日々は過ぎれど飯うまし 河合まこ、各務原なでしこ 女子大生の恋愛
稲荷女子大学1年生の河合まこは夏休みのある日、食欲に導かれて一人山梨の地に降り立っていた。
まこは嗅覚を頼りにほうとうの美味しいお店に辿り着き、そこで一人の女子高生と出会った。各務原なでしこと自己紹介した少女とまこは、食べることと料理が大好きという共通項もあってすぐに意気投合、友達となった。
2人は食べ物談義を更に交わすべく、身延にある某スパを訪れたのだった。
「友達(リンちゃん)がキャンパー仲間さんに聞いた話なんですけど。大学生になると年齢が一回り以上も上の男の人と付き合ったりするんですね。大人って感じです♪」
食べ物談義を時間を掛けて語った2人の次のトピックは恋愛だった。なでしこは自分より少しだけ大人な女性たちの恋愛模様に興味があった。
ちなみになでしこの情報源である志摩リンは、草野雫という20歳の女子大生から30代中盤の男性と良い関係にあるという話をよく吹き込まれていた。
一方でまこは、なでしこの話を聞いて困った表情を浮かべていた。稲荷女子大学食文化研究部の恋愛事情と大きく異なっていたから。
「あのね、女子大生の恋愛事情って言っても、色々あってね……」
前置きを置いてから話し出すことにする。自分たちの恋愛事情を話すのは照れ臭かった。
「私はね、同級生のくれあちゃんをお嫁にもらったの」
まこは既婚者であることを告げてみせた。ちなみに嫁であるくれあは実家の食堂を手伝っており、まこは山梨まで食欲に釣られて来ていることをまだ知らされていなかった。
「おお~♪ まこさんは同級生の女の子と結婚したんですね♪」
「うっ、うん。同じサークルの子なんだけど……料理上手で気配り上手で本当に良いお嫁さんなんだよ♪」
「私もっ! 同級生のリンちゃんのお嫁さんになれる様に毎日一生懸命なんです♪ 高校生の内に結婚できるように頑張ります♪」
「うん……頑張って」
くれあとの百合婚になでしこがとても肯定的だったのでまこはホッとした。
結婚にタブーがないFree!婚の世の中ではあるが、制度的に認められていても美少女同士の結婚に異議を唱える者はどうしても出てくる。まことしては慎重にならざるを得ない話題だった。
だが、なでしこ自身も同性の友達と結婚を目指しているという話を聞いてまこは安心することができた。食文化研究部の恋愛事情について口が滑らかになった。
「同じサークルのひつじちゃんは、いずれななちゃんと結婚するだろうし」
「おしんこは……カブトムシLOVEだから、恋愛には興味ないだろうなあ」
話し終えて気が付いた。なでしこの述べていた女子大生の恋愛に全く掠っていないことに。
「…………えっと、女子大生だからって、年上の男の人と付き合うとは限らないんじゃないかな」
まこは苦笑しながら自己と周囲の体験に基づく結論を語ってみせたのだった。
「女の子は女の子と結婚しても良い。とっても、希望が持てました♪」
なでしこは瞳を輝かせながらお礼を述べてきた。
「喜んでくれたのなら、何よりかな」
まこは年下の友人をガッカリさせなかったことに安堵していた。
「いっぱい美味しいお土産を買って帰って、くれあちゃんの実家のお店を私もお手伝いしないとね」
そして、愛する新妻のことを思い出しながら頬を緩めるのだった。