SamSuka
枡久野恭(ますくのきょー)
枡久野恭(ますくのきょー)

fanbox


SSS わんだふるぷりきゅあ 猫屋敷まゆ 夏コミ原稿


わんだふるぷりきゅあ 猫屋敷まゆ 夏コミ原稿


「どっ、どうしようっ!? 興が乗って夏コミの悟いろ漫画本の原稿を描いていたら……いろはちゃんたちの許可を取っていないのに18禁本にしちゃったよぉ~っ!?」


 駆け出し同人作家猫屋敷まゆは締め切り2日前に何とか描き終えた原稿を見直しながら顔を青ざめさせていた。

 彼女が夏コミに出す漫画は悟いろ本。リアル友人カップルのイチャラブを扱ったものだった。

 最初はお手手繋いで頬を赤らめて最後はほっぺにチュっぐらいの淡い恋愛模様を描く筈だった。ところが、同じ声仲間の少女に原稿を手伝ってもらっている内に内容がどんどん過激になっていった。




 そして気が付けばガッツリアダルト指定な内容になっていた。


「ジャンルはもしもの時のことを考えてアダルトで申請していたから大丈夫だけど……本人の許可を取ってないのは後々不味すぎるぅ~っ!!」


 まゆは頭を抱えて悩んでいた。

 同人作家としての最低限の礼儀。それ以前に人として友人に対してのマナー。元々友達付き合いが下手だったまゆにとって、18禁本モデルの許可を取っていないことは大きな問題だった。


「いっ、今からでも許可を取らなきゃっ! そっ、その為には内容を改めて見返して、許可を貰えるように適切な説明をしなくちゃ」


 まゆは完成した原稿を改めてチェックし始めた。


「えっと、ストーリーは……学園祭の出し物の為にバニーボーイなコスプレを試着している兎山くんが主人公」





「メスっぽさ全開なバニー山くんは、クラスメイト男子の欲情に火を点けてしまい、一斉に襲い掛かられて抵抗虚しくケダモノされてしまう。凌辱の限りを尽くされて教室の隅で呆然としていると今度はいろはちゃんが入って来て兎山くんをみつける。そして『どんなに汚れようが構わない。最後にこのいろはの横にいれば良いよ』と世紀末覇王的に慰める」




「いろはちゃんの言葉に兎山くんは少しだけ元気を取り戻して笑顔を見せる。その笑顔にいろはちゃんは欲情して兎山くんを床に押し倒す。そしていろはちゃんは兎山くんの腰に乗って荒々しく食い散らかすの。何度も喰らって満足したいろはちゃんは『悟くんは一生涯私のものだからね♡』と微笑みかけて、搾り尽くされた悟くんは押し倒されたまま小さく頷いてみせるでおしまい」





 まゆは大きく息を吐き出しながらあらすじを見返し終えた。


「同じ声仲間のお友達に相談した結果、当初予定していた内容とはだいぶ違っちゃったけど……今さら描き直す時間もないし、何とか許可を取らなきゃ」


 まゆは大きく深呼吸するといろはに電話で連絡を取ってみせた。


「あっ、あのね、私が描いていた悟いろ本なんだけど……興が乗ってしまって……18禁なない様になってしまったんだけど……大丈夫?」


 尋ねながらまゆは自分の心臓の音で鼓膜が破れてしまいそうだった。

 そしていろはから返って来た答えは──


『悟くんが耽美に描かれているなら良いよ』


 キッパリとした口調の男らしさに溢れた返答だった。


「だだだ、大丈夫、だよ……兎山くんは、一番、色っぽく描かれるから……」


 まゆの再返答は震えていた。

 嘘は言っていない。男たちに襲われてしまう悟はメスの表情を浮かべていた。悟に跨って喰らい尽くしたいろはよりも色っぽく描かれている。だが、悟が耽美を醸し出した相手がいろはではなかった。


『じゃあ、別に私は構わないよ』

「あっ、ありがとう」


 通話を終えるとまゆは額に汗がグッショリだった。

 ドッと疲れが湧いて出た。だが、ここで休んでしまう訳にはいかない。


「次は兎山くんだね。電話で下手に勘繰られると厄介だから……直接会って誤魔化しながら許可をもらっちゃおう」


 まゆは悟に直接会って許可を貰うことにした。頭の回転が速い悟相手では、視覚情報がない中で同人の話をしていたら、悟がクラスメイト男子たちに凌辱される展開がバレて不許可とされるかもしれない。まゆは悟に対しては攻めに出ることにした。


***


 まゆは悟を公園に呼び出して弄ることでマウントを取りに掛かった。


「夏コミで悟いろ本を出すんだけど……えっちなシーン入れちゃう? 入れちゃおっか?」


 まゆは悟の背後に回り込んで囁きかける様にして提案してみせた。いろは以外の少女とコミュニケーションを取るのが不得手な悟の性格を読んでのイタズラ交じりの交渉だった。


「えxええええええええええぇっ!?」


 悟は素っ頓狂な声を上げてその場に棒立ちと化した。まゆはこのリアクションをチャンスと思い、一気に畳み掛けることにした。


「私、いろはちゃんと一緒にお風呂に入ったことがあるの。だから、いろはちゃんの身体、細かいところまで全部描けるよ♪」




 悟にやましい妄想を抱かせるトピックを投入することで一気に勝負に出た。


「…………そんなこと、言われても……」


 思春期の少年らしく、いろはの裸を想像してしまったに違いない少年は言葉が続かなくなるとそのまま沈黙してしまった。その反応にまゆは今度こそ勝利を確信した。


「じゃあ、兎山くんは18禁本でも構わないということで♪」


 まゆは勢いのままに悟に認めさせたことにした。


「これで……何とか夏コミに乗り込める♪」


 帰宅したまゆは安ど感に満ちた表情を浮かべていた。だが、安心する少女を見て白猫が思ったのは別のことだった。


「許可を貰ったって……現物を見せないで18禁にするってジャンルに関する話だけでしょ。実本を見て、怒られても知らないわよ」


 ユキはまゆのやり方が、却って後で問題を引き起こしかねないことを指摘してみせた。

 愛猫の指摘にまゆの額から再び冷や汗が大量に流れだす。


「だっ、大丈夫だよ」

「どうして?」

「だって、今度夏コミで出す本は18禁だもん。中学生のいろはちゃんや兎山くんは読んじゃ駄目なんだからっ!」

「…………作者であるまゆも中学生なんだから見ちゃ駄目じゃない。なんで未成年が18禁本作ってるのよ?」

「………………っ」


 ユキの指摘にまゆは答えることができなかったという。






SSS わんだふるぷりきゅあ 猫屋敷まゆ 夏コミ原稿 SSS わんだふるぷりきゅあ 猫屋敷まゆ 夏コミ原稿 SSS わんだふるぷりきゅあ 猫屋敷まゆ 夏コミ原稿 SSS わんだふるぷりきゅあ 猫屋敷まゆ 夏コミ原稿 SSS わんだふるぷりきゅあ 猫屋敷まゆ 夏コミ原稿 SSS わんだふるぷりきゅあ 猫屋敷まゆ 夏コミ原稿

More Creators