SSS 俺いも 五更瑠璃 ハロウィン
「ハロウィンは異界と繋がる時節だから。私の邪気眼も力が溜まり易いのよね」
ハロウィンを明日に控えた10月30日就寝前の高坂家の若夫婦の寝室。JK人妻の高坂瑠璃の瞳は赤く煌々と輝いていた。全身からも僅かに赤いオーラがにじみ出ていた。
「そういえば、瑠璃は本物の魔法使いだったよな」
夫である京介はあまり驚いていなかった。瑠璃は普段隠しているが、目を赤く光らせて超常の力を使えることは知っていた。実際に目にしたこともある。
だが、今日の場合には少し意味合いが違っていた。
「邪気眼遣いは魔法使いと呼ばれることをあまり好まないのだけど。まあ、広義で言えば魔法使いで間違いないわね」
「で、今の瑠璃は漫画でよくあるみたいに体内に魔力が溜まり過ぎてしまっていると」
「そうね。異界へのゲートが開いている状態で、この世界ならざる強力な力の一部が私の体にも無理やり注ぎ込まれている状況ね」
「ハロウィンって実は怖いイベントだったんだな」
「イベントとしてのハロウィンは別に怖くないわ。ただ、異界と接点を持ってしまう時節が昔からハロウィンなのよ」
「考えてみれば、仮装パレードは後からできたもので、元はあの世とこの世の境が曖昧になる時をハロウィンってしてたわけだしな」
京介はいったん頷いてみせたが、それで済む話でないことに気付いた。
「異界の力が無理やり注ぎ込まれているって……大丈夫なのか? ラノベでよくあるみたいに貯め込みすぎて体がボンってことは?」
「放出していればどうということはないわ」
瑠璃はテーブルに飾られている半分枯れ掛けた花に向かって手を翳してみせた。
次の瞬間、瑠璃の瞳がより一層赤い輝きを放ってみせた。
「おおっ! 花が生き返ったっ! 元気を取り戻したぞっ!」
京介は興奮した声を上げながら鮮度を取り戻した赤い花を見つめていた。
「異界の力をこうして生命力に変換して渡してしまうのが一番効率的ね」
「花咲かじいさんみたいだな」
「そうね。あの昔話の主人公も元は邪気眼の使い手だったのかもしれないわね」
「枯れ木に花を咲かせるおじいさんの目が赤く光っていたら軽くホラーだぞ」
京介は声を上げて笑ってみせた。
「目が赤く染まって光る。私は悪くないと思うのだけど、世間の評判は芳しくない。だから、日向にも魔力は放出しておくようにきつく言ってあるわ」
「日向ちゃんも邪気眼の使い手なんだったよな」
「ええっ。邪気眼を制御する修行をなかなか行わない困った子なのだけれど」
瑠璃は大きなため息を吐いてみせた。
サザエさん時空の発生を瑠璃と日向がはっきりと認識しているのは、2人が邪気眼の使い手で超常の力を感知することができる点に負っている。
「まあ、異界と繋がるといっても精々が1日2日。目が赤く染まって戻らない程度のことで済むわ」
「日向ちゃんがお目目真っ赤で学校に行けば、別の意味で注目を集めるというか心配されるんじゃないか」
「泣き腫らした。或いは目の病気か。そう勘違いされたら日向は苦労するでしょうね」
瑠璃はクスっと笑ってみせた。
明日の妹の様子が想像ついたのだった。
「瑠璃の瞳もまだ赤いがどうするんだ?」
「大人の女には邪気眼の最適な放出の仕方があるのよ♪」
瑠璃はウィンクして服を脱ぎだした。下着も全て脱いで生まれたままの姿になってみせた。
「さあ、邪気眼発動の刻よ」
瑠璃は今度は京介に向かって右手を翳してみせた。再び幼な妻の瞳が眩く赤く光った。
「おおっ! なんか、ボディビルダー並みの筋肉の塊になったぞ♪」
筋肉隆々となった京介はマッスルポージングを取ってみせた。その表情はとても嬉しそうだった。
「これが邪気眼の力よ。京介は今夜だけは漫画のキャラの様な逞しい肉体と力を得たわ」
「それはつまり。パワフルな俺にいつもよりも激しく愛して欲しいと♪」
「……まあ、そうとも言うわね」
瑠璃の顔が赤く染まった。
「それじゃあ、ご期待に応えるとしますか」
京介は瑠璃を軽々と持ち上げるとお姫様抱っこしてみせた。
「今夜は寝かせないからな」
「明日も学校があることを忘れては駄目よ♡」
瑠璃は両腕を伸ばして京介の首を掴みキスをしてみせた。
こうして高坂若夫婦のハロウィン・イヴは熱い夜となったのだった。