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枡久野恭(ますくのきょー)
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SSS キミとアイドルプリキュア 咲良うた プリルンは承認欲求モンスター


キミとアイドルプリキュア 咲良うた プリルンは承認欲求モンスター


「キュアチューブのアイドルプリキュア動画の再生数もいいねの数も……プリルンはこんなものじゃ満足できないプリ~っ!」


 キラキランドの妖精にして現在はキュアズキューンとしても活動しているプリルン。彼女?はキュアチューブにアップしているアイドルプリキュア動画の再生数といいねの数を凝視しながら身体をわななかせていた。

 咲良うたをはじめとするプリキュア陣、田中をはじめとするファンクラブ運営陣は動画の世間の評判に満足していた。

 だが、プリルンだけはその数値に満足していなかった。不満だらけだった。


「うたの動画を無断アップデートしていた時はもっともっと再生数が多かったプリ。今挙げている動画は全然負けてるプリっ!」


 プリルンは再生数の高みを、その喜びを知ってしまっていた。それ故に、その喜びをまた味わいたくて承認欲求モンスターと化してしまっていた。

 だからこそ、かつての栄光に手が届かないことはプリルンにとっては苦痛でしかなかった。


「前にうたのシャワーシーンをアップした時は凄い再生数だったプリ。テレビでも取り上げられたプリ」


 プリルンはかつての栄光を思い出していた。

 人間界に来たばかりで人間やその社会のルールについてよく知らなったプリルンは、うたの入浴シーンを動画にしてアップしたことがあった。




 美少女JCの生シャワー動画はアップしてすぐに大反響を産んだ。動画はすぐに削除されたが、削除直前の再生数は物凄いことになっていた。

 プリルンはキラキランドの女王であるピカリーネに酷く怒られ、しばらく動画投稿を止めることになった。しかし、自分がアップした動画がバズる喜びを、快感を知ってしまった。そして今回、アイドルプリキュアが活動の一環として動画アップを始めたので、プリルンの動画魂に再び火を点けてしまったのだった。


「やっぱり、再生数を稼ぐのはうたのお風呂だプリっ!」


 プリルンの中で答えは最初から出ていた。だが、更なる高みを欲した妖精は前回と全く同じ動画をアップするという選択肢は取らなかった。


「キュアズキューンに変身したプリルンは人間に人気があることを知っているプリ。つまり……キュアズキューンに変身したプリルンとうたが一緒にお風呂することで前よりも多くの再生数が望めるプリっ!」


 裸の自分を出演させることで再生数の底上げを狙う。元々が妖精であり、人間界のモラルや乙女の羞恥心についていまいち理解していないプリルンにヌード出演は特に問題がなかった。自分が出ることで再生数が増えるのなら万々歳だった。


「というわけでメロロン。プリルンとうたのお風呂を密かに撮影してキュアチューブにアップして欲しいプリ」

「姉さまの頼みなら合点承知の助メロ♪」


 キュアズキューンの裸を見られることに興奮を隠すのでいっぱいなメロロンは即座に姉貴分の頼みを聞き入れたのだった。

 そしてプリルンとメロロンは早速実行に移ったのだった。



「キュアズキューンと一緒にお風呂に入れる日が来るなんて~♪ キラッキランランだよ~♡♡」

「プリルンも人間形態でうたと一緒にお風呂したかったプリ~♪」


 メロロンの盗撮はバレることがなく、うたは急に一緒にお風呂に入りたいと言ってきたキュアズキューンを疑うこともしなかった。

 全ては順調だった。2人の美少女の入浴動画はメロロンの手ですぐに編集された。

 プリルンが、編集された入浴動画をアップしたのは、うたとお風呂に入った日の夜のことだった。


「これで……プリルンはあの栄光を再び味わうことができるプリ♪」


 承認欲求モンスターと化してしまった悲しい妖精は動画投稿のアイコンをクリックしてみせた。


「すっ、凄いっ! 凄い再生数の伸びプリ~っ♪」


 うたとキュアズキューンの入浴動画は、プリルンの読み通りに凄い勢いで再生数を伸ばしていった。かつてのうたシャワー動画を上回る勢いだった。


「そう言えば、プリルンは動画の内容をチェックしていなかったプリ。再生してみるプリ」


 プリルンは自分でアップした動画を初めて再生してみた。そしてすぐに気が付いた。


「プリルンが……キュアズキューンが画面に映ってないプリ……」




 動画内で入浴しているのはうただけだった。一緒に入浴していたキュアズキューンの姿はどこにも見当たらない。


「それなら、メロロンが編集で姉さまの痕跡を全て消したメロ」

「えっ?」


 メロロンから予想外の答えが返って来た。


「姉たまの玉のお肌を不特定多数の人間どもに晒すわけにはいかないメロ。姉たまの裸映像はメロロンだけの宝物なんだメロ。ゲッヘッヘ」


 メロロンは下卑た笑いを浮かべていた。姉貴分の言うことに従順なフリをしてしっかり自分だけの利益を確保していた。


「姉たま……動画のコメントが何か変ですメロ」

「プリ?」


 プリルンが確かめる。すると、コメント欄には扇情的な動画に賛否両論が述べられる一方で、ホラー動画であるかの様な感想が幾つも載っていた。


「女の子の霊が映り込んでいる? 何のことプリ?」

「うたのお風呂を覗いているストーカーの蒼風ななの姿がガラス窓越しに映ってるんですメロ」


 メロロンは事も無げにホラー動画の真相を語ってみせた。


「…………どうしてななのことは、編集で消してくれなかったプリ?」

「姉さまの肌を守る以外はどうでも良かったんですメロ♡」


 愛に生きる妖精らしい理由だった。


「……まあ、この際ホラーでもオカルトでも、再生数が伸びるならオーケーだプリ♪」


 プリルンが見つめる中で動画再生数は爆発的に急加速していく。後少しで、過去のうたシャワー動画に追い付くところまできた。ところが──


「ああっ! 後少しで再生数の記録を超えるところだったのに……削除されてしまったプリ~っ! 運営、仕事早すぎだプリ~~~~っ!」

「キュアアイドル関連の動画は、ファンクラブの面々が内容を監視してるので、アップしてすぐに運営に削除要請されていたんだと思いますメロ」


 メロロンは涼しい顔で、前回よりも削除されるまでの時間が短かった理由を説明してみせたのだった。キュアズキューン入浴動画は自分だけゲットできたので後はどうでも良かった。


「あと少しで再生数の記録を更新できたのに……悔しいプリぃいいいいいいいいいいいいいいいいいぃっ!」


 プリルンは青空に向かって絶叫して悔しがった。だが、キュアズキューンお宝映像を密かに無限再生するメロロンは姉貴分の嘆きを聞いていなかった。そんな2人は後日、ピカリーネによって大層叱られたという。


「うたちゃんの入浴はこの目に焼き付けるものであって、記録媒体に残すものじゃないわ」


 盗撮とは無縁のストーカー少女は覗きの極意をドヤ顔で語ってみせたのだった。










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