SSS デレマス 渋谷凛 誕生日(FANBOXver)
「凛ちゃん、どうして楽屋でうさ耳だけ付けて裸なんですか? 未央ちゃんの全裸が伝染ったのですか?」
夏休みの丁度中間地点に当たる8月上旬のある日のイベント会場のニュージェネレーションズの楽屋の中。仕事が終わったのにいつまでも出て来なかったので島村卯月は部屋に引き返して渋谷凛の様子を見に来た。すると凛は全裸にうさ耳だけを付けた姿で立っていた。
「ああ、いつまでも出て来ないから心配掛けちゃったんだね。大丈夫だから」
「いえ、全裸にうさ耳だけの姿で大丈夫と言われても大丈夫じゃないですよ……」
卯月は今日のイベントでの出来事を思い出しながら冷や汗を垂らしていた。
盛夏を記念してのトークショーだったが、本番中に本田未央が急に脱ぎ出して一時休止になってしまった。凛が『ふ~ん』で吹き飛ばして再開にこぎ着けたが、イベント終了後に主催者とプロデューサーからはお叱りを受けてしまった。
その未央の全裸癖が感染症の如くして凛にも伝染してしまったのではないかと卯月は心配だった。
「誕生日のシミュレーションをしていただけだから大丈夫」
「誕生日? ああ……明後日は凛ちゃんの誕生日ですもんね」
卯月は凛の言葉に一瞬納得しかけて頷いてみせた。けれど、すぐに変だと気が付いた。
「どうして誕生日のシミュレーションをしていると裸にうさ耳なんですか? しかも……おっぱい、揉んでますし」
卯月が改めて凛を見ると、目の前の黒髪美少女は自分の裸の胸を揉んでいた。
「誕生日なんだから、お世話になっているプロデューサーに感謝の意を込めてバニーガール姿でおもてなしするでしょ」
「どちらかと言えば、凛ちゃんがおもてなしされる側なんじゃ……」
「渋谷家では誕生日を迎えた側がもてなすの」
「なるほど」
家庭ルールをあげられてしまっては卯月としては納得するしかない。
「で、私がバニーで接待すると、アイツはムラムラして我慢できなくなって襲い掛かってくるでしょ」
「ええと……プロデューサーさんは理性的な方なので、多分そういう展開にはならないと思いますが……」
先ほど未央がステージ上で全裸になった時のことを思い返す。武内Pは真っ青になって展開を見ていただけで欲情した様子は微塵も窺えなかった。
「プロデューサーが欲望に駆られるままに襲い掛かられたら、か弱い私なんてろくに抵抗もできないでしょ」
「凛ちゃん、さっき、未央ちゃんをふ~んで地平線の彼方まで吹き飛ばしましたよね?」
卯月の額からまた汗が流れる。
真昼間の星になって消えたもう一人のメンバーはいまだ会場に戻ってきていない。
仮に武内が凛に欲情して襲い掛かったとしても、結果は明らかだった。
「必死の抵抗も虚しく、手籠めにされちゃった私は、泣き寝入りしない様にプロデューサーに責任を取らせて電撃寿引退。普通のJK花屋人妻になるんだ」
「普通という単語と、JKと花屋さんと人妻の3連コンボは合わないと思うのですが……」
「担当アイドルに手を出して結婚したんだからアイツ、業界には残れないでしょ」
仕方ないという表情でため息を吐く凛を見て、卯月はとりあえず思考を停止させた。
「おっぱい揉んでいたのは、プロデューサーさんに揉まれているという想定だったんですね」
「納得いった?」
「はい」
卯月は大きく頷いてみせた。
「まあ、同意はできないですが……」
卯月は苦笑してみせたのだった。