SS 俺いも 五更瑠璃 原点
「瑠璃、何を見ているんだ?」
「私の中学生時代のアルバムよ」
5月某日日曜日午後の高坂家の夫婦の寝室。JK妻である高坂瑠璃は夫に呼び止められてアルバムを捲る手を止めた。
高1を何度も繰り返してきた瑠璃にとっては懐かし過ぎる中学生時代の、京介や桐乃と出会ってからの日々を綴った写真集だった。
「あの頃の私は、貴方の気を惹きたいのだけれど高過ぎるプライドが邪魔をして偏屈な言動ばかりしていた困ったメスだったわね」
「過去の自分に辛らつだな」
「まあ、あの頃は……今と比べると子どもだったのよ」
瑠璃は軽く目を瞑り大きなため息を吐いてみせた。
世間の時間感覚では数か月前のことでしかない。だが、繰り返す瑠璃にとっては10年ぐらい前のことになる。結婚前と後という差もある為に、当時の自分は子どもに思えて仕方なかった。
「けれど、あの頃は若さに溢れていたわ」
「その言い方はおばさん臭いぞ」
京介のツッコミにムッとした表情を返す。
瑠璃はたまに自分でも何歳なのかよく分からなくなることがある。けれど、年増扱いされるのは肉体年齢的には未成年のプライドが許さない。
「若さは……初心は、原点は、大事にすべきだと改めて思ったわ」
瑠璃は表情を引き締め直した。
「原点ってなんだ?」
「貴方を浅ましく狙うメス猫でいようという点よ♡」
瑠璃はその場で勢いよく衣服を脱ぎ捨ててみせた。
下着も脱いで裸になった瑠璃は前屈みになって両手を猫の手ポーズにとって見せた。
「貴方とのラブコメは私の人生の、新しい道。そのスタート地点でもあったのを思い出したにゃん♪ さあ、ラブラブカップルの愛の営みの時間だわ♡」
「瑠璃は黒猫だった時も語尾に『にゃん』なんて付けたことなかっただろ……」
「気分の問題よ♡」
「それに昼間から全裸で迫って子作りを求めてくるのは……ラブコメじゃなくてガチエロなんじゃ?」
「細かいことは気にしなくて良いのよ♡」
瑠璃は猫の如き俊敏さを見せて京介に思い切り抱き着いてみせた。低い重心からのタックルの様な抱き着きに夫は耐えることができず、尻もちを突きながら押し倒されてしまう。そして──
「るっ、ルリルリの……ケダモノォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!」
京介の悲鳴が室内に木霊した。
「たまには私が交尾をリードするのも良いものね♪ 見下ろす京介が何だかとっても可愛く見えるのだもの♡」
「瑠璃が女王さまとして覚醒しないか、心配だ……ううっ!?」
コントロールできない膣からペニスに受ける刺激に京介は射精しない様に耐えるのが精いっぱい。
瑠璃は上に乗って自分が音頭を取る騎乗位セックスを大いに堪能した。
高坂家の平和な1日の出来事だった。