ?」
リゼは何でもないとばかりに笑ってみせた。
「性について何も分かっていない幼い子どもに股を開かせているような犯罪臭を覚えるわ」
「全裸隊が性に羞恥心が全くないビッチ集団だと思われては私が迷惑。リゼを配信するのは諦めよう。やはり当面はシャミ子に頼らざるを得ない」
「私に頼るな~っ!」
シャミ子は泣いたがやはり無視された。
「でも、そうすると全裸隊の活動費をどうしようかしら?」
「それなら心配ないぞ」
立ち上がったリゼはケロッとした表情で述べた。
「えっ?」
「実はしばらく前にオヤジと私有地内でキノコ狩りを行った際に、私が偶然稀少鉱物床を見つけてな。その利潤の一部を私が受け取れることになったので、活動資金ぐらいなら何でもなく出せるぞ。タダで手に入れた金だし気にするな」
リゼは自慢でも何でもなく金満であることを語ってみせた。
「…………そう。ありがとうね」
商売人でもある千夜はリゼに対してどう反応したら良いのか分からずとりあえずお礼だけを述べた。
「私はずっと貧乏呪いに憑かれていたのにぃ……ズルいですよぉ」
「じゃあ、リゼにだけ財政を頼るのは不健全だから、リゼの鉱物利潤とシャミ子の動画配信の二本立てを財源にするということで」
「だから私のえっちな動画でお金儲けするなぁああああああぁっ!」
シャミ子はまた泣いたがその訴えが届くことはなかった。
こうして全裸隊の活動資金問題は解決したのだった。