SS 日々は過ぎれど飯うまし DとK
「日常系の主役は、ある程度の財力があって自動車の免許も取れ、尚且つ時間と行動の自由も確保し易い大学生に移行していくと思うんです。女子高生がブランドだった時代はもはや終わりを告げ掛けているんです」
6月のある日曜日の大学の部室棟前の広場。比嘉つつじは熱弁を奮っていた。
つつじはキャンパスを歩いている女性を見つめながら続きを述べた。
「あのお姉さんと私を見てください。これが……女子大生の色気、大人の色気なんです」
話を聞いている食文化研究部の面々は苦笑するしかなかった。
つつじが注目している大人っぽい女性はともかく、ひつじ自身に大人の色気があるとは思えなかった。
つつじは小柄でスタイルも未成熟。おまけに童顔でヒツジファッションにこだわっている。大学生どころか中学生と言われても誰も疑わない容姿の持ち主だった。
「想像してみてください。私とあのお姉さんが肌を晒している様を。これこそが、大学生の色気なんです♪」
つつじの言葉に従って面々は2人の入浴シーンを想像してみた。
「…………親子?」
想像した図に対して小川しのんがつい感想を口にしてしまった。
「余計なことを言わないの」
古舘くれあが肘で脇腹を突いてしのんを窘める。
つつじに気持ち良く語らせてさっさとこの話題を流してしまおうというのがくれあたちの方針だった。
「そう言えば、今日はオープンキャンパスで高校生が構内にいるんでしたね」
つつじは改めて話を切り出した。
「大学生と高校生のお色気の違いを確認する絶好のチャンス、なんですよ」
つつじの瞳がキラッと光った。
そして彼女の言葉通りに、普段構内では見かけない少女たちが食文化研究部の面々の近くへと歩いて来ていた。
「全く知らない、女の子がこっちに来てる~っ!?」
星ななは涙目になりながら慌ててつつじの後ろに隠れた。
「高校生故にここが部活棟で授業とは関係ない建物だということも知らないのでしょうね」
つつじは余裕ぶって接近してくる少女たちの行動を分析している。
一方で注目されていると知らない少女たちはおかしな行動を取り始めた。
「暑~いっ! 東京って愛知より暑いのっ!? ここ女子大だし、もう服なんて着てられないよ~っ!」
「ちょっ!? 杏奈ちゃんっ!?」
杏奈と呼ばれた少女は制服を脱いで上半身裸になってしまった。
「ここが女子大で、女子しかいないとはいえ……屋外で、はっ、裸になるなんて……すっ、スタイル良いっ!・」
河合まこは杏奈の奇行と超高校級のグラマラスボディに目を回していた。だが、痴女と呼べる奇行に走ったのは彼女だけではなかった。
「マチュは高校を卒業したらこの大学に入りたいの?」
「ここって言うか、地球の大学に入りたいかなあ。それが叶わないなら……カバスの館で働くことになるかも。学生以外で地球に留まるのって難しそうだし」
「マチュは男受けしそうなえっちな身体、してるもんね」
「以前、すぐにでもお客は取れるって言われたことがあったよ……嬉しくはないけど、いざとなったら使える私の武器、だね」
マチュと呼ばれた少女も急に脱ぎ出して上半身裸になってみせた。
こちらの少女もまた小柄な身長に似合わないナイスバディの持ち主だった。
「…………ちょっ、つつじっ!? あの見知らぬ女子高生たち、私たちより全然スタイル良いんだけどぉっ!?」
つづじの後ろから涙目のままなながツッコミを入れる。対してつつじは空を見上げてななと目を合わせないまま返してみせた。
「まあ、何にでも例外はあるということですよ。超高校級のお色気を持つJKだってたまにはいますよ……」
「つつじのドヤ顔説明のすぐ後じゃ説得力ないよ……」
つつじはそれ以上は黙して語らなかったという。
そして、つつじが最初にお色気大学生として紹介した女性は……
「ほたるは大学の構内にいると全く違和感ないね。女子大生と間違われるのも納得だよ♪」
「止めてくださいよ、小鞠先輩。私はまだ小学5年生なんですから」
大学生どころか小学生だった。